椅子に座ったまま、琥珀はスカートの裾を捲り上げた。 琥珀のお願いに対して承諾という形で、秋葉は琥珀の足元に跪いた。 その姿を嬉しそうに琥珀は見ている。 剥き出しになった脚、そしてその太股の奥。 琥珀は何も穿いていない。 白い太股の奥に紅の谷間が仄見える。 すでに琥珀の谷間は充血し開いていた。 とろとろと濡れた様を琥珀は隠そうとせず、秋葉に誇示していた。 腿の間に秋葉の顔が沈む。 ずっと前から興奮状態が続いていたのだろうか。 こもった濃い雌の匂いが秋葉の顔に絡みついた。 このままで琥珀の溶け込んだ空気を吸っているとくらくらと酔ってしまい そうだった。 秋葉はかまわず唇を琥珀の花弁に寄せて、そしてさらに舌を伸ばした。 くちゅ、と柔らかい秋葉の舌が、さらに弱く柔らかいびらびらとした肉片に 触れる。 秋葉は顔をさらに近づけ、舌をそよがせた。 粘つく薄く濁った琥珀の分泌液を舌ですくい、口に入れる。 再度、舌を伸ばし、秋葉は少し顔に訝しげな色を浮かべた。 僅かに違和感があった。 しかし、秋葉はためらいなく唇を押し付け、舌を伸ばした。 膣口の少し上、粘膜に舌を這わせ、唇ばかりか顎や鼻までも琥珀の愛液に塗 れさせる。 琥珀が吐息を漏らすのが聞こえる。 秋葉はその反応を確認しながら、重なり合った襞に舌を滑らせ、唇で軽く噛 んだ。 僅かに琥珀の愛液とは違った感触と匂いを感じた。 ああ、と秋葉は気がつく。 違和感の原因に。 ここは既に誰かに舐められている。 新たにこぼれ出た愛液で上塗りされているが、どこか自然に濡れた様とは異 相を呈している。 唾液の感触が残っていた。 秋葉の反応を読み取って琥珀は声を掛けた。 「誰に舐められたのかわかるかな、翡翠ちゃんかそれとも……?」 「兄さんですね」 「あたり。さすがにすぐわかるんだ」 嬉しそうに琥珀は言う。 どんな格好で、兄さんは琥珀さまのここを舐めたんだろう。 ちくりと心に痛みを感じつつも、秋葉は脳裏に琥珀に奉仕する志貴の姿を思 い浮かべた。 ここも、こうして舐めたんだろうか? 陰核を皮ごと舐め、そっと指で剥きながら舌先で唾液を塗りこめながら思う。 また、ここを舐めさせながら琥珀さまは兄さんの顔を汚したのだろうか? その下の小さな窪みを、尿道口に異臭の跡を求めて舌を使う。 ここまで舐めたのかな、兄さんは舌を伸ばして。 顔を横にして無理矢理舌を差し入れて、後ろの窄まりを舌で撫ぜ、突付く。 「え、秋葉ちゃん、急に激しくなっちゃって、んんふふっ」 琥珀が軽く悲鳴を洩らす。 息を整えながら、手を伸ばして琥珀は秋葉の頭を撫ぜた。 それでもまださっきより息を乱している。 「んん……、もういいわ。じゃあ、ご褒美」 秋葉が顔を上げると、琥珀はちょんちょんと自分の唇を指で突付いて見せた。 顎から滴る唾液と愛液とを拭いながら、秋葉は膝で立って顔を伸ばした。 「ふふ……」 琥珀は秋葉の顎に指をあてて、顔を寄せた。 秋葉はさらに前のめりの体勢になって琥珀に従う。 自分の愛液に塗れた秋葉の顔を気にする事なく、琥珀は唇を合わせた。 あたりのまえのように琥珀は秋葉と舌を絡ませあう。 琥珀の舌が秋葉の口中を探り、とろりとした唾液を送り込む。 そんな行為は慣れている。 だが、思いがけぬそれは……。 秋葉の顔に驚愕の色が浮かぶ。 琥珀の面白そうな笑みとは対照的に。 僅かな呼気と湿った音。 唇が離れる。 琥珀は喉を動かし、秋葉は唇に手をやった。 