姫始め










「桃先輩、こっちはやっとくから、風呂入ってきちゃってよ」
 桃城の母親が用意してくれていた諸々の正月料理を夕飯にして、いつもより随分早い時刻に食べ終えた二人だった。
「いいよ、お前はテレビでも観てろよ」
 料理の得意な桃城の母親のお節料理は、毎年手作りのものが重箱に詰められている。
どうせリョーマが泊まりに来るだろうと見越した母親は、二人分以上の料理を重箱に詰め、雑煮も何もかも周到に用意し出掛けて行った。
 警視庁勤務の桃城の父親は、正月だからと犯罪件数が減る訳でもなければ、被疑者が逮捕される訳でもなく、まして年末年始は犯罪件数が跳ね上がるから、呑気に正月を堪能していられる身分ではなかった。まして桃城の父親は、刑事警察の聖域である、警視庁捜査一課の管理官だ。呑気に家で寝正月に浸れる事など、桃城の記憶を遡っても、正月に父親が家に居た記憶はない。
 綺麗にカラになった重箱と、雑煮の入っていた椀を重ねキッチンへと運べば、珍しくもリョーマが食器を洗うつもりなのか、一回り以上大きい桃城のパジャマの袖を捲り、シンクに立っている。そんな姿に、珍しい事もあるものだと、桃城は小柄な姿態を見下ろした。
「俺は風呂入っちゃったけど、桃先輩未だじゃん」
 風呂好きのリョーマは、入れば長い。だから夕方早々さっさと風呂に入り、長風呂を愉しんできた。そして当然と言うように、桃城のパジャマを羽織っているのもいつもの事だったから、リョーマが桃城の家に泊まりに来る場合、持ってくるものなど、下着だけで事足りてしまう。
「別に、俺はいつでもいいんだし。取り敢えずお前客だしな」
「あのね」
 桃城の科白に、リョーマは呆れと同時に理不尽な怒りが胸を灼くのに、背後を振り返った。
「今日この家、誰も居ないんでしょ?」
 睥睨が桃城を凝視すれば、桃城はその科白の意味を読み取って、呆れと同時に苦笑を深めるばかりだ。
「挑発するなよ」
 リョーマは、隠さない。付き合い出し、その稚い肉体を開いた罪悪を持ち合わせている桃城の内心を綺麗に読み取り、いつだって挑発するのはリョーマの方だった。だからリョーマは羞恥など後回しとばかりに、欲しいと言う感情を、桃城の前では隠す事はないが、桃城には、時にはそれは苦笑の種になる。
「するよ。あんた莫迦すぎ」
 食器を洗う為流している水道を止めると、リョーマはまっすぐ桃城を見上げた。
「大切だって、前に言ったろ?」
「そんな科白、頭の悪そうな女に言えって、俺も言った」
 大切にされている事など今更だ。そんな事、今更口にされなくても判りきっている。
「俺はね、壊れ物じゃない」
 大切に大切にされて、まるで壊れ物みたいに扱われる事などまっぴら御免だった。けれど何度言い募っても、桃城はその扱いを改めるつもりなどないのか、壊れ物を扱う慎重さで、触れてくる。
 どれ程の綺麗事を言い繕って見た所で、リョーマに言わせれば、姦る事を姦っていれば同じだと言う事になる。結果論だけを見るなら、確かにリョーマの言うのは正しいだろうが、桃城には桃城の事情があるのもまた事実だ。そこいら当たり、二人の意志の疎通は捗々しくないのかもしれない。
「あんたが過去付き合ってきた女と同じ扱いされるなんて、まっぴら御免だって、判ってる?」
 同じ扱いの訳がない事など、百も承知だ。
フェミニストの桃城は、実は似非フェミニストだから、女を抱く時など、飽きさせない愛撫はしていても、それが処理目的以外のなにものでもない抱き方など、言われなくても判る事だ。
だから莫迦みたいな慎重さで、自分を抱く桃城と言うものをリョーマは判っていたが、それが面白くないのだから仕方ない。
「同じ訳あるか」
 同じ抱き方など、できる筈もない。処理だけが目的で触れていた肉の熱さなど、今ではもう思い出せない程だ。
「だったら、判ってる筈じゃん」
「判ってるから、言うんだ。お前無茶しかしないからな」
「やっぱ桃先輩、莫迦。いつだって、自分だけだって思ってる」
 シンクに寄り掛かり、ねだるように細い片腕を差し伸ばせば、長い腕がリョーマの細腰を引き寄せる。
 長くない時間で重ねてきた関係の中。桃城はいつだって飽きれる程の慎重さで扱って、欲しいのは自分だけだと思っている。それがリョーマには面白くない。
 何も知らなかった躯に、雄を受け入れ悦がる快楽を教え込んだのは桃城だと言うのに、いつまでも何も知らない子供として扱おうとする。疼く肉の熱さも、澱んだ欲情も何もかも、教えたのは桃城だと言うのに。それはあまりに無責任だろう
「欲しいのが、自分だけだって思ってる。俺の気持ちなんて、考えた事ない?」
 スルッと、両腕が密着するように桃城の首に回る。回れば、互いの欲望が触れ合い、更に体温は増して行く。
「判ってるさ。だからだよ」
 情欲を纏い付かせ首に回ってきた腕を眺めれば、白い首筋が視界に映る。
 折れそうに細い首だと思う。躯のラインが未だ発展途上の未成熟さが色濃いリョーマの躯の中でも、特に細さを意識する部分。
