喪失と言う意味と恐ろしさなど、ダレも知りはしないのだ。
   足許を竦ませ凍り付かせていくダレかの喪失など、
   その身に置き換えなければ、決して恐怖など判りはしない。

   惨事は常にブラウン管の向こうの情報でしかなく、所詮は他人事だ。
   その恐ろしさも、身が凍り付く恐怖も何もかも。
   所詮ダレにも判りはしない。

   どれ程大切な存在が失われてしまったとしても、ソレは他人の喪失だ。
   どれ程祈り願ったとしても、その枠組みに入れはしない。

   突き付けられてくる恐怖と向き合い事しかできない。

   ダレだって、そうとなるまで、知りはしないのだ。
   喪失する日常の光景など。




   バカみたいに信じていた。
   変らぬ日常。紡がれて行く時間。
   失われる事など考えもしなかった。
   
   日々は常と変らず存在して、歩いて行くのだと。
   言葉にする事はなかった大切な人と、笑って過ごして行くのだと。

   バカみたいに信じて

   知りはしなかったのだ

   喪失される未来など

   アノ瞬間までは何一つ

   無知な自分を嘲笑うように

   何一つ……

   自分は知りはしなかったのだ

   悲しみさえ何一つ……。

   悲しむ事さえ何一つ。



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