さて、
皆さんは『膣痙攣』という症状をご存知だろうか?
女性が精神的・突発的なショックを受けることで膣の括約筋が痙攣を
起こし、陰部が硬直してしまう現象、
大きく分けて仮性・真性2タイプの膣痙攣があるのだが、
仮性の場合、なんらかの外的ショックに女性が驚いて膣内が痙攣、
これだとせいぜい手足を攣ったり気管がむせたりするのと同程度の症状で、
これが真性になるとSEXに対する不安・恐怖心等の精神的要因が重なり
外側にちょっと指が触れただけで痙攣、といった深刻な病状になるという、
しかし、これがなにより身震いするほど恐ろしく感じるのは、
SEXの最中に引き起こった時をおいて他にはあるまい、
二人逢瀬の時、互いの愛を確かめ合うために理性の 殻 を脱ぎ捨てて、
心と体そして性器までもが密着するその時、
突如彼女の蜜壷が万力となって肉茎を引き絞り、睦みの余韻などなく
救急車の厄介になどというエピソードは誰でも一度は耳にしたことがあるだろう、
芸能人カップルがコレで、結合したまま病院に担ぎ込まれたという噂は
今や都市伝説と化しているほどで、
ひとたび硬直した膣に飲みこまれた男根は、たとえ萎えたとしても女陰から
引き抜くことは不可能とされる、まことに厄介な現象である。
して、何故このような講釈を冒頭にたらたら述べ続けているかというと、
むろんこれはこれから明かす重大事実の前フリにすぎない、
なんと、我らが凛様がこの膣痙攣を引き起こしてしまったのだ。
むろんその陰部はカラの仰向け器というワケではなく、
愛する士郎の男性自身がライブで入れられているスンポーであるから、
さあ大変。
ちなみにライブ=今、
ライブ=生、
意味多重、
凛は慌てて脚バタつかせ、士郎は精吐き丸くなる。
「ああッ!やだッツ!!やだやだやだやだやだ・・・・・・・!!
出さないで!我慢して士郎、・・・・・!!!!」
引き抜けないんだから膣外射精なんて前提的にムリ、
性経験もいまだ浅く、おっかなかったり怖かったりで断固やらせなかった
中出しも拒みようがなく、
これまで誰にも侵されることのなかった凛の卵巣に、幾千の子種どもが
休むまもなく注ぎこまれる。
卵管を進む精子の刺激に、ビクリビクリと卵形の尻がのたうつ、
まあこんな時に限ってゴムを付けてないことこそ、
『ここぞというときに致命的なミスを犯す』という東西稀有の特殊属性保持者
たる凛様の面目躍如であるが、
それをいうなら膣痙攣などという人口に膾炙した緊急事態サンプルこそ、
まさに彼女のためにあるといっていい苦境か。
されども、まだコレには続きがある。
膣痙攣だけでは『ここぞというときに発生した致命的ミス』にはなりえず、
イチモツが抜けなくなった、ただそれだけで成立するのは『致命的ミス』の
部分だけであり、重要な前半分、『ここぞ』といえるだけの状況がいまだ
語るには至ってない。
・・・まあ、致命的なミスが起きればそれだけでドコもココもないのだが、
むろん、それだけで終わる凛様では決してなく、
つねに僕らの予想をはるかに上回る大ポカを見せ付けてくれる。
――――要するに、
いま二人が繋がりあってるこの場所が、学校の弓道場であるということだ。
なんだか最近プレイもワンパターンになってきたので、
ちょっとしたちがう刺激を求めようと休日の校舎に忍び込んだのが
そもそもの禍根、
余勢を駆って練習のない弓道部にまで足を踏み入れて、そこでコトに
及んだのが間違いの始まりだった。
遠くのグラウンドで、野球部の関根君が打ち上げるフライのノック音が
鳴り響く、
甲高い音だ。
アレが凛の括約筋を狂わせた。
「率直に凛様膣痙攣になる」
作:40%の60L
――――でだ。
「・・・・・なぁー遠坂、空が青いぞー。」
いつまで途方に暮れててもしょうがないので、適当に目に留まったことを
口にしてみる。
「・・・ホラ、あの的の向こうの雲、なんかウサギみたいな形してない?」
かつては見慣れていた射場に仰向けになって寝転ぶ俺、
背中には板張りの床の、固さと冷たさが、
そして胸の方には圧し掛かった乳房の、柔らかさと熱が、
相反する感覚がサンドイッチになって、なんだか妙に落ち着かない、
「お、また白球が上がった。
関根君、気合入ってるなー、春の選抜一点狙いだ。」
しかし、遠坂のヤツは相変わらずだんまりだ。
こちらがアレコレ話を振ってやってるのに、俺の胸板に頭をうずめたまま、
俺のナニを下に咥えたままなにも答えてくれない。
まあ気持ちは判らないでもないんだが、
俺だって今がA++級の非常事態であるということはわかっている。
わかっているつもりだ。
日頃、桃源郷のように俺を蕩けさせてくれる遠坂の蜜壷は、
いまや子泣き爺のよう俺の剛直を掴んで離さず、
この状態から弓道場を脱出するのは至難の業で、まして校舎からはるか遠く
を望む衛宮の屋敷や遠坂の家に帰還するなど不可能の極みだろう、
あらかじめ藤ねえからウラをとって今日が弓道部の練習休みという
ことは調べがついているのだが、
それでも休暇返上で青春の汗をながす部活動のみなさんがグラウンドに
チラホラしている以上、危険はまったくないとは言い切れない、
いや、むしろこの閑散とした無人の道場は、大いなる危険に包囲されている
といっても過言ではないのではなかろうか、
誰かがきたら終わる、
誰かにこの痴態を見られたら終わる、
なにせ学園一のアイドルが男をまたいで股間をうずめているSEX現場など、
かようなスキャンダルに騒がないむっつり高校生のガキではない、
しかもその相手が校内ではそれほど知名度も得ていない、要するにイマイチ
パッとしない衛宮士郎に純潔を奪われたなんてことが知られれば尚更、
これまで完璧を通してきた遠坂の声望も終わるだろうし、俺の生命も終わる。
そんな伸るか反るかのかかった正念場である。
しかるに双方、気軽におしゃべりなぞできる精神的余裕は皆無であり、
こうしてのったり駄弁を繰り返す俺のほうこそむしろ場を弁えてないと
咎をうける身であろうのだが、
ことここにいたって遠坂が、そんな俺に対してボツリと一言漏らした。
「・・・・・・・・気持ち悪い、」
―――○ヴァか、
そうか、やっぱりお前のモデルはアレだったのか、
紅いしツインテールだし高飛車だし、
お前があのプラグスーツ着てても違和感まるで湧かなそうだしな、
「ちがうの、