 女であれば、どれ程の痩身でも脂肪が乗っているものだ。けれどリョーマの首筋は青磁さながら、青みを帯びた薄い筋肉が、細い骨格に綺麗に付いている。片手で掴めてしまう細い首。細い手首。どのパーツも華奢な作りで、発達途上の未成熟さだ。けれどそれが逆にリョーマのアンバランスな魅力に化けている。
 未成熟な幼い姿態に相反する、時折覗かせる歳不相応な妖冶さ。幼い肉の内側は、既に雄を受け入れる愉悦と言うものを知り尽くしている。雄を受け入れ、身悶える官能を教え込んだのは自分なのだと言う身勝手な傲慢な征服欲。同時に、幼い肉体を開いてしまった罪悪が、整然とした矛盾さで、桃城の身の裡には混在していた。
「……悪党…」
 精悍な印象を与える造作に、深い苦笑が刻まれる。こんな風に苦笑する桃城は、歳不相応に大人びて見え、リョーマには癪に触ると同時に、永遠に追いつけない一歳の差を思い知らされる様で、時折いたたまれなく。
「こうして触れる人間居て、俺に一人でさせてきたんだから」
 その罪は重いよと、リョーマは嘯き笑う。
「してたのか?」
 抱けば桃城が困惑してしまう奔放さで振る舞うリョーマは、感じている事を隠さない艶冶さで挑発をしかけてくる。けれど日頃の印象だけを見れば、到底、性に関しては淡泊な印象しか受けないから、本人の口からそう言われても、今一つ実感が湧かない桃城だった。そんな桃城に、盛大に溜め息を吐き出したのはリョーマだった。
「あんたサイテー」
「お前、そういう風に、見えないからな」
 抱き締めた華奢な生き物の内側が、雄を受け入れ快楽に啼き、嬌態を曝す事はいつもの事でも、日常の部分だけを見るなら、ただの13歳で、未々セックスとは無縁にしか見えない。見えないから、リョーマの口から自慰云々等言われると、多大な違和感を抱いてしまうのは、無理のない事なのかもしれない。
「俺の事散々抱いてて、俺が淡泊だって思ってるあんたは、相当莫迦だし、無責任」
 サイテーと笑うと、桃城の視線の前でフワリと柔らかい髪が掠めたと同時に、リョーマの口唇が首筋に埋まっていた。
「コラ」
 情事の最中、桃城の肌に極力触れたがるリョーマの事だ。前戯で触れて来る事などいつもの事だったから、別段桃城はリョーマを引き離しはしなかった。
「桃先輩は、どうしてたの?あんたがこの前俺抱いたの、俺の誕生日じゃん」
「浮気なんて、してないぞ」
「そんな事、宣言しなくても判ってるよ」
 誠実と言うなら、浮気などできよう筈もない。器用なくせに、自分に対しては不器用な桃城の事などリョーマは判りきっているから、無駄な心配などする気もなかった。
「本能だけでお前に触れたら、壊しちまうだろ」
 欲しいという本能だけで抱いてしまったら、壊してしまう。それが桃城には怖かった。
 どれ程抱いても、抱き足りなくなる。そうしたら、全てを束縛してしまいそうで怖かったから、常に何処かで自戒していなくては、幼い肉体を壊してしまいそうで、恫喝されるのだ。
「どう処理してたわけ?」
 埋めた首筋から目線だけを上げ問い掛ける仕草は、妖冶な娼婦を連想させるからタチが悪い。
「荒井先輩から、また本でも回してもらってた?」
「お前……実は根に持ってるだろ…」
 そう遠くは無い日付で起こった時間を思い出し、桃城はガクリと肩を落した。
 以前リョーマと帰宅途中。級友で同じテニス部員の荒井が桃城に手渡した本は、その手合いの本だった。そしてその夜泊まりに来ていたリョーマの乱れ具合は、桃城が勘弁してくれと脱力する程度に、淫らなものだった。
「別に」
「お前こそ、どうしてたんだよ、ココ」
「ぁんっ…」
 ココと、細腰に回った桃城の指が、不意に前触れなくリョーマの股間に伸びた。瞬間、カクンと膝が崩れ、桃城の腕に、拒むとも縋るとも判らぬ動作で、指が掛かる。
「親父さんの本でも見て、してたのか?」
 パジャマのズボンの上から触れたリョーマ自身をゆっくり包むと、掠れた嬌声が上がり、薄い背が撓った。
 リョーマの自己処理方法など、今まで気にもしなかった。というより、そういう想像ができなかった。今まで散々幼い躯を抱いてきたというのに、どうにもリョーマに対する印象は清冽なものばかりが付き纏うから、矛盾もいい所だ。
 実際情事の最中は、性を覚えたばかりの貪欲さと、男の扱いに長けた娼婦性が混在し、そのくせ抱けば誰の手垢も付いていないかのような処女性を秘めている肉体だ。手練手管に慣れている筈の桃城が、溺れてしまうには十分なものを持っている。けれど重ねる肌の熱さや淫らさは知っていても、リョーマが一人で性を貪る事など、桃城も以前なら考えもしなかった。
 全ては級友の荒井と、桃城と二人で見なねと、莞爾と笑って不二がリョーマに手渡したその手合いの本を見るあの時までは、そんな想像など、意識の片隅にも上らなかった。
「……ぅんっ…俺が…あんな頭悪そうな女の水着姿見て、欲情するなんて、思ってる?」
 一瞬にして上気した白皙の貌が、熱を浮かせて挑発的に笑うのに、桃城は煽情される。
「だったら」
 どうしてた?
