古い皮袋に、新しい酒を

作:しにを



 完全に世界に浸りきっていた映画の、エンドマークを目にした時のように。  夢中になって頁を捲っていた一冊の本を、読み終え表紙を閉じた時のように。  魂まで魅せられるような一皿の料理を、最後の欠片まで胃に納めた後のように。  または……、いや何でも良いのだけど。  ともかく、無我夢中になって貪り味わった至福の瞬間を終えた後。  その後の余韻の一時。  むしろ渦中の時よりもしみじみと心が満たされている長く短い時間。  今がそうした時だった。  ベッドの中で二人で生まれたままの姿で横たわり、琥珀さんを、この世で一番愛しい大 切な人を胸に抱いている今。  果てしない充足感と幸福感に浸っている今。  何もする気にもなれない。  ただぼうっと余韻を味わっている。  余韻の源、さっきまでの琥珀さんとの甘く激しい一時も素晴らしかった。  思い出しただけで、すぐに臨戦状態になりそうな程。  でもこうして言葉もなく、二人でただ抱き合っているのも良い。  蕩けて一つになって近しくお互いを感じている今も、何ものにも代えがたい時間だった。 「志貴さん」 「ん?」 「よかったですか?」  琥珀さんの声に真顔で頷いた。 「凄くよかったよ。言葉では言い表せないくらい。琥珀さんは?」 「わたしも、幸せです」  こんな他愛も無いやりとりですら、心を痺れさせる。  しみじみと嬉しい。  それでもこの陶酔は消えていく。  ゆっくりと消えていく。  ・  ・  ・  寂寞感。  まあ、これもまた悪くは無い。  だからこそ、次が楽しみなんだし。  でも、また琥珀さんに翻弄されてしまったなあ。  そんな事を考えてしまう。  適切な表現とは思わないけど、何と言うか琥珀さんと俺ではいわゆる夜のスキルのレベ ルが違いすぎる。  それは幼い頃から快楽の道具として使われ、奉仕させられてきた酷い過去の証であり、 琥珀さんにとっては忌むべきものであっただろうけれども。  その頃の事は琥珀さんはほとんど話そうとはしないけれども、ほとんど年の変わらない 琥珀さんがそんな床上手で性技に長けた存在であるという事実は、俺には昏く重く感じら れる。  ただ、琥珀さんはこんな言い方をした事がある。  志貴さんに喜んで貰えるなら、こんなものでもあって良かったと思いますよ、と。  その真意はわからない。  ただ、その時の透き通った笑みは忘れられない。  その時の胸の切なさもきっと俺は忘れられない。  ともかく、そのスキルは遺憾なく発揮されてるのは間違いなく、本当に魂まで抜かれる んじゃないかと思うほどで……。  それでも何とか一方的にならずにすんだのは、琥珀さんはある意味、性行為に不慣れだ という矛盾するような事実があたからだった。  愛され抱擁され、愛の営みから生じる快感を体で受け止める事には、耐性がほとんど無 いなんていう、笑うしかない悲劇、悲痛で涙がこぼれそうな喜劇。  でも琥珀さんの攻めている時は強いが守手に回ると弱くなるという状態も、最初のうち だけだった。  今では琥珀さんは俺の想いを受け入れられるようになっている。  こちらからの愛撫に応えて、さらに上回るお返しをしてくれる。  それは確かに俺にとっても嬉しい事であったけれども。  もちろん琥珀さんにリードされるのも嫌いじゃないし、俺を喜ばせる為にいろいろ趣向 を凝らしてくれる処や、……いや、俺にとってはどんな形であれ琥珀さんと結ばれるとい う事自体が、例えようの無い幸せだったのだけど。  ……のだけど、ちょっぴり男として悔しいと言うか不満もあったりする。  琥珀さんをもっともっと喜ばせてあげたい、琥珀さんがおかしくなっちゃうくらい俺が 喜ばせてあげたい、そう思うのは男の我がままだろうか?  