お腹の中が物凄い気持ち悪いの、
アンタがあさましく中出しした、その、精液が体内に沈殿して、自分のなかに
他人のモノが蠢いてるかと思うだけでスンゴイ気分がおぼつかないの、
少しは察しなさいよ、
行為の後にはまるで気が回んないなんて、まったく典型的なダメ男なんだから、」
遠坂は泣いてんだか怒ってんだか、にわかに判断しかねる声色で
恨みがましく俺を睨みつける。
まあ、そんな涙を浮かべた拗ね顔ではトキメキこそすれ怖くなんかないやい、
「なんだよ、俺だってこんなことになって相当テンパってるだからな、
いくら男が済んだ途端に冷静になる生物だっていっても、この状態じゃあ
相手に気を回す余裕なんてないっつーの、」
「ふんだ、この程度で周囲への配慮がおろそかになるほどオタつくなんて
衛宮くんも小物ですこと、
男だったらもう少しドカッと腰を据えて、頼りがいのあるところを見せてくれる
べきじゃなくて?」
「・・・腰が据わってるのはお前の方だろう、
腰というか尻か、地面に深く突き刺さってテコでも動きそうにない、」
「―――!!!、なんですってぇーーーーッツ!!!」
人をやんやとなじる自分の言動にこそ優美さが欠けていると思う遠坂、
そんなテンションでもきっちり悪態を忘れないオマエの素敵さに
俺の忍耐もついえそうです。
だが、それでもこんな狼狽しきっている彼女へ憤りにまかせて猛反撃を
かけるのは、いくらなんでもはばかられる。
それくらい俺の体躯に身を預けるしかない遠坂は心の底から弱りはて、
この唐突に降りかかった未曾有の危機に抗うすべなく震えるさまは
本物のいたいけな少女のようだった。
なにせ抜けない、
どんなにがんばっても抜けない、
遠坂の膣に沈みこんだ俺の剛直は、さながらコンクリートに打ち立てた鉄柱
のごとくビクともせず、
赤い糸にかわる新手の呪いか?と勘繰りたくなるほどだ。
これがウワサの膣痙攣、
睦事の最中にチンコが抜けなくなって男女ともども大あらわとゆー小話は
よく聞くものの、まさか自分自身がその被害者になる日が来るとは
お釈迦様でも予想がつくまい、
「くっ・・・。こんなことで、この私がなすすべなしなんて、
これじゃあ遠坂の家柄に顔向けできないわ・・・。」
いや、こんなことにこそ家柄もなんも関係ないと思うのだが、
それでも己がプライドに障るところがあるらしく、徒労と判っていながらも
遠坂は今一度、分離への模索を試みる。
押したり、引っ張ったり、捻ったり揺すったり、
などした悪戦苦闘を連ねるも、彼女自身の一部であるはずのヴァギナは
この時だけ遠坂の意志から切り離されたかのように脳からの指令を
断固受け入れず、とにかく硬くて抜けないのだ、
今日びアヴァロンの鞘だってここまで堅固ではあるまい、
引いてもダメ、押してもダメ、それでも諦めずに引いて押し、押して引き、
引いて押して引いて押して引いて押して引いて押して引いて押して
引いて押して引いて押して・・・
「あ、やば、」
どぴゅ、
・・・出ました。ちがうものが、
「はぁあッツ!!?・・・・・んっ・・・・ああぁ・・・・・」
不意打ちが功を奏したのか、
ビクビクと腰を波打たせて射精の勢いを躯の奥で受け止める遠坂、
「アンタ・・・・なっなにしてんのよぉ・・・す、すこしは我慢ってものを・・・、」
本日二度目の膣内ゼロ距離射撃、
多分コイツも途中からその気になっていたのだろう、騎乗位でまたがる
その相貌は悦楽にだらしなく唾を零し、俺の胸元にポタリと落ちる。
「そんなこといわれても・・・気持ちいいものは気持ちいいんだから
しょうがないじゃないか、
大体俺の先端、ずっとお前のなかに閉じ込められてるんだから、いうなれば
ハチミツ風呂に軟禁されてるようなもんだぞ。」
芯から温まるやら極楽極楽やらで、完全にフヤけておりますです。ハイ、
「こ・・・・っのバカっ、なんたる言い草・・・
アンタ判ってるの、中に出しちゃったのよ?膣内射精よ?
本来なら男のアンタのほうが青い顔して狼狽こいてるところを、私ばっかり
慌ててバカそのものじゃない、
ねえ士郎ぅ〜、少しは現実に直面してよぉ、赤ちゃんできちゃったらどうする
のよ〜・・・・、」
―――そういえば、
よくよく考えてみたら、かれこれ数えるのが面倒になってくるほど体を重ねた
俺と遠坂、
しかしながらこうして最後まで生のままで果てたのはこれが始めてな気がする。
遠坂のやつ、ほぼ突発的だった初夜の閨は別として、それ以後はなにかと
ギャーギャー騒いでゴム付きでないと入れさせてくれなかったからな、
それがなんで今日に限って生挿入になったのか、
その辺に思いを巡らせると遠坂の遠坂たる由縁にせつない心地がこみ上げ
てくるのだが、
たしかに、なすべきコト(避妊)をなさずして、そのあと当然のように招来する
結果を考えて慌てない男はいない、
聖母マリア様のごとき展望で赤子にお乳を与える遠坂の図、
うわ、すんげえ絵になんねえ、
「遠坂、今日、大丈夫な日なのか?」
今更ながらに聞いてみる。
「判んない、私、自分の排卵周期なんて測ったことないもん、」
「なんだいそれ?
お前、こんだけ自分から毎日のよーに求めておいて、危険日とか
安全日とかまったく気にしてなかったのかよ!?
うわ信じらんねー、それでよくナマでしようなんて思い至ったな!?」
「それはっ・・・、最初は散歩のつもりで足を伸ばしただけなんだから、
周到にゴムまで用意できてるわけがないじゃない!!
だから私はイヤだっていったのに士郎が無視して抱きついてきて、
加えてこういう時に限ってアンタはいつも以上の手使いで抵抗なんかする暇
もくれないし、
私だって空の見えるところでするのなんて初めてで、環境に慣れる前に
だんだん気持ちよくなって、ぽやーっとして、うやむやのうちに・・・・て、
ッッッッッだーーーーッもうッツ、
そんなことはどーでもいいのよッツ!!
私は魔術師なのっ!魔術師は魔術師として自分のバイオリズムにだけ
気を配っていればいーんだから、オギノ式になんて割いてる余力は私の
生活には1ミクロンもないのッツ!!!」
「っだったらなおさらだんべオメーはっ!!
女性と狼は月に支配される者だぞッ!?
成熟した母体の生理周期には、マナの循環も密接に関係してるってのは
素人同然の俺でも知ってる話だってのに、それをおろそかにして
魔術師宣言たーどーいう開き直りだよ!!?
