ところだった。新潟まではあと50分以上掛かる。外はまだ真っ暗で景色を楽しむことはできない。しかし一度起きて しまうと、なかなか寝られない。時刻表を開いて通過する駅と見比べながらヒマをつぶした。車内はまだ大半の客が 眠っている。 4時55分新潟に到着。ここで向きを変えて白新線経由で村上に向かう。しかし私は新潟でこの列車から下車した。 荷物をベンチに置いて、改札を出て駅前を少し歩いた。たどり着いた先は、以前(2001年)泊まったホテルの真下に あるコンビニである。ここで朝食を仕入れて、新潟駅に戻った。10分ほど荷物を置きっぱなしにしたが、何事もなく 元の通りに置かれていた。しかしホームには既に次に乗る列車(長岡行き)が到着している。すぐさま荷物を持って 座席を確保した。 実はそのまま「えちご」に乗っておけば、終点村上から酒田行き列車で更に北を目指すことができた。しかし白新線 は2001年に乗りつぶしており、同じコースをたどるのは面白くない。時刻表で検討した結果、一度新津まで戻り、 そこから羽越線の酒田行きに乗って追いかけることにした。文章で書いてもよく理解できないと思うので、下に簡略化 したルート図を載せておく。 待つことになる。それに新津駅があまり大きくないのを知っていたので、確実に食料が確保できる新潟まで行って しまった方が時間稼ぎにもなる。これができるのは(普通列車)乗り放題の18きっぷだからこそである。 新潟から20分足らずで新津に到着、駅舎には売店があるだけで、駅前にコンビニは見当たらなかった。ホームで 缶コーヒーを買って、まだ目覚めきらない頭に刺激を与えた。目が冴えてきたところでコンビニでスポーツ新聞を 買い忘れたことに気付いた。売店ではまだ準備中だったが、時間もあまりないので、頼んで新聞を出してもらった。 タバコを1本吸い終わったところで、目的の列車が入線してきた。 酒田行き列車は2両編成の新型ディーゼルカー(キハ110)だ。実は羽越線自体は全線電化つまり電車が走れる のだが、村上から先の普通列車はすべて気動車となっている。これは村上の北方(酒田寄り)で直流から交流に 切り換わっているので、電車は交直両用でなければ通過することができない。しかし気動車ならば電化方式は 関係ないので、村上以北は価格の高い交直流電車ではなく気動車で運行している。ちなみに「えちご」からの乗り 継ぎも気動車となるが、こちらは国鉄時代の古い車両(キハ47)を使用している。 6時16分新津駅を静かに離れ、水田の中を駆け抜ける車窓を眺めながら、新潟で入手した朝食にありついた。 そうこうしているうちに1時間ちょっとで村上に到着した。先ほどの理由から、ここからの列車は本数が激減する。
「笹川流れ」と呼ばれる景勝地で、遊覧船から見る陸地の景色が最大の見所である。そしてその玄関口にあたる
桑川駅の前には、「夕日会館」というレストランやみやげ物屋が入った建物がある。ここは西向きに海岸が広がる
ので、日本海に沈む夕日が望めるというのが由来のようだ。今回は朝方なので残念ながら夕日を望むことは無理
だが、順光になる朝方の景色もまた絶景である。
出て、できる限り海に近い場所で撮影した(上写真)。同じことを考える人はやはりいるようで、2人ほど同じく駅の外 まで出て撮影していた。絶景が続く中、列車は県境を越えて山形県に入っていった。県は変わっても相変わらず 日本海の絶景は続く。 小波渡(こばと)駅を過ぎると、日本海に別れを告げて庄内平野を突き進む。海が見えなくなった代わりに、黄金色 に光る稲穂のじゅうたんが車窓に広がっていた。水田自体は数多い旅で何度となく見ているが、これほど広いかつ 黄色く染まった田んぼを見たのは、おそらく初めてであろう。時計が9時に近づいた頃、列車は余目(あまるめ)に 到着し、ここで新津からの羽越線の旅が終わった。 |