 耳朶はリョーマの性感帯の一つだ。桃城は吐息で囁くように耳朶を舐め、薄布の上から包んだ幼い肉茎をゆっくり撫でると、幼い肉茎が手の中で屹立するのが判る。
「ぁぁんっ…」
 嫌々と細い首を振り、キュッと桃城の腕に爪を立てると、白皙の貌が一挙に紅潮する。淫らに乱れた貌が、桃城の眼前に、隠す事もなく曝されて行く。
「リョーマ」
 情事の最中でしか呼ばない名前を、濡れた淫猥な音を立て耳朶を擽る柔らかさで囁くと、腕の中。顕著な程、華奢な姿態が跳ねた。
「相変わらず、名前呼ばれるの弱いのな、お前」
 顕著な反応に桃城は笑うと、グッと細く薄い躯を引き寄せる。もう既にリョーマの躯には力など入ってはいない。簡単に桃城の腕の中に崩れて行く。
「桃先輩…は…?」
 上気した面差しが桃城を見上げた。快楽に顫える指先が、桃城の胸元を握り締めている。
「決まってるだろ?」
 リョーマの言うように、今更頭の弱そうな女の水着姿など見て、欲情など喚起されない。
既に桃城はもう十分、魅了される生き物の存在を知ってしまったし、腕にしてしまった。
「だったら俺も……」
 元々、リョーマは桃城の印象通り性には淡泊だ。桃城により貪る性や他人の手により極める情感を知ってしまっただけで、桃城との関係がなければ、テニスで消化されていたのかもしれない。そんなリョーマだから、最初から父親が母親に隠れて眺めては喜んでいる女の裸の写真になど、興味など湧かなかった。尤も、それはそれで、健全な発育を遂げている少年にしては、些か発育面で心配が残る部分が多大ではあるのだけれど。
「こんな場所でするの、初めてだな」
 今までなら、リョーマの家で情交に及ぶのが常だったから、桃城の家で、ましてキッチンと言う場所での行為など、二人には初めてだった。
 屹立を始めたリョーマから自身から未練なく指を離すと、桃城は卵の先端のように鋭利な頤を掬い上げ、口吻けた。既にリョーマの躯に力などなく、細い下肢はガクガクと小刻みに顫えている。桃城の支えがなければ、立っていられない状態に近い。
「ぅんっ……」
 朱に色付く熱い吐息が、塞がれた口唇から漏れた。
桃城の舌は性急になる事はなく、酷薄な口唇の感触を楽しむように舐めている。そうすると、リョーマの口唇は待ち侘びるように薄く開かれ、桃城の舌を口内に招き入れて行く。官能に弱い躯は今にも崩れそうで、桃城は薄く細い肩を抱くように抱き締め、貪婪に口唇を貪って行く。
「んっ…んっ…」
 グッと桃城の腕の中に抱き留められれば、半月抱かれていなかった肉は簡単に熱が灯り、細腰の奥の奥に凝縮した熱の塊がドロリと澱んでいるような錯覚に見回れる。
 狭く生温い口内で、桃城の舌は歯列の裏側を舐めると、ゆっくりリョーマの舌に絡んで行く。躊躇いもなく、リョーマの舌は桃城のソレに絡み付く。
 ピチャリ…。
 濡れた淫靡な音が、二人以外存しない空間に奇妙に淫らに響き、殊更官能に弱いリョーマの聴覚を刺激して行く。
「あっ…桃先輩…もぉ…」
 辿々しい掠れた嬌声。紅潮した頬に淫蕩に耽溺する眼差しが催促するように桃城を見上げれば、それは更に深い口吻で塞がれて行く。
「ぅんっ…んっ…ぅぅんっ……」
 淫猥な濡れた音を立て、貪婪に口吻を繰り返す。リョーマの白い喉元がコクリと上下する様がひどく淫靡だった。
 桃城の片腕は、胸元に深く抱き込む恰好で華奢な姿態を腕に閉じ込めると、残る片手がゆっくり細いラインを撫でて行く。
「だめぇ…」
