流れて行く生命の脈動。
抑えても止まる事を知らない赤い液体。
鼻を付く腐臭じみた鉄の臭い。


 ダレか……。


夕暮れ時の繁華街。
忙しい喧騒と人々の悲鳴。
近付いてくるサイレンの音。
無意味な程、バカみたいに大きく聞こえて、耳の奥を通り過ぎて行く。 


 ダレか早く……



一瞬にして色を喪う世界など、ないと思っていたのに。
莫迦みたいに、信じていた。失う事など、ないのだと。


『お前の眼』


急激に甦る声。


『空みたいだな』

空なんて見えない。
蒼なんて知らない。

見えるのは、感じるのは、ただ赤い色
鉄の匂いと腐臭を垂れ流す、赤い液体

流れ続けていく、生命の脈動


 ダレか……ダレか早く……

 桃先輩をタスケテ……。