「ライダー、来てちょうだいライダー!」

 ぱんぱんと拍手かしわでを打って桜が招聘するその名は、
紛れもなく聖杯戦争を組成する七つのピースの一角、
サーヴァント・ライダーを置いて他にない、
七人中三人の女性サーヴァントにおいて最高のプロポーションの持ち主、
 モデル並の身長、
 芸術品並の容貌、
 そして、よく熟れたスイカのような豊乳、
マスターである桜と並んでFate/stay nightの巨乳担当、
バストサイズの1cm差は宝具のEX判定すら覆す。いやマヂで、
 そんなライダーをこの場に召還すると聞き及び、私は戦慄せざるをえない。
ほとんど奇跡みたいなタイミングで桜の執拗かつ甘美な愛撫から脱出し、
セイバーを生贄にしてもう少して無事撤退できるというのに、
 今ライダーを投入されたら物理的な脱出不可能になるのはもちろん
あの巨乳がむんむん放つ妖力に今の私は耐えられるかどうか微妙なのだ。
桜との濃厚な抱き付き合いによって地ならしは済み、あるはずのない私の中の
オスは完全に目覚めている。
精神が正常でない以上、肉体が正常な刺激で花開くかも保障はなく、
従ってライダーの正常でない乳のデカさに私は正常ではない劣情をもよおして
しまうかもしれない、
コレも全部、元をただせばもう一つの巨乳のせいだ、この魔性乳め、
己の、視線を落とせばストンと通り過ぎる平坦さと相互比較して同じ血を分けな
がらなんだこの意図的なまでの不均等配分は!
と実の妹に言われない怒りをほとばしらせるのだった。
しかし、ここで話が脱線したって仕方がない、
 振り返れば、縁側に続くはずの障子に差し込む斜光、
障子紙に影を描くスラリとした長身、
 ザッと、立て付けを鳴らし、敷居を跨いで室内に足を踏み入れる。
その者は鴉のような黒装束、
鍛え抜かれたその肉体は無駄な贅肉など一切削ぎ絞られ、
心なしか衣服だけでなく肌までも黒一色で、
右腕は、長い棒のようになっていた。
そしてその顔には、漆黒の体躯から浮かび上がるように対照的な白髑髏、
 ていうか、ここまで書いたらみんなわかると思うけど、
こいつライダーじゃねえ、

 「あら、アサシンさん?」
ぬっ、と障子戸を潜り抜けてきた白髑髏を目にし、ライダーを呼んだつもりの
桜は訝しげに彼の名を呼んだ。
 「…なんだ、その残念そうな顔は?」
アサシンは桜や私ではなく、期待が外れて嘆息を漏らすディスプレイの向こう側
の郎党たちへ言い放った。ビバ・メタフィクション、
 そう、この極彩色の濡れ場に現われた無彩色の亡霊こそ、
間桐桜のサーヴァント・ライダーではなく、
桜の祖父、間桐臓硯をマスターとするサーヴァント・アサシン、
真名、ハサン・サッバーハ、
 華々しい戦場とは掛け離れた裏舞台を暗躍し、与えられた密命をひたすら
正確に、ひたむきに、従順に遂行するプロ中のプロ、
 「あ、あのアサシンさん?
私が呼んだのはライダーであって、お爺さまのサーヴァントであるアナタでは
ないんですけれど……」
 とりあえず呼び出した本人である桜がまづ、おずおずと声をかける。
おずおずなのはいいが、全裸で、半化物といえども男の目線に乳房を晒すこと
に関しては ちっともおずおずとしていない桜、
むしろ桜のこの開けっぴろげのよさの方が問題に思える。
対して私はというと羞恥心は正常だ。チラリ白髑髏と視線がかすった瞬間、
反射的に猛然と、乳房と前を手で覆う、
 「案ずるな、刺客たる者 童女の穴などに平静を欠いていては
仕事に差し支える」
とアサシン、なんかカチンと来た。
 「……魔術師殿の孫殿よ、
その問いに答えるには私の口をもってするより、自身の胸に尋ねるほうが
早かろう、
昨晩あなたのお転婆によってライダーが使い物にならなくなったゆえ、
魔術師殿の勅命によって急遽私が代打を努めることになったのではないか。
 実に、護衛なしでは他サーヴァントと遭遇したときに不安だなどと、
魔術師殿の孫煩悩のもことの他よ」
 とアサシンにしては珍しく仕事の愚痴をチラホラと、
それを聞いた桜が、
 「あぁ、あはははは……、
そういえば忘れちゃってました。ライダーってば昨日のアレのせいで
ギックリ腰になっちゃったんでしたよね」
 と照れ笑いを浮かべる。
が、こればっかりは誤魔化されようもない、
ということはナニか?この子はサーヴァントでも腰砕けになって動けなくなるよう
なハードプレイを共有体験しておいて、間もおかずにケロッとここで自慰に
及んでいたとゆーわけか?
格が違うというか次元が違うというか、とにかく末恐ろしい子だ。
 「うぅ〜ん、でもそれじゃあ困ります。
ライダーが来てくれなかったら、せっかくいい日和に恵まれた『姉さん調教計画』
の決行がいきなり頓挫しちゃうじゃないですか」
 「なかなかに批判し甲斐のありそうな作戦名であるな、
しかし悲観するには及ばぬ魔術師殿の孫殿よ、
私とてライダーの身代わりとして招聘された以上、彼女の果たすべき任務は
すべてこの手で成し遂げるの覚悟、なんなりと申し付けるがよかろう」
 「…い、いえ、気持ちは嬉しいんですけど、今日のお願い事はちょっと特殊
ですし、
二人がかりで姉さんをいぢめようにも先輩以外の男の人に身を弄ばれるのは
姉さんも可哀想ですし」
 なにより、ファンのウケが悪いしね、
当の議題である私は、精一杯に身を縮ませて肌を隠しながら二人を漫才を
端から傍観していた。
士郎から戒められたロープは既に抜け落ちて、逃げ出そうと思えばいつでも
逃げられるんだけども、ここで軽挙してもアサシンに暗殺されるだけだし、
『手に余るようなら構わぬ、討て』とか言われるの嫌だし、
 それに、今しがた気付いたんだけどこの二人の会話、案外とファインに
噛み合っていてそれがまた面白い、
 「それはまた見縊られたものだな、
たしかにあのような乳臭い小娘を相手にする趣味はないが、私を誰と心得る?