 絶頂に達する瞬間の貌を曝し、リョーマは嫌々と頭を振り、身悶える。掠れた嫋々の嬌声は声変わり前のボーイッシュさで、桃城を煽情していくばかりな事を、リョーマは知らない。
「本当に、敏感だな。自分でしてても、すぐイッちまうだろ?」 ガクガク快楽に顫える躯を抱き上げると、キッチンのテーブルの上に横たえる。
「桃先輩…やだ…こんな場所…」
 ヒヤリと冷たいテーブルの上に横たえられ、リョーマは狼狽を滲ませる。
 桃城の部屋ならともかく、キッチンのテーブルなど、日常的に家族が使用する場所だ。そのテーブルの上で抱かれるなど、流石に桃城を挑発してねだるリョーマと言えど、羞恥が湧かない筈はない。
「折角の二人きりだし」
「…理由に…なってない…」
 伸し掛かってくる桃城に下肢を開かれ、否応なく下肢に纏うものを脱がされ、快楽に熱くなった下肢が外気に曝され、リョーマは少しだけ身震いする。
 薄い翳りの中、屹立する幼いリョーマ自身は先端の窪みから粘稠の愛液を滲ませ、開放を催促している。
「姫始め、だしな」
 剥き出しにした白い下肢が、小刻みに顫える様はひどく煽情的で、桃城でもフト雄の嗜虐を刺激される。されれば、フト以前淫らに乱れたリョーマを思い出す。
 荒井が寄越した本と、不二が意味深に笑ってリョーマに渡した本の所為で、その日のリョーマの機嫌は最悪な程で、桃城を翻弄する事に熱中する始末だった。その延長線で、リョーマが提案した情交の遊びは、桃城にしてみたら、勘弁しろと溜め息を吐き出す代物だった。
 直接言葉に出される事はないが、リョーマが過去の自分の女関係に拘っている事を知っているから、桃城も無下にリョーマを退ける事はできなかった。そんな事をすれば、リョーマの機嫌は更に悪化の一途を辿る事を、知っているからだ。そしてどう綺麗ごとを言い繕っても、そんなリョーマに翻弄されつつ、雄の嗜虐を煽情され、幼い躯を幾度となく抱いてしまったから、桃城は、言い訳する事も反駁する事もできなかった。
「それ何?」
 桃城はゆっくり覆い被さりながら、その瞬間だけひどく無防備な様で問い掛けてきたリョーマに、半瞬問われた言葉の意味が通じなかった。
「親父も言ってた。あんたに訊けって言われた」
 意味深に笑った父親の事だ。どうせろくな事じゃないと判っていたリョーマも、盛大に溜め息を吐く桃城を見上げれば、科白の意味を察する事は可能だった。そうして察してしまったから、親父が言うのはやはりろくな事じゃないと、内心呆れた。
「本当、お前の親父さん、お茶目だな」
 普通は止めるだろうし、反対するだろう。大事な一人息子が、男に抱かれているのだ。
それを止める事もせず、『姫始め』と言ってしまうあたり、南次郎の性格は底が知れない。
 飄々と笑っているくせに、目許が笑っていない事など暫々だから、冷静に観察されている事が嫌でも判る。尤も、大抵の人間は南次郎の飄々さに誤魔化されてしまうから、ソレを理解できる桃城も、曲者度はお互い様なのだろう。
「曲者同士、本当、あんたと親父って、俺より意気投合してるんじゃない?」
 憮然としてしまう権利くらい有るだろうと桃城を見上げれば、桃城は苦笑を深めているばかりだ。
 答えを迷っている訳ではないくせに、呆れと溜め息を同時に行い見下ろしてくる桃城は、こんな時、癪になる程リョーマにとっては大人びて見えた。見える事が、余計癪に触った。だから尚更挑発せずにはいられないリョーマの勝ち気さを、桃城はこういう局面で嫌という程思い知る事になるのもいつもの事だ。
「あのな……」
「教えてよ」
 姫始めって何?