女魔法使いはアノ日になると魔法が使えなくなるっていう伝説的設定を
知らんのかオマエわッ!!?」
「んな いんばーす な設定はヤシガニと一緒に忘却して
おしまいなさいッツ!!」
二人しかいない状況で二人ともテンパってると、どーにも治まり所が
見えないものだ。
弓道場は久方ぶりの休息に清閑な空気をひそませるというのに、追い詰め
られたカップルのかしましい罵詈雑言がやんやと飛び交う。
「なによぉ・・・士郎のバカ・・・、
大体こういうことは、結婚してからじゃないとしちゃいけないんだから、
・・・それを、士郎なんかにされたら、
士郎と結婚しなくちゃいけないじゃない、
まだ高校生活も修めてないってのに・・・、どうしてそんな目にあわなきゃ
いけないのよ・・・・・、」
「いや・・・遠坂、そんな急に・・・。」
「なんで私が士郎風情を婿に取らなきゃいけないのよ、
分不相応にも限度があるわ。」
待てやコラ、
キサマ、いうにコト欠いて超失敬なことを口走ったな。
「それとこれとは話が別なの、
モグリの士郎は知らなくて当然でしょうけど、魔術回路の共有といった目的
で交わることの多い魔術師は、
そういう意味でのSEXとちゃんとした夫婦の営みでやるSEXはキッチリ
分けるのが通念なの、
自分が心血注いで切り開いてきた体系をより完璧な形で後世へつなげる
ためにも、子作りは魔術師にとって重要な行事なんだから、
遺伝形質とか、父母の相性とか、
そういう雑多な因子を最高のバランスにセッティングして、自分の後継者に
より相応しい子供を得るために私たちは労力を惜しまない、
なのに、今みたいな快楽を求めるだけのSEXで妊娠なんて最大級の
しくじりでしないのよう、
・・・・・・・・あぁ〜もうッツ、
この時期から計算したら、時計塔の開講には抱っこヒモ装備が
確定じゃないの!最低だわソレ、周囲の笑いものになること確実・・・・・・。」
虚空を見上げたり、と思ったらうなだれたり、ちょっとした奇声をあげたり
など、とかくわかりやすい形で途方に暮れてる遠坂、
本当に、恥ずかしくてたまらんのだろう、
そうして自分が腹をいためいて産んだ子を連れて協会に乗り込む
自分の未来映像を、
そこまで刻銘に思い描くのは、逆にいえばそれを妄想して酔いしれる
夢見る少女に類似しないものがないともいえなくもない、
そう思えば、こうした遠坂の狼狽もむしろ可愛らしく見えてくる、
だってコイツ、散々愚痴をこぼしていながらも、『堕胎』なんてことは一言も
出さないし、結婚だって受け入れてる、
受け入れてるからこんな文句だけがホイホイ出てくるんだ。
そう思うと、自然俺の上でマウントポジションとってる遠坂を引っぱって、
胸のなかに抱き寄せるなんてキザな真似ができてしまった。
再び柔らかい膨らみが、あわただしく脈打つ鼓動とともに伝わってくる。
「よしよし、そうなったら俺がちゃんと一生面倒見てやるから、」
「・・・ばかぁ、士郎なんかに食わせてもらうほど落ちぶれてないわよぉ」
五指で黒髪を梳いてやると、
その優しい動きに感化されるように遠坂自身も髪と一緒にとけていく、
なんだコイツ、
結局俺にこうしてもらえれば、将来の不安などどーでもいいんじゃないか、
俺さえいれば、俺がこうして遠坂の傍を離れなければ、
どんなけったいな事態がサクセスロードにケチをつけようと私は幸せよ、
と言ってるようで、俺のほうもなんだかムズ痒い気分になってくる。
だがな遠坂、憂うべき問題は十月十日先よりも、
ガタゴト、パタパタパタパタ・・・・・
もっと目の前にあるんじゃないか?
「おいーっす!休日一番乗り!!トップは私、最下位も私!!!」
バガンと扉を開け放って、射場に猛虎襲来せり、
あんなわけの判らんことくっちゃべる輩は後にも先にもヤツしかいねえ、
そこには、俺に『今日は弓道部の練習お休みよ』と知らせた張本人である
はずの藤ねえが、
私はそんな常識に縛られねえとばかりに
盗んだバイクで走り出す勢いで推参していた。
対して俺たちはいち早く侵入者を察知して、なんとか藤ねえに発見される前
に射場の奥にある更衣室に逃げ込むことに成功、
先の聖杯戦争だって九分九厘、火事場の潜在能力だけで勝ち残ってきた
俺である、
女一人を駅弁スタイルで抱えたまま9秒台で猛ダッシュなど、このピンチ下
ではぜんぜん大したことじゃない、
(ちょっ・・・士郎ッ!なんで藤村先生がここに来てるのよ!?)
(しっ、静かに・・・・・・ッ!!)
更衣室のドア越しに、忽然と休日の弓道場に出現した教師・藤村大河の
動向に目を光らせる俺と遠坂、
イヤなんだ、遠坂のいうとおり状況はタイヘン妙な方向へ進路をとった
ことは確かなんだが、
藤ねえは弓道部顧問である、
ゆえにあの人がこの弓道場に現界しているのは少しもおかしい話ではなく、
むしろ義務、仕事?
そこで問題なのは今日は春休み休暇で部活動も休みで、
藤ねえがここへ訪れる理由は、この日に限って一切ないということだ。
しかも、こうしてドアの隙間から伺うに、
藤ねえの様子にはなにかあからさまな怪しさがあった。
なんか、山中に死体を埋めにきた殺人犯ばりに挙動不審だ、
(・・・ねえ士郎、あの藤村先生なんか変じゃない?)
遠坂も気付いたらしい、
まあ男と合体したまま冷静な観察眼を光らせている彼女も負けず劣らず
変といえば変なのだが、
それはともかく渦中の人藤ねえは肩の骨をコキコキ鳴らすと、
踵を返し、出入り口のほうからなにやらズルズルと引きずってくる。
いや、ホントに死体遺棄してるんじゃなかろうな、と俺と遠坂、
細長い視界から食い入るように事態を見守るに、その引きずってくるものの
正体をやっと知ることができる。
弓道部主将・美綴綾子、
しかも意識なし、
でないとうつ伏せたまま、脇を持った藤ねえに地面を引き摺られる説明が
つかない、
マジ事件!?と遭遇した俺たちは一気に顔を青くさせるが、
当の藤ねえはテキトーに見晴らしのいいところまで美綴を運び終えると
屋根の切れた先にひろがる大空を高く見上げ、
一仕事終えた達成感を発散させるようにこう言った。
「いやー、やっぱりクロロホルムで昏睡は変質者のロマンよねェー。」
「「犯罪者ァァァーーーーーー!!?」」
藤ねえのアホ発言に堪りかねた俺たちはドアを蹴破り、
今盛りなるノリノリの性犯罪者に正義の鉄槌を下した。
「ぎゃふんッ!!?」
一足飛びで接近したのが俺の脚力なら、
そうして射程範囲に入った奇人に一撃与えたのは遠坂の美脚、
惚れ惚れするほどのラブラブコンビネーションである。
黄金の右脚を喰らった藤ねえはその勢いを止められずバスンバスンと
板張りにバウンド、しかし爬虫類を思わせる見事な動きで着地に成功する。
何者だあの人は、
そしてなにが起こったのかと視線を上げ、ぶつかり合う眼光の先は、
仁王立ちする俺・衛宮士郎と、
お尻丸出しでそれに腰を擦りつける遠坂凛、
「え・・・?あなたたちは士郎に遠坂さん?
なによそのはしたない恰好は、こんなところでなにやってるの!!?」
「「それはこっちのセリフだッツ!!!」」
見事なるハーモニクスで、自分たちの淫行を棚上げした。
――――――――――――――――――
「なるほどねぇー、士郎くんに凛ちゃん、若さゆえの冒険心が
裏目に出たわけだ。」
認めたくはないものよねぇーなどと、
板張りの上に胡座をかいてフムフムと頷く藤ねえ、
正面には同じく胡座をかいて座す俺と、その俺に“太一”っぽい感じで
密着している遠坂を面前に置いているだけに、その順応性は見習いたいよう
で見習いたくない、
あれから言葉にするのもはばかられる大混戦が続いたあと、
あまり騒ぎをデカくして音が周囲に漏れても、お互い追い詰められるだけだと
いうことで停戦に同意した。
双方スネ傷もつだし、
とりあえず惰眠中の美綴綾子はそのまま放置し、
ここは藤ねえと協力して、このお姫様の固く結んだ蕾をどう開かせるか
知恵を絞りあおうとなったわけだ。
結局問題は、遠坂の膣痙攣をどうにかせねば、という一点に帰結する。
コレをなんとかしない限り、俺たちは衛宮の屋敷に無事生還することもでき
ないし、この性職者を社会正義のもとに鉄槌することもできない、
だからこそ恥ずかしくて死ぬ!と泣きわめく遠坂を説き伏せて、人前に
姿を表しているというのに、
「・・・・・・・・藤ねえ、ナニやってんのさ?」
藤ねえは自動販売機の下の十円玉を見つけ出さんばかりの体勢で
俺と遠坂の結合部分をガン見していた。
「うっっっっっっっっっっっっっっっっっっわスゴッ!
