井月の書簡を読み解く井月は、家もなく、お金もなく、欲もなく、決して怒ることもなく、聖人のような生き方をした人だったのかも知れません。しかし井月が書いた書簡を読んでみてください。お金に困っている様子がくどくど書かれています。また、恨みがましいことや言い訳がましいことを書いているような感じがします。人間くさい井月の実像が、ちらほらと見えてくるでしょう。
井月の書簡は、現在までに37通が見つかっています。少しずつ解釈して、掲載していきたいと思います。
書簡 一「せめて井月に四~五円の恵みもあらば」
書簡 二「不済次第と存じそうらえども」
書簡 三「御内々御願い上げそうろう事」
書簡 四「紙筆のたぐい調進につき」
書簡 五「せめて紙筆の用だけ御工夫ひとえに願い上げ」
書簡 六「翁忌を御宝前にて御興行下されたく」
書簡 七「絵の具のうち最も第一の紅に差し支え」
書簡 八「御寄進として銘酒五升お願い申し上げたく」
書簡 九「風流の上にて証文など」
書簡 十「例の拝借金のところは」
書簡 十一「もしお宿酒のお余りもやあらんかと」
書簡 十二「飯田版木相遅れ」
書簡 十三「生涯の風流を催し大摺物を」
書簡 十四「お買い入れのほど伏して願い上げ奉り」
書簡 十五「角力評額面奉納したく」
書簡 十六「我が友は川のあなたぞ時鳥」
書簡 十七「来たる十八日殿島光久精舎に於いて」
書簡 十八「来たる十八日いよいよ開庵披露」
『新編井月全集』から引用しましたが、声に出して読んでみることが大事だと思うので、全部に振り仮名を付けました。間違いをご指摘いただけたら幸いです。