千年の昔、世界を席巻しつくした暗殺教団の長『山の翁』ぞ、
我ら千年女優ならぬ千年刺客が、その本職たる暗殺と同等に得意とすることが
何かご存知か?」
 「なんなんですか?」
 「ふむ、年のころ12〜20程の剛健な、よい働きをしそうな男児を浚ってきて
だな、女と薬をあてがいこの世の極楽を味わせた後、再び同様の快楽を報酬
に暗殺者として送り出すわけだ。
それが我々の刺客養成の常套手段だったわけだがもうお分かりだろう、
私はそういった目くるめく色事を職業として断行していた。
当然この類の手練手管は全サーヴァント中最高と賞しても過言ではあるまい、
ゆえに、直接肌に触れずとも、小娘一人違う世界に飛ばすなど朝飯前の仕事に
過ぎぬ」
 「えーっ本当ですかー!!?」
 「ふむ、さし当たっては薬を使うのはどうかな?
知っての通りマリファナの『麻』は我らアサシンの『アサ』から来ている。
若者にあてがう娼婦を順次安定供給するために、
未通女おぼこの股を潤滑に開かせる薬湯術も我らの十八番、
もっとも基本的なスモーキングタイプを始めタブレット、リキッド、ニトライト、
なんでも用意してござるぞ」
 「じゃあ、一番キッツクよく効くのをください!!」
 「ならばこの覚醒剤がオススメであるな」
 「覚醒剤ですかっ!?」
 いよいよ話がやばい方向へ進み始めてきた。
控えめにエッヘン胸を張るアサシンに、桜は目をキラキラ輝かせる。
 「うむ、大衆はコイツをただのアッパー系の違法ドラックと思っているようだが、
それぞ浅学、
 一度コイツで淫蕩の極地を垣間見たなら、もう二度と通常の性交には戻れぬ
という“いわくつき”で、
150%、200%の快楽を味わうのにはまさにうってつけの代物なのだ。
今時シャブ中毒など性交との併用でもしなければ陥る症状ではない、
 静脈注射が痛みや背徳感で抵抗をともなうならば、水に溶かして内股や
胸元に塗布するだけでもこの世のものとは思えぬ悦楽に達するだろう、
まさにキング・オブ・ドラックというべき代物だ」
 「それでお値段は?」
 「末端価格で二万円/gになります」
 「まあなんてお買い得☆」
 目前でなんか不条理な通販番組が生収録されている。
しかしコイツラ、なんで見れば見るほどここまで息がピッタリなんだろう、
気がつけばいつの間にかジャバネットタカダと市場で張り合えそうな営業トーク、
三枝さんあたりならコロッと騙せそうだ。
 「それでは、助言も済んだことだし私はこれで舞台から降りるとしよう、
側には控えているので、用件があればなんなり呼ぶがいい」
 アサシンは言い挿して、私が倒した衾を元通りに立てかけ直すと
そのまま向こうの茶の間へ消えていった。
ピッシリと衾を閉める。
ブン…、とブラウン管に帯電した静電気が散らされる音、
ルールル、ルルル、ルールル♪という真昼ならではのBGMが戸一つ隔てて
流れてきた。
『徹子の部屋』のOPだった。


           *     *     * 


 そんなこんなで、嵐が来ると見せかけて突如蝗の大群が来襲してきたような、
アサシン侵入を経て、
再びこの衛宮屋敷の空き部屋には拘束を解かれた私と、姉妹の禁断の花園
臨む気満々の桜の二人、
状況は進歩してるんだか ぬきさしならなくなってるんだか判断しがたい。
しかも、桜の手にはアサシンから渡ってきた覚醒剤がワンパケでしっかりと、
際限なく危険なモノが、底なしにヤバイ奴の手に落ちたのではなかろうか。
 「……桜、言っとくけど私はやんないからね」
 「ええっ、今更なにを言い出すんです姉さん!?」
 呆れ顔でとにかく自分の意思だけはしっかり伝えておく私、
そしていかにも意外そうな顔で驚く桜、…この娘、
 「それでもクスリはダメ、ゼッタイ、よ!」
 「でもっ、でも通常の150%、200%の快感ですよ?
そんな触れ込みを聞いたら試してみたくなるのが人情じゃないですか、
 それに、ここで使用を止めてしまったらアサシンさんの苦労はどう報われる
んですか?
日本では覚醒剤の1kg以上の所持は無期懲役なんですよ、そんな危険を
冒してまでお薬を調達してきてくれたアサシンさんの労苦を察してください!」
 「あんな半妖怪の税関突破秘話なんて興味ないわよ」
 「でもアサシンさんてば親切に5kgもおまけしてくれたんですよっ」
 「5kg!?なんだその法外な量はっ!!?」
 致死量だ!致死量!!
あの白髑髏、小説だから局所明示化した情報しか判明されないのをいいことに
メチャクチャな分量残していきやがった。
しかもそれがたった一袋に詰め込まれて、まるで米袋か!?
 「そこで姉さん、私にいい考えがあるんですが」
 「アナタの名案は大抵私にとって災害なのよ」
 「そう言わずに、まずはあの人に試用してみるのはどうかなって思ったん
ですけど」
 と、桜の指差す先にはなにが待ち構えているのか、
それは畳の上に転がる縄縛の少女だった。
染み一つないまっさらな白肌に食い込む荒縄、その戒めに血流が滞り
ロープの喰いこむ部分だけ赤黒くただれた肌のグロテスクさが、
返って興奮しませんかと桜が言っている。
ヘビと目が合ったカエルのような真っ青な顔で、私と桜を見上げるソレ、
そう、この和室には、私たち姉妹のほかにもう一人、全裸に剥かれた少女がい
たのだ。
 サーヴァント・セイバー、
 「そうか、ここにも局所明示化されずに隠匿された存在があったわね、
後編に変わってから一度も語られなかったんで、私も完全に忘れてたわ」
 それ以上に周囲の状況がめまぐるしかったしね、
と私、クックックと悪意に満ちた笑いが自然漏れ出す。
私は桜の手で既に自由の徒となったが、セイバーのほうは依然として
士郎の『強化』がガッチガチにかかった縄から脱せないでいた。
 「……凛、あなたらしからぬ悪辣な笑みなど漏らしてどうしたのです?
さあ、自由となったのなら私もこの戒めから解き放ち、貴女と同じ高みへ
私も導いてください、私ばかりがいまだ地を這う虫を強いられるのは
酷い仕打ちではありませんか」
 「ん〜……、まあ、そうするにはやぶさかじゃぁないけど……
どうしよっかなぁ〜?
セイバー、私が桜に見つかった時、衾の蔭に隠れるばっかりで私のこと助けよう
ともしなかったわよね?サーヴァントにしてはちょっと恥知らずな行動だったん
じゃないかなぁ〜?
それならもっと恥ずかしい思いをさせてあげるのもいいかなぁ〜?」
 「あれは凛がひたすら間抜けだったのではないですかっ!
……あ、いえいえウソです、アレはただ一方的に私の不徳が体現された惨状で
かつ大いに反省し、以後同様の事態が起こらぬよう全力で善処しますから
この縄を解いてください、速く!