こんなにまで拡がるんだ女の子のココって!!?」
藤ねえは興味シンシンであった。
それに遠坂は耳まで真っ赤にし、顔から火を出しそうにし、涙目になって、
とにかくできる表現法を総動員して頭の熱を放出している。
「藤村先生〜!
なに臆面もなしに人の恥部を覗き見してるんですかっ!?
止めてくださいッ!お願いだから止めてください!
犬の求愛行為じゃないんですから!!
先生は私のコトなにやっても動じない鉄面皮かと思ってるでしょうけど
私だって恥ずかしいことは恥ずかしいんですからッツ!!」
「いんや〜、私だってわかってるわよ〜、
遠坂さんだって女の子だもん、恥じらいの一つもあるわよね、
でも、普段は完璧超人装ってる遠坂さんだからこそこーいうときの大チョンボ
が可愛いっていうか、
・・・にしても、遠坂さんのアソコって私のよりビラビラが派手よね、
やっぱ女の子も人によって違うんだ、
ウン、陰毛もキレイにそろってるしモリマンはふっくら形もいいし、
・・・・・・・・オヤ、入り口からお尻にかけてこびり付く精液の筋が、
士郎!アナタ中出ししたでしょ、ちゃんと責任とるつもりでしょうねッ!?」
「やーーーーーーーーーッツ!!やッ!やッ!!
もうだめッツ!!!士郎回って!回れ右!!背中の方向けて藤村先生の
犯視から私を遠ざけてッツ!!」
サー、イエッサー、
くるりとターンして∀(ターンエー)、エックスはターンしてもエックスじゃないのッ!
これで藤ねえから見えるのは俺の背中だけで、
遠坂は無事この性職者に目で犯されることはなくなった。
しかし、俺に抱擁される形を崩せない遠坂は、当然俺が背面をさらせば
彼女が前を向くこととなる。
ガンガンに目が合ってるだろう性職者とその獲物、
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」
哀しくも後ろに眼のない俺には、好奇の視線を背中で感じ取るしかない、
しかしまあ、それすらX線ばりに強く突き刺さってくるから悲惨だ。
しばらく無音の緊迫が続いたあと、
「・・・・・・・・士郎。」
遠坂がポツリと、
「やっぱり反転して、なんかアソコ見られるほうがまだマシっぽい、」
結局360°で戻ってくる俺たちだった。
ええい、このままじゃラチ開かん、
俺は意を決して、
「藤ねえ、遠坂の尻に指突っ込んでくれ、」
とハキリ提唱した。
「は?」
「え゛!!?」
音符は異なるも、おおむね似通った語彙の感嘆句が
異口同音に通る。
耳を疑うのも無理もない、
しかし、事態は既に予断を許さないところにまで侵攻しつつあるのだ。
「なんかで膣痙攣にはマッサージがいいと聞いたことがある、
尻の穴だともう一つの性帯感だし、ショックも大きくて硬直も
取れるかもしれない、
記憶喪失とてショック療法が有効だったら、筋肉の硬直にも効果はあろう。」
「どーいう理屈よ!!?いやっ!!?やめぇーーーーー!!」
背水の陣とばかりに本気気味で抵抗する遠坂、
バタバタと俺に絡ませる両足を振り回し、俺の首に回された両腕はポカポカと
いたるところを殴打する。
しかし、遠坂にはどこにも逃げ場はない、
ないからこういう困った事態に陥ってる。
互いの性器という赤い糸以上の硬度をもった絆で結ばれた俺たちは、
それを切り離さない限り、逃げることなんてできないんだ!(演劇調、
「あああああの士郎、いいの?そんなエロいことしちゃって、」
藤ねえはなんか困惑したふうに聞き返してきた。・・・はて?
「どうしたんだよ藤ねえ、
美綴をこんなとこに連れ込んでイタズラしようとしてたアンタにゃ
わけもないことだろ。」
「ソレとコレとはまた事情が違うのよぉ〜・・・。
だって、と、遠坂さんよ?とりもなおさず学園のアイドル1号遠坂さんなのよ?」
「じゃあ今日から哀・ドール一号に認識改めとけ。」
「あぁ〜なるほどその手があったか、士郎ってよく機転が利く・・・
って、そういう問題じゃないでしょ士郎のばかぁ、」
そっちこそなんだよ?
さっきは美綴相手に濃厚な痴漢行為を働いておいて
ここに至って及び腰とは、大体藤ねえがそういう趣味の保有者だったことから
して藤ねえフリークの権兵衛党さんに不評を買ってるんだから
この件は夜にでも徹底的に追及させていただく、
それよりも今は遠坂だ。
俺はゴロンと床に仰向けになり、遠坂の奥底を藤ねえの眼前にさらす、
この体勢だと、俺の上に重なる遠坂は四つん這いみたいになって、
藤ねえの視点からはさぞかしな絶景が拝めることだろう、
俺の剛直に貫かれた陰部と、問題のアナルが一画面に収まる大ボリューム、
尻を振って誘われているようなものだ。
遠坂の絹を裂くような怒声があがるがその辺は黙殺、
「あー・・・・あうあうあう。」
それなのに、さっきまで完全な変質者であった藤ねえは、夢を壊された
童貞君のように立ち尽くすのみ、
ホントにもーなんなんだこの人は、
「と、ときに遠坂さん、事前に聞いておくけど後ろのほうのご経験は・・・?」
「ないに決まってるでしょう!!
そんなことされるんならその前に士郎の○○○噛み切ってるわッツ!!」
「あぁーそうよね、士郎もそこまで鬼畜じゃないって信じてたわ。」
・・・・・信じてたけど、
ポリポリポリと頬を掻いて、顔にはびっしょり脂汗、
その様子に痺れを切らした俺は、
「ああもうじれったい!!
もういい藤ねえには頼まんから俺がやる!!
アンタはそこで見守ってて衆目プレイに協力してくれればいいさ!!」
と、なぜか半ギレで遠坂の尻に指を走らせる。
俺もこれでけっこー追い詰められてるようだ。
そう、思えば俺の体勢からは充分遠坂の尻に指が届くんだから、
なにも恥を忍んで藤ねえにお願いすることもなかったじゃないか、
節くれ立った指が、いまだ清純を守り続ける菊の華に到達する、
誰にも触れられたことのない領域、排泄器官の域を出ず、性器としての意義
すらまだ与えられえいない聖域、
その秘窟に狙いを定めた節くれが、頭頂からギリギリ埋没を試みるも、
「いやっ!!?・・・・いい、痛いっ、やめて士郎、やめっ!?」
遠坂が、苦痛に嗚咽を吐いた。
彼女にとっては、想像にも及ばない部分を攻められる意外と混乱、
処女喪失の恐怖と痛みにすら耐え忍んだ遠坂がこれほどまでに
もろいのはこれまで重ねてきた逢瀬の回数が、
自念と彼女に男の悦ばせかたを仕込んでいったからだろうか、
至近で見る遠坂の苦痛に歪んだ顔は、妖気が漂うほどに儚くて美しい、
指は、まだ第一関節すら沈んでいなかった。
「やだっツ!!?痛い痛い痛い!!!士郎やめてぇ!!!