「お兄さんの味はいかがだったかしら?」 「兄さんの……」 「ええ、さっきまでどちらが志貴の事喜ばせられるか、翡翠ちゃんと勝負して いたの。 もう少しで限界だと思ったんだけど、負けちゃって。……やっぱりおしゃぶ りは悔しいけど翡翠ちゃんの方が上なのかなあ」 琥珀の言葉に、ああと心中で秋葉は頷く。 翡翠の姿を指をくわえて見ている様が少し疑問であったから。 また、兄さんを使って勝負なされたんだ。 それなら、秋葉も何度も見た事があった。 翡翠と琥珀で志貴のペニスを交互に咥え、どちらが射精に導くかのお遊び。 自分の口で精を放てばご褒美を、相手の口で耐え切れなくなったら罰を。 二人でそう宣言しながら志貴のペニスへと唇を近づける。どちらに転んでも 褒美を得て罰を受けるというある意味残酷な勝負。 あるいは、志貴に対して一定時間を耐え切れなければ罰を与えると告げて、 志貴が苦悶の色を浮かべて耐える姿を双子は楽しんでいたりもした。 秋葉も加わらせられる事もあった。 時間を告げて、それまでに射精に導かなければ二人に罰を与えると言って、 秋葉が兄の為に熱心に口戯に励み、志貴も複雑な表情ながら素直に妹の与える 快感に身を委ねて口の中に精液を溢れさせるのをうっとりと琥珀と翡翠が眺め ていたりもした。 「翡翠ちゃんは優しいから、口の中の分けてくれたんだけどね、勝負は勝負だ から、賞品として志貴は取られちゃったけど。 ずっと口の底に精液溜めて舐めてたんだけど、秋葉ちゃんが一生懸命やって くれたから、ご褒美」 精液を舌でこねまわすような双子のキス。 その名残りが今の琥珀のキスで伝播してきたのだと秋葉は納得した。 今の琥珀からのキスで注ぎ込まれた琥珀の唾液に、濃厚な精液の匂いが混じ っていた。 秋葉は兄の精液を味わうようにゆっくりと飲み込んだ。 既に秋葉はこの匂いや感触に慣れていた。 いやむしろ、好むようになっていたと言ってもよかった。 志貴への口戯を行ってから、志貴一人が受けていた双子の淫靡な遊び道具と しての扱いを、程度の差はあれども秋葉も受けるようになって、それほどの月 日が経った訳ではなかった。 道具といっても決して手の平を返したように、二人の秋葉への扱いが変わっ た訳ではなかった。 優しく接し、乱暴な真似はせず、前以上に官能的な行為に巻き込みはしたが、 決して無理はせず段階的に秋葉を慣れさせていくのは変わらなかった。 だが、それからの淫靡な時間の繰り返しの中、秋葉は様々な事を双子から受け、 また想像すらしなかった事を憶えさせられていった。 体中を隈なく舌と指とで探られ、体を弄られてそこかしこにある性感帯を見 つけ出され、開発された。 今までは見られた事も触れられた事もなかった下腹部を剥き出しにされ、ほ っそりとした腿の奥も、可愛い臍の窪みも、薄い恥毛の茂みも双子の視線に晒 された。 そして当然ながら、固く閉じた秘裂も、さらにその奥の繊細なる柔肉も余す ところ無く、そっと指で触れられ、曝け出された。 指で探られ、その刺激に慣れてきたら、今度は指が舌に変わった。 薄ピンクの粘膜を舌で舐められ、膣口をそっと守る花弁を舌で突付かれた。 そして秋葉がされた行為は全て、時間差を置いて秋葉も憶えさせられた。 翡翠の秘裂に唇を押し付け、琥珀の濡れた粘膜を舌で擦り上げる、そんな事 をいつしか秋葉は躊躇い無く行い、二人の女主人に嬌声を上げさせるに到った。 秋葉の体の中で 翡翠と琥珀の舌や指が触れていない処はなかった。 