このまま桜の慰み物にされるなど御免真っ平です!!!」
 「フン、なかなか真情の篭った反省だけどちょっと遅かったわね、
桜!媚薬の準備!!こんな忠義知らずなサーヴァントなど実験台にてしまい
なさい」
 「イエス!マイシスター!!」
 私の了承のもと、さっそく超法規的質量の麻薬を洗面器にドボドボ落とす
マイプティスール、いや、だから致死量だって、
しかし気になることがある、そのヤク注ぎ込んでる容器はどっから持ってきた?
と目を凝らしてみると、見覚えのあるその洗面器、
 「それは、私がさっき用を足した洗面器じゃないのーー!!?」
 そう、この部屋に転がっている容器といえば他になにがあるだろう、それは
士郎の陰湿かつ巧妙な罠によって満たされた、その、私の流した不浄だった。
その中に、もう大量の薬物が溶け込んでもう壮絶な臭気を漂わせつつある。
 「ええ、コレ姉さんのおしっこなんですか!?」
 白い粉を半分近くパケから搾り出したところで、桜は洗面器の中身と羞恥に
染まる私の顔を交互に見比べた。
そしておもむろに――――――――、
 「なにするの桜っ!?」
 「飲むんです!姉さんの聖水一滴も無駄にできません!!」
 「やめなさい致死量なのよー!!」


           *     *     *


 一方そのころ間桐邸では、
桜との度重なる濃厚な逢瀬(強制)によってプチヘルニアとなったライダーが、
マスターのベットで養生することを許されて、腰に氷嚢を当てながらうつぶせに
臥せっていた。
本来ならばこのような失態、彼女のサーヴァントとしての使命感が晒すことを
許容しないのだろうが、いかんせん腰に至る痛みは電流、
過度に酷使されて蓄積した構造的疲労はライダーの四肢の力を奪い去り、
はばかりに行くにすら慎二の介護を頼まなければならない始末、
そんなわけで今日は全面オフと相成ったライダーであったが、
夜毎自身とそのマスターの汗を吸い込むベットに顔を埋めながら、それでも、
 「……桜が心配です」
 とポツリ漏らした。
それを枕元で文藝春秋を流し読みしていた慎二が聞きつけて、
 「ナニを言ってんだい?桜には今日一日あの陰気なおじさんが付いてるから
余程のことがない限り大丈夫だろ?」
ライダーの不安を払拭せんとばかりに爽快に笑う慎二であった。
しかし、ライダーは、
 「いえ、そういうことではなく………」
 至極不安げに、
 「私の預かり知らぬところで、桜がとてつもないコトをしでかしはしないかと…」
 「……ああ」
 慎二は読みかけの文藝春秋をバタリ閉じると、細字を追って疲労した眼を
いたわるがごとく眉間をつまんで、
 「それはありうるね」
と言った。


            *     *     *


 そんな二人の懸念が的中したのかしなかったのか、
ここ衛宮屋敷では、私遠坂凛をも巻き込んだ錚々たる爛漫の宴が
たけなわで盛況で絶好調だった。
縛られたセイバーを私と桜が挟み、両面からキスと愛撫の絨毯爆撃を
降らせる。
こうなれば私もヤケだ。
このまま桜と張り合って、セイバーを天国に生かせて上げようじゃない、
 「ああっ!!?ん…止めてください凛、…桜、後生です、…止めて…」
 サンドイッチの具になったサイバーは拘束はそのままにしてあるので
逃げることあたわず。
桜のオッパイはセイバーの右上腕に、私のオッパイは左上腕に、
それぞれ一部の隙間もないくらい密着して、柔肉は筋肉に、筋肉は柔肉に、
押し合いへし合い蠢動する。
もちろん私のふくらみは、右側の桜とは張りも柔らかさもボリュームも比べるべく
もない、だからせめてやる気だけは負けないように力一杯押し付けるから、
その勢いで何度も何度も、セイバーの顔に唇がキツツキみたいに触れた。
私にはこういうことに技巧がないから、ただひたすら情熱の赴くままに
人がエロいと呼ぶことを反復していた。
 対して桜のほうは垢抜けている、そのただひたすら実用するために神から
与えられたような巨乳で激しくセイバーの腕を扱きながら、自身の悪戯な手は
別の生き物のように、相手のもっとも敏感な部分にまでくだり、
意地悪にまさぐる。
 「はんっ…や…止めてください、そんな部分は汚らわしい……」
 硬く閉ざそうとする ほと も、上の口と同じように濡れそぼり、甘い吐息を
漏らしている。
桜の技は巧妙で、セイバーの女壷に入り込む様はまるで泥に潜るウナギ、
ヌルヌル、ビチビチと膣内で暴れ周り、セイバーは当然その刺激に耐え切れず
に跳ね上がろうとするが、四肢に縄を架けられているこの状態では、
それも無理、
暴れても、もがいても、もうセイバーは完全な私たち姉妹のオモチャだった。
 華奢な体にじっとりと汗が浮かび上がって、肩口などに舌を這わせると
酸味が利いたセイバーのお肉は美味しい、
 「……あはっ、おしっこの味ですね」
 反対側で同じようなことをしていた桜が感想を漏らした。
そんなこと仄めかしているのを見ると、さっきの洗面器の件をまだ根に持ってる
らしい、ヤバ目の薬物が大量に混じった尿を
「姉さんのおしっこは私が全部飲みますー!!」などと一気を図ったため、
慌ててアサシンに処分させたのが無念でならなかったようだ。
今ごろあの恥と危険がごった煮なったパンドラボックスは、アサシンの手で
下水の旅人なり庭先の養分にでもなってることだろう、
 「姉さん、そのときの約束、忘れていませんよね?」
 セイバーのちっちゃなバストを撫でしごきつつ桜が尋ねてくる。
私は視線を泳がせて、
 「ああ、約束?そりゃー忘れてないわよ、大丈夫よ」
 「本当ですか?姉さんが後で日を改めて、アソコから直接飲ませてくれる
って約束てくださったから涙を飲んで手放したんですよ、あの器」
 「涙って…、アンタねえ、あの液体はもうヤバイ薬が数kgも混ざってて、
とてつもなく命に別状がありそうなシロモノになってたのよ、
汚い恥ずかしいとか別にしても飲んだって言うの?」
 「飲めますよ、姉さんのおしっこならたとえ毒入りでも飲みます」
 「きっぱり言うわね…」
 「でも、やっぱり飲入するなら容器に移した既製品より、生搾りを直接飲むほう
が鮮度が違うじゃないですか、
そんなワンランク上の楽しみを約束されたら目の前のご馳走も泣く泣く
見逃せるもんですよ、だから、絶対絶対約束守ってくださいね?」
 「はいはいわかった、そのうちに飲ませてあげるわよ、たぶん」
 「朝一番の濃いおしっこがいいです」
 「こだわるな変態娘!」
 「はぁぁぁ!!?うっ……はんっ!あっ…あつっ…!!」
 セイバーが一際激しい喘ぎを放つ、
乳首と陰部を同時に攻められたゆえか、そしてその二箇所を蹂躙する
指や舌は、まさしく桜の指令で蠢くものだった。
私だって、剥き出した素肌の大半をセイバーに密着させてるっていうのに、
このセイバーの乱れ様は、八割近く桜の功績のような気がしてならなかった。
 さくらんぼを転がすようなセイバーの乳首と桜の舌、
 タコが蛸壺に入っていくようなセイバーの女陰と桜の手、
 「ああっ…ダメです桜…っ!てくび!!……てくびまで挿入しないでぇっ…!」
 要所はあらかたこの娘に占拠完了されてるんじゃないだろうか、
なんだか悔しくなったので、私もセイバーの唇をふさぐ、
残っている急所といえばここだけ、
キスだけは士郎との情事で私も慣れているので、これなら桜と張り合えそう、
と思ってセイバーの舌に自分の舌をヌルリからませようとした時、
 「待って、姉さん」
 ヌルッとした舌と舌の狭間にドロッとした指先が割って入った。
 「なぷっ、愛液まみれの指をかませるなっ!?」
 当惑して顔を遠ざける、桜の奴、
汗よりしょっぱくて、唾液よりなお粘っこい液を思いっきり飲下してしまっ。た
 「ご、ごめんなさい…、
でも、せっかく卑猥な言葉で鳴いてるのに、口を塞いだらいい声が聞こえなくなっ
ちゃうでしょう?
