4.配筋・型枠検査

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■2002年2月2日(土曜日)

午後4時からコンクリート打設前の配筋・型枠の最終検査が行われるということで、少し早めに3時半頃現場に行ってみると、職人さんは朝から2人増えて合計3人で、細かな部分の取り付けや調整作業を行っていました。施工担当の(有)大平ホームの工事主任さんが到着していました。
まだ検索が始まるまで少し時間がありそうだったので、主任さんに基礎の寸法やコンクリート打設作業のことについていろいろ教えていただきました。

基礎の寸法について

今回の基礎の底盤(逆T字型のベース部分)の幅は最低50cm、厚さは最低で15cmです。これらの寸法は直径15cmの円形スペーサー(職人さんは“プラドーナツ”と呼んでいました。ナルホド?!)によって確保されており、実際にはスペーサーの周囲に余裕があるため、仕上がり寸法では幅は55〜60cm、厚さは20cm以上になります。またベースの上に乗る立ち上がり部分の高さは60cmで、土を埋め戻した後、地表に出る部分の高さは38cmの設計になっているそうです。従って地下に埋まる基礎の下端までの深さは少なくとも42cmということになります。木造軸組工法の布基礎の場合、建築基準法では、地耐力が3t〜5t/平方メートルの場合の底盤の幅は45cm以上、地耐力が7t/平方メートルでは24cm以上と決められており、底盤の厚さは15cm以上、また地面から底盤の下端までの深さは24cm以上となっています。また公庫仕様書の記述では、立ち上がり部分の基礎幅は12cm、地面からの高さは40cmとなっています。(住まいの水先案内人さんのホームページを参考にさせていただきました)

鉄骨造の建物の重量を考えるともっと大きな基礎でもいいような気もしますが、今回の場合は基礎が乗る部分の全面に地盤改良を行っていることもあり、基礎全体が大きなコンクリートの岩盤の上に乗っているようなものですからこれで十分なのだろうと思います。
地面から基礎天(上端)までの高さが38cmというのが少し気になったので検査後監督さんにたずねてみました。
「公庫の仕様書などでは地上部分が40cm以上となっているようですが。」
「それは湿気や白アリ対策のためなので、ヘーベル板の場合はあまり気にしなくて良いです。」
また、工事主任さんは「ヘーベルハウスではもっと低くしても大丈夫」とおっしゃっていました。むしろヘーベル板の厚さを考えると、完成後の床面があまり高くなりすぎても使いづらい家になってしまうため、やや低めに設計されているのでしょうか。ちなみに白アリの生息域は地上から1m程度までで、基礎高を40cm位にすればかなり被害を防げることが研究で分かっているそうです。

検査開始

まずは基礎が設計通りの位置に造られているか、隣地境界線からの距離を測定します。型枠の上で距離を測っているのが旭化成ホームズの監督さんです。我家の場合、基準となる北側の境界線からの距離は65cmで設計通りぴったり、西側の間隔は70cmの設計に対して70.5cmと誤差の範囲で問題ないことが分かりました。

 

柱や壁を固定するアンカーボルトが図面通りの位置に配置されているか、鉄筋が型枠の中央に来ているかなどを全体にわたって確認します。結果はすべてOKでした。

 

アンカーボルトの取り付け高さを確認します。特に鉄骨の柱(柱脚)を固定するアンカーボルトの高さは高すぎても低すぎても締め付けトルク不足の原因になる恐れがあるとのことで大変重要なポイントです。水平器(?)を使って慎重に高さを確認、調整します。ヘーベルハウスの規格では基礎の天端(基礎の上面)から45mmと決められており、誤差はプラス側が5mm、マイナス側が3mmの範囲でなければならないそうです。今回は全ての部分の柱脚固定用アンカーボルトについてチェックし、基準値をクリアしていることが確認されました。

ちなみに監督さんが「覗いてみますか」と言ってくれたので「ぜひ」と答えて水準器を覗かせてもらいましたが、想像以上に巻き尺の目盛が大きくくっきりと見えるので驚きました。建築工事とは高い精度で作られるのだと改めて信頼感がわきました。

柱脚固定用のアンカーボルトは全長が60cmほどもあり、大部分はコンクリートの中に埋め込まれます。コンクリートが固まった後、ナットをはずしてテンプレートを取り去ればアンカーボルトが基礎から垂直に立ち上がっているという寸法です。これならテンプレートの精度に依存するので、現場での品質のばらつきは最小限に抑えられるわけです。

 

柱脚固定用以外のアンカーボルトは、壁ヘーベル板を固定する金属フレームを取り付けるためのものだそうです。こちらの長さは15cm程度です。

 

型枠の間隔は16cmです。これが基礎立ち上がり部分の幅になります。鉄筋に対して十分なコンクリートのかぶり厚が確保されています。鉄筋が組み合わされた部分はどうしても左右どちらかに寄ることになりますが、この場合でも型枠から(つまりかぶり厚が)5cm以上あれば合格だそうです。

 

基本的に主筋は径が16mmの異形鉄筋(周囲に凹凸がついた鉄筋)ですが、何カ所か部分的に写真に見るように22mm径の太い鉄筋が使われていました。設計上特に強度が必要な部分なのだと思われます。その他の補強筋は10mmの異形鉄筋です。

ちなみに公庫仕様書では、
・主筋として径12mm以上の異形鉄筋を立ち上がり部分の上端と底部にそれぞれ1本以上配置する
・補強筋として径9mm以上の鉄筋を300mm以下の間隔で配置する
などとなっていますが、今回の工事では主筋は上部と下部にそれぞれ2本ずつ、補強筋は250mm間隔で配置され、十分な強度を確保していると思われます。基礎がしっかりしていることがヘーベルハウスを選んだ理由の一つだったので、ここまでの工事の結果はかなり満足のいくものとなっています。