同時に、秋葉が双子の体で知らない処はなかった。 唇や胸、指や性器、不浄の部分に到るまで全て。 琥珀と翡翠の次は、志貴だった。 二人がするように、秋葉も兄の体に身をすり寄せ、舌を走らせた。 熱心に、心を込めて。 何度も秋葉は志貴のペニスを指で愛撫し、先走りも濃い精液も啜り込んだ。 鼻を突く匂いも、喉に残るいがらっぽさもべたべたとした感触もすぐに、慣 れてしまった。 自ら秘裂を指で開いて、滴らせた愛液を双子に交互に舐め取らせながら、自 分は兄のペニスに舌を這わせる。 そんな事はいつしか自然な行為と化した。 しかし志貴は、秋葉を抱き締め、優しくキスする事はあっても、決して自分 から秋葉の胸に舌を這わせたり、性器を弄ったりする事は拒んでいた。 琥珀と翡翠も決して無理強いはしなかった。 それが転換したのは、琥珀と翡翠が過度に秋葉を攻めすぎた時の事だった。 床に座り、足を広げた形で秋葉は琥珀に背後から抱きつかれ、ささやかな胸 の膨らみとぽつんと突き出た乳首を念入りに揉まれ指で刺激されていた。 覗き込むようにした琥珀と舌を絡ませあい、うなじや耳を舐められ、軽く甘 噛みされ、秋葉は吐息を洩らしていた。 そして翡翠は仰向けに猫の様に寝転がり、手で秋葉のすべすべのお腹やその 下の茂みと谷間を愛撫した。 時折手と同時に顔を近づけ、ぴちゃぴちゃと音を立てて舌を蠢かせ、溢れ出 た愛液を舐めとった。 前を見れば兄が明らかな興奮と賛美の表情で自分の顔を、恥かしく濡れ光り、 翡翠の手で広げられる性器を、見つめていた。 時間を掛けての念入りな双子の愛撫で、秋葉は何度も昇りつめた。 琥珀が乳首を摘み首筋を舐め、翡翠が包皮ごと肉芽を舌で震わせ膣口を指で なぞる度に、秋葉は何度も喉をのけぞらせ、声を洩らした。 そして、何度目かの激しい絶頂時に、琥珀と翡翠はさらにと指を蠢かせ舌を 動かした。 それが秋葉の体の抑制を超えた。 あまりの快感の大きさに、秋葉の股間から愛液以外の迸りが音を立てて流れ 出た。 快感の果ての放尿。 一瞬、絡み合った三人の動きが止まり、そして秋葉の泣き声で静の均衡が破 られた。 琥珀と翡翠は秋葉を宥めたが、秋葉は志貴を見たまま泣き続けていた。 その間も床の染みは拡大し続けた。 それが止まった時、志貴は秋葉を抱きかかえ耳元で優しく話し掛け、ようや く秋葉が泣き止むと、びしょびしょに濡れたままの腿や性器、さらにその下ま でに舌を這わせた。 秋葉の制止の声も聞かず、尿に塗れた妹の体を全て綺麗にしてしまった。 最初はまた泣きそうになっていた秋葉は、やがて息を呑み、そして熱く息を 洩らしながら、優しく自分の肌に触れている志貴を熱っぽい瞳で見つめ続けた。 それ以来、志貴と秋葉の中の禁忌が消えたかのように、志貴は秋葉の体に触 れる事を自分に許した。 志貴にしかわからない心の変化ゆえに。 秋葉も、兄のあらゆる行為を嫌がる事無く受け入れた。 秋葉の後ろから体を重ねて、あるかなしかの胸をゆっくりと揉みほぐし、乳 首を転がす様に刺激したり。 琥珀と翡翠の手でおもらしをしたように濡らした秘裂と腿の愛液を全部舐め 取り、そのまま顔を埋めて秋葉を乱れさせたり。 恥かしがる秋葉の排泄器官にまで指を這わせ舌を走らせ、秋葉に悦びの声を 上げさせたり。 しかし、最後の一戦だけは絶対に超えようとはしなかった。 何度も実の兄と体を重ね、互いに体のほぼ全てを知りつつも、秋葉はまだ処 女のままだった。 