なんて―― 酷い 〜間奏〜

作 しにを





※この作品は、大崎瑞香さんの『なんて――酷い』(統一シチュ投稿作)、
その続きとして書かれた古守久万さんの『なんて――酷い、夜』を受けての話
となっています。
 未読の方は先にそちらをお読み頂く様、お願い致します。




「おかえり秋葉。あれアキラちゃんも一緒なんだ?」
 
 その声に秋葉は車から降りかけていた姿勢で体を強張らせた。
 びくりと顔が上がる。
 視線の先には穏かな笑みを浮かべた兄の顔。
 それに対して、秋葉は常ならぬ表情を見せた。
 硬い表情、そして僅かに怯えに近い色が現れていた。

 屋敷の前に音もなく車が止まっていた。
 学校からの帰宅時の出来事。
 秋葉は気づかなかったが、車の到着と前後して屋敷の玄関の扉が開いていた。
 身支度を整え、どこかへ出掛ける処だったのだろう。
 あれ、と驚いた顔をしながら、志貴が妹を出迎えようと車に近づいた。

「兄さん」

 やっとの事で平静を装い、秋葉は声を出した。
 普段の志貴ならば違和感を覚えるような声の震え。
 しかし志貴がそれに目を止めるより早く、秋葉の背後から弾んだ声によって
意識が外に向いた。
 そして車中を覗いた志貴は、妹以外の存在に気づき、意外そうな表情を浮か
べていた。

「おはようございます、志貴さん」
「うん、おはよう。どうしたの、今日は?」
「はい、昨日遅くまで頑張ったご褒美に遊びに来なさいって、遠野先輩がお家
に招待してくれたんです」
「へえ」

 珍しいな、という声を志貴は飲み込む。
 余計な事を言って、妹に冷たい目で叱責されるのは避けた方が良い。
 特に、こんなお客さんの前では。
 それってご褒美なんだろうかという疑問も、アキラの笑顔を見て捨て置く。

「秋葉? アキラちゃん、秋葉は具合でも悪いの?」

 会話に加わらず、どこかぼんやりとした妹に怪訝な、そして心配するような
表情を向け、志貴は傍らの晶の方に訊ねた。
 晶はちらりと秋葉に目を向け、志貴の方を振り返る。
 僅かに笑みが口元に浮かんだが、志貴の角度からは見て取れない。
 
「遅くまでお仕事頑張られて、それから久々に寄宿舎の方にお泊りになったの
で、蒼香先輩や三澤先輩とお話が弾んだみたいです」
「なるほど夜更かしした訳か」

 なるほど、と志貴は頷く。
 秋葉も晶の言葉を否定しない。

「ご心配かけてすみません、兄さん」
「休日だし、ゆっくりと休むといいよ」

 はい、と言葉少なく頷く妹に少し違和感を感じつつ志貴は呟く。

「出掛けようとしていたんだけどな。アキラちゃんが来ると知ってたら……」
「でも志貴さん、誰かとお約束なんでしょう?」
「まあ、ね」
「それだったら約束を破ってはいけませんよ。わたしは今夜こちらにお泊りし
ますし、後でまたお話できますよ」
「うん。夕飯までには帰るから。じゃあ、秋葉、アキラちゃん、行って来るよ」
「お気をつけて」
「志貴さん、いっらっしゃい」

 妹とその後輩に手を掲げて見せ、志貴は軽快に走り去っていった。

「行きましょう、遠野先輩」
「ええ」

 二人は、屋敷へと歩き始めた。
 玄関では、琥珀が佇み出迎えていた。

「お帰りなさいませ、秋葉さま。それにP尾さま、いらっしゃいませ」
「琥珀、部屋にいますから」
「はい。お茶のご用意を致しますね」
「それと、お風呂の用意をしておいて」
「はい、それでは」

