俺の竜、見てくれる?
育成日記コーナー


 

  ハリーの宿舎。
  ついに、その全貌が明らかになるときが来たようだ。
  
  「待っていろ、ハリーの宿舎め!」
  なけなしの10Gmを握り締める、その手に汗。
  意識は常に、出口のほうへ。
  いつでも逃げ出せる心構えを持って。


 竜使い・12日目

 『ここが今日から隊長の家になるハウスヘブンよ』
 メグは玄関の戸を開け、僕を招き入れた。
 
 あれ?
 しまった。
 不用意に中に入ってしまったぞ。
 入ったが最後、ケツの毛までむしられるやも知れないのに。
 と、僕が不安に駆られている間にも
 メグの説明はバンバン進んでいる。
 本来はハウスセブンが正式名称なのだが、
 すごく居心地がいいからハウスヘブンと言われているのだとか。
 ・・・う〜ん、ここらへんの設定は、やっぱりうまいなぁ。
 親しみが込められている感じをリアルに味わうことができる。
 
 と、メグが大きな声で誰かしらを呼んでいる。
 『カーヤ!チュチャ!期待のルーキー連れてきたわよ』
 奥から出てきたのは、
 陽気そうな女の人と、活きのイイお子様。
 『この宿の おかみさんのカーヤ。
  料理の腕はこの島イチよ』
 カーヤと紹介された、年の頃30といった感じの女の人は、
 『これでも あたしもドラゴンピースの一員さ。
  ま、正隊員じゃなくてパートのおばちゃんだけどね』
 と言って、ニッカリと笑ってみせた。
 ・・・。
 うーーむ、合格!
 なにが合格だか知らないが、首席で合格だ!
 これで、すべてが吹っ飛んだ。
 だいじょぶだ。
 おカミさんである、この人の人柄と笑顔でスカッと分かってしまった。
 ここは、不当に高い宿泊費を請求する所ではない。
 こんな屈託のない笑顔をする人が悪い人であるはずがないのだ。
 
 疑いもすっかり晴れ、恵比寿様のようなニコニコ顔でいる僕を
 見上げるようにしていたお子様が、ふと口を開いた。
 ん?なんだい?
 僕の顔にカブトムシでも、たかってるのかい?
 『ねえねえ、おにいちゃんがウワサの“カモネギ”?』
 ガーーーーーン!
 ななな、なんてことを!
 たったいま抜け切ったハズの不安を!
 その不安を一気に呼び戻すのか、君は!
 痛恨の一撃だわ〜〜、これ、痛恨の一撃だわ〜〜!

 『こ、子どものタワゴトなんか いちいち気にしないのッ!』
 と、メグもあわててフォローを入れるが、もう遅い。
 鴨が葱しょってやってきたって、言っちゃってるもんねー。
 『あッ! そうそう!ここには下宿人が3人いるの』
 なんて言って、
 話をはぐらかそうとしても無駄だぞ、メグさん!
 『アタシと隊長・・・もうひとりは・・・』
 と言いかけ、後ろのほうでドアの開く音。
 僕は泣いているような笑っているような顔で振り向くと、
 そこには見慣れた顔。
 ハリーがいた。
 僕らを見るなり、
 『おお!そうか!おまえらもここか!
  オレと おまえと メグの下宿が
  
ちょうど 偶然 たまたま 同じィ?
  こいつぁ オドロキだ!ハッハッハッハ!』
 だなんて大爆笑をしている。
 みんなもつられて、ハッハッハッハ!
 僕も一緒に、ハッハッハッハ!
 って、笑えるかぁっ!
 はめやがったなっ、ハリー!
 ちゃぶ台が目の前にあったら間違いなく
 3mは先にふっとばしてるトコだぞ!
 お子様のチュチャも、
 よく分かってないで笑ってやがるな、このやろぉ。
 オラにほんの少しでいい、
 その無邪気をわけてくれってなもんだ!
 
 と、突然、
 『なに 言ってんだい!
  あるわけないだろ、そんな偶然』
 カーヤは浮かれた雰囲気を切るように、一喝した。
 『あやまるよ、じつはね・・・。
  下宿人を世話してくれるよう あたしがハリーに頼んだのさ』
 そして白状してしまった。
 あら、あらら?
 どういうことだ?
 ちらとメグの方を見てみると「あちゃ〜」といった様子。
 話を聞くと、どうやらここハウスヘブンの
 家計は火の車らしい。
 新人は来ちゃ抜け出すわ、
 メグはいつまでたっても正式な竜使いになれないわで、
 安定した収入が得られないのだとか。
 そんなワケでハリーに頼んで
 新人竜使いの斡旋をしてもらったらしいのだ。
 
 なぁ〜んだ、そんなこと。
 事実を知って僕は、
 なんだか拍子抜けしてしまった。
 この程度のことなら素直に説明してくれりゃいいのに。
 あんまりにも怪しげだったから、
 とんでもないことが待ち受けているのではないか
 と思ってしまったではないか。
 
 なにはともあれ、僕の誤解は解けた。
 なんかホッとしたら腹減っちゃったな。
 おーい、カーヤさん、メシだメシ。
 え?
 なに?
 図々しいって?
 
 
 
 

             は、まだ更新中・・・。

 

 

 

雑記 : まったく筆というかタイピングが進みませんでした。
書いても書いても納得がいかない出来でござぁーました。

もっと肩の力を抜いて、
更新頻度を高めていきたいと思っています。
うむむ。