ツールド山陽・第2ステージ
2002年3月4日
福岡県宗像郡福間町〜北九州市八幡西区



8:30 起床。
寒い。
気温はそれほどでもなかったけど、なんとなく底冷えする寒さだ。なかなか起き出せない。

朝食を食べ、ふとんを片づけ、出発準備。
つよ丸家には、すっかりお世話になってしまった。ほんと、感謝。
この先もそうなんだけど、行く先々に仲間がいることを、とても嬉しく思った。
ボトルの泡盛のにおいは、まだとれない。


10:13 出発。

今日は北九州の産業医科大学まで。
産医大のエロくんのところに泊まる予定。
つよ丸たち4人が、今日のゴールまでいっしょに行ってくれる。
ほんと、心強い。風よけが4人もいるし、
トラブルが起こってもうまく対処できそうだし。
なによりも安心感が大きくて、非常に嬉しくて助かる。



(写真)
前列左から、D悟・俺・I崎。
後列左から、ぱらどぅ・つよ丸。


道中、なんの憂いもなく、快調に進む。
4人が引っ張ってくれるので、ことのほか楽だ。
途中で止まって地図を取り出すこともなく、さくさく進む。さすが現地人。
左に海岸と松林が見える。このへんが「さつき松原」なのかな。
予定のルートでは、アップダウンを避けて海際の県道300号線へ行くはずだったけど、
そのまま国道495号線を東へ向かった。
そうだった、海際へ行くということ、つよ丸にしか伝えていなかったなと、気づく。
案の定、途中にきつい峠。玄海町と岡垣町の間の、垂見峠というところかな。
でも足を貯めていてまだまだ元気だった俺は、ちょっとがんばっただけで、
普通に何の問題もなく越えることができた。一人だったら、相当しんどかったろうな。
ほんと、4人に感謝だ。

やがて芦屋町に入り、遠賀川(おんががわ)にさしかかる。大きな川だ。
この川を越えれば、いよいよ北九州市! というところで、小休憩。ずいぶんスムーズに進んできたものだ。


左の写真は、遠賀川のほとり。
俺らの向かって正面に、川が広がる。

普通なら、壮大な川をバックに写真を撮るところだけど。


俺たちは、うしろの水色の建物に心を奪われてしまった。


あえて拡大はしないが、屋根にある看板。


「ホテルべんきょう部屋」


いったいなにを勉強するんだ!?(わかってるくせに
いったい中はどうなっているんだ!?(予想つくくせに
教室に机とか椅子とかが並べてあるのか!?(そういうシチュエーションも悪くないくせに
好みの制服とかチョイスできるようになっているのか!?(むしろ望んでるくせに
黒板には「三月四日(月) 日直 つよ丸」とか書いてあるのか!?(ってくせに

気を取り直して、芦屋橋を渡り、北九州市内へ。そこはもう、目的地・八幡西区
ここから産業医大までは、地図上で見るとそう遠くない。あとは余裕だ。
腹の減った俺たちは、リンガーハットに入り昼食をとり、かなりゆっくりした。
4人がサポートしてくれたおかげで、疲れはほとんどなかった。

と、ここで、あることに気づく。

「指輪を忘れてきた!」

去年のクリスマスに、彼女と2人で買った、指輪。
高価なものではないけど、気持ちをつなぐ愛のしるしである(←書いてて恥ずかしい)。
それを、つよ丸の家に、忘れてきたことに、気づいたのだ。
心の支えを、置いてきてしまったなと、思う。

でもまぁ、再来週には長崎大島で合宿もあるし、その時に持ってきてもらおうかな。
さらに、つよ丸は、このツールで、もう一度会うかもしれないし。

腹もふくれたところで、出発。

12:50 産業医科大学到着。
距離的には、40km足らず。これからに比べれば、かわいいものだと、強引に思う。
天気は良くて、最高のコンディション。ずっとこんなだったらいいなと、思う。
でも明日は今日の8倍の距離。がんばらないと!
背中に背負った荷物が重く感じるけど、ここまでは何のトラブルも起こっていない。
順調そのものだ!

5人で勝手に敷地内に入り、キャンパス内をバイクでゆっくりと見学しながら回る。
かなり広い! かなりの敷地面積! さすが私立の医大!