 出て行きかけた琥珀を晶は呼び止め、小走りに近寄る。

「はい、何でしょう?」
「あの、あつかましいお願いなんですけど……」

 何を話しているのだろうとちらりと秋葉は思った。
 ちょっと考え込む表情で琥珀は答え、晶は頭を下げて、そして秋葉の所へと
戻る。

「さ、お部屋に行きましょう」
「ええ……」



                 ◆



「いつ来ても素敵。遠野先輩らしいお部屋ですね」
「そう?」

 何度か訪れてはいるが、それでも晶には秋葉の私室は感嘆に足るもののよう
だった。
 志貴などから見てもその調度類の豪奢な様は窺い知れるが、多少なりとも目
のある者から見れば、たしかに驚き見惚れるに足るほどであった。
 その同学年の娘と比べて幼く見える顔が、ぱっと輝き、うっとりとした色を
湛えている。
 そうやっている様からは、とても夜の姿を思い描けない。
 ただの上級生と下級生、その関係が逆転しているのだとはとても思えない。
 しかし、晶が向き直り笑みを消して秋葉を見つめると、秋葉は不安そうな表
情を浮かべる。
 しばらく沈黙が続き、晶の表情が柔らかくなると、秋葉もまたほっとしたよ
うに安堵の表情に転じた。
 ささやかな、しかし二人の関係を端的に表す一幕。

「さて、と」

 晶は座卓に鞄を置いた。
 はっとしたように秋葉はそれを見つめた。
 晶が中からハンディカメラをおもむろに取り出すのに、怯えた顔を見せる。

 スイッチが入った。
 小さな液晶画面に光が点る。
 初期設定のロゴマークが消え、画像が現れた。
 晶は慣れた手付きでボタンをあれこれ弄ると、画面下の文字が点滅し画像全
体に動きが生まれた。
 
 それを確認して、晶はカメラをテーブルに置いた。
 操作自体は終わったのだろう、画面の中では小さな人影が動いている。
 自分と、そして横に座る秋葉の目にも入るよう角度を変える。

「始まりましたよ」

 じっとそこに視線を向けながら、晶は話し掛ける。
 秋葉は体を強張らせて、そして目を逸らせていた。
 その小さな画面は秋葉の目に入らない。

 晶はそうした秋葉の姿を視線の端に感じたが、とりたてて何も言わない。
 ただ、映像を眺めている。
 
 秋葉は明らかに気になる様子で、しかし頑なに目を逸らし続けている。
 ビデオカメラが映し出している映像を。
 それを眺めている晶を。
 しばし、その状態が続く。

「ふふ、あんな顔して……」

 面白がるような、何かを揶揄するような晶の声。
 反射的に秋葉は視線を向けてしまった。

 小さな画面の中で、掌に乗りそうな大きさで動いている。
 晶と、そして秋葉自身が。

「どうしました、そんなに気になっていましたか?」

 一度目を向けると、そのまま視線を外せない秋葉に晶が話し掛ける。
 自分も正面を見つめたまま。

「ほら、あんなにキスをおねだりして」

 画面では秋葉の唇に晶のそれが重ねられ、あっさりと離れる様が映し出され
ていた。
 晶を追うように秋葉の唇が前に動く。
 それに対し晶が何か言っている。
 秋葉は頷き、薄く開いた唇の隙間から、おずおずと舌を伸ばした。
 舌先だけでなく、精一杯突き出すように。
 滑稽な姿ではあったが、ある種の熱望が垣間見える。

 晶は唇を寄せた。
 舌先にちょんと唇を当て、秋葉の舌をなすり付けるように上下左右に顔を動
かす。
 しばらくそうして気が済んだのか、小さな口を開ける。
 そのまま、依然伸ばしたままの秋葉の舌を口に含む。
 ずぶと、ほとんど唇が触れ合う距離まで近づく。
 秋葉の顔に甘美な色が煌めく。
 そして、晶は顔を離した。
 唇を軽くすぼめたまま、舌先まで引いて、また前へと近づく。
 何度となく繰り返す。
 さながら、男の性器に対して口での奉仕をするかのような動作。
 いや、意図も効果もものこそ違え同じかもしれない。
 晶の顔には間違い様の無い悦楽の色が浮かび、秋葉もまた上気した顔に快感
の徴を刻んでいた。

「ほら、遠野先輩の顔ったら…」

 揶揄するような後輩の言葉に秋葉は何か反応しかけたが、突如ぎくりと動き
を止めた。
 晶もまた、僅かに驚いた顔で素早く停止ボタンに手を走らせる。

「お待たせしました。あの?」

 晶はともかく、やや常態と異なる秋葉の様子に、琥珀は首を傾げた。

「お茶ね、こちらに置いて」
「はい。とりあえずスコーンなどお茶受けにお持ちしましたけど、何かお食事
みたいなものをご用意しなくてよろしいですか?」
「一応、朝食は取ったから、昼まではいいわ」
「はい、では後はお風呂ですね。もうすぐ用意が出来ますので、またお知らせ
に参ります。あの、瀬尾さまはお召し物は?」
「あ、お泊りで一式持ってきたから大丈夫です」
「はい、何かご用意するものがありましたら仰ってください。失礼致します」

