倖せなんて言う言葉は、案外簡単に極単純に、
目の前に転がっているのだと、今更気付いた。 
問題なのは、転がっている事に、気付くか気付かないかだ。
簡単なようで望む難しさに押し潰されて、気付けない。
倖せのカタチは、とても簡単で単純で、記号にならない。
そんなものだ。         

倖せの定義、それはとても簡単な言葉で足りる。
『貴方が在る』
ただそれだけ。

一つ一つ、知らなかった事を知って行くのはひどく心地好い。
石を掬い上げて行く作業に似て、貴方の一つ一つを掬い上げて行く。
そうして貴方と言うカタチを構成している要素を知る。
パーツを揃えるのにも似ているけれど、機械的ではない分、血と肉が通った作業は心地好くて、時折切ない。
それでも、知りたいと、願うのだ、貴方を。触れたいと、望むのだ、貴方に。
掬い上げて、構成する要素を集めて貴方を知って。
貴方の癖、貴方の好み。距離の近さに、感謝する。
触れて初めて見えてくるナニかは必ず在るのだと、教えられている気がして。

倖せは、感じるゆとりに似ている。
ダレかの倖せを願う程、自分がダレかに巡り会えるとは思わなかった。

貴方の笑顔を視る事が、これ程満ちた倖せを得られるとは、思わなかった。

倖せの定義なんて、そんな些細な事。
貴方の笑顔
貴方の癖
       
知らなかった貴方を知って、倖せを願う自分に倖せを感じる。
倖せの定義なんて、そんな簡単なものの筈だ。

難しい数式など必要はないのだと、気付かせてくれる。
      
触れて初めて得られる願い。
倖せなんて、とても単純。
望む事の難しさに気付いて、足許を見定めていれば。


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