コワイッツ!やだぁーーーーーーーーー!!」
バタバタと、俺の肩をしたたか打ちして懇願する遠坂、
その叫び声にも戸惑いというものがない、絶叫というほうが近いだろう。
グラウンドの連中に聞かれてしまいそうな大音響に、こっちまでビビリる、
そこへ
「ダメよ士郎、女の子はガラス細工なんだから乱暴に扱うの禁止!」
と乱入してきた藤ねえが、俺の指をスルリと抜き取った。
その瞬間がわからなかったほどの早業、
これが藤ねえが男で俺が女だったら、訳のわからないうちにパンツまで
取られ、素っ裸にされてたんじゃないかってぐらいの、
「も〜う、指先もまったく濡らしてないし、
こんなんでよく入れる気になったわねえ、士郎もなかなかいい男になってきた
けど、切嗣さんに並ぶのはまだ先そう・・・・」
藤ねえが、俺の指先をまじまじと見て、
「こういうのは、キチッと濡らして・・・・・・。」
それを口に含んだ。
「なっっっツ!!?なにしてんだ藤ねえ!!?」
ホントになにしてんだよ、
俺の指、いつも水仕事やら工具扱いで煤けているこの指を、
しかもホンの入り口とはいえ遠坂の肛門に侵入して、汚物のこびり付いてる
かもしれないソレを、まるで男のモノを愛でるかのように、
口に咥えている。
「ふみゃ、ひろふのふひだほん、ひたなふにゃいっへ・・・。」
藤ねえは、人差し指と中指の2本を、その口内に飲み込んでいる、
トロリとした唾液が流れて、二本の間を埋めていく、
竹竿を登る蔦のように、舌が絡み付いていく、
こんなのはズルイ、いやマジでズルイ、
こんなに絶妙な舌技は俺にとっては夢物語でしかなかったものだ。
そもそも女体の甘露自体、遠坂のそれしか知らない浅学な自分にとって、
こんなのに比べれば以前拝み倒して遠坂にしてもらったフェラなどまさしく
児戯としか言いようがない、
そう思うと意識のどこからか悔しさがこみ上げてくる。
そんな人外秘境の楽園を味わえるのがなぜ指などで、本来の招かれ役
であるはずのペニスがその快楽にありつけないのかと、
この指先より何倍も敏感な亀頭が、このヌメリと熱さに触れられれば、
今とは比較にならない、ほどの快感が全身に迅ることになるであろうに、
ああっ、なぜ藤ねえは指なんかを咥えて、俺のチンポをしゃぶってくれない
のだろうか、
そうか、俺のアレには、今別の被り物が付いているから、
遠坂の、遠坂のヴァギナさえ俺から離れれば今すぐにでも
この天国の門を潜れ――――――――――――!
「・・・ああッツ!!あんっ!あんッツ!!?ダメッッ!!」
天から甘い嬌声が降ってきた。
気付けばなぜか遠坂のほうが悩ましく身悶えている。
状況確認、既に藤ねえは俺の指から離れ、かわり遠坂のアナルを
おいしそうにムシャぶっている。
そうか、遠坂がこんなに乱れているのはそのせいだったか、
しかしなぜそこまでの過程が思い出せないのホワイ?
・・・・イカン、俺飛んだ?
指なめられた如きで飛ばされてた?
全身にえもいえぬ屈辱感を覚えずにはいられないが、何かしらの不平を
漏らす起点を制し、
藤ねえが一回、肛門をベロリと舐めまくってから再び俺に意識を向けた。
そうかわかった、この人は興が乗ると暴走するタイプだったか、
「ホラ、これぐらいほぐせばそろそろ大丈夫よ士郎、
もっかい挑戦してみ、でも優しく、ゆっくりとね」
アナルに集中砲火を浴びた遠坂は、その弾幕の途切れに開放されて
力尽きたかのように、俺の胸にもたれかかってきた。
いや、実際息切れしてるのは間違いない
顔中から流れる汗は俺の頬に落ちて、運動で流したものとは違う
濃厚な異臭を発していると気付かせる。
俺の角度からは窺い知ることはできないが、きっと重点的な的となった
菊門はヒクヒクとだらしなく痙攣し、唾液だかなんだかよく判らないものを
垂れ流してるんだろうな、
この遠坂の顔、精も根も尽きて日頃の猫かぶりから倣岸まで全崩壊させられ
たような女の顔、
こんな表情、俺としたときだって見せなかったというに、・・・・あ、
「・・・・・・・・・遠坂、もしかして膣痙攣が解ければ藤ねえにマンコ舐めて
もらえるのに、とか思わなかった。」
今しがた自分に浮かんだ妄言をそっくり彼女に置き換えてみよう。
「なッッツ!!なぜそれを・・・・ッ!!
イヤイヤイヤ、そんなわけないでしょ!!ないわよ!なにいってるのよ!!」
あからさまだった。
人の話しなんて聞こえねえとばかりに ぐったりしてた中、この問いにだけ
過剰に反応するもんだからなお怪しい、
ああもう、しょせんガキの浅はかな経験では大人のテクに翻弄されるだけ
ということか、
「・・・ホラ士郎、ぼっとしてないでチャッチャやる!
早くしないとせっかく潤した指とアナルがまた乾いちゃうでしょ!?」
この集団で一番エロいことをしてるはずの藤ねえだが、なぜか調子は別段
変わらず熱に浮かされてるという様子もない。
ほんとに何なんだこの人は?
しかし藤ねえのいうとおり唾液を吸いまくった二指は、見てみれば風呂から
上がった直後のように皺々にふやけていた。
うん、これなら入るかもしれない、
とその前に、藤ねえの唾にまみれた指先も、俺もペロリと舐めてみる。
「やっ!!?なにやってるのよ士郎!!?」
藤ねえがここにきて初めて赤面する。
「・・・いや、藤ねえと関節キス。」
「バカ!そんなこと彼女の前でやるんじゃありません!
いいからアンタはそれで遠坂さんを愛でてあげればいいのッ!!」
と、これだけのことで藤ねえがここまで狼狽するとは思わなかった。
なんだかこれまでしてやられた分をやり返せたようで嬉しい、
だが藤ねえの言うとおり今は遠坂を構ってやらなくては、大体なんでこういう
ことになったのか今更思い出せなくなってきたけど、
とにかくこれを遠坂のお尻に――て、なんでそんなことせにゃならんのか?
アレ?俺ってそこまで変態だったっけ、
若いんだからまだ普通のSEXにも飽きてないし、
まだまだ前の穴だけで充分満足だよな?
それがなんでこういう奇天烈な事態をよんで・・・ん〜なにか重大なことを
忘れまくってる気がするんだなと、この期に及んで物思いにふけっていると、
突如俺の口を塞ぐ柔らかさがあった。
遠坂の潤んだ唇だ。
「んん―――――――!!?んっ!んッツ!!?」
急なことで、不覚にも呼吸を乱してしまう俺、
侵入してくる舌が、もがき苦しむ俺の舌をがっしりと固めて引き上げる、
ついでに唾液も残らず吸い上げて、俺の口内はますます真空に近くなって
いった。酸欠になる!?
「――――――――はあぁッツ!!?はっ、はっ、はぁ?」
やっと唇を離してくれた。
――ってかオマエいきなりなにしやがる、
いくらなんでも不意打ちでこんなに激しく、・・・めっちゃ激しかったぞ!