 一礼し琥珀は退室した。

「はぁ……」

 秋葉の口から溜息が洩れる。
 安堵。
 
「おかしな雰囲気だなと思わなければよかったけど?」
「P尾……」

 秋葉の非難めいた顔に、P尾は痛痒を感じた様子を見せない。
 芳香を湯気に乗せている陶磁を手に取ると、何もいれず啜った。

「いい葉ですね。それにとってもいれ方が上手くて、美味しい」

 つられるように秋葉もソファーに座り、カップを手にとった。
 熱さを感じぬように、それよりも激しい喉の渇きに気づいたとでも言うよう
に、飲み干す。
 晶は自然な手付きでティーポットを手に、おかわりを注いだ。
 それも秋葉は半分以上、啜りこむ。

「落ち着かれましたか」
「ええ」
「それでは……」

 晶は止めていたカメラの再生ボタンを押した。
 秋葉が驚きの声を上げるが、構わず続け、自分のカップをとって悠然と画面
を見つめた。

 再び、秋葉の舌を吸い、晶の唇がぬるぬると動き始めていた。
 ぴちゃぴちゃという音と、喘ぐ声が聞こえそうだった。
 晶の唇が離れる。
 小さな泡混じりの、ねっとりとした唾液が垂れる。

 口の中にもだいぶ秋葉の唾液が含まれているのだろう。
 舌を口中で転がすようにもごもごと頬が動く。

 アルコールを飲んだように熱をもった瞳で、晶は跪いて秋葉の肌に唇を押し
付けた。
 舌が、唇が、白い腹部をぬめぬめと動き、小さな臍の窪みで止まり、さらに
下へ下へと動く。
 股間に晶の顔が埋まる。
 カメラからはどうなっているのかは見えない。
 ただ秋葉の体の震えと、晶の髪をくしゃと押さえる秋葉のわななく指で察す
る事しか出来ない。
 晶の後頭部が上下に動いていた。
 
 ひとしきりそうしていて、晶は顔を上げた。
 秋葉の顔との微妙な距離。
 そして今度は晶が小さな舌を秋葉へと伸ばした。
 誘う瞳。

 画面の秋葉は吸い込まれるように唇を近づけた……。

「遠野先輩」

 引き寄せられるように画面に見入ってしまった秋葉にP尾が声をかけた。
 どこか艶のある声。

 秋葉が振り向くように顔を向ける。
 
 晶の唇が近づく。
 舌を出した。
 画面の晶のように。

「あ……」

 画面の中では秋葉がおずおずと舌を伸ばし晶の舌を舐めていた。
 小さくてわかりにくいが、晶の舌は自分の唾液以外のもので濡れていた。

 今しがた迄、秋葉の股間に顔を埋めて晶は存分にとろとろとこぼれる淫水を
舐めすすっていた。
 そして口に含んだまま顔を上げたのだ。
 舌は窪みを作っていて、秋葉の愛液がたまっていた。

 秋葉は構わず晶の舌に自分の舌を這わせていた。
 晶の唾液を嬉しげに舐め、そして自分自身の分泌した愛液を舐めていた。
 強制されたからではなく、むしろ自分から嬉々として行っているようにしか
見えない。

 その再現のように。
 目の前の晶が同じように舌を突き出している。
 秋葉は迷わず舌を絡めた。
 淫らな香りの粘液は今はない。
 かわりにあるのは、清々しい香りの紅茶。


 画面は先に進んでいた。
 キスで放心した秋葉の首筋を晶の舌が這い、手は乳首を摘み、空いた指で弾
いている。
 あるかなしかの薄い胸、しかし艶かしい白い肌に蕾のように薄紅色の蕾がつ
んと尖っていた。
 晶の指戯にも屈せず、硬くなっているのがわかる。
 晶の細い指の腹が先端をくりくりと動かし、時に浅く爪を立てる。
 そして指先でぴんと弾いても、まったく形を変えない。
 しかし、痛みゆえか、あるいは弾けそうに突き出た乳首の先は敏感で甘やか
な刺激に耐えかねるのか、秋葉は身悶えする。
 晶は押し殺した悲鳴を心地よげに聞き、時には自分の口の中に呑み込む。