たとえどれだけ兄のペニスに触れ、どこをどうすればいちばん悦んでもらえ るのかを知り、何度も口や手や顔に精液を受け止めていたとしても。 秋葉と琥珀の戯れに気づいていたのか、まったく意識の外だったのか。 志貴の体に夢中になっていた翡翠が顔を上げた。 陶酔の表情。 「姉さん、これもいいわね」 「そう? クライマックスがないなんてつまらないと思うけど」 「でも、ビクビクして一瞬体が硬直するの。面白いわ」 「そうかなあ、やっぱり出さないと嫌だなあ、わたしは」 なにを? 秋葉は兄のペニスに眼をやり、あっと声を出す。 大きく屹立したペニスは今にも爆発しそうに膨らみ、赤黒くなっている。 そして、その根元には何かが巻きついている。 リボン? そう、リボンのようなものが根元を縛り付けていた。 「琥珀さま、あれはいったい?」 「ああ、この前はいっぱい我慢してそれでも無理やり射精させ続けさせられて 大変そうだったから、志貴にご褒美。 ああして縛っておけば、どんなに出したくても出ないでしょ」 では、あんな出すに出せない状態でペニスを大きくしたまま刺激だけを与え られているの、兄さんは? それがどんなものかは秋葉にはわからない。 しかし、長時間に渡ってのその持続が苦痛である事は容易に察せられた。 きっと、何回も強引に手と口で刺激され、射精を何度も何度もさせられ、最 後は水のような汁すら出なくなってなお、刺激を受け続けて最終的に気絶して しまった昨日とは違った苦しみが。 見れば、握り締めた手が震え、爪が肉に食い込んでいる。 それでもなお、翡翠の命じるままに舌を動かしている。 ここしばらくの琥珀と翡翠は、欲求が底なしになっていた。 定期的に二人はまるで発情期の動物のように欲望の度合いを強める。 軽度の時には志貴や秋葉をまったく必要としない。 二人で睦みあうだけで、満足する。 しかし発情期の時には、微かな狂気すら含んで見える。 どれだけ志貴と交わっても満足せず、床にこぼれた精液すら舐め、秋葉の体 を求める。 外に出て行こうと暴れる琥珀を、羽交い絞めにして、立ったまま志貴が犯す ように交わり、膣も肛門も口も精液で汚してようやくおさまった事もあった。 志貴の方が沈痛な顔で淡々と琥珀を犯し、陵辱を受ける側が歓喜に声を上げ る異様さ。 同じように翡翠を縛り上げ、ローターやディルドーで絶え間なく肉体へ刺激 を与えたまま、放置して夜を明かさせた事もあった。 床中を愛液と尿で濡らし、のた打ち回って息も絶え絶えになった翡翠が、猿 轡を取られてまず、洩らしたのが「気持ち良かった」であった。 「あれでは、兄さんが……」 「ずっとじゃ苦しいかな。でも、わたしは今日は口を挟む権利が無いの。 秋葉ちゃんがお願いしてもダメだと思うよ。翡翠ちゃんの口戯をだいぶ我慢 されてちょっと怒っちゃったから。 秋葉ちゃんがお兄さんとするの見せてくれるとか言うなら、さすがに譲って くれると思うけど」 ああ、そうだ。 そうすれば、兄さんを楽にしてあげられる。 もういい、これ以上兄だけに辛い思いをさせられない。 そう仕向けての双子の行為と知りつつ、秋葉はあえてそれに乗った。 「翡翠さま、お願いがございます」 「あら、珍しい。何?」 翡翠がゆっくりと顔を上げた。 唾液に濡れた志貴の怒張が唇からちゅぽんと姿を現す。 「兄さんが欲しいんです」 「どういう意味?」 「兄さんのペニスが欲しいんです。手で触れたり舐めたりするだけでは足りま せん。