キスはいつでもできますから、今はこの囀りをよく聞きましょう」
 言っておきながら、桜は四指を丸ごとセイバーの唇に捻じ込む。
そんなことしたら言葉なんてまともに紡げられないじゃない、
 「あぷ、んむ……お、ぬい、ぬいれ…くら…あふら……」
 ホラ言わんこっちゃない、
しかも現在進行形に突っ込んでる指は、前段階でアソコをぐちゃぐちゃにしてた
指そのままじゃないの、
淫水を無理やり味あわされるセイバー、
 「はい、どうでちゅかセイバーちゃん?アナタの おもらし した愛液でちゅよー」
 「…なによその甘ったるい口調は?」
 「あ、ごめんなさい、つい気分が乗って赤ちゃんプレイの口調が出ちゃい
ました。
ライダーを赤ちゃん役にさせると、彼女みたいなグラマラス系のお姉さんは
ギャップがあってスゲェいいですけど、セイバーさんも率直でこれもなかなか
そそるかも、
 知ってます?ライダーに紙オムツ穿かせて、その上で思いっきりお漏らし
させてパンパンになった吸収剤を見せつけると、彼女お顔真っ赤にして
照れちゃうんですよ!
あんな可愛いライダーを見れるのはそれぐらいのものですから、
今度姉さんにも是非いっしょにやりましょうね?」
 そんな雑談に、桜はピストン運動に並行して休めることなく興じていた。
セイバーとしてはもういい加減にしてくれといったところ、
休む暇もなく快楽の一斉正射だ。
しかし、私はそんな哀れなセイバーではなく、桜の話に興味を惹かれた。
 「……桜って、やっぱり経験豊富なのね」
 「はい?どうしたんですか改まって」
 「…いや、そもそも私がこういう状況に追い込まれたのも、元々私の経験の
浅さが士郎の癪に障ったからみたいだし、
それを思うと桜の熟練がちょっぴり羨ましいかな、なんて」
 テレが混じって、自分でも言葉尻が下がっているのがわかる。
オイオイ、実の妹になに告白してんのかしら私
 「そこのセイバーにも言われたのよ、
フェラの一つもできなくて恋人の営みができるかって、でも私にはセイバーや
桜みたいな技術もないし、どうすれば士郎を悦ばせられるかなんて
想像もつかないから、それなら桜かセイバーにっ……て?
うわああああああああああああああああああっっ!!!?」
 なにしてんの桜ーーーーーーーー!!?
私は桜の動きに瞠目した。
いや、彼女が特に新たな行動を起こしたというわけでもなく、相変わらず手マン
でセイバーの陰部を刺激し続けてるんだけど。
その動きがさっきまでとは違う、壮絶な超進化を遂げていたのだ。
 「ひゃあっ!!?あ、あ、あああ!!、あ!あ!!あ!!!
あうぅぅぅいやはぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
 セイバーも悲鳴に近い、
 「なっ、どうしたの桜!!?いきなり容赦なし!?っていうか黒化した!?
しかし何が原因で!!?」
 「あ、…あの、姉さんがやけにそそることを語り出すものですから、
ついつい刺激されて、加減が効かなくなって……」
 たしかに桜の表情には陶酔した色が漂っている、
夢うつつ、生唾ゴクリといった感じだ。
そんなホロ酔い加減の顔色とは裏腹に、手つきの方は烈火のごとく猛烈で、
そもそもただの前後運動だったはずの手が、今は足回りの悪いF1カーみたい
な滅茶苦茶な動きをしている。
あげな凶暴な動きを内からかまされてセイバーの膣は大丈夫なんだろうか
というほどに、げに恐ろしきは桜の技量、
市販のバイブレーターがこの動きを再現できるまでにはあと十年掛かるだろう、
 「あああっ!あうっ!!?なんっで、私ばっかり……こんな役……!!!?」
 「あー、とりあえずセイバーさんは一回イッちゃってください、
他に用ができたんで」
 「ああっ!!?あああああああーーーーーーーーっっ!!!?」
 もはや量子力学でも適用せんと追い切れなさそうな幾何学的軌道をもって、
桜の手マンの前に、セイバーは見事轟沈した。
本当になんて扱いだろう、ただ変態娘のエジキとなるために引き摺り出された
騎士王の哀れさには、同情より他かけてやる心情はない。
 「―――まあ、それはいいとして」
一仕事終えた顔の桜は、運動で軽く汗ばんできた肌を揉み解しながら、
私に歩み寄った。
っていうか桜近付きすぎ、おっぱいとおっぱいがくっつきあう、
 「姉さん、練習しましょう」
 「は?」
 「だから、フェラチオの練習ですよ、
私が協力して、先輩がハアとかヒイとか身悶える口テクを習得するんです!」
 えー、つまりチンチンをしゃぶる練習をしろと?
ハイ実地で、とうららかな微笑を飛ばす桜、その割には言ってることがあまり
にもアダルティーだ。
 「実地って、そんなこといっても肝心のモノがないのにどうやるのよ?
