スポーツ集団における活動継続理由に関する研究
(1998年 鹿屋体育大学卒業論文)

研究目的

 本研究では、運動部から実際にどんな圧力を受けているかを推測し、その圧力をどの程度受けているかを調査するとともに、さまざまな受けるにもかかわらず、多くの競技者が運動部に所属する理由、また組織に留まらせているものはなにかを明らかにする。
 また、ネガティブなストレスの軽減のための部活動での人の在り方・心の持ち方を推察する。

研究方法

 調査期間は1997年10月下旬から11月中旬であり、鹿屋体育大学・筑波大学・栃木県立宇都宮商業高等学校・聖徳大学付属高等学校の学生および生徒488名を対象に、質問紙調査を行った。調査内容は、部活動の継続を阻害する要因に関するもの、部活動の継続理由に関するものであった。

結果および考察

1.部活動の継続を阻害しうる要因は、「目標実現への可能性の低下」、「部内での人間関係の悪化」、「快楽感・爽快感の要求」の3つが主要なものである。

2.部活動の継続理由は、「夢や目標の実現のため」、「友人関係を保っていくため」の2つが主要なものである。部活動の継続を阻害しうる要因とは背中合わせである。

3.全国レベルの競技者は、そうでない競技者に比べて自己実現意欲に大きな差がある。「夢や目標の実現」の意識の自発的な強化がパフォーマンスレベル向上のポイントといえる。

4.現在競技者が競技を続けていく上で、「充実感・爽快感の減少」と「競技不振」がもっとも強いストレスである。

5.現在の部活動では勝利至上主義のあまり、快楽感や爽快感を得ることは難しい。競技者には、部活動によって運動そのものによる疲労が多くたまっている。心身両面のリフレッシュが早急に必要であると感じられる。

6.男子と女子では、部活動の継続理由はまったく違うところに存在する。男子は自己実現意欲が比較的強く、種目に関わらず単独で「夢や目標の実現」を目指す傾向がある。女子は友人関係を維持するため部活動を続けている競技者が多い。みんなで目標を達成しようとする傾向が強く、団結心が強い。モチベーションや指導は、性別によって変更して行う必要がある。


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