私のここに入れて、兄さんに可愛がって欲しいんです」 翡翠の表情に乏しい顔が秋葉を見た。 少し驚いた顔をしている。 近寄って来た琥珀もまた、いつもの笑みを薄れさせ、神妙と言ってもよい顔 になっている。 「いいわ。譲ってあげる」 「ありがとうございます」 翡翠が体を起こした。 志貴は動けない。 口だけが僅かに動く。 「秋葉、何を言っているんだ」 「兄さんは、秋葉のことお嫌いですか?」 「秋葉?」 「これまでも兄さんに可愛がって貰いました。わたしも兄さんに触れて何度も 悦んで頂きました。 今、琥珀さまにお願いした事は秋葉の本心です。 指や舌だけでなく、兄さんの全てが欲しいんです」 言葉以上の想いを、秋葉の声の響きと瞳から志貴は受け取った。 しかし、苦しげに首を振り拒絶の意を示す。 僅かに失望の色を秋葉は顔に走らせ、そして冷静な口調で主人に言う。 「琥珀さま、兄を押さえていて頂けませんか」 「いいわよ、間近で見たいし。ね、翡翠ちゃんも」 双子は嬉々として志貴の手足を押さえつける。 秋葉は震えながら志貴の腰を跨ぐように立った。 しゃがみながら、片手で志貴のペニスを優しく上に向ける。 ゆっくりと腰を屈める。 秋葉と志貴が触れた。 「兄さん……」 「秋葉……」 体重を一気に落とした。 みりみりと志貴が秋葉に呑み込まれていく。 最後の一線を越える行為は、さすがに秋葉に激痛をもたらす。 入り込む異物は大きく、身を引き裂かれるような感覚もあるが、秋葉は歯を 食いしばって耐えた。 体重をかけ、志貴を全て細腰の中へ呑みこんだ。 下から貫かれたまま、秋葉は荒く息を吐く。 身を捩るだけで痛みが走るが、かまわず秋葉は呻き声を洩らしながら、志貴 のペニスに結ばれたリボンを引っ張った。 そしてゆっくりとぎこちないながらも秋葉は腰を動かし始めた 「ふふふ、あんなに嫌がっていたのに、志貴ったらあんな顔しちゃって」 「秋葉もよ。初めてなのに、あんなに動いて」 「素敵よね、翡翠ちゃん。やっと……」 「ええ、見ているだけでどうにかなりそう……」 秋葉の動きがスムーズになり、それにつれて志貴の表情が何かを堪えるそれ に変わっていく。 体が時折ひくつくように動く。 「あら、そろそろ限界かしら?」 「でも、まさか、妹の中に出すような真似はしないわよね」 「そんなケダモノみたいな真似」 「秋葉にしても、そこまではしないわよね」 しかし言葉とは裏腹に、双子の声は期待の色が多分に含まれていた。 「あらあら、聞いていないみたい」 「ほんとうに、あさましいケダモノね」 「ほら、すっかり忘我の状態」 確かに、双子の声は兄妹には耳に届けど聞こえてはいなかった。 耳も眼も互いの存在でいっぱいだったから。 「秋葉、もう限界だ」 「止めろと仰るのですか、兄さん?」 「いや、このまま、秋葉の中に。 ああ、何を言ってるんだ。秋葉、でも俺は……」 志貴の顔が泣きそうに歪んだ。 対照的に秋葉の顔は優しく聖母の如き笑みを浮かべる。 「泣かないで、兄さん。わたし、嬉しいんです……。私、どんなに兄さんに叱 られても絶対にこのままでいます」 「秋葉……」 「わたし、兄さんに抱かれたかった。お嬢様方の仰る通りのあさましい、道に 外れたケダモノなんです」 「秋葉、俺もそうだ。ずっと秋葉の事が好きだった。でも、こんな……、いや、 いいんだな。秋葉、一緒に堕ちよう」 「はい、兄さん……」 「秋葉」 「私が兄さんに捧げられる最後のものです。