呼吸ができなくなるほど激しく吸って、世界が白くなりかけて、
ディープキスで死ぬことがあるなんて始めて知ったわ!
「・・・なによ、私は、士郎と直接キスしたんだから・・・・。」
「え?」
瞬間、なんだか遠坂の雰囲気が変わったことに気付いた。
顔色に言いよどみない切迫が浮かんでいる。
眉根をきっと切り結び、眼には艶かしい炎を浮かべ、
なにかに挑もうとする、そんな女の決意が伝わってきた。
「・・・士郎は私の恋人なの、士郎とSEXしていいのは私だけなんだから、
士郎がやりたいんなら外でするのもいいし、お尻にだってかまわない、
実際そうしてきたでしょ、この私が、恥も外聞もかなぐり捨てて
アンタみたいな劣等生の情婦してやってるのよ、
なのに、
・・・・・・・・なのに、
それでなんで満足できないのよ!!?
そりゃ、私にはまだ藤村先生みたいな技巧はないわよ!
でも覚える!きっと覚えるから士郎は私だけを見て!他の女なんかに
意識を向けないでっ!!」
言い終わるが先か後か、遠坂は俺の性器が収まった腰を、再び乱暴に
振り出した。
さっきの藤ねえの愛撫でペニスは充分に勃起している。
そのペニスを引き千切るぐらいの剛力で遠坂は一心不乱に、いや一生懸命
に膣壁を擦り合わせていた。
「いいよ・・・・、膣もこのままでいいから・・・・
ずっと士郎と繋がったままでいいから・・・・、
そうしたら士郎・・・私だけ愛してくれるよね・・・・ねっ・・・?」
知らなかった、遠坂のヤツこんなに嫉妬深かったのか、
もしくは独占欲、
優等生として手に入れようと思えばなんでも手に入れてきた彼女の矜持が、
手にした物を他人に奪われることを拒むのか、
遠坂は色んなものに恵まれていた、恵まれているからこそ失うのを怖れる。
その一面として遠坂の所有物のレッテルを張られてしまった俺だが、
それを守るために、こうして優等生の誇りを捨てて女の対面にすがる遠坂を
悪いとは思わない、むしろ高揚する。
遠坂は誇りを守るために誇りを捨てた。
後に残るのは俺だけだ、
そんな彼女の矛盾と、そことは別次元に置かれた自分の地位に思いを
馳せて、俺の興奮はこれまでにないほど高みにつめる、
俺は遠坂凛の意識のこんなに重大な部分を占めているんだ!
そんな明察が俺の支配欲を弾けさせる!!
「遠坂ぁッツ!!」
「きゃあっ!!?」
グルンと回って攻守交代、
シーソーの要領で体を回転した俺たちは、騎乗位から正上位へと移行して
今度は俺が攻める番だ。
遠坂も全力でピストンしていたが、所詮は女の力、
彼女の上下運動をシェイカーとしたら、俺の前後運動はドロップハンマだ。
繊細な神経など引き裂いてしまうような暴力的な振動が、
遠坂の奥壁をギリギリギリと圧迫し、一度引いてから、さらに巨大な圧力で
叩きつける!!
「きゃはぁッツ!!!!!はっ!はっ!!・・・・あぐっ!!?」
遠坂は呼吸すらままならない、
細い、柳美を思わせる腰がギチギチと嫌な音をたてて仰け反る、
ふっくらと曲線美を描くバストは無残なほど型崩れして上下に揺れている。
「ゴメン遠坂・・・オレ、押さえ切れない・・・・。」
「うん・・・いいよ・・・、士郎だもん、それに私もだんだん・・・・かふッ!?・・・」
こんなに乱暴に犯して、たおやかな遠坂の肢体が最後までもつのかという
不安すらあった、
だが俺は止められない、遠坂もそれを望んでいない、
二人の手はどちらからともなく絡まりあって、この激動に二人の殻が破れ、
真なる混じりあいを互いに望んでいるようだった。
こんなに野蛮な情交は、かつて行ったことがない、
思えば俺はいつでも遠坂を気遣い、遠坂も俺の過保護に甘えながら、
二人睦み合っていた気がする。
その関係が、今日に限ってブチ壊れたのはなぜだろう、
なにが俺たちをこんな獣じみた交尾に貶めたんだろう、
一体誰の思惑で、
そんな獣交を脇から見詰める、畏れすら含み漏らす声、
「若いって・・・・スゴ・・・。」
こいつだッツ!!!
藤ねえだッツ!!!!!!
この虎がいらん刺激与えるから遠坂の変な部分が目覚めたんだ!!
なんかヤヴァイことになったのではと退き腰になりながら
この饗宴から目が離せない諸悪の根源、
なにを思ったのか、気違いじみて腰を打つ俺におっかなびっくり声を
かける。
「あ・・・あの士郎君、凄いわね、なんつーか、疲れない?」
「疲れるよ!!けど止まんないもんはしょーがないだろ!!」
ああもう取り込み中になに邪魔してんだこの人は、
遠坂がヒーヒー鳴いてるんだぞ!こんなにエロいんだぞ!?
それ以外のことに今は構ってられるかッツ!!
「や、でもさ、士郎って常日頃がアレだからもーちょっと優しくするもんなの
かなーなんて勝手に想像してたもんだから、
士郎って最中は人格変わるタイプだったんだ、いつもこうなの?
「知らん!!
俺だってこんなに熱くなったことなんてなかったよ!!
ただこんなに遠坂が乱れたら、俺だって引き摺られるだろ!?
女の子がこんなにヤル気なのに男が冷静なんてなんかヤだろ!!?」
「んまー、そういわれればそうだけど、
でもすごいよー、このアングルから見ると遠坂さんのアレに士郎のコレが
出たり入ったり、
うっわ隙間から精液が零れ落ちてポンプみたいだし、
さらにフクロが動きにあわせて物凄い揺れてる・・・・・・・
こんなにブルンブルンして痛くないの?ってか触っていい?」
「さわんな気が散るッツ!!」
もー鬱陶しいからシカトしようかと思った矢先、
それより早くほっそりした諸腕が俺の頭部を挟み込み、強引に唇まで
引き寄せる、
遠坂のヤツ、今は寸分でも自分以外に俺の興味が反れるのが
許せないらしい、
それならいいさ、お前が望むとおり、奥の壁が壊れるぐらいに・・・。
「きゃあ!!・・・あふッツ!!?」
遠坂が鳴く、
もはや子猫とか小鳥とかそんな可愛いものじゃなく、なにかが潰れるような
無生物の音を発して泣く、
「ッッツ!!!?、あああああッツ!!?なにッ!?ダメッツ!!?
やめてッツ!!?あああああああああ!!」
!!?
なんだ、なんか遠坂の反応がさらに異常に増したぞ、
もしや、とうとうホントにヤバイ領域にまで登りつめたのか?
「やめて!そんなトコロ入らなっ・・・・・ばっ・・・・ばかぁッ!!」
はい?
後方を確認してみる、ピストン運動はそのままで、すると後ろには
とんでもないものが、
「藤ねえ!?なにやってんだ!!!?」
遠坂のアヌスに指を打ち込んで二穴攻めをやらかしている藤ねえだった。
しかも入れてる指は三本、
いくらなんでも後ろ初めての子にそれは行き過ぎている。
「いやねー、こんなの見せられると私も辛抱堪らんくなってー、
私も参加していーかなーとか思ったり、」
参加していいわけがあるかこの野生!!
遠坂は俺のものなんだから俺以外に触れさせてたまるか!!!