バナナやウインナーでも舐めろって言うの?」
 「それなら心当たりがありますから心配ナッシングです。
アサシンさん、ちょっと来てくださいアサシンさーん」
 主人の呼び出しには一秒も遅れることなく、ガラッと衾を開門して
部屋に踏み入る黒マント、
思えばコイツすぐ隣の部屋に待機してるんだから、アノ声とか喘ぎとか
ダダ漏れなのである。今気付いてなんだか物凄い状況だ。
 「ちょっと桜…まさかアサシンのナニしゃぶれとか言い出す気?」
 「まあ見ててください姉さん」
 おまかせあれ、とボリューム万点な胸を張る桜、
しかしその自信が不安しか掻きたてないことを、そろそろ私も学習してきたんだ
よ。
 「何用か?今日の『徹子の部屋』はオスギとピーコがゲストなので
一秒も見逃したくないのだが」
 アサシン煙たげに陳情、しかしまたイヤな徹子の部屋だ。
 「はい、実はアサシンさんにお願いが、すぐ済みますんでそんなに
つれない顔をしないでくださいまし」
 と、速やかにアサシンに耳打ちする桜、
ごにょごにょと小声で私にまでははっきり判別できない言葉であったが、
まあろくでもない内容であることは即座に理解できた。
だってあのアサシンの髑髏仮面が、みるみる渋面に染まっていくのだから、
よっぽどのことだろう。
 「…………スゴイことを考えるものだな、魔術師殿の孫殿は」
 「いえいえ、そんな褒めらるほどじゃないですよ〜、
で、できますかアサシンさん?」
 「まあ理論的に不可能ではないだろうが……」
 「じゃあすぐにお願いします。迷わず惑わず熟慮せず、早計にフライングで
お願いします!!」
 アサシンはそれでは、と腰を重そうにしながらも、
しかし一度気持ちを切り替えたならそこには一人前のプロ、
顔色からは迷いはすべて払拭されていた。
 飛びのく、
 桜との距離を空ける、
 二者の間に十分な間合いを作り出しながら、二つに折りたたまれた
魔性の右腕を解き放ち――――



       『妄想心音』サバーニーヤ 



 「なんですとっ!?」
 私は瞠目した。
だってアレはアサシンの宝具、つまりは最終奥義、
エーテル体によって敵対象と存在を共有した二重体(鏡映存在)を創造し、
そちらを砕くことで、共鳴している敵本体を接触せぬまま呪い殺す
シャイターンの腕、
いかなる物理的防御、物理的回避も効かないサーヴァントの最終兵器に
ふさわしい凶器だ。
だがそれを何故桜に向けて使うのか、一時的とはいえ自らのマスターである
桜に、そんな疑問に戸惑うより前に、体が先に前へ走った。
桜を攻撃から庇おうと、とりもなおさずダッシュ、
間に合うか、間に合わないかといえば、当然間に合うわけがない、
英霊が放つシャイターンの呪いは概念である以上、物理速度に換算するなら
光速でなければならないから、
 「桜……!!」
 漆黒のかいなが標的に到達した。
決定的に遅れても私は桜に駆け寄る。
外傷は何処にもない、でも相手が呪いである以上油断は絶対にできないから、
肩を掴んで強引に体を、私の方へ向かせ直した。
 「なっ……!?」
 そして私は見た。
 「なんなのよぉーーーーーーーーーー!!?」
 呪いの腕が桜に残した、とんでもなくそそり立つモノを、
 「えへへへへ、どうですか姉さん、スッゴイ逞しいでしょう?」
 桜ははにかみを浮かべながら、その股間に隆起したものをおっかなびっくり
撫でさする。
それは確かに、女の子に生えててはいけないはずの男の子の証だった。
 「ち…、ち、ちん………」
 さすがに私も目を丸くして言葉が出ない、
 臍までそそり立って、ビンビンに暴れる気満々のやんちゃ坊は大きさ的に
ちょうど士郎と同じぐらい、だがどっちにしろそのいかつい男性醜は
桜の美麗な女体とはアンバランスもいいとこだ。
 「それは確かに先輩と同じ大きさのはずですよ、
だって『妄想心音』でコピーした先輩のおちんちんを私に移植したんですから」
 ねー♥とアサシンの顔を覗き込む桜、
 「う、む、私が二重体の複製に用いる材料はエーテル体だから、
物質体と結びつくことで相互になにかしらの変質を生じさせることは可能なのだ
シュタイナー的に、
しかし、ここまでつごーよく上手くいくとは……」
 桜の立派なモノを難しい心境で見つめるしかないアサシンなのである。
しかし、そんなことで苦悩していては暗殺者なんて仕事は勤まらない、
アサシンはすぐさま気持ちを切り替えなおすと、
 「ではな」
 あっさりさっくり茶の間へ引き返していったのである。
この狂った濡れ場から一刻も早く脱出したかったのか、はなまたオスギとピーコ
のトークが気になったのか、
しかしこの場にロンリー取り残された遠坂凛17歳自身としてはたまらない、
 「いやー!!まってー!!この究極体娘と二人きりにしないでー!!!」
コレに尽きた。
なんか、あのいかがわしいモノの生やしたら桜の覇気が異様なまでに
上がっているのだ。
 「ああ、これ思ったより凄いかも…、脈打って、肛門に力を入れるとビクンて
跳ね上がるんだ」
 なにか、欠けていたものがついに埋まっただとか、最後の領域に足を踏み
入れてしまっただとか、そんな最高潮感がビシビシと、
これこそ鬼に金棒?
いや、桜に肉棒だ!!
 「あら姉さん、そんな下品な洒落をかます余裕があったんですね」
 一歩一歩、追い詰めるようにして桜が歩み寄る。
そのたびにブルンブルンと大きな乳が揺れるのにはもう慣れた、しかし今は
いっしょくたに揺れるもう一本のナニかがある。
 「いやー!!やめー!!!ソレをそれ以上私に近づけないでー!!!」
 「あら、そんなウブな反応してまるで生娘みたい、
それにあまり無碍な扱いをしてはすげないですよ、コレは先輩の男性自身を
模してるんですから、毎晩コレに可愛がられている姉さんには馴染みのもの
ではないですか」
 「毎晩ってほどじゃないわよ!!
あ、いやそうではなく…、そもそもなんでソレが士郎なのよ?士郎はどっかに
遊びに出ちゃってここにはいないじゃない、いもしない奴のコピーをどうやって
創り出すってーのよ!!」
 「そんなの簡単じゃないですか、大体アサシンさんの宝具は暗殺用です。
敵に接触せずに倒すための奥義が、対象を視野に捉えないと使えない
なんてお粗末なことあるわけないでしょう?