そんな事を埒も無く考えていると、琥珀さんは一人身支度を整えていた。 「それでは、戻りますね、志貴さん。おやすみなさい」 「忘れ物があるよ」  背を向けようとした琥珀さんを呼び止める。 「あら、すみません。……、あの、わたし何を?」 「おやすみのキス」 「それは大切なものを忘れていました」  優しく琥珀さんの唇が近づく。  軽い感触。  さっきまでの激しくも甘い行為にも匹敵する甘美な一瞬。 「それでは、寝坊して翡翠ちゃんを困らせちゃダメですよ」 「善処します。おやすみ、琥珀さん」 「おやすみなさい、志貴さん」                 ◇   ◇  何日か後の午後のこと。  衣類を山と抱えて琥珀さんが歩いているのを見つけた。 「あれ、琥珀さん、洗濯物?」 「クリーニングに出すものを選り分けていたんですよ」 「けっこうあるものだね」 「そうですね。着ないものでも定期的に行いますし。今回は秋葉さまのものが中心なんで すけど」 「秋葉は公式の場に出る事も多いものなあ。洗濯機に放り込めばいい俺のとは……」  言葉が途切れ、一点に注視している俺を琥珀さんが訝しげな顔で見る。  その視線の先には、ある衣類があった。 「どうなさいました?」 「いや、浅上の制服だなあと思って」 「そうですね。……あの、志貴さん、何を考えているんですか?」  俺の視線が秋葉の制服から、ゆっくりと琥珀さんの顔に移動したのを見て、琥珀さんが 僅かに顔色を変える。  もしかしたら俺の表情もどこか変わっていたかもしれない。 「多分、琥珀さんが今想像したのと同じ事」 「駄目ですよ、そんなの」 「何が駄目なの?」 「わたしに秋葉さまの制服を着せて、そして……、違います?」 「正解」  琥珀さんは珍しく真顔で首を横に振る。 「やっぱり。そんなの駄目ですよ、そんなの。秋葉さまの制服を汚されたりしたら……」 「クリーニングするんでしょ?」 「それはそうですけど。サイズだって合わないかも知れないし」 「そんなには違わないでしょ。それに秋葉が着るとかなり前の方は弛んでいるし」 「でも……」  嫌がっていると言うより、やっぱり秋葉が恐いんだろうなあ。  でもそれがかえってドキドキ感を高めるのも確か。 「琥珀さんに着て欲しいなあ、似合うと思うんだけどなあ」 「うっ。そんな懇願するような目で……」 「お願い」 「……わかりました。1回だけですよ。うう、卑怯ですよ、志貴さん」 「やったあ」 「そんな顔して喜ばれると……。じゃあ、夜お伺いしますね」 「うん。楽しみだなあ」                 ◇   ◇  そしてその日の夜。  既に日付が変わろうとしている。  長かったなあ、この時刻になるまで。  夕食後に居間にいても、琥珀さんの顔を見る度にドキドキしていたし、その後秋葉を見 ると妙に居心地が悪いしで、早々に部屋に引き上げて、じいっと一人来たるべき時を待っ ていた。  ノックの音がする。  ドアを開けると、セーラー服姿の琥珀さんが恥かしそうにしながら佇んでいる。  俺が手を取るとはにかみながら琥珀さんはしずしずと部屋に入ってくる。  可憐なその姿。  そして……。  そんな情景を何度も思い描いていた。  俺の趣味もあるけれど、着慣れない制服を着るというのは、琥珀さんに与える影響が大 きいと思う。  おまけにそれは普段、自分の主の着ている物。  ある種倒錯めいた感すら漂う物。  いかな琥珀さんとは言っても心の動揺はある筈だ。  楽しみ。  恋人に妹の制服を着せているのはどうかという疑問はこの際、捨て置く。  コンコンとノックの音がした。 「志貴さん、入りますね」  返事を待たずに琥珀さんは素早く部屋に入ってくる。  