「遠野先輩?」

 誘うような声。
 どうしますかと問い掛けるような声。

 秋葉はどう答えただろうか。
 口を開くより先に、ノックの音がした。

「秋葉さま、入りますよ。よろしいですか?」
「入りなさい」

 琥珀が再び部屋に入る。

「お風呂の用意できましたよ」
「そう」

 頷き、視界の端に映ったものに、秋葉はぎくりと動きを止めた。
 寸前のところで口を噤まねば、叫んでいたかもしれない。
 
 当然、琥珀の入室を受けて、画像再生は止まっているものと思っていた。
 しかし、今度は晶は何ら動いていなかった。
 平然とした顔で、紅茶を啜っている。
 顔は秋葉と琥珀に向けられてはいるが、視線はやや下を向いていた。
 依然動いているハンディカメラを見ていた。

 琥珀の位置からはもちろん、反対側の液晶画面の中の痴態は見えない。
 しかし、気まぐれにひょいと琥珀が覗き込んだら……。
 そう思うと、秋葉は膝が崩れそうにすらなる。
 こんなあさましい姿を見られたら、そしてそれを記録して眺めていると知ら
れたら……。

 秋葉は痛いほどの懇願を込めた視線を晶の目に合わせるが、晶はまったく痛
痒に感じない。
 仕方なく秋葉は平然を装い、使用人の方へ目を向ける。
 そうしている間にも、液晶の中では秋葉は淫らに動き声をあげていた。
 もちろん音は完全に消している。
 しかし、聞こえぬはずの声が、いや声のみならずぬめるような水音、粘り絡
みつく粘液の音が感じられるような気がする程の画面の光景だった。
 事実晶は、秋葉と琥珀の様子に注意を払いつつも、目が話せぬ様子で見入っ
ていた。
 秋葉はちらと視線を落とした。
 晶の指でよがり狂った秋葉が身悶えし、晶の命ずるままに、自らの秘所を弄
り秘芯を嬲っている。

 喉が渇く。
 秋葉は無性に喉が渇いていた。

 主の様子にわずかに怪訝な色を浮かべたものの、琥珀は秋葉に変わって主人
の客人に目を移した。

「それと瀬尾さま。テレビはわたしの部屋にしかなくて、それをお貸ししても
よろしいのですが、要はそれを繋いで大きく映せればよろしいのですね?」
「はい、そうですけど」
「では、プロジェクターではいかがですか。スクリーンが見当たらないですけ
ど、壁とか使って頂ければ……、よくわかりませんが生徒会の行事の発表の練
習としてはむしろそちらの方がよろしいかと」
「あ、ありがとうございます。そうですね、そちらの方が持ち運びしやすいし、
何処ででも使えますものね。助かります」
「いえ、お役に立てたなら嬉しいです」

 ぱっと顔を輝かせる主人の客人に、にこりと琥珀は微笑んだ。
 ついで横の主人に問い掛けた。

「秋葉さま、湯浴みのお世話はいたしましょうか?」

 答えるまでの僅かな間。
 しかし、琥珀にもそれは異と感知されず自然に流れ去った。

「いいわ」
「そうですか。では、今のうちにお買い物でも済ませておきますね。
 せっかくのお客様ですし、何かご馳走を準備しませんと」

 にこにこと、しかし家人相手ではなく客人に対しての礼節をきちんとした態
度で琥珀は頭を下げ、退室した。
 琥珀が姿を消したのを見届け、秋葉は安堵の溜息を洩らした。
 濃厚に非難の言葉を浮かべた目で晶を見る。