だから先輩が遠くにいても ぜんぜんもーまんたい、
対象がその場にいなくても暗殺可能なんて、げに恐ろしい宝具ですよね」
 「わかってるならこんな罰当たりな使い方するなー!!!」
 振り絞ってみても、忍び寄る危機感に声は震えていた。
セイバーは失神中、アサシンが助けてくれるなどという展開は絶無となれば、
この最終聖戦形態となった桜に捧げられる贄は私しかいないのだ。
 「さーねーさん♪早速レッスンを開始しましょうかっ?」
 「レッスンってなによ!?」
 「やーですねー♪先輩のおちんちんをお口で気持ちよくしてあげる
訓練に決まってるでしょう?
元々それが発端でここに生やして貰ったんですから、忘れてもらっちゃ
困ります♪」
 やたらこれみよがしに語尾に『♪』を着けてくるのがまたムカツク、
しかし桜は、そんな能天気な口調とは裏腹に一歩一歩、確実に私との間合いを
狭めている。その聳り立つモノを私の口に捻じ込むために、
 近付くにつれディティールの細部が克明となっていく。
黒々と日焼け色した柱身、
雁の部分に余った皮からは恥垢のすえた臭いがとても不潔そう、
つるつるした亀頭はそれだけなら可愛いかもしれないけれど、アレが何度となく
私の秘部を掘削してきたんだと思うと放たれるツヤは溢れ出る愛液で
磨かれてきたんだなと怖気が走る。
 そして、虫の顎みたいな鈴口から噴射する白い汚濁は、何度となく私の体を
汚してきて、そしてとうとう最後まで守ってきた口内まで犯されるのかと思うと
足がすくむ、すくむと同時に太腿の付け根が、じんわりと湿りだして、
 腰が抜けてへたりと座り込めば、ちょうど目線の高さに男根が浮上する。
桜に根付いた、士郎のペニス、
高圧的な進攻をやめようとしないその戦艦は、ついに私の唇に接触し、
そのままの状態で静止してしまった。
 それはそれで、私の被虐心を刺激するもっとも効果的な手段なのだろう、
口紅にも慣れてない唇肉を、生臭い亀頭がうにうに押し付ける。
ペニスとフレンチキッスする間抜けた体勢が、永劫のように続く、
それなのに私は、どうして自分から唇を離そうとはしないのか、
 「さ、どうするんです姉さん?」
 俯瞰から妹の声が降りてきた。
どうするのか?という問いは、どちらにするのか?という意味だ。
つまりは門前にぴたりと添えられた大砲、それを受け入れるのかどうか、
この鉄のような怒張の硬さなら、唇の結びをこじ開けて口内に侵入するのは
不可能ではないだろう、
それなのにあえてそれをしないのは、私にとって決定的に屈辱的行為である
ソレを自ら受け入れることに、大きな意味があると桜が思っているからだ。
 あの気高くて、美人で、誰に対してもひるむことなく高潔な態度で臨む
凛々とした姉が、自分から屈辱に甘んじること、
そこにサド的な興奮を見出して、狂わんばかりの期待に悶えているのだろう、
 事実、桜はさっきから尻を細かく左右に振って、それに呼応してペニスも
唇の表面をなぞりながら何度も、端から端を往復している。
 口唇の皺に触れるたび、先端からの電信が脳髄に押し寄せるのか、
小さな甘声が、桜の口から自然と溢れ出してきた。
 「姉さぁん、どうするんですか…?咥えるなら早く咥えてぇ…」
いつの間にかおねだりするように態度が軟化している桜、これではどっちが
焦らされているのかわからない、
まったくこの子は、間桐の家でどんな教育受けてきたのか知らないけど
こんなにエロい娘に育っちゃって、
いいわ、やったろうじゃないの、遠坂凛は女にござる!
覚悟を決めたら即実行、トンボを丸呑みにするカエルみたいな豪快さで
男根をパクリ、
 「ひゃうっ!!?」
 可愛らしい声で反応する桜、
そして私の方はというと、桜が感じているような華々しい快楽とは両極端の、
じわり、じわりと滲み広がる、肉質の味を地味に噛みしめていた。
 初めて舌に乗せる愛しい人の陰茎、いや、ソレが別人から生えてるのはどうか
と思うんだけど、
それなのにここまでリアルに味や臭いが染み渡っていくと、本当にエーテル魂が
創り出した偽物なのかと信じがたいほどだ。
 口内にはゴムのような味と、ゴムのような食感、
咽喉に流れこむイカ臭い空気は鼻腔へも駆け抜ける。
生臭い上にタイヤを噛んでいるような異物感、なんでこんなのがおいしいなんて
興味本位で目を通したレディコミには書いてあったんだろう、
 それでも、もう引き下がる段階はとうに過ぎてしまった。
これ以上桜にイニシアチブを獲らせないためにも、一度咥えたペニスは
すっぽんのように放すわけにはいかざるや、
女の意地がかかった一勝負、切歯に引っ掛けたカリの先をとにかくデタラメに
ベロベロに嘗め回す。
 「はあぁ…!!くん!!スゴイです姉さん……!!