もとより逢瀬の約束をして鍵なんか掛けていないし、ずっと俺が待っているのも分かり きっていたから。 「あれ?」  琥珀さんはいつもの和服姿だった。  よほど驚いた顔をしたか、がっかりしていたかだったのだろう。  俺の方を見てくすくすと琥珀さんは笑い声を洩らす。 「がっかりなさったんでしょう、私が制服姿じゃなくて」 「うん。もしかしてやっぱり嫌になってとかかな?」 「あのですね、志貴さん。私の部屋からこちらまで、夜とはいえ秋葉さまの制服を着たま ま歩いて来られるとお思いですか?」 「え、ああ、そうか」  一応消灯時間も過ぎているけど、秋葉や翡翠が部屋から出てくる危険性は十分ある。  さすがにそんな姿を見られるのは、考えたくないような結果が待っていそうだった。 「あまりわくわくしていたから、そこまで気が回らなかったよ」 「じゃあ、ダメになった訳じゃなくて」 「はい。ちゃんと準備してきましたよ」  ほら、と琥珀さんは手にした包みを見せる。  うん、確かにきちんと畳まれた浅上女学院の由緒正しき制服がある。 「よかった」  心からの安堵の溜息が洩れる。  そして落胆した分の反動で自分でも制御できないくらい笑み崩れてしまう。 「…………」  気がつくと琥珀さんが少し、しょぼんとした顔をしている。  見た目は笑顔のままだけど、明らかに消沈した表情。 「どうしたの、琥珀さん?」 「志貴さん、わたしの姿を見てがっかりなさって、秋葉さまの制服を見て喜色満面になっ ているので……、ちょっと複雑な気分に」 「え?」  ……。  おおっ。  慌ててぶんぶんと手を左右に振る。 「違うよ、琥珀さん。俺はセーラー服を着た琥珀さんが楽しみで……、そうじゃなくて和 服の琥珀さんだってそれは大好きだけど、いや、これも違う、ええと何を着てるからどう とかじゃなくて、そう、何も着ていない琥珀さんが……」  どんどん泥沼にはまっていく。  見かねて琥珀さんが助け舟を出してくれた。  これじゃ逆だよ……。 「あの、わかりましたから。そんなに混乱なさらないで下さいな」 「はい」 「制服に嫉妬するのも情けないですから、それは置いておきましょう」  お互いに苦笑。  気を取り直して琥珀さんがセーラー服を手に取る。 「それでは志貴さんのお好み通りに着替えを致しますね」 「お願いします」  するすると帯が解かれる。  襟の合せが広がり、琥珀さんの襦袢が……。  あれ。  止まっちゃった。 「志貴さん」  きつめの少し怖い声。  怒っているよ、琥珀さん。 「は、はい」 「見ないで下さい」 「えっ」 「えっ、じゃありません。恥ずかしいじゃないですか」 「だっていつもはさ……」    そう、いつもは別に気にせず見せてくれるのに。  俺が脱がすのも好きだけど、琥珀さんが自分で脱いで少しずつのありのままの姿が露わ になっていくのを見るのも好きなのを、琥珀さん知っているから。  時には琥珀さんは焦らすような仕草をしながら見せつける様にして、俺の目を楽しませ てくれたりもするし。  事が終わって琥珀さんが一人で着付けをしているのもいいんだよなあ。  一糸纏わぬ姿から普段の格好に戻るのを眺めるのも大好きだ。  それなのに……。 「着替えの為の着替えを、じっと見つめられるのは恥ずかしいんです。  志貴さんに、わたしが見ている前で裸になってパンツを履き替えてくださいって言った ら、やって頂けますか?」 「……」  あれ、何でだろう。  そう考えると凄く見られるの恥ずかしい事のような気がする。  無理言って承知してもらったんだし、ここで嫌な思いをさせるのも不本意だな。 「わかった。じゃあ後ろ向いてるね」 「はい。声掛けるまで見ちゃダメですよ」  素直に後ろを向く。  その代わり全身耳にする。  