「あうー、士郎も若さが行き過ぎちゃってるねー、
そういう独占願望は十代の特権だけど、私の切嗣さんを見る目も
そうだったし、
あ、じゃあこうしましょう、
士郎も遠坂さんと平等に天国に行かせてあげる、」
「は?なにいって・・・・・あふぐっ!!」
途端、肛門から背骨にかけて電流が走った、
いや、肛門より前のほう、蟻の門渡りを越えて前方、
だらしなくぶらさがる陰嚢を、藤ねえの虎口が一飲みしたのだった。
「なんッ!!?やめっ!!やめんか藤ねえ、
動きにくいから・・・・やめっ・・・・やめ・・・・・・・。」
それでも藤ねえは前後運動に復調して器用に首を振りみだし、
強すぎず弱すぎず、陰嚢に電波のような微弱振動を与え続けた。
フクロがぬるま湯に漂っているような、暖かさと浮遊感、
その無重力状態を舌が縦横無尽に駆け巡って、二玉の宝を転がしている。
こいつらは遠坂に子種を贈り続ける精タンクだ、
それが別人の歯に、舌に、唇に包囲され、無尽蔵の愛撫にさらされている。
遠坂も遠坂で、アナルと膣の両方を攻められて天にも昇る様子だった、
爆発のような結合も依然と続いている
続いている上で藤ねえの悪戯も留まるところを知らない、
二点からほとばしる異なる快楽
ステレオの悦楽、
――やばい、
――――もうでる
――――――精が遠坂の中に
――――――――遠坂の膣へ、
―――――――――――藤ねえがしゃぶっている陰嚢から、
ゴブッ、ゴブグブオブゴブ・・・・・!!!
「ああっ!!!あああああああああぁーーーーーー!!」
注ぎ込んだ。
吐き出したのではなく注ぎ込んだ、そういう感覚が俺の脳裏に稲妻のように
走った。
藤ねえの熱でフヤフヤに蕩けた分、数倍の量が放出されたような気がする、
それらが総て可愛い女の奥底に吸い込まれ消えていった。
遠坂は愛する俺の精を吸い尽くした、喰い尽くしたといってよかった。
カチリ、
そんな音が鳴ったようなイメージで俺は道場の床に尻餅をつく、
腰が軽い、
この軽快感は久々に味わった気がする。
「・・・・・・・あ、そうか、俺、遠坂に閉じ込められてたんだっけ、」
今の今まで忘れていた。
膣痙攣がここにきてやっと解けたらしい、
まあアソコまで激しく攻め立ててば外れるのも道理か、
部屋の鍵だったらドアごと蹴破るような荒療治だったしな、
肩で息をするのをなんとか収めてから遠坂の方を見やる、
あっちもあっちで精も根も尽きたといった風だ。
寝転ぶにはチト硬い板張りにそれでもへばりついて、隠そうともしない
猥らな臀部からは、たしかな俺の贈り物である白濁液が、みぞろと
溢れ零れている、
その量がまたハンパじゃない、
遠坂の体内でどこか大事な臓器が一つ破裂して、その中身が漏れ出してる
んじゃないかってくらいの質量、
まあ、計3回分だしな、
お互い前後不覚になくなるぐらいの大祭典だったし、このまま帰るにしても
少し休ませなきゃ遠坂だって足腰立たないだろう、
しかしまあ、一時はどうなることかと思った。
あのまま一身胴体のままで朝を迎えちゃシャレにならんかったし、
それを誰かに見られてたらもっとシャレにならん、
しかし幸い誰にも気付かれることなく・・・・・誰にも・・・・、ウン、気付かれず
に解決することができたし、
ここはこんなに乱れるきっかけをくれた協力者に感謝―――――。
「士郎―――――――。」
はて、なぜだろう、
拭っても拭っても汗が乾かない、
もう行為は済んだのに、体は酷使されずむしろ健やかな休息にあるのに、
なんだが汗水は粘度を増していくような―――、
「士郎ってば、こっち向きなさい――――。」
これって、脂汗!?
「士郎ぉ、無視しないで、もう足首まで垂れてるのよ――――。」
ガブァ!とそれまで聞こえない振りをしていた声に反応する、
藤ねえ!!藤ねえだ!!!
しかもなんでロングスカートに手ェ突っ込んでんだ うわあ!!
ショーツを一気に下ろした!!
足首まで下ろした!!
つーことはノーパン!?このジーンズ生地のワンピース一枚向こうには、
その、剣道で鍛えた太股とかお尻とか、無駄なものが一切なくて
シャープなラインの触ればゴムマリみてーな質感ある弾力が返ってき
そーな、俺一回だけ手違いで見たことあんだよグーゼン風呂覗いて!
藤ねえの裸を!
「ゴメン士郎・・・私、士郎のことずっと可愛い弟のつもりで見てるつもり
だったけど・・・・。」
あの時もスラリとした長身に石膏を盛ったような、しかしそれを製作した神が
高名な芸術家であったのが幸運だったかような無敵のプロポーション、
あくまで機能美を追及し、
しかしだからこそ、その名機をただの欲望のはけ口として、
ただの玩具に貶めてしまおうという不条理極まりない妄動!
「遠坂さんには悪いけど・・・・一回だけだから・・・・。」
うわぁー!!そんな胡乱な眼で見るなー!!
ヤベー!!マジヤベー!!!
なにがヤバイっつーとこの色気のないモノローグもまたヤベー!!
「・・・・・・・・んぅ。」
と、間が良いのか悪いのか、遠坂も意識混濁の旅から帰還したところ
だった。
それと同時進行で俺も藤ねえにマウントポジションとられています。
抵抗は1ミリだってできませんでした、ハイ、
「って!藤村先生なにやってるんですか!?
士郎は私の彼氏です!他の女には指一本触れられるわけには行かない
んです!!てかそれ以前にアンタ教師でしょう教え子に手ェ出していいと
思ってるんですかー!!」
遠坂の罵声も、なんかのスイッチが入ってしまった藤ねえには効果なし、
ファサ、と俺の上に腰を下ろす、同時に翻ったスカートの隙間から
メスの匂いが零れてくる。
長期間あの布地に押しとどめられてきたフェロモンはことの他濃厚、
遠坂の愛液も芳醇だが、藤ねえのソレはまた違う、
例えるなら遠坂は歳若い赤ワインの香り、
藤ねえは文字通り獣臭、
お互いの個性にぴったりマッチするものだ。
「ゴメンね遠坂さん、でも士郎を見てきた時間は私のほうがずっと長いから、
それに切嗣さんいなくなってから、私もずいぶん男日照りが続いたし・・・。」
「そんなことは知りません!!
イヤ止めて、ホントに止めて!!