拙くても情熱的で…、ステキ、腰が蕩けそう、気持ちいい、気持ちいい、
気持ちいい…!!」
 さすがの桜も初体験であろうペニスへの攻撃に、免疫を作れず
直撃に悶えている。
苦し紛れか、さらなる快楽を追い求めてか、
蜘蛛のように這いまわる指が私の頭部を掴み、亀頭までしか埋まっていない
ソレを一気に根元まで差し込む。
 「うぐっ……!?」
 何事かと思った。
あの匂って苦くてゴム臭い塊が、喉の奥まで一気に侵入してきたのだ。
 ペニスは喉の奥にピッタリはまってしまった。
とたん吐き気とともに肉厚を押し戻そうと食道が蠢き始める。
人間にとって喉の奥は急所の一つなのだから、当然体全体が嫌悪をもって
それを排除しようとする。
瞳からは涙が滲み出て苦しみをあらわにする。
しかし両側から支える桜の手がそれを許さない、しかも桜はあろうことか、
咽喉に嵌ったペニスを激しく揺さぶりだしたのだ。
まるでヴァギナに挿入しているかのように、
 「ん゛っ!!?う゛ぅんん!?……あっ、げやぁ!!?」
 「ダメですよ、これがディープスローとっていう技なんですから、
女の子はコレに慣れないとフェラができるとは言わないんです。
大丈夫がんばって、姉さんのノド下の口に負けない名器ですから」
 なんだかむしろ自分が快楽に溺れたいからといった桜、
粗雑に動かす腰と、一緒になって前後揺れするご自慢の巨乳が、真下から見た
らなおさら大ボリュームだった。
井草の匂う畳の上で、妹に生えたペニスをしゃぶらされ もがき苦しんでいる。
その事実だけで、さっきの放尿で絞り残したカスが、尿道からこぼれた。
 「はぶっ!!?」
 突如ペニスを引き抜かれて、その勢いを抑えきれずに畳にでんぐり返る。
 「ゲホッ……なっ?なにっ?なにこんどは…?」
 「はあっ…はあ、はあ……、す、すごぉいです、おちんちんを舐めて貰うのって
こんなに気持ちよくて、
私が我を忘れてしまうなんて、どれぐらいぶりのことかしら、それとも姉さんの
口技が思った以上に秀逸なのか…」
 うわごとのように呟きながら、桜はノロノロと私の体によじ登ってきた。
覆い被さると表現してもいい、
いうなれば男が、正常位で女を犯すような体勢になった。
 「……男の子ってズルイです。
こんな立派で敏感でとっても気持ちいい器官を持っていて…」
 「やっ!?いた……」
 「こんな楽しいオモチャで遊ぶことだってできる……」
 桜の白い手が、私の乳房を鷲掴みにした。
乱暴に力任せ、技巧や精緻さのカケラもない激しい愛撫、
 「どうしたのよ桜っ!?お願い止めて、変よアンタ、いや元から変だけど…」
 「甘くて切ない音色を奏でて、悦に入ることも…」
 「あぁっ!!?だ、だからダメ……!?だめだって、そこはお尻の……!?」
 「そして最後には、こんな清楚な華を思うざまに陵辱して、散らして、汚して、
自分だけの色に染め上げて……」
 「やあぁ!?いい加減にしないと、私だってアンタの胸好きなように
いじくるわよぉ!?」
 「ザーメンでいっぱいに汚して、顔も、髪も、おまんこも、お尻の穴も、
白いザーメンで白濁に……ステキ…」
 溺れる者は藁をも掴む、といったふうに、
狼となった桜の乳房を、私の手は無意識にも掴みとった。
その弾力がゴム鞠のようでまた驚く、それに反応した桜が「はぁあぁん!!」と
また盛大な嬌声を上げ、艶かしい女であることを再認識する。
 肢体は女で、することは卑しい男の陵辱行為、
そのギャップが麻薬のように脳内を撃ち、ぼんやりと感覚のピントを狂わせて
いった。
桜の美しい裸体が、障子から透かし通る明かりにぼやけ、
ぶらぶら揺れる男根だけが、シルエットになっても克明に視線を惹きつける。
そこにはもう一つ期待も惹きつけられていた。
 「欲しいんですか、姉さん」
 血を分けた妹が、妖精のような口振りで尋ねる。
 「……こんないやらしいこと散々されて、いまさら我慢できるわけないじゃ
ないのォ、最後までやる気があるんなら入れなさいよ、
士郎のちんちん、私に入れて」
 「ええ、いいです。
私も本当は我慢できなくて、フェラの練習なんてどうでもよくなってた。
桜は悪い子ですね……、姉さんを全力で犯したいって、今はそれしか
考えられない」
 ぐいと腰を押し込む手応え、
でも女の子の桜は慣れていない挿入だ、入り口から滑り、何度も何度も
挑戦した上にやっと陰茎は、ずぶずぶと女陰の中へ沈んでいった。
 士郎と交わるのと寸分違わぬ充足感、
自然、喉から息がこぼれる、吐息の味は甘露、
それを間近で吸い込んだ桜は「おちんちんの匂いがしますね」と悪びれずに
言った。
 「あああっ……私、姉さんと繋がっちゃった……。
姉さんと一つに、こんな日が来るなんて思いもしなかった……!」
 「ばか、そんなこといったら私だって同じよぉ!
バカ桜、アンタが飛ばしまくるから…、癖になったらどうしてくれるのよ……」
 ぎゅっ、ぎゅっ、にちゃ、にゅっ、にちゃ、にちゃ、
波が押し寄せる毎に、壷から溢れる蜂蜜が淫らな音を奏で上げる。
双方とも女とはいえ犯されてるのは私の方なんだから、
その猥褻な液体はすべて私の自前なんだろう、
 「ねえ桜、キスしてくれない……?」
 「え、いいんですか?
おちんちんは確かに先輩のですけど、それ以外は私の躰なんですよ?
先輩以外の人に唇を許していいんですか?」
 「ばか、もうここまできたら桜も士郎もないってば……、
それより今はキスが欲しいの、桜の唇、
思いっきり唾を絡めてね、私と唾液の飲みあいっこしよ、桜」
 「…あは、姉さんったらやらしい、
日頃は才色兼備でベットに上がると淫売になる。女としては最高の塩梅じゃない
ですか」
 「半分は士郎のせいなんだけどね、
でも桜だって、そんなエッチな体に似合って性格も手付きもエロエロで、
私よりずっと才色に深いじゃないの、
桜ならきっとどんな男も骨抜きだわ、かなり、いいえ凄い羨ましい、
その大きなオッパイも含めてね」
 「ふふ…私たち、二人揃ってエロエロなんですね」
 「そりゃそうよ、私たち姉妹だもん」
 そしてどちらからともなく唇で唇を塞ぎあった。
唾液なんてどの人間から分泌されても同じ成分のはずなのに、
桜の唾は士郎に比べると葡萄酒のように甘かった。
だからそれを飲むとホロリと酔いがまわってくる、
心の獣を刺激し、官能が頭を支配し、体中が火照る酩酊だった。
姉の腕と、妹の腕が、全裸の肌を重ね合わせたまま力一杯抱きしめあう、
膣の中に、もっと濃厚で甘美な酒が解き放たれるのがわかった。


         *     *     *


 帰ってくるなり嫌なモンに遭遇した。
余所の家で思い切りくつろいでいる白髑髏、
居間へと踏み込んだ衛宮士郎は、そこで当然のごとく茶すすりながら
映像メディアに興じるサーヴァントを極限的な渋面で見やっていた。
 しかも、そのアサシンのくつろぎ具合が半端ではない、
あの卓に昇るお茶請けのタイヤキは、まさしく日本最初のタイヤキ扱い
和菓子店、