衣擦れの音、ぱさりと言う軽い音、畳んでいる音。  そして、少し異質な音。  着替えてるんだ。今、秋葉のセーラー服に。 「いいですよ、こっち向いて」  心臓がどきどき言っている。  待ちかねていたと言うのに、むしろ見るのが恐いかのように、ゆっくりゆっくりと振り 向く。 「どうですか、かなり恥ずかしいですけど……」 「……」  何も言わない。いや言えなかった。  言葉なんか出ない。  珍しくもじもじと俯きかげんで俺と視線を合せていなかった琥珀さんであるが、無言の 俺を不審に思ったのか、顔を上げる。  その様子を息をするのも忘れるくらい強く、目を見開いて見つめる。    感動していた。  その琥珀さんの姿に。  そのあまりにも可憐な制服姿に。  その口を開けたまま思考停止するほどの可愛さに。  その魂まで抜かれ、身動き気一つできなくなる破壊力に。  その瞬きする間の空白すら惜しくなるほどの魅惑的なセーラー服姿に。  ただただ、ひたすらに、俺は心の底から感動していた。  制服自体は毎日のように秋葉が着ているのを見ている訳だけど、琥珀さんが着ていると まったくの別物のように輝いて見える。  ありがとう、デザインした人。  ああ、この袖の少したぷっとした感じが、襟の形が、スカーフが。  琥珀さんが着ると胸の辺りに、秋葉には無い膨らみがあって。  スカートのラインが、紺のソックスがなんともナイスです、琥珀さん。  なんで、こう清楚な姿なのにこんなに情欲を刺激するのだろう。  なんて、なんて素晴らしい姿。  沈黙を守る俺に琥珀さんが心配そうな顔をする。 「あの志貴さん、わたしおかしいですか。自分ではちょっと似合うかなあなんて鏡で見て 思ったりもしたんですけど……、やっぱりわたしじゃ、こんな」 「ありがとう」 「え?」 「ありがとう、琥珀さん」 「え、え?」 「似合ってる、凄く似合ってるよ。ありがとう、ありがとう、琥珀さん」 「え、え、え? ああ、もう、涙ぐまないで下さいってば」  琥珀さんにはわからないんだ。  俺がどれだけ感動したのか。  これだけでも満足です。  心からお礼を言うよ、琥珀さん。  そんな俺の想いを洞察したのか、琥珀さんが苦笑を浮かべる。 「あの、志貴さん。満ち足りた表情なさってますけど、これで終わりじゃなくて、料理で 言えば準備を整えてお皿を前に置いただけなんですよ。」 「そうかな。これだけでも……」 「そうなんです。出された料理に感動していただくのは嬉しいんですけど、実際にご賞味 頂かないと。料理人兼お皿の食材としては納得できません」 「ごもっとも。じゃあ、いただきますかね」 「はい、たっぷりと召し上がってください」  では。  では。  ではでは。  伸ばす手がぶるぶると震える。  初めての時だってこんなじゃなかったし、琥珀さんと結ばれた時だって、これほど動揺 していなかった。  おいおい。  気がついたら手だけじゃない。  体全体がブルブルと震えている。  外身だけでなくて、心臓も早鐘のように激しく速くなっている。  ちょっと待て。  慣れない格好にドキドキするのは琥珀さんの方で、俺はそれをリードして、そんな図式 だった筈なのに。  どっくん、どっくん、どっくん、どっくん……。  ダメか? 動揺しながら、それでも何とか手を動かす。  胸に触れた。  その感触に思わず手を引っ込めそうになる。  全神経を集中して胸の膨らみに手を置く。 「ひゃんっ」  琥珀さんの悲鳴。  驚いて俺も飛び退く。 「あ、ごめんなさい、志貴さん。何だか志貴さんの緊張が移ったみたいで私……」 「琥珀さんまでおかしくなってるんだ」  うん、琥珀さんも動揺している。  琥珀さんの惑う姿を見れたけれど、こっちがそれ以上にがたがたでは何にもならない。  