覆い被さってきた桃城に濡れた眼差しを向けると、桃城は深い苦笑いを浮かべ、耳朶に甘噛み囁いた。 
 桃城の科白に、可笑しそうにクスクス笑うリョーマの薄い背を、ゆっくり節の有る長い指が這って行く。
「ぁっ…ぁんっ…」
 線の細いリョーマに大きすぎる桃城のパジャマは、簡単に胸元まで捲り上げる事ができる。
 桃城の指は曝した胸元をゆっくり撫でて行く。そうすると敏感な乳首は茱萸の実さながら赤く色付き、屹立を見せる。
 急速に硬くなる乳首を、桃城の指が二本の指の腹で挟み込むと、振動を衝け小刻みに震わせる。そうするとリョーマは白い喉をのけ反らせ、嫋々の嬌声を漏らして行く。
「あぁんっ…桃先輩…」
 半月ぶりに抱かれる躯は、リョーマ自身が思っていたより簡単に快楽の火が灯った。
「ぁんっ…」
 桃城の指が、薄く細い背をゆっくり伝い降りて行く。
細腰を浮く程抱き抱え密着する躯は、否応なく互いの性感を高めて行く。
「やだ…ソコ…」
 腰が浮く程抱き締められ、背を這う指がゆっくり双丘に触れて行く。
 節の有る長い指先が、焦らすように、ゆっくり触れてくる。半月ぶりに触れられる感触に、小さい肉の入り口が歓喜に顫えているのが、リョーマ自身には生々しい程だ。
「姫始め、だしな」
 ピチャリと、淫猥に濡れた音を立て耳朶を舐め、双丘の奥を探る指が、慎重に奥を開くように探って行く。瞬間、リョーマの掠れた嬌声が響いた。
「慣らさないと、辛いのお前なんだからな」
 半月ぶりに開く幼い性に、桃城が慎重になるのは当然だろう。慣れたとはいえ、元々ソコは異物を受け入れるようにできてはいない器官だから、慎重になって悪い事はない。
「んっ…ぅ…んぅ…怖…い?」
 ゆっくり触れ、内部に入り込んでくる指先の感触に、痛みより何より、身震いする快楽がゆっくり肉の奥底から表層へと這い出てくる感触が生々しい。
 桃城は知らないのだろうと、熱に浮かされ始めた意識の片隅でリョーマは思う。莫迦みたいに慎重に扱われれば扱われる程、快楽が澱んで肉体を蝕んで行く事を。
「怖いな」
 探れば、最初は拒む動きを見せる最奥の入り口も、ゆっくり触れて行けば、徐々に喘ぐ様に小さい肉の入り口は開いていく。けれどそこは女の性器のように、雄を受け入れるようにできてはいない。
 傷つけたくはないと言う桃城の思いに嘘はない。大切で大事で、触れたいと思う。けれど、雄の本能だけで触れてしまえば、腕の中の華奢な生き物は簡単に壊れてしまいそうで、桃城にしてみれば大切にしてもし足りないと言う事になる。だからリョーマの不興を買うと承知しても、桃城は慎重にせずにはいられない。そしてそんな態度が女遊びの延長線で身に付けた理性かと思えば、リョーマにしてみれば、理不尽な腹立たしさしか湧かないから、結果、桃城を挑発するという力づくが前に出る。
「んんっ……」
 グッと、白い喉元がのけ反った。
節のある長い指が、慎重に内部を掻き回して行く感触に、リョーマは吐息を朱に染め、卑怯もんと、囁いた。
 抱かれる躯にしたのは桃城だというのに、この場で怖いと言うのは、卑怯な科白だろう。
「無茶して、壊したくないんだよ」
 幼い内部に衝き入れた指に纏い付く肉の柔らかさに、桃城自身も怺える術もなく、昂まりを見せている。
「俺は…壊れ物じゃ…ない……」
 根元まで、桃城の指が埋没しているのが判る。グルリと抉るように掻き回し、肉襞を馴染ませている。けれどそれは却って、リョーマにしてみれば、焦らされているのと同じ事だ。
「判ってるよ」
 リョーマが壊れ物として扱われるのを嫌う事など百も承知しているし、実際、リョーマの内側はひどく柔軟で、靭やかなものだと、幾度も数えきれない程、幼い躯を抱いてきた桃城自が、嫌と言う程知っている事だ。
「お前の内が、熱くて爛れて、俺を締め付けてくる事なんて」
「スケベ」
 耳朶を甘噛み、淫猥に囁いて来る声に、リョーマは可笑しそうにクスクス笑う。
 そんなどうしようもない科白を吐き出しているくせに、癪になる程慎重に扱ってくるから、タチが悪い。だからリョーマの論法でいけば、悪党と言う事になる。そんな事、桃城とて十分承知して、それでも大切だから仕方ないと言うのが、桃城の弁だった。
「ぅん…それでも…俺を…ぁっ…壊れ物として、扱うくせに」
 リョーマの内部を掻き乱して行く桃城の節の有る長い指は、慣れた動きで狭い胎内を動き回っている。女ではないから、身の裡から湧き出る粘稠の淫液で濡れる事はない筈だというのに、擦られ、抉るように掻き回されれば、濡れた淫猥な音が響いている錯覚に、リョーマは囚われる。
 眩暈がする程甘く低い声。慣れた愛撫に時折無性に腹の立つ事もあるが、それでも、今は自分だけだと囁いてきた桃城の声が、脳裏というより、深奥で甦る気がした。


『今は、お前だけだよ。俺は、お前に溺れきっちまってんだからな』 


 そんな詐欺師の言葉を吐き出して、桃城はいつも簡単に内側に触れて来る。欲しい時に間違う答えを貰った事など、考えれば、ない気がした。
