この領域のおける、私の修行
 私の日常は、毎日2時間以上お経を上げる事です。何が起こっても、お経を上げ続ける事です。体の調子の悪い時は、余計に長時間お経を上げます。理屈無しに、お経を上げます。何も考えず、頭を空にして、お経を上げます。余分な知識を入れないで、お経を上げ続けます。下手でも、棒読みでも良いんです。下手が良いんです。全く関係無く、お経を上げます。


 雑念が起これば、雑念に専念します。雑念が根を上げるまで、雑念に専念します。


 この行為は、結果的には修行になるのでしょうが、私は全く意識はしておりませんでした。


 この生活を3年間程続けていますと、何か変な、何か分からないが、変な、不思議な現象が目の前に展開するようになって来ました。


 舌の上で転がしていたお経の声の出所が、すとんと下に下がります。喉から声が出ています。


 毎日お経を上げ続けます。


 喉の上部から出ていたお経が、すとんと落ち、もう少し下から出ています。下がる瞬間が分かります。


 ある日、寝(夜中)ていますと、私を呼ぶ声がします。男の人の声です。聞き覚えが有ります。直ぐに目を覚ましました。全く眠くありません。


 何日か後に、私のこの領域の先生の所に用が有って行きますと、「おう、もう完全に入っているわ」「目に入ってしまったな」「それにしても、早かったな」「もう、口から言葉が出るやろ」と言われます。


 私は、夜中に男の人の声で起こされた事も話しました。


 「それは、あんたの声や」「あんたの声やで」と先生は言います。


 しかし、私はこの時点でも、この領域には全く興味すら有りませんでした。


 私が何故一生懸命にお経を上げ続けているかという理由は、私が焼き殺した蛇と御先祖様に対しての侘びの気持ち、そのものだけでした。


 この生活を続けていますと、何故か、体が痛くなって来ます。体中が痛いのです。何故か分かりません。


 体が痛くなりだしてから数年間は、痛みの事については、誰にも言いませんでした。


 この領域の先生の所に行っても、その痛みの事については、何も言いませんでした。


 ある時、先生の所に用事が出来て行きますと、「あんた、ええかげんにしとかんとあかんで」「もう限界にきとってやで」「これ以上待たせたら、あんた命とられるで」「地神さんが怒ったら、怖いで」と言います。


 私は、自分の体の痛みの意味が初めて理解出来ました。そして、神様は、今の私の程度では、この様な方法でしか私が分からないので、又この様な、痛みをもってしか、私が言う事を聞かないのを分かっていたのでしょう。


 しかし、こんな事で、言う事を聞く様な私ではありません。


 趣味として、魚釣りは私の人生でした。仕事をしながら、年間100日以上の釣行です。仕事が終わってからの夜釣りは最高です。


 巳神(水神)を祀っていながら、魚を殺生していたのです。


 この領域の先生からは、釣りはもっての外、直ぐ止める様に、何年も前から言われていました。


 ある日、渓流釣りから帰り、魚を料理していました。魚の頭を包丁で切るのが面倒ですので、手の親指で頭をちぎり切った瞬間、大音量で水の流れる音がします。滝の音です。


 これは、怖かったです。


 他にも、巳神からの警告は沢山有りました。


 少しですが、私の中で変わって来るものが感じられます。


 ある日私は、巳神に向かい、「地神さんと一緒に人助けをするから、私の前に、人が羨む程の数珠を出してみてくれ」と言いました。試したのです。今から思うと、よくもそんな大それた事を言ったものです。


 一週間程して、妻の母親から電話が有り、「50万の数珠を買ってあげよか」と言います。


 「何でや」「何でそんなに高い物を買ってくれるんや」「買ってもらったら、この道に入らないとあかんのに」


 この後も、2〜3回、地神様を試してみましたが、ことごとく私の言う様になります。


 それから後は、「私について」でも書きましたが、この道に私が入った理由は、まだまだ沢山有ります。


 
 そして、私が何故、鳴釜の神事をする様になったのかは省きますが、この神事は、行う事自体は簡単ですが、行い続けていると、必ずと言っていい程、施術者自身、施術者の身辺が不安定なものになって行きます。 


 施術者自身の中に、正統なものが入っているか、それこそ、純粋に修行を続けておられる方以外は、余りこの領域に入らない方が良い様に思います。


 周りを見回しても、この釜と縁を持った人で、長期間、施術者自身が良い状態で、神事を続けている方は少ないです。大概は、2〜3年で止めてしまう方が多いです。
私について