10.選択誤る
2002年8月19日(月)
 いつもの習慣か、それとも早く床に入ったせいか、6時に目が覚めた。1時間ほどベッドの中でテレビを見た後、
シャワーを浴びて(ここ数年でようやくホテルの浴室に慣れた)支度を済ませた。8時前にチェックアウトして、駅
構内のコンビニで朝食用のおにぎりなどを買い込んで改札に向かった。有人改札で18きっぷの2日目の欄に
日付スタンプを押してもらって、今日1日の「足」を確保した。発車案内表示を見ると、「5時30分頃、栗東〜守山
間で発生した貨物列車事故の影響で列車に遅れが出ています」とのこと。この案内を見る限り電車自体は動いて
いることがわかる。それなら大丈夫だとホームに上がった。

 ホーム上には新快速電車が停車している。しかし朝のラッシュ時間帯だけに、とても座れそうにない。時刻表を
見ると、この新快速は10分ほど遅れているらしい。この後に快速電車がやって来るようなので、少し待つことに
した。新快速が発車してわずか2,3分で快速が入線した。こちらは空席が目立ち、難なく座席を確保できた。
しかしこの快速もなかなか発車しない。5分以上経ってようやく大阪駅のホームから離れた。

 隣の新大阪を出ると、遅れを取り戻すかのように飛ばしまくる。(元々速いのだが)20分ほどで、新快速の停車
駅でもある高槻に到着した。ここで一つの選択を迫られた。

1.ただでさえ遅れているので、新快速に乗り換えて先を急ぐ。ただし間違いなく座れない。
2.このまま快速でゆっくり座って行く。しかし予定が狂う可能性がある。

 結局は荷物が重いという理由もあり、後者を選んだ。遅れているとはいえ、このまま普通に進めば、予定通りと
なると踏んだ。語源として有名な天王山を左手に見ながら、京都に近づいていった。ところが京都まであとわずか
というところで、電車が動かなくなってしまった。どうやら信号待ちらしい。停まっている横を後続の新快速が追い
抜いていった。(複々線区間なので、快速と新快速は別の線路を走っている)しまった!と思ったが、もう遅い。
10分ほど経ってようやく動き出した。

 京都に到着した時点で、(定刻より)もう20分以上遅れている。しかしここまで来たら、そのまま快速で乗り通して
しまおうと、新快速には乗り換えなかった。その後は順調に進み、草津線との乗換駅である草津に到着しようと
していた。ところがまたしても信号待ちで停まってしまった。15分ほど停車していたが、全く動く様子がない。せめて
状況を掴もうと列車無線を聞きに、最後部の乗務員室に向かった。すると後続の電車がすぐ後ろに停まっているのが
見えた(下写真)。これならしかたがないと諦め、座席に戻った。

後続の列車がわずか100mほどに迫ってきている。右隣は新快速電車の線路。
東海道線 南草津〜草津間にて 京都方面を望む

 結局20分ほどその場に停車して、草津駅に到着した。ここで草津線に乗り換えるので、重い荷物を持って下車
した。乗り換えるのは予定通りだが、本来乗り換える列車はとっくに発車してしまっている。次の列車はそれから
1時間後なので、この時点から40分も待たなくてはならない。”台風一過”ということなのだろうか、気温がかなり
高くなってきているのがわかる。これではますます待つのも大変になる。そこでふと、まだ新聞を買っていない
ことを思い出した。売店でスポーツ新聞を買い、ホームで缶コーヒーを飲みながら、列車待ちの時間を潰した。


11.黒いうどん
 草津線電車は、まだダイヤが乱れている東海道線列車の到着を待って、10分遅れで草津駅を発車した。この
草津線は、本来の東海道(現・国道1号線)に近いルートで、関西線の柘植(つげ、三重県)に向かう路線である。
近江盆地の南部を東へ進路を取りながら、途中甲賀忍者の里である甲南町を通り、40分ほどで柘植に到着
した。この時点でも10分遅れは取り戻しておらず、関西線の列車は定刻ならもう発車してしまっている。しかし
同じホームの反対側に亀山行きが停車していた。1時間に1本しか列車がないので、便宜を図って待っていた
のだろう。

 3分遅れで発車した関西線列車は、柘植を出るともう山の中に入ってしまった。「加太越え」と呼ばれる急勾配に
挑むのだが、電車並みの性能を持つ新型ディーゼルカーは、難なく登っていく。それでも車窓に高くそびえる
山は、普段全く山を見られない私にとって、心安らぐ思いがした。わずか22分で亀山に到着した。ここからは
JR東海の路線となる。このまま真直ぐ名古屋に抜けることもできるが、ある目的があって、津方面の列車に
乗り換えた。

 津に到着すると一度改札を出て、近鉄線の切符を買って自動改札を通った。それから宇治山田(三重県
伊勢市、伊勢神宮の最寄り駅)行きの電車に乗って、一路伊勢市駅を目指した。伊勢市駅ならJRでも行く
ことも可能だが、未乗の近鉄山田線(伊勢中川〜宇治山田)を乗りつぶすために、わざわざ近鉄線に乗り換えた
のである。

 伊勢市駅に到着すると、もう13時を回っている。昼食にしようと、駅前のうどん屋に入った。そう、伊勢うどん
食べにここまで来たのである。噂通りの黒い汁に迎えられ、空腹を一気に満たした。

見ての通り真っ黒い汁。しかし見た目ほどしょっぱくない。
怪しまれないように撮影したので、ピンボケになってしまった。

 満腹になったところで、近鉄線を更に先へ進む。宇治山田を過ぎて少し先の鳥羽に向かった。本当は終点
である賢島を目指したかったが、時間的に無理があったので、最初から予定していなかった。また予定なら鳥羽
から海を渡って対岸の愛知県渥美半島の先端、伊良湖(いらご)岬経由で豊橋に抜けるつもりだった。しかし
実質1時間足止めを食ったのと、台風が過ぎたばかりなので、船がまともに動くかどうかわからなかったので、
鳥羽で折り返すことになってしまった。




空腹も満たされ、ようやく帰路へ