受け取って下さい」 「ああ、秋葉の初めては俺が貰ったよ」 秋葉の体がいっそう激しく上下する。 じゅぷじゅぶという音が響く。 双子も今は黙って最後の時を見守っている。 「いくよ、秋葉、んッッ、ッッああ……」 「はい、わたしに兄さんをいっぱい……、ああああァァァァッッッ!!!」 沸騰しきった兄の愛の証を体内に受け止め、秋葉は瞬く間に絶頂に到った。 背徳感も禁忌への怖れも、羞恥も何もなかった。 ただ、肉体も心も志貴だけを感じていた。 眼も、耳も、舌も、肌にある感覚器の全てが、初めて結ばれた兄に向けられ ていた。 「私の中はどうでしたか。兄さんを少しは満足させてあげられましたか?」 「気持ち良かったよ。琥珀さまや翡翠さまよりもずっと……。 ペニスがとけるかと思った」 秋葉は嬉しそうに微笑んだ。 「あんな事言ってるよ、翡翠ちゃん」 「やっぱり血の繋がった妹の体は特別なんでしょう。初めてだし……。今度秋 葉のなかを私達も試してみましょう、姉さん」 「そうね。もう遠慮しなくていいものね」 双子のひそひそ声はまったく兄妹には届かなかった。 見詰め合ったまま心の交感を続ける。 少し動きかけて、志貴は感極まったように、言葉を洩らした。 「凄いよ、秋葉のなか」 「兄さんの、なんで、また……」 志貴の主人である翡翠や琥珀も、入れた瞬間に射精に誘う締め付けと膣内の 動きや熱さを誇っていた。 それに耐える為に、志貴は何度も歯を喰いしばり、頭のどこかが擦り切れそ うな思いをしていた。 しかし、それに比べても秋葉の中は尋常ではなかった。 初めて処女地に侵入を許したのだからきついのは当然としても、必死でしが みつくような膣内の動きや絡みつき優しく兄を迎え入れる襞については、志貴 の想像を超えていた。 一度の射精ではまったくおさまらなかった。 飲み込まれたペニスとその周辺だけでなく、腰全体が快感の海に浸りきった ようで、その甘い痺れは頭からつま先まで広がっていた。 この禁断の味を知った肉体も心も、さらに秋葉を貪ろうとして止まなかった。 大量に秋葉の中に放ったペニスは衰えず、むしろさらに固く脈打っていた。 なけなしの理性が、秋葉から離れろと空しい訴えを起こす。 すでに快楽を求め腰は自然と動いていた。 僅かな動きすら激しい快感を生み出しているのを、もう止める事は出来なか った。 それでも、志貴は抜こうとした。 崩れ落ちた秋葉の体を引き寄せて、体を反転させようとする。 その動きさえ、背筋に電気が走るほどの快感になっていた。 「兄さん?」 「今、抜いて、綺麗にしてやるから」 「え、嫌です」 「な、何を……、秋葉?」 秋葉は志貴の背に手を回し、逃さないというように力を込めていた。 足も志貴のそれに絡みつく。 「もっと、兄さんを……。それとも兄さんは秋葉の事、お嫌ですか?」 「馬鹿。……いいのか、しても。ここで止めないと歯止めが、一回じゃ止まら なくて何度もおまえの体を」 「はい。兄さんが気の済むまで何度でも、わたしが嬉しくて死んでしまうまで」 「秋葉……」 志貴の体が律動する。 秋葉が嬌声を洩らす。 「結局、あの二人が一番喜んでいるみたいね、翡翠ちゃん」 「いいじゃないですか、姉さん。あんなに幸せそう」 「うん、ここに到るまでの葛藤とか楽しかったものね。それに、これからはも っといろいろな事できるし、それもいいかな」 「さしあたっては、終わった後の秋葉の……」 「そうね、二人で舐めてあげようね。