士郎も少しは抵抗してよ、私だけを見てっていったばかりじゃない!!」
「んー、でも誰かに見られて興奮するてのは、
まさにさっき学習したことだしー。」
「ふざけんな虎ァー!!!」
ブチ切れて武力行使に出ようにも、腰にガタが来て立つことすら
ままならない遠坂に救出のすべなし哀しきかな、
そうして手をこまねいている間に、モゾモゾと蠢くスカートの内部では、
俺の視角では内部を窺うことはできないが、
唯一つの手がかりとなる肉茎の感覚は、
なんか想像を絶する灼熱のモノが一部の隙間もなく纏わり付いてきて・・・、
「あふうぅぅぅぅぅぅん・・・・・・・んっ・・・・・・!」
獣が喉を鳴らすような嬌声が木霊した。
ああもうホントに色気のねえ人だ。
しかしその膣内は名器もいいとこ、
彼女の体温ではなく膣自体の熱さがペニスを飴のように溶かし、
粘性の膣壁が強力なパワーで吸い上げる。
「かたっ・・・士郎の硬い・・・・、へへ・・・やっぱり若いわよねぇ、
こういう剛直に貫かれると、犯されてるって感じする・・・。」
わざわざ結合する部分を見せ付けるためにロングスカートの裾を口に
くわえて、はしたなく腰を上下させる。
それを幽鬼のように睨みつける遠坂の眼光に、
俺はこの世の極楽を味わいながらも生きた心地がしなかった。
「ダメよ、士郎は私だけなんだから・・・、
これで士郎が抱いてくれなくなったら・・・・私・・・私・・・」
で、その翌日、
ガラガラガラ・・・・、
遠坂がノックもせずにウチの教室のドアをあけた。
さらにカツ、カツ、カツと、どうやって上履きで出せるんだという足音で
一直線に俺の席まで最短距離、
まあ昨日の淫蕩が祟ったのか少し足取りがヒョコヒョコしていたのは
こっちにも火の粉が移りそうなので追求しないことにしておいた。
と、ここまではいい、
遠坂がウチのクラスに殴り込みしてくるまでは、まだいい、
一成とか、慎二とか、ここには遠坂の敵が意外と多数生息していることだし、
つい先日藤ねえまでそのブラックリストに入ったことだしな、
しかし、問題はいまがホームルームということだ。
欠席でもしない限りあまねく総ての生徒たちが教室へと結集する時間、
従ってみんないる、
ウチのクラスメートは無駄に健康優良児なので、皆勤賞で全員揃ってる。
無論担任の藤ねえだってここに居合わせ目を丸くしているし、
ホームルーム時のトラブルは慣れっこな2−Cの皆さんも流石にこの事態
には対応力がついていかず、この外来者たる遠坂さんに視線を集中させる。
衆目の視線を一点に集める中で遠坂は―――――、
「できたから」
「・・・は?」
一同を代表して疑問符を上げる。俺、
「だから、衛宮君の子供を妊娠したから責任とってね、」
遠坂は、逃げ道などどこにもない晴れやかな微笑でいった。
それとは反比例に、
五秒前、
四秒、
教室という空間が凍結する、
三秒、
二秒、
一・・・・・、
「ば・・・ッツ!!昨日の今日でわかるかそんなこと―――!!!」
ややフライング気味に沈黙を破り、がたーんと勉強机を引っくり返して
反論する俺、ええ反論しますとも、
いきなりなに言い出すかなこの衆目環視の真っ只中で、
気でも触れたかオマエ!!
しかも、心当たりがあるといったらまさに昨日つまり一日前!!
フツー3ヶ月かそこら間を置かねばわかんねーそういう成否を
超フライングで見切りつけんなって、それあからさまに虚言だろう!!
「あら、でもそれなら私と衛宮君の間にそんな推察のできる『原因』が
あったってのは認めてくれるのね?
なら真実できていよーができていまいが関係ないじゃない、
衛宮君は男なんですから、女の子に恥をかかせた時点で責任はとるべき
だわ、」
「お前が勝手にバラ撒く恥まで面倒見れるかーーーー!!」
ザワザワザワ・・・、
突如爽やかな高校生活に降ってわいた修羅場に、多感な年頃のクラスメート
たちはにわかに色めき立つ、
それが小ボリュームの囁き声で小耳に入ってくるからまた辛い、
「遠坂さんと衛宮がつきあってる?お前聞いた?」「いやぜんぜん」
ウワサが光速で伝播しつつある。
「衛宮君のほうから拝み倒して・・・」「それで、遠坂さんムリヤリ・・・。」
ウワサに緒ヒレが付き始めている!!?
しかも俺の不利な方向に!!?
「・・・・・・そんな、衛宮が、女狐の囲い者に・・・・・・?」
顔面蒼白になった一成が力なく崩れ落ちる、
「いぇ?・・・遠坂が?あの遠坂が衛宮なんかに抱かれただって・・・!?
っていうかウソだろ!!?ウソだウソだウソだ!!」
慎二が、今度こそ敗北者の顔になってダンダンと机を叩く、
「遠坂先輩羨ま・・・・いえ不潔です!そんな、学生の身分で不潔です!!」
なぜか学年のちがう桜がいた。
「おお!されどそれが人生!!」
なにを勘違いしてか後藤くんがミュージカルちっくに舞い上がった。
もうわけわからん、
それら下民どもの倶劇を見下ろしながら、すべての発端である遠坂は
ただひたすら営業スマイルで混濁とした喧騒に華を添えていた。
「囲い者なんて人聞きの悪いわね柳洞君、
むしろ私が衛宮君に篭絡されたのであって、その辺誤解がないように
今のうちに言明しておくわ、
慎二君、事実に蓋をするような弱腰の私ではないけれど、私たちまだ
学生なんだし抱かれたなんて直接的な表現は避けてほしいわね、
あと桜、自分の教室に戻りなさい、
それからええと、あなた誰?」
「遠ォ坂ァ〜、貴様一人一人のコメント丁寧に拾ってんじゃねぇ〜、
つーかオマエの目的はなんだ?
今更こんな電撃記者会見やらかしてなにを企んでいる?
こんなに俺を苦しめて、お前の得になることがなんかあるっつーんか!?」
もうボクの平和な日常は帰ってきません、
こうして思い思いに騒ぎ立てる友達を、俺は見守るしか術がありません、
遠坂さんはヒドイと思います。
なにも、こんなバラしかたする必要性はないじゃないですか、
まあ、二人の仲がマジ真実なのですが、報告の義務もないゆえにこれまで
秘密になってたんですが、
いや、たしか遠坂が一方的にオフレコを言い渡してきたんじゃなかったっけ、
なのになんでコイツからバラしてんのホワイ?
と詰問してみたら、
「報復。」
と明瞭簡潔に言い返された。
「衛宮君こそ、まさか昨日の今日で忘れたわけじゃないでしょうね、
私の目の前であんな破廉恥な行為におよんで、私傷ついたわ、
だから私もみんなに打ち明けることにしたの、そうすれば私と衛宮君も
はれて恋人同士と公認されてアナタもそう羽目を外すこともできないし、
これでこれからは私だけを見てくれるわよね衛宮君?
いえ、士郎♥」
狙い済ましたように苗字からファーストネームへの移行がキマり、
ダメ押しとばかりに片腕に抱きついて、胸をギュッ、
おおー、と周囲の歓声を誘導した。あるいは煽動、
これだけのセンセーショナルを演出しておいて、それも遠坂にとっては
たった一人の恋敵を牽制するための政治ショーでしかないのだろう
教壇で石像のように固まって、脂汗ダラダラ流してる藤ねえを、
遠坂の瞳は罠に掛かった獲物を見るような輝きで映している、
教師の身でありながら姉の身でありながら
俺と契った藤ねえの、
まあ100%手違いでしかなかったんだが遠坂はそれを見過ごさぬと
泥沼に引きずり込んだ。
そんな遠坂をひらに見詰め、自分がトンデモナイ女に引っかかったんだと
いうことを痛感する、
「安心なさい、
昨日はああいったけど、アンタの子を身篭ったらちゃんと産んであげるから、
ホントにあの日に授かってたら割と素敵よね、ふふ」
これから2〜3ヶ月の間は、かなり迂遠な地獄が続くようだ。
〜無間地獄END〜
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