 だから大切で大事で、そういう感情は、逆に理性的な部分とは両極端に位置している想いで、そしてそういうものは理屈ではない。理屈ではないのだと、桃城はリョーマに低い声で、耳朶に甘噛みを施すという卑怯さで、囁いた。
 いつだって当然だというよに見抜かれて行く。欲しい言葉を欲しい時に。求める時に、間違える事のない躊躇いのなさで、差し出される腕を在処に。
 桃城はいつも間違えない。此処肝心な時は外す致命傷を持っていると言うのに、外して欲しい時に限って、確実にポイントを当て、答えを、言葉を、腕を差し出してくる。差し出された腕に、どれ程自分が心を痛めた事があるかなど、きっと桃城は知らないのだろうと、リョーマは甘い吐息を上げながら、意識の片隅で思った。


「硝子ケースにいれてないだけ、マシだと思えよ」
 桃城は、リョーマの性感帯の一部である柔らかい耳朶を甘噛み、その窪みの奥に舌を伸ばし淫猥な音を立て、リョーマの好きな情事の最中の低い声で囁いて笑った。
 桃城とて、リョーマが壊れ物ではないという程度の事は判っている。けれど知っている事と感情はまた別問題だと、こんな些細なやり取りが毎回繰り返されて行く。それさえ毎回の事すぎて、今では日常レベルになっている。それは裏を返せば、日常会話になってしまう程、こうして互いに肌を重ね合う行為を、繰り返していると言う事だ。日常レベルになった事で、見えてしまったものも、痛みを伴うものも味わった筈なのに、全てを引っ括めて倖せなのだから、大概溺れている自覚の一つや二つを通り越して、10や20、桃城とて持ち合わせていた。
「ぁぁん…ん…っ…何…ソレ…」
 硝子ケース入り。
リョーマに言わせれば、今の状況は硝子ケース入りなのと大差ない気がした。
 慎重に扱われれば扱われる程、澱んだ熱が体内に凝縮されて行くだけだというのに、そんな事にも気付かない桃城は、だから莫迦なのだと、リョーマは余裕のない姚冶な顔で、やはり可笑しそうに笑いを漏らす。
「お前…マジにそーいうの、ヤバイな」
 下から覗き込むように見上げて来る情欲に煙る濡れた眼差し。長い睫毛の先が小刻みに顫え、白皙の貌は紅潮し、肉色した舌先が、幾度となく湿らせた側から乾いて行く口唇を、頻回に舐め上げて行く。雄なら嗜虐を煽情される淫らさが、リョーマの身の裡からは滲んでいる。ましてリョーマにとって、その仕草は無自覚だから始末に終えないしタチが悪い。
「娼婦も処女も、大好きなくせに」
 背を撓わせ、細く白い喉元を綺麗にのけ反らせながら、桃城の頭を抱き込むように、リョーマは可笑しそうにクスクスと笑った。
「んん…知ってる?桃先輩…」
 大腿部から下はテーブルからはみだし、外気に曝された白い内股はガクガクと小刻みに顫えている。もう十分、焦らされるだけ焦らされている。それでも、直接的な愛撫を施されてはいない幼いリョーマ自身は、薄い翳りの中央で、既に粘稠の愛液を滴らせ、桃城の愛撫を待っている。
「堕ちた娼婦こそ、高貴だって」
 淫蕩に喘ぐ吐息で妖冶に笑い、問い掛ける。
「なんだそりゃ?」
 ゆっくり腰に絡まってくる細い下肢の感触を感じながら、桃城は深く腰を抱き込んだ。抱き込み、リョーマの内部に埋没させた指を二本に増やした。
「やぁぁ…だめぇ…桃先輩……」
 会話の続きを話す事は、できなかった。話そうと開かれたリョーマの口唇は、次には言葉ではなく、生温い喘ぎを漏らしていた。
「お前の中、嫌がってないだろ?」
 痛い程、締め付けてくる。爛れた熱さを孕む幼い胎内。
「…ク…イク…だめぇ…」
 ズルリと、一回抜かれた指。途端未練気に収縮した肉襞に、更に強い刺激が与えられ、半裸に近い白い肌が身悶え、桃城の下で甘い悲鳴を細く叫んだ。
 テーブルから投げ出されたスラリと伸びた白い下肢の内股が、リョーマの快楽を現すように、ガクガクと小刻みに震えている様がひどく淫らで、煽情的だった。
「で…ちゃう…やぁぁ…」
 嫌々と、桃城の下で緩慢に拒絶を示し、細い首が打ち振られる。その仕草は、自制心のない雄なら、たちどころに嗜虐を刺激されてしまう被虐性が全面に押し出されている。
 綺麗なものを強引に凌辱し、徹底して犯し尽くしたいと言う、雄なら誰もが肉の根底に持ち合わせている嗜虐性を引き出す被虐的なナニかが、リョーマの幼い肉体の内側には宿っている。
「リョーマ…」
「ヒァ…」
 耳朶で囁かれる低い声に、それだけでリョーマは簡単に射精感を煽られて行く。ヒクリと細い躯が桃城の下で跳ねるのに、桃城はリョーマの胎内に埋没させた二本の指をグッと根元まで埋めて掻き回すと、掠れた嬌声を上げ身悶えるリョーマを堪能し、未練なげに指を引き抜いた。
「イク……イッちゃぅ…」
 掠れた声が、開放をねだるとも、押しとどめて欲しいともとれる仕草で、桃城を見上げる。
「見たいな」
 組み敷いた幼いリョーマが自分を求め、どんな風に喘ぐのか。 今までなら、リョーマがどんな風に自己処理をしているかなど、興味の欠片も湧かなかった。けれど今は痛烈に見たいという雄の欲求が、桃城の意識の表層に顔を覗かせていた。