地面から立ち上がりの型枠まではだいたいどの部分も20cm程度あります。コンクリートはスペーサーが隠れるまで打たれることになるので、地面から型枠の下端までのこの間隔が底盤の厚みになります。

■いくつか気になったこと

・換気口の角と補強筋部分のかぶり厚について
前のページの写真で見たように換気口に当たる部分には深さ13cm×長さ30cmの凹字形の金物が取り付けられており、それを囲むようにM字型の10mm径の補強筋が配置されています。凹字形の金物の左右の角の部分と、斜めに走る補強筋との間隔は最も狭い部分で約3cmしかありません。その他の部分のかぶり厚が最低でも6cm程度あることを考えると少し不安です。監督さんや工事主任さんの話では、あまり深い位置に補強筋を入れても補強の効果が薄れてしまうので、3cm以上あればよいことになっているとのことでした。
ちなみに換気口に関して公庫仕様書では、「有効換気面積300平方センチメートル以上の床下換気口を間隔4m以内ごとに設ける」ことになっており、今回の場合は十分この基準に合致しています。

・床下防湿シート
監督さんのお話では「ヘーベル板で塞がれないユニットバスの設置部分には防湿シートを敷くが、その他の部分には防湿シートの必要はありません」とのことでした。
以前にどなたかのホームページでシートを敷かれていた記憶があったもので(といってもシートの破れを指摘したところ「ヘーベルの場合あまり関係ありませんから」と言われたことが書いてあったのですが)、なくても全く問題にならないのか、多少気になりました。

・支持金具の錆について
型枠を支えているπ型の金具は、最終的には両側の耳の部分だけがヒゲのようにベース部分から飛び出た状態でベース部分のコンクリートに埋まってしまうわけですが、この金具に錆が発生した場合に基礎の強度に悪影響を与えることがないかどうか。
監督さんは「心配ないですよ」と言ってくださっており、確かに構造的に力が掛かる部分でもないので問題はないと思うのですがやや気になるところです。

■コンクリート打設についての情報

4日(月曜日)にはコンクリートの打設が行われる予定です。この作業に関連して監督さんや工事主任さんからいろいろ情報を収集しました。

・打設は底盤(ベース)部分と立ち上がり部分を一気に
通常の基礎工事ではまずベース部分にコンクリートを打ち込み、ある程度固まってから立ち上がり部の型枠を組んで第2弾の打ち込みを行うという手順を踏むのですが、これだと当然日数もかかるし、うっかりすると接合部にコールドジョイントなどが発生して強度が低下する恐れもないとは言えません。ヘーベルではベース部分も立ち上がり部分も型枠を組んでしまい、立ち上がり部の上からコンクリートを流し込んでベースと立ち上がり部を一気に打ち込む方法を採っているそうです。ただ、写真ではちょっと見づらいかもしれませんが、ベース部分の上部(立ち上がりの型枠の両外側)にはふたがありませんので、立ち上がり部のコンクリートの重みでベース部分のコンクリートがあふれてしまうのではないかという気もするのですが、工事主任さんの話ではウデのいい職人さんがやるので心配はないそうです。

・ダムより強い(?)“早強コンクリート”
使用するコンクリートの強度はいわゆる設計呼び強度で33N(ニュートン)/平方ミリメートルの、“早強コンクリート”といわれるタイプのものだそうです。
公庫仕様書では打ち込みの日から28日間の平均気温が2°C〜10°Cの場合の基準が27N/mm2となっているので、冬場の工事とはいえかなり強度の高いものが使われるようです。このあたりもロングライフ住宅としてのこだわりなのでしょうか。(ちなみにヘーベルハウスのホームページによると、ダムのコンクリートは30N/mm2だそうです。ダムより強い!)
またコンクリート業界の専門ホームページなどによると“早強コンクリート”と呼ばれるものは通常のコンクリートに比べて硬化が早く、3日で通常のものの7日に相当すると言われているようです。
ちなみに今回使用する生コンの量は12〜13リューベ(立米)で4トンミキサー車で3〜4台とのこと。

・生コン工場は同区内
「ねこちパパのマイホーム日記」(リンク集参照)によると、生コンは製造されてから90分以内に現場まで到着する必要があるそうで、生コン工場の場所や所要時間を確認しておくことを推奨しています。
今回の生コン工場は同じ足立区にある篠田石材店という生コンと建材の専門工場で、現場までは30分もあれば十分到着する距離です。また、ネット上のダイレクトリーによれば、JIS規格製品を扱う信頼できる会社のようです。

・コンクリート強度検査
コンクリートの強度検査は打設時に採取したサンプルを“TP検査工業”(ネットで探しましたが見つかりませんでした)というところへ委託して、基準となる28日後の強度を検査してもらい、報告書を受け取ることになっているそうです。またヘーベル独自に強度検査も行うとのこと(シュミットハンマー検査?)。どちらについても結果報告書をいただけるよう監督さんにお願いしたところ、快くOKしていただけました。

打ち込み当日は8時半頃に1台目のミキサー車が到着し、だいたい午前中で作業が完了してしまうということで、短時間の勝負のようです。ただ日曜日から天気が崩れ、打ち込み当日も朝のうちは雨が残るという予報が出ているのが気がかりです。
打ち込みが終わってしまってからの雨はそれほど心配ないそうで、むしろ気温があまり下がらないので都合がよいのですが、打ち込み中の雨はコンクリートの強度に影響が心配されます。なんとか天気が回復して欲しいものです。

 
 

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