浪花屋なにわや総本店の元祖鯛焼きではないか、
 八時間も煮込んだ餡子をぱりっと薄い皮に包んだ伝統の味
元祖を名乗るに相応しいこだわりを守り続ける一級の味、
都営地下鉄大江戸線麻布十番駅より徒歩1分、
月宮あゆをして「号泣する準備はできていた」と言わしめる絶品だ。
そんなレアな品、士郎は買い込んできた覚えはないのでやっぱりアサシン本人
が直に購入してきたものだろう、
コイツこだわりが半端じゃねえ、と戦慄を禁じえぬ士郎であった。
と、まあそれはそれとして、
 「今帰りか衛宮の小僧、私の目算ではもう少し早く戻ってくるかと思ったが、
思ったより行動が鈍重と見える」
 家主の断りもなく勝手に上がりこんだことは全面スルー、で言いたい放題の
ことを告げるアサシンである。
テレビから流れる映像は、午後の時間帯に再放送されている『必殺仕事人X』
だった。
アサシンは時代劇の中でもコレがいたくお気に入りらしく、いつか理由が尋ねた
ところ「親近感が湧くから」なんだそうな、
そのうちゴルゴ13でも全巻買い揃えてやれば喜ばれるかもしれない、
それはいいとしてだ。
 「…教会で格ゲーに興じていたら、いきなり股間が熱いやらヌメヌメしいやら
たいへんな快感に教われてな、
衆目の面前で悶え苦しんで壮絶に恥ずかしい目にあったもんだ」
 士郎が押し殺した声で呟く、
当然、アサシンに対しての恨み節であった。
 士郎がよりにもよってギルガメッシュや言峰の見守る中そんな極楽に襲われ
たのは、実にアサシンが『妄想心音』で創り出した偽造ペニスと士郎の男性自身
が感覚でリンクしていたからに他ならない、
元々は『破壊』のイメージをリンクさせることで敵対象を触れずに暗殺する宝具、
今回は桜が個人的興味によって起こした趣向であるために、そこまで深刻な
被害が及ぶことはなかったが、それでも触れた撫でられた程度の感覚は、
握り潰される一歩手前の段階だけにクリアに本体へと伝達する。
 そうして身悶える士郎に驚愕したギルガメッシュは、救急車を呼ぼうと
間違えてなぜか子供相談室にTELをかけ、
言峰はまた得意の霊媒治療にものいわせ症状の原因が呪にあることを
特定し、
「衛宮士郎よ、これは呪詛だ。さあさっそくこの麻婆豆腐を…」
どげし、
「…呪の発信源はどうやらお前の自宅のようだ、直接赴き原因を特定する他
あるまい」
と言われ、こうして帰宅の途を急いだというわけだ。
そして呪を打った張本人であるアサシンも、そういった彼の事情は説明される
までもなく百も承知のところだった。
 「…で、どういうことか釈明はつくんだろうな?」
パンツの中はベットリグショグショだった。幼き日の夢精の切なさが甦る、
そんな若者の主張を受けて、アサシンは無言のままある方向を指差した。
その先には閉ざされた衾があった、
言うまでもなく凛・桜・セイバーどもが不純同姓交友にふけっている部屋である。
 「…そこがどうかしたのか?」
 士郎はマジ疑問符、
己が皮切りとなった騒動であるにもかかわらず、
 「なんと忘れているのか、これはまた怖いもの知らずというか、
莫迦ほど怖いものはないな」
 とアサシンに呆れられるにも忘れているものは忘れているからしょうがない、
まさに知らぬが仏というように、
知っていれば絶対に近付かなかったであろうその扉を、士郎はなんの思惟も
付かずに開けてしまったからノットリターン、
 「うわ、なんだコレ!?」
 士郎は思わず鼻を抑える。
なんともいえぬ濃厚で極甘な香りが部屋に充満しているではないか、
いや、ここまで来ると圧縮されたという段階か、
適度な濃度ならば気持ちをやわらげ、逆に食欲や性欲を刺激させるだろう
甘い香もこんなになったらもはや耐えがたいものがある。
植物園に『南国の極彩花・専門展示コーナー』とかあったらこんな行き過ぎな
香気なんだろうと頭をよぎった。
 きっとラフレシアの花畑だ。
そんで、見下ろせば異臭の元であろう大輪の肉華が咲き乱れていた。
三輪だった。
 「あんっ!!?ああっ!!?いい加減にしてください凛っ、桜っ、
これ以上はこの身がもちませんっ、お願い休ませて……!!!」
 と泣いても叫んでも許してもらえないのは前後から肉挟みにされている
今回最大の被害者、セイバーである。
途中で意識を回復したのが運の尽き、双方やばげなスイッチの入ってしまった
姉妹の慰み物にされること忍びがたいものがある。
 「あっ……姉さん…姉さんっ!先輩ですよ、先輩が帰ってきてくれました!」
 「あ、え…なに?」
 「せーんーぱーいーですってば!!」
 「えぇ!?士郎!?どっどこ!?やだホントに士郎いる!!?」
 あられもない痴態に、俄かな恥じらいを覚えつつも腰は一向に止まらない
凛であった。
桜なんかむしろ魅せつけんばかり気構え、
士郎はここにきてようやく自分のしでかした過ちを思い起こしたのである。
認めたくないものだ、若さゆえの過ちなんて、
 「ぬかづけを作ろうとしたところ、桶を放置したまま忘れてしまい、
何年も経た後その存在をふと思い出して蓋を開けてみたら、中の発酵が
直視しがたいほどの劇的変貌を遂げていた。
といった心境かな」
 アサシンが士郎の内心を的確に表現してくれる。
それはいかにも正鵠を射た考察であったと士郎本人も思うのであった。
監視の外において茂るに任せるからこそ、本人にも思いの寄らぬ
展開に行き着くこともある。
それもまた放置プレイの醍醐味であり怖さというもの、士郎はいまその怖さに
直面しているのだった。
その恐怖体験を通じて性技は育っていくものだ。
伊頭鬼作や遠野志貴にまた一歩近付いたぞ、衛宮士郎、
 「…士郎、まあいいや、ちょうどよかったわ、
ついさっきアサシンの呪いがきれちゃったから、張子がなくなって寂しかったの、
士郎もこっち来て、アンタが始めたことなんだから最後まで付き合いなさいよ」
 「わあ、先輩も混ざってくれるんですね、
さっきは姉さんばっかり楽しんで、私も太いのを入れてもらいたくてたまらな
かったんです。
 …ああ、やっと夢にまで見た先輩のおちんちん、味わえる日が来たんですね」
 「どちらでもよろしいですからシロウ、はやく加勢を!
もはや私一人ではこの戦況は支えきれない……!!」
 各々思い思いの悲喜こもごも、
結局士郎は自身の意思など提示する暇もなく、ブラックホールに落ちていく
ユリシーズ号のように三対計六本の細腕に鷲掴まれて部屋の中へと
消えていった。
閉ざされた衾の向こうからは、まず最初に赤色の嬌声が上がり、
次に桜色の艶かしい吐息、ついでになぜか金色の高音も響いてきた。
 あんまり煩いのでアサシンはテレビの音量を上げる、聞き取れないから、
必殺仕事人の再放送も終わり、時間帯はそろそろニュースの頃、
社会情勢を知ることも大切な教養である。


                          END

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