 テニスで発散しているとばかり思っていた幼い未成熟な躯。その躯の内側は、既に雄を咥え込み、自ら快楽に溺れる心地好さを知っている。それでも、リョーマの自己処理など、言われるまで、気付きもしなかった。


『俺に一人でさせてきた罪は、重いよ』


 リョーマが一人で欲望をどう処理しているのか、告げられれば、知りたいのは道理だろう。


「な…に…?」
 桃城の腕が力の抜けきっているリョーマの片腕を取ると、その指先に口唇を落とした。
「んゃ…ゃん…やぁ…」
 指先の先にまで感じ入ってるリョーマは、ザラリとした舌で舐め上げられると、それだけで限界を感じる。
 口唇を噛み締め嫌々と首を振れば桃城の手は、信じられない場所にリョーマを導き、情欲に紅潮していた貌は、その羞恥に咄嗟に桃城を睨み付けた。
「やだっ…!桃先輩…何すのんさッ!」
「見たいったろ?」
 必死に手を振り解こうとしているリョーマは、けれど大きい桃城の掌中に押え込まれ、昂まり、粘稠の蜜を漏らしている自身に、強引に触れさせられる恰好になっていた。
 咄嗟に閉ざそうとした下肢は、当然桃城を挟み込んでいて閉じられる筈もなく、リョーマは淫らに下肢を開いたまま、桃城の下で、自慰を強要される羽目になっていた。
「押さえてやるから」
 お前敏感すぎて、すぐイッちゃうからなと、情欲に潤みながら、自慰を強要される羞恥に、きつく睨み付けてくる薄い瞼に軽く口唇を落とすと、桃城は片手で昂まる幼い肉茎の根元を抑え込み、片手でリョーマの手を、自身に触れさせる。
「ケダモノ」
 色素の薄い空の瞳が、呆れたように桃城を見上げた。
どう抗っても、この状況では自分の不利でしかない事が判らないリョーマではなかったから、呆れて溜め息を吐き出した。
「好きだろ?お前、ケダモノ」
 クツクツ喉の奥で笑うと、桃城の普段より温度の高い口唇が、繊細に縁取られた輪郭を伝い降り、柔らかく口唇に触れた。
「っ…あんた…やっぱ…悪党でサイテー」
 んんっと、リョーマはガクンと喉を反らせ、細腰をゆっくり揺すり立てた。
「んっ…ぅぅん…んっ…ぁんん…」
 桃城に根元を押さえ付けられていると思うだけで、自慰より早く限界は訪れる。元々散々に焦らされるだけ焦らされていた躯だ。痛い程昂まっている幼い肉茎は、腰の奥の奥に凝縮された熱を持て余し、リョーマは激しく喘ぎ出した。
「ヒァ…ぁぁん…やだぁ……桃先輩…」
 桃城の下で、それも桃城の家のキッチンのテーブルの上で、自慰を強要される。今まで散々重ねた情交の中。桃城がそんな事を求めてきた事は一度とてない。
 倒錯した行為に魅せられたかのように、リョーマは桃城の体躯の下で、挑発するかのように自身を扱き、身悶えを繰り返す。
「んんっ…ぁんん…やぁん…んっ…もぉ…イッ…ちゃ…」
 先端の幼い括れから、根元へと往復を繰り返す淫らな指。
痛い程昂まっている自身は、射精感が沸点を通り越し、血を灼いているのが生々しい程だ。自らが立てている淫猥な濡れた音。桃城の下腹に腰を押しつけ、下肢と下肢を絡ませるように絡め、リョーマは嫋々に悦がり、脳乱して行く。
「出る…もぉ…あっ…ぁぁん…桃先輩…」
 華奢な薄い背が撓み、白い喉元が淫靡に桃城の眼前に曝けだされて行く。桃城は、放り出されたままになっている屹立した胸の突起をザラリと舐め上げた。
「ヒァ…やぁ…もぉ…もぉ…桃先輩…ダメェ……」
 弱い箇所を同時に刺激され、リョーマの喘ぎはもう歔り泣きに変わっている。快楽に溺れるまま淫らに乱れ、淫猥な音を響かせ、自身を愛撫しているその淫らさは、桃城の初めて眼にするリョーマの姿だった。
「桃先輩…桃先輩…桃先輩…」
 繰り返し呼ばれる名。半ば愉悦に崩壊しているリョーマの口唇から、譫言のように繰り返される桃城の名前。その声に含まれている響きは、開放の哀願だけではない事が窺えて、桃城はフト痛々しいものを感じては、リョーマの手を離させた。
「ぁぁん…やだぁ…」
 粘稠に濡れた音を立て、引き離された指に、未練が湧く。
開放されない熱が、灼け爛れて血肉の奥を奥を転がって行く。
「お前……」
 いつもそんな風に、自分を呼んでいるのかと、桃城は快楽の涙に濡れそぼっているリョーマの貌を覗き込む。
「桃先輩…」
 脱力しきった腕がねだるように、桃城に伸びた。伸ばされた指先に絡み付いている白濁とした液体を舐め取ると、桃城は力など一切入っていない下肢を胸まで屈曲させ割開くと、股間に顔を埋めた。
「だめぇぇ…桃先輩……ッッッ!」
 ピチャリと、ひどく聴覚を刺激する音を立て、桃城は幼い肉茎を咥え込んだ。瞬間、リョーマは桃城の口内で達していた。











「あっ…あぁん…桃先輩…桃…先輩…」
 ガタガタと、二人の律動によりテーブルが派手な音を立てている。
 結局リョーマが射精した時。桃城には余裕など欠片もなく、結果、桃城は己の家のキッチンのテーブルの上で、リョーマを抱く事になった。今まで付き合ってきた女とも、こんな場所で抱き合った事はない。リョーマがそう知ったら、だから特別だと、笑ってくれるだろうか?
