サカタルージの「マレー半島の男」
第四話『宿がない男』
12月28日
7:00に宿を出て、すぐ近くの市場で売られていた、竹筒入りのココナッツミルク味のモチ米を3本買って、
それを朝食代わりにして食べながら進んだ。
本日は「カオヨイ」を目指す。
距離の目安としているのは道路端に1km毎立っている標柱である。
タイ語で書かれているので詳しくは分からないが、その標柱には2段に分かれて町の名前と数字が書かれていた。
上は進むにつれ距離が短くなり、次の町につくとその数字は37とかに増えている。
ということは上の数字は次の町までの距離を示していると考えられる。
下はその逆。進めば進む程距離が増えていき、少なくなる事はない。
たぶん首都バンコクからの距離であろう。ってことはそこに書かれている文字は次の町の名前、
バンコク(現地ではバンコクのことをクルンテープと呼んでいる。)って書いてあるハズである。
この標柱はかなり使えそうだ。これからずっとお世話になりそうだ。
出発時、この標柱を見ると、次の町まで22kmって書いてあったから、それがカオヨイだろうと思い歩き始めた。
4時間後、22km歩き、到着したカオヨイらしき場所の交番で聞いてみると、
「ここはカオヨイではないし、宿もない。カオヨイは20km先だ!」って、ヒザカックン状態だ。
仕方なくそばにあった食堂でソバを食べてまた歩きだした。そして15時すぎにやっとカオヨイに着いた。
あぁ、疲れた。宿探そう!って町の人に訪ねてみたが、なんと、この町にも宿はないらしい。
「うぅっ!ぬぁんとぉ?」切なさが込み上げて来た。

仕方ない、野宿するより歩こう。
結局、ヘトヘト状態で次の街、「ペチャブリ」の宿に入ったのは19:15であった。
57kmを10時間以上かけてやって来た事になる。ここまでの新記録だ。
明日は「チャーアム」まで30〜40km、次のホアヒンまで30km位であろう。
その2つの町は以前行った事があるから宿があるのは分かっている。しかし、そのあとはほとんど分からないのである。
ハッキリ言って心配である。
宿に入ると、もう、一歩も歩きたくない、というより歩けない状態であった。
水のシャワー(タイでは水を浴びるのが普通で、外国人向けの宿以外は、シャワーがあってもお湯がでるところが少ない。)
を浴びていたら急にふくらはぎがつってしまった。しばらくそこから動けず、叫びながら筋肉を伸ばしてなんとかベッドに戻った。
こんな事もあるから明日からは出発前、到着後、ストレッチをしっかりしよう。
ちなみに明日行く予定の「チャーアム」は僕が初めてタイに来た時に行った思いでのリゾート地である。
あの時は「長江の男計画」失敗後、中国広州のゲストハウスで知り合ったアメリカ人女性とインドまでほぼ同じ旅程だったため、
結構仲良くなり、一緒に「チャーアム」にやって来たのだ。
しかも2人で1つの部屋に3泊もしたのに、19歳という若さで、驚いた事に純情だったボクは
「何をする!」という以前に「何をしようとも思わなかった」というバカさのほうが、今だに悔やまれる。
「うぅ!惜しい!!」そういうところも今後改善していかないといけないなぁ。
久し振りの「チャーアム」。楽しみだ。そしてなぜかワクワクしていた。
本日の行程
サムット・ソンカム〜ペチャブリ 距離57km
行程時間:8時間15分
バンコクからの総歩行距離:129km
マーライオンまであと:約1842km
(続く)
第五話
もどる