あーあ、もうあんなに脇から逆流して」 「美味しそう……」 「こんどは、あんな格好。本当にケダモノね」 「あんなに気持よさそうに……、いいつがいのペットだこと」 双子が見ている中、血の繋がりのある兄妹の交わりは何度も何度も果てる事 無く続いていた……。 「……って言うシナリオはどうですか、兄さん」 「どうですかって言われても……。 ずっと部屋にこもって机に向ってるって言うから、何をしてたかと思えば」 「最近はどうも捻りすぎの傾向にありますから、あえて王道を行ってみたので すが、お気に召さないようですね」 「これのどこが王道なのさ」 「兄を慕う妹と、妹とを愛する兄が結ばれる、なんて素敵な純愛ロマンス」 「兄と妹という時点で、既に道に迷っている気がするけど」 秋葉は気に入りませんね、という顔をして志貴を睨んだ。 「この間の翡翠が、兄さんの妹という設定の時には唖然とするほど熱を入れて らしたようでしたけど?」 「あれは……。だって、無口で兄だけを慕っている妹役って、凄かったから」 「まあ、あれには驚きました。だからこそです」 「いいけどさ。それにしても過去のシーンとか不要だろ。双子の主人に仕える 身寄りの無い兄妹が性の道具にさせられてとかで充分じゃないか。あまりに冗 長すぎるんじゃないかな」 「その背景のディテールが、激しい感情移入を生むんです。兄さんったら、文 句ばかり。私の考えたシナリオはお嫌なのですか?」 ちょっと拗ねた顔で秋葉は志貴を見る。 ふう、と軽く溜息をついて志貴は否定の仕草をする。 「嫌じゃないよ。それに秋葉がこんな事考えていたと思うと、たまらないよ」 「そうですよね、もうそんなになさって……」 「うるさいな」 「じゃあ、着替えて始めましょう。二人にはもう用意を命じてありますから」 「二人に命じた?」 「あ、いえ、琥珀お嬢様と翡翠お嬢様がお待ちです。わたしは仕事を済ませて から参りますので、兄さんは先に」 「わかった。お嬢様がたのお相手をしてくるよ」 大真面目に言葉を交わし、そして二人とも申し合わせた様に少しクスリと笑 みこぼれてしまう。 兄の姿を見送りながら、秋葉は艶然と笑った。 基本の流れはそのままだけど、アドリブは奨励されているし、琥珀も志貴も芸 達者であった。翡翠も入り込むと意外に。 「私も負けられないわね……」 秋葉はそう言うと、女主人に弄ばれ奉仕させられている兄の為に、メイド服 に着替え始めた。 《FIN》 ―――あとがき ええと、勢いだけの産物。 阿羅本さんのお書きになった『すわっぷ えー ふぉー びー』を読んで、 その後の掲示板での >秋葉は倒錯的に「兄妹で使用人をしている志貴と秋葉がつがいにさせられて >双子のお嬢様に嬲られる」とかいうシナリオを書いてくるものかとも という書き込みで頭の何処かが切れました。 もうどぷどぷと妄想があふれ出ました。 すぐに書き始めましたよ。 もっとも、最初に書き殴ったのを次の日読み返したら、あまりに酷いので、 手を加えて整合を取ろうとしたら、長さは倍になるわ、なおかつ上手くまとま らないわで、こんな出来です。 進呈しようとも思いましたが、こんなの送るのは嫌がらせみたいだし、あま りに気恥ずかしいので、自分の処へ載せました。 by しにを(2002/7/31)
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