 そんな下らない事を、桃城は意識の片隅で思った。
「んぅぅ…ぁぅぅん…」
 軋む音をたて入り込んでくる桃城の昂まりは、いつもより激しく胎内で抽送を繰り返しているようだった。
 熱く爛れ、喘ぎきっている小さい肉の入り口は、隙間一つなく、ギッチリとした肉の輪を咥え込まされているかの様で、リョーマはもうただ桃城にしがみつき、揺すられるままに揺すられているしか術はなかった。
「んっ…ぅぅん…い…ぃぃ…桃先輩…」
 薄い背が撓み、形の良い爪が桃城の背に爪を立て、朱線を這わせて行く。細腰を思う様揺さぶり立てられ、肉の奥の奥で、桃城を感じさせられる。その激情に、リョーマは不意に泣き出したくなった。
 離れたくないのだと、痛烈に思い知る気がした。綺麗に引かれていた境界線など、今では何一つの役にも立たない。もう既に、互いにそのラインを越えてしまっていると思うのは、リョーマの見当違いではないだろう。それでも、不明瞭に存在している隔絶されるライン。
 強くなりたいと思っていた。父親を超える事のできる強さを欲しいと願ってきた。けれど、除夜の鐘を聴きながら願った事は、今の今までリョーマが考えもしなかったものだった。
 アノ時、リョーマは初めて深奥を垣間見た気分で、絶望にも似た願いに、崩れてしまいそうだった。
 欲していた強さは、そんな脆弱な弱さと等分に引き換えられるものではなかった筈だというのに。けれどと、思う。離れてしまった時。自分には一体何が残るのだろう?その喪失感に、リョーマはどうしようもなく軋む痛みに、桃城に縋り付く事しかできない気がした。
「余計な事、考えてるなよ」
 桃城は細腰を抱き抱え、痩身に伸し掛かる恰好で、深々リョーマを抉っている。狭い胎内に押し込んだ昂まりに、リョーマの滑った柔襞は、拒絶も強張りもなく絡んで来る。しっとり締め付けられる感触に呻きながら、けれど桃城はリョーマの意識が不意に此処にない事を感じ取って、尚深く自身を押し込んだ。
「ヒァ…」
「今は、俺の事だけ考えてろよ」
 細い躯を抱き竦め、耳朶を甘噛み囁くと、リョーマはのけ反って官能を顕して行く。
「ぅっ…ん…っっ…」
 ガクガクと揺すられる躯。肉の奥で絶対的質量で圧迫を増す桃城自身に、内側から限界まで押し開かれて行く感触に、リョーマは歔り啼く事を余儀なくされる。
 最初は痛みしかない行為だった筈のセックスに、いつから快感を得ただろうか?快感を教えられ、肌を重ねる意味を思い知らされ、今ではもう手放せなくなっている。
「ぁんっ…ぁっ…んんっ…もぉ…もぉ…やっ…」
 桃城の下腹に擦られ、リョーマ自身も二度目の限界を訴えている。それに気付いていた桃城は、幼い肉茎の根元を押さえ付けてしまう。
「ヒィ…やぁぁんっ…ッッ」
「未だ、もう少し」
 呻くように告げると、リョーマの胎内に埋没させた自身を激しく衝き動かして行く。グチュリとした卑猥な音をさせ、抜き差しを繰り返されるその過ぎる快感に、リョーマは嫌々と頭を振り乱し、桃城の眼前に悦楽に耽溺した羞恥の貌を、曝け出して行く。
 激しく身悶え、そんな中。桃城がハッとする程、一瞬だけ可憐な少女のような放心の態を覗かせ、そしてまた思い出した様に愉悦に飲み込まれる貌を繰り返す。生々しい嫋々の喘ぎに、徐々に細くうつつなく歔り啼く嬌声に、桃城自身ももう限界だった。
「んくっ…くぅぅん…ぁぁん…やぁぁぁんっ…」
 グッと腰から持ち上げられ、堅いテーブルの上で刺し貫かれ、律動を繰り返される。テーブルが悲鳴を上げるかのように、軋んだ音を響かせる。
「リョーマ……」
「桃先輩…もぉ…だめぇ…」
 桃城の背に、その肉に、思い切り爪を立てると、リョーマは引き攣るような悲鳴を放ち、桃城は肉茎から手を離した。
「ぁぁんっ……ッッッ!」
 グッと、薄く細い背が反り返り、愉悦に崩壊する瞬間を桃城の前に曝すと、絞られて行く媚肉の感触に、桃城も限界を訴え、狭い胎内で射精を果たした。