意を決して……。  まずは抱き締めた。  うう、この布地の感触が。   「志貴さん……」  キスをねだられた。  腕の中の琥珀さんを強固に意識しながら、唇を寄せる。  琥珀さんが顔を上げて待っている。  重なった。  柔らかい感触。  不思議と俺も琥珀さんも舌を使ったりと濃厚なキスへと向わずに、ただ唇を重ねただけ で、じっと動きを止めている。  そのまま、体の向きを変える。  そして二、三歩前に。それで、琥珀さんは後ろに歩けなくなった。  足にベッドが当たっている。  抱き締めて体を支えたまま、琥珀さんの体をベッドに横たえた。  離れて琥珀さんを見つめる。  セーラー服姿の少女が、ベッドで仰向けになっている。  わずかに着衣が乱れている処が実に扇情的だった。  恥ずかしそうに顔を横にして視線を外している。  頬が僅かに紅潮している。  こうしていると、琥珀さんが年相応の普通の女の子に見える。   「可愛いよ、琥珀さん。やっぱり似合っている」 「……」  無言で、でもさらに赤くなったような気がする。  すばやく服を脱いで、じっと俺を待っている琥珀さんに体を摺り寄せた。  優しくキスをしながら、手は琥珀さんの体全体に触れていく。  何度もくまなく味わった馴染みの体だというのに、間にクッションが入ると全然未知の ものに触れている気分になる。  肩も、背も、ウェストから腰のラインも。脚も。  さわさわと柔らかい琥珀さんの感触を、制服越しに味わう。  外身から、やがて内へ。  琥珀さんの感じやすい処へ。  胸を、太股の内側を、そしてスカートの奥へと。  ドキドキしながら、スカートの裾を持って捲りあげていく。  ゆっくり、ゆっくりと。  本当に何度も見ているというのに、初めて見るように白い太股が露わになっていくのに 息を呑んだ。    そして、完全にスカートの前が捲り上げられて、下腹部の辺りから丸見えになった。  白い琥珀さんの肌と、そこに映え咲き誇る花びらと萌草……。  じゃない。  琥珀さんの大事な部分は小さな布切れで隠されている。  琥珀さんはショーツを穿いていた。 「へえ……」  驚きながら、手を伸ばしてそこに触れる。  気後れは消えていた。 「だって、こんなきちんとした制服を着るのなら、ノーパンなんて変でしょう……」  なるほど。  着物の時に無粋な線の出る下着をつけないのと、同じ根っ子からの琥珀さんの気配りな のか。やっている事は正反対だけど。  でも、それは新鮮で、そしてとってもいやらしかった。  白いシンプルなショーツをつけている姿。  力を入れずに恥丘から谷間の方へと指を這わせる。  柔らかい。  そして何度も探索を続けるうちに、布の感触が変わってくる。  僅かずつ湿り気を増していく。 「ふぅんん」  びくりと琥珀さんが体を振るわせた。  布に明らかな内側からの濡れ染みが浮かんでいる。  こんなものを見せられて正気でいられなかった。  それでも乱暴にならないように、琥珀さんを守る一枚を剥ぎ取ってしまう。  琥珀さんは嫌がる事無く、お尻を持ち上げて協力してくれる。  さんざん体中を手で触れて、薄い布越しに其処にも触れて、琥珀さんの秘処は色づき俺 を迎える準備を整えつつあった。  閉じてはいるが僅かに綻びから露が滴っている。  そこに指を置いてほんの少し押してみれば、真昼陽に置かれたバターよりも簡単に沈み 込み指を蕩けさせる……、そこまではまだだった。  けれど太股に手をやって琥珀さんが慌てて止めない程度に開かせてみると、谷間も僅か に開き、濡れ光る襞が露わになる。  我慢の限界だった。  「挿れるよ」
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