3.20数年越しのご対面
 滝川からは函館線で旭川もしくは札幌方面、根室線で富良野方面と3通りのルートが選択できる。しかし根室線は
札幌から帯広方面の特急がすべて石勝線経由になったこともあり、ここを起点とする列車自体が少なくなってしまった。
そして旭川方面は、ここ滝川を境に普通列車の本数が極端に減ってしまう。特急は30分に1本走っているが、18きっぷ
なので、そうおいそれと乗るわけにはいかない。つまり先の2方面は、普通列車の発車時刻が数時間後となってしまう。
そうなると必然的に札幌へ戻る選択肢しか残らない。滝川駅は自動改札化されているが、それ以外は古いタイプの
いかにも「国鉄の駅」という感じがする。

 跨線橋を渡りホームで電車待ちしていると、これから乗車する岩見沢行きの普通列車が入線してきた。そこへやって
きたのはまさしく711系!1967(昭和42)年北海道初の国鉄電車、そして国鉄初の交流電車として登場した。今でこそ
交流電車は東北・九州でよく見られるが、20年ほど前までは711系とこれを元に登場した781系(特急形)しかなかった。
小学生の頃「国鉄電車大百科」なる本を見て、以来鉄道少年の憧れの存在となっていた。それが20数年経ってようやく
実物にお目にかかったわけだ。


大きな2つのヘッドライトが特徴の711系、2扉が祟って札幌周辺ではあまり見かけなくなった。
下は781系の特急ライラック。いずれも数少ない”国鉄”交流電車として現在も活躍する。

 滝川から南へ40分ほどで岩見沢に到着した。この駅は残念ながら2000年12月に火災で駅舎が焼失している。しかし
プレハブ造りの仮駅舎ながら立派に自動改札が鎮座している。札幌近郊は思ったより自動改札化が進んでいる
ようだ。ここからの普通列車の接続は少し悪い。もともと滝川〜岩見沢間の普通列車が少ないうえ、特急との接続を
第一にしているようだ。しかしそれ以上に鉄道の利用者が少ないのだろう。25分待って、ようやく札幌行きの普通列車
に乗り込んだ。さらに40分かかって札幌に戻ってきた。時計は12時になろうとしていた。


4.ちょっとだけ札幌観光気分
 札幌に戻って時間的にお昼ごはん…の前に、寝る場所つまり泊まる場所を確保しなくてはならない。経験上5月連休
などの最混雑期でなければ、当日でもビジネスホテルなら必ず取れることがわかっている。こういうときに必ず世話に
なっている(昔でいう)旅行センター、JR北海道の場合「ツインクルプラザ」に入って宿泊を申し込んでみた。すると
札幌駅前のワシントンホテルが空いているという。朝食は付かないが、7000円台なら妥当なところか。しかし何よりも
横になって寝られればどこでも、という気持ちが強い。そう、この時点で54時間あまり横になっていないのだ。早々に
手続きを済まして駅前に出た。

 さてこんどこそ腹ごしらえといきたい。せっかくの北海道だからおいしいものをたらふく食べてみたい。しかしあまり
胃が大きいほうではないので、昼からビールとジンギスカンというわけにはいかない。そうなると札幌ということで
ラーメンに結びつく。正直なところどこの店でもいいのだが、何せ初めての場所なので、ガイドブックを頼りに探すしか
ない。札幌駅から南へ10分ほど歩いたところにその店はあった。「味の時計台駅前店」有名人が来店した写真が店の
外に貼られている、いかにも有名店というのがわかる。そういう店は正直言ってあまり好きではないのだが、とにかく
腹が減っていたので、混雑を覚悟で入ってみる。中に入るとカウンター席があって一人でも入りやすい。こういうのが
一人旅には不可欠である。「ねぎチャーシュー」を注文し、混雑しているせいか20分ほどかかって目の前に運ばれて
きた。味はなかなかいい。こういっては難だが、さすがただの有名店ではなさそうだ。

 店を出て散歩がてら時計台の前に行ってみる。日曜日かつ夏休み最後の日(北海道ではとっくに終わっているが)
ということもあるのか、少し人が多い。道路を挟んだビルの前では小学生が時計台の写生をしている。

こんな写真になってしまったが、時計台の周りは木々に囲まれているので、
引いた絵がなかなか撮れない。撮影者泣かせである。

 時計台の撮影もそこそこに、そこから近い大通公園に向かう。これも日曜日ということもあり、多くの人でにぎわって
いる。色とりどりの花が公園の中心を示すかのように咲き誇っている。大通公園といえば雪祭りで有名だが、短い夏の
大通公園もなかなかオツなものだ。


大通公園の写真で定番の噴水とテレビ塔。(本来は下の写真の左側から撮る)
見ての通り、残念ながらあまり天候には恵まれなかった。

 大通公園から地下鉄に潜ってみた。3つの線がすべて集まっているので、どれに乗ろうか迷ってしまう。苦慮の末、
東西線に乗ってみることにした。長い間営団東西線の沿線住民だったので、「東西線」という名前に小さい頃から
親しみを感じていた。東西線はゴムタイヤで走る案内軌条鉄道である。今でこそ珍しくもないが、20年ほど前までは
ゴムタイヤで走ることが非常に珍しかった。やはりこれも鉄道少年の憧れの存在だった。動き出してみると、細かい
揺れが目立つものの、乗り心地はなかなかのものである。15分ほどで西側の終点宮の沢に到着した。ここから手稲山
や小樽方面のバスに乗り換えられるが、せっかくだからこの東西線を乗りつぶしておこうと、同じ道をまた引き返す。
先ほど乗車してきた大通駅を通り過ぎて、宮の沢から34分で東側の終点新さっぽろに着いた。ここは千歳線新札幌駅
との乗換駅であるが、JRと市営地下鉄では駅名の表記が違う。ここから再び18きっぷの旅に戻った。


札幌観光もう終了?日本海を望む石狩湾へ