作:しにを
※ 本作品は「Moon Gather」の裏姫・嬢祭での水冬さんの参加作品:「下克上!?」と 「夢でした……」を見て、思いついたお話です。 ぶっちゃけた話、水冬さんが絵として創作なされたものを拙い文章でなぞったものです。 まだ両作品に触れていない方は、まずはそちらをご覧になってからお読み下さい。 本作品の掲載を快諾頂き、水冬さんありがとうございます。本作品を捧げます。
ぴちゃぴちゃという仔猫がミルクを舐めるような、小さな湿りを帯びた音。 ときおり聞こえる何かを飲み下す音と共に、それは続いていた。 「もういいですよ。ずいぶんと、うまくなりましたね」 ショートカットの少女が、長い髪の年上の少女に言葉を掛ける。 年上の少女は顔を上げる。 口元と顎のほうまで濡れている。 ショートカットの少女が手を伸ばし頭を撫ぜてやると、年上の少女は嬉しそうな顔で笑 みを浮かべる。 ご褒美とでも言うように少女……、瀬尾晶は、自分の股間に顔を埋めて熱心に秘裂とそ の上の小さな突起を舐めて奉仕していた少女……、遠野秋葉の頭を撫ぜ髪を梳く。 二人共服を脱ぎ捨て肌を露わにしている。 秋葉は一糸も纏わぬ姿。晶はガーターベルトとストッキングのみという姿。 晶は目を細め、次の命令をじっと待つ秋葉に興がのったと言うように声を掛ける。 「ねえ、わたしのここ舐めるの好きですか?」 秋葉は頷く。肯定。 「後輩の言いなりになってこんな事まで、本当に平気は嫌じゃないですか?」 秋葉は激しく顔を左右に振る。否定。 「でも恥かしくは無いんですか、遠野先輩、こんなあさましい真似までして?」 秋葉は頷く。肯定。 「そうなんだ。そうですよね、遠野先輩、こんなので濡れちゃう変態ですものね」 秋葉は一瞬の逡巡の後、頷く。肯定。 「じゃあ、わたしの事どれくらい好き?」 秋葉は困った顔をする。 言葉無しでは答えられない質問に。 しかし答えねばならない。 秋葉の困った様子を、意地悪い笑みを浮かべて晶は見下ろす。 部屋で二人きりになった時に、秋葉は晶にこう命じられていた。 「わたしが許すまで、口を利いちゃダメですよ。言いつけを守れないなら……」 言葉なくして想いを伝える方法など幾らでもあるが、咄嗟で浮かばないらしい。 わざとらしく晶は溜息をつくと立ち上がり背を向ける素振りをする。 「なんだ、遠野先輩、わたしの事嫌いだったんだ。じゃあ、もう止め……」 「違うわ。私、ああっ」 思わず声に出してしまい、はっとして晶を上目遣いで見る秋葉。 沈黙。 二人は視線を合わせたまま、言葉は無かった。 晶は笑みを浮かべていた。目だけは笑っていない笑みを。 秋葉は凍りついたように晶を上目遣いで見ている。 「言いつけを守れなかったんですね、……仕方ないですよね、お仕置きしないと。 何がいいですか、せめて選ばせてあげますよ」 秋葉は少し考えて四つん這いになると後ろを向き、足元でうずくまると白いお尻を高く 上げる。 細身だが形の良い丸みを帯びたお尻、既に濡れている秘処や後ろのすぼまりまでがあか らさまに晶の目に晒される。 「ふうん、叩かれたいんですね。いいですよ。 遠野先輩自らお望みなら、後輩として従わないといけませんものね でも、前みたいによがり狂ってお漏らしするような真似をしたら、二度と椅子に座れな いほど打ち据えてあげますからね」 晶は手を高く上げる。 ゆっくりとした動作で、そして振り上げたまま少し動きを止める。 何も起こらない空白に秋葉が不安になる程度の間。 そして掌が打ち下ろされた。 パーーーンッッッ。 高い音が響く。 一度だけではない。 二度、三度、いやそれ以上に絶え間なく続く。 