しかし。
大学内をバイクジャージにバイクできょろきょろしながら回っている俺たちは、
どう見ても異様な集団だろうな
SPに職務質問を受けたとしても、何ら不思議はない。

13:00。つよ丸たちは帰っていった。
ここまで来た道を、一段とスピードを上げて突っ走って帰って行くに違いない。
帰ってから、プロ野球のオープン戦を見に、福岡ドームへ行くと言ってたなぁ。
ありがとう、助かったよ。
予定では、つよ丸はあさって、広島からふたたびサポートしてくれる予定だ。

しばらくあとに、産医大のO牛くんが迎えに来てくれることになっている。
校舎の中のベンチで、少し横になる。
休み期間なので、学生や教官はまばらだった。静かだ。
さすが医科大、みんな白衣を着ている。
心なしか、オキシドールのにおいがする。

15:15 O牛くんと合流。
彼は産医大のトライアスロン仲間で、去年の長崎大島の大会以来の再会だ。
はじめて産医大に来た俺を、もてなしてくれた。
O牛くんの研究室の仲間に、俺ら5人は、目撃されていたらしい。
「なんかそれらしい集団がいた」ようなことを聞いて、もしやと思ったらしい。
十中八九、当たり、だろうな。
O牛くんの部屋で、少し眠る。
その後、エロくんの部屋へ。

17:15 エロくんの部屋に到着。
実験を終えて帰ってきたエロくんの部屋へ向かう。今晩は、エロくんとこにお世話になる。
外は雨が降っていた。

もうすぐエロくんの部屋、というところで。

プリンス初コケ。

低速で右に倒れてしまった。
バイクに傷が入っていないかちょっと心配になったけど、これから大いに汚れて傷も入っていくんだし、
壊れた箇所もないし、初コケは、これくらいが適当でよろしかろう。
縁起いいと、勝手に解釈。



鍋でもてなしてくれた。さらにビール350mlを2本ほど。
エロくんは、トライアスリートとして、
俺と同じくらいの力を持っている。
もともとサイクリストの彼は、バイクとランが得意。
レースタイプは、俺と似ている。
過去2回、九州予選最下位で全国大会へ出場している俺の陰で、
彼はあと一歩のところで出場を逃していた。
実は、ライバルのひとりなのだ。


(写真)
左からO牛くん、俺、エロくん。



産医大は、何気にレベルが高い。
エロくんとO牛くんの他に、H田くんという変わり者がいて、彼が強い。
現在アイアンマンの出場のためニュージーランドへ行っている彼は、
なんとアイアンマン・チャンピオンシップであるハワイ大会へのスロットを獲得したという!
この朗報は、なんと今日飛び込んできた。ホットなニュースだ。
つまり、日本中、いや世界中から参加してくる選手を押しのけ、予選通過を果たしたのだ!
これがどれだけすごいことかという話は、場を改めて書くとして、
とにかくH田くんは、あらゆる意味で、すごいのだ。
(本人を直接知っているみなさん、よく分かるよね?)

ところで、なぜエロくんかって?
彼がほんとにエロかどうかはおいといて、ちょっと名字の見方を変えると、エロと読めるということで。

そんな感じで雑談が進み、明日の話へ移行する。
北九州市内のいろんな話を聞いて、地図を見ながらコースを検討する。
明日の天気予報を見る。雨!
降水確率、午前70%、午後80%
うう、明日は雨か...でも最初から強行は決定している!!
毎日の宿を前もって決めているので、1日の猶予も許されていないのだ!
雨でも雪でも、足を止めるわけにはいかない!!
ただし気温は16℃と高いらしい。せめてもの救いだ。
ツールなんだから、いろんなことがあってこそ! でないとおもしろくないし!

さらに思いも寄らぬ嬉しいアイテムをゲット。
ロードレーサー用のキャリアーを借りた。
これで肩と腰への負担は軽くなる!!
強度の低いカーボンのシートピラーに取り付けるのはやや心配で怖かったが、
これからの長丁場を考えると、なくてはならないアイテムのように思えた。

23時ごろ、眠る。

(第2ステージ成績)
走行距離:39.0km
走行時間:1時間40分
平均速度:23.5km/h
所要時間:2時間15分

(通算成績)
走行距離:57.2km
走行時間:2時間14分
所要時間:2時間55分

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