DV-600AVトップローディング改造

 マルチプレーヤのDV-600AVはGOLDMUNDへのOEMなどで話題になったがローコストながらプレーヤとしてはそこそこの音がしている。当初はDVDプレーヤとして購入したが、SACDが結構聞けるので色々と改造を加え、本格的なオーディオ用マルチプレーヤに改造した。

 DV-600AVは元々は通常のトレイ式のローディングタイプのプレーヤだが、過去のCDプレーヤの改造経験からメカをリジッドに止めるトップローディングが有効なので全面的に改造した。

 まずはメカ本体部分の取り出しとシャーシの改造から始まる。この部分はここに詳しく手順を書いたのでみて欲しい。

 メカ部分を取り出したら、前面パネルとコントロール基板、電源基板の4点を2mmのアルミシャーシに載せる。

今回は2mm厚のアルミ板を底板として切り、左右のリブを曲げで製作。バックパネルはアルミアングルを利用した。中央の穴はメカを底のアルミブロックに直接取付ける為のスペーサの穴3点とスラスト駆動の歯車が当たる為にくり貫いたもの。スタピライザーを載せてこの1Uの厚みに収める為にメカを止めるスペーサの高さを15mmとした為にシャーシが当たってしまった。バックのRCA出力ピンには左右の間にスリットを入れている。

 こちらがそのメカを止めるアルミブロック(250x150x10mm)にメカ仮止めしてみた所。実際はこの板はメカの取付け用で更にこの下にブロックを4隅のネジで増設できるようになっている。

裏から見るとアルミブロックはこんな感じで付く。写真の場合は30mm厚。

後、機械的な改造はコントロール基板の4隅をゴム座で浮かして止めている。これは基板をリジッドに固定するよりは若干鳴かせるためである。改造ではないが、メディアを止めるチャッキングは本体の磁石タイプの他に以前CDドライブで使用していた真鍮製のスタピライザーも利用している。

 トップのシャーシは1mm厚のアルミ板を曲げ加工して左右ケースとし、中央はガラスのCDリッドでスライド蓋を構成している。CDリッドは2mm厚のアルミ棒でガイドを作りスライドするようにしている。下にテフロンテープを張っているのでスライドは非常に滑らかである。なおトップの薄緑色はアルミ板にカッティングシートを張ったもの。

この後は電気的な改造で、まずは電源まわりから。DV-600AVの電源はすべてスイッチング電源で構成されているので、出川式のパワータップ基板を内蔵。パワータップとは本体側の1次整流回路を別途前段に設け、本体の整流回路を電気的にパスするもので、パワータップではショットキーを使っているので整流時のノイズ発生を抑え、出川式はレギュレーションを改善する。パワータップは本体側を全く未改造で音質改善できるメリットがある。
 最終的にはOpampの12V系とDAC(推定)の5V系をトランス電源に置き換えることになったが、他の部分でスイッチング電源が残っているのでそのまま使用している。

 後は電源強化のコンデンサを追加しOpampの最終段DCカットコンデンサを変更している。デカップリングは主にOSコンで12V,5V、3.3V系をそれぞれ複数のコンデンサで強化。この時段階的に異なる容量をつけるのがポイント。DCカットはOSコンとフィルムのパラに交換。コントロール基板はチップ実装でパターンも弱い。回路的にも追いかけきれないので余り手を加えられない。

 このプレーヤは最初は中高域に張りのある特徴的な音質が切れのある音に聞こえていたが、どうもよく聞くと、そのままでは相対的に中低域が薄い感じのアンバランスな音質だった。そこで電源を一部トランス電源に変更、その他も色々手を加え大分改善された。最終的には何とかバランスが取れてきたかと思う。基本的な中高域強さと低域の延びが派手目な印象を与える音は残っているが、全体的には落着いた音色となってきた。改造後は低価格のマルチプレーヤとは思えない音に仕上がっていると思う。まあこれで何とかSACDも聞けそうである。

2006/6/17記