「ああ、痛い、ううんーーーーッッッ」 最初は唇を噛み締め、息すら洩らさなかった秋葉であるが、両の手の指では足らなくな る回数を経て、堪らず悲鳴を上げる。 一度堰を切ると止まらない。 晶の振り上げた手が下ろされる都度、呼応するように秋葉は泣き叫ぶ。 白い肌が無惨に赤い痕を重ねていく。 「疲れちゃった。 遠野先輩を楽しませる為にこんなに手を痛くして頑張るなんて、健気で良い後輩を持ち ましたね。 あらあら、こんなにびちゃびちゃにして。 お仕置きなのにこんなに悦ぶなんて、血の繋がりは無いとは言ってもお兄様とあさまし い真似をする雌犬はこれだから……」 侮蔑の言葉と共に、無造作に晶は秋葉の股間につま先を突っ込む。 ぐちゅりとストッキングが湿りを帯びる。 「あ……んんっ」 悲鳴でありながらどこかその秋葉の声には甘美な響きが混ざっている。 顔は伏せて見えないが、きっと愉悦を浮かべているのだろう。 晶は楽しそうな笑みを浮かべて、足を蠢かす。 一しきり足で秋葉を嬲ると晶は次の指示をした。 「起きて、遠野先輩」 秋葉が起き上がり晶の方を向く。 涙に濡れた秋葉の顔。 そこに晶の顔が寄せられる。 秋葉を嘲ったその口が近づき、目尻に舌を伸ばす。 ぺろりと雫を舐め取る。 「美味しい……」 苦痛のあまり秋葉が流した涙を、晶は甘露の如く味わう。 それで終わりではなく、今度は優しく秋葉に口づけする。 唇が合わされたまま動きが止まる。 口内では舌が差し交わされているのか、くちゅくちゅと音が洩れる。 長い時間そうしていた後、晶は離れ、今度は秋葉の首筋に胸に唇を這わせる。 「薄い、小さな胸。わたしより小さいなんて……。でも可愛い……」 「胸は……、ああっっ」 羞恥と愉悦の表情。 そんな秋葉にくすくすと笑いながら、つんと勃ったピンク色の乳首を晶は甘噛みする。 新たな嬌声が洩れる。 いつから、そう、いつからこんな関係になっただろうか。 何日前、何週間前、何ヶ月前? 晶も秋葉も、もはや憶えてはいない。 最初は今とは逆の関係だった。 秋葉が戯れに晶の体を弄び、そのお遊びで互いが得た快感、相性の良さ故に二人の秘め やかで淫靡なる関係は始まった。 秋葉が主導権を握り晶を可愛がり欲しいままにする……、そんな形で。 時折、二人だけになれる時間と場所を持つと、甘美なる一時を過ごすようになった。 しかし、性体験がまったくなかったこの年下の少女は天性の淫婦であった。 水を得た魚の如くこの種の行為に適応し、巧みなる性技を習わずして体得し、いつしか 秋葉を遥かに凌駕するに到った。 年下の少女の技巧に秋葉は溺れていき、いつの間にか主導権は移っていた。 くすくすと笑う晶の前で痴態を晒し、わざと手を止めようとする晶に必死に続きを懇願 する、そんな関係にいつしか変貌を遂げていた。 そして、幾夜かを経た後に、秋葉と晶の内部に何かが芽生え育っていた。 苛められ、従順に命令を受け入れ、苦痛と恥辱に陶酔する被虐の性が秋葉に。 言葉で、手で、口で年上の少女を翻弄し、嬲り、涙を流させる事に対する悦びが晶に。 昼に学校で寮で顔を合わせる時は、今までの関係と変わらない。 強く怖く他を圧倒する先輩である秋葉と、小動物のような可愛い後輩である晶の上下関 係はそのままである。 しかし夜になると、二人だけの逢瀬を迎えると、秘めやかな逆転の時を迎える。 「ふふっ、次はどう可愛がってあげようかな」 再び椅子に座り、跪く秋葉に舌での奉仕をさせている。 長い秋葉の髪を手に取り愛撫するように梳き、舌の動きが弱くなるとぎゅっと引っ張り 悲鳴を上げさせる。 「いつまでも可愛がってあげますよ、わたしの可愛い遠野先輩……」
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