「すみません、遠野先輩」
「え?」
「怒っていらっしゃるのでしょう、あんな真似をしたわたしを?」
「……」

 言葉は確かに謝意を表している。
 態度も神妙だった。
 しかし、目は面白そうに秋葉を見つめ返している。

「怒っては…いないわ」
「よかった」

 ほっとしたような顔で溜息を洩らす。
 しかし、どこか演技めいた晶の仕草。

「ねえ、遠野先輩、一緒にお風呂入りましょうよ」
「そうね」



                 ◆



「洗ってあげますね」
「ええ、お願いするわ」
 
 広い浴室に秋葉と晶の声がこもる。
 既に何も纏わぬ姿となり、白い肌を二人とも互いの目に晒していた。

「綺麗な肌、本当に吸い付くよう……」

 心からの賛嘆の声が晶の口から洩れた。
 タオルを手に取るとそっと軽く優しく手を動かす。
 秋葉の肌が、きらきらと輝く泡に塗れる。

 背を滑り、脇腹を撫で摩り、つま先を腿を丹念に擦る。
 あらかたを綺麗にすると、繊細な部分へと指が潜り始めた。

 わずかに触れるだけの弱さで指が、秋葉の秘裂を擽る。
 そよぐが如き軽いタッチ。
 ゆっくりと、しかし執拗に膣口に、粘膜に、包皮に包まれた突起に泡を塗り
たくる。

「ッく……」

 秋葉の口から抑えがたい様子の声が洩れた。

「どうしたんです、遠野先輩?」

 明らかに形状が変化している肉芽を指で摘むようにして晶は囁く。

「何でもないわ」
「そうですよね、ただ体を洗っているだけですものね。
 前はこれくらいでいいかしら。今度は…」
「はふぅッ、やだ、そんな……」
「じっとしていてくれないと洗えませんよ」

 前から秋葉の谷間を弄っていた手がそのまま下へと潜っていた。
 秘裂から繋がる部分を指先で掻き、そして後ろの窪みへと指が到達する。
 ほとんど無造作といってよい動きで、人差し指の第一関節までが、そこに消
えた。

「ほら、ここは念入りに綺麗にしないといけませんよ」

 指が動いている。
 さらに奥まで指が進む。
 次の関節まで進んだ辺りで進行は止まったが、その代わり左右に捻るように
動き始めた。
 残った中指、薬指などもじっとしてはいない。
 人差し指が潜った周囲を突付き、軽く掻いていた。
 薄い皺をなぞるように、はたまた指一本では飽き足らないと後に続くかのよ
うに。
 
 悲鳴が上がる。

「やめて、お願い」

 晶はやめない。
 むしろより活発に指は動いた。

 その指の、経験の薄い感触。
 他人の手で不浄の場所を弄られるという羞恥。
 そして……。

「嫌がっている割には、ね、遠野先輩?
 初めての時とはずいぶん違うんじゃありません?」

 赤く染まった頬が嫌々をするように左右に動く。
 しかし唇からは、悲鳴に混じって吐息が洩れていた。
 
「ほら、前のほうだってこんなに、お汁をこぼしてる。
 感じているんでしょ、お尻の穴をわたしに弄られて?」

 髪が左右に激しく振られる。
 しかし、ぬめぬめと動く晶の指に、秋葉はびくびくと体を震わせていた。

「はい、おしまい。
 これ以上すると、また秋葉先輩のあそこを最初から綺麗にしないといけませ
んからね」

 そう言って抜かれた指の感触に、秋葉は声を洩らす。
 安堵か、それとも残念がる響きが混ざっていたのか。

 しゃーっとシャワーのお湯が当てられた。
 秋葉の股間と、足の周りをお湯で流していく。
 秋葉は俯き加減にじっと動かない。

 自然な態度で、晶は秋葉への奉仕を続ける。
 水流が止まる。
 そのまま背後から晶は秋葉の体を抱いた。
 小さな手が、脇から秋葉の胸に触れる。

「小さい胸」

 独り言のような呟き。
 しかし、がくりと首を垂らした秋葉はびくんと反応する。
 上げられた首筋に晶は顔を寄せた。
 小さな耳朶に唇が触れるほどに近づく。
 指がゆっくりと、じれったいほどゆっくりと秋葉の僅かな膨らみを這う。

「こんな処にコンプレックスを持っているなんて、なんて……可愛い」

 指が、先端を軽く突付く。
 形の良い薄紅が軽く潰れて歪む。

「大きいだけで形の悪い胸なんかより、ずっと綺麗で女らしいのに。
 こんなに艶かしくて、女のわたしが見てもぞくぞくしてしまう……」

 白い肌を丹念に愛しそうに這う晶の手。
 秋葉は背を反らせつつも、逆らわない。

「それに、この先端の蕾も可愛い……」

 指が秋葉の乳首を優しく摘んだ。
 抜けるように白い肌に咲く淡い紅の花蕾。
 小さく可憐に色づくそれを、触れれば壊れるかのように晶はあくまでそっと
指で転がす。

「ほら、わたしの指で感じてきて、嬉しいです……遠野先輩」
「あぁッ」

 明らかにつんと尖った乳首を、ほんの僅か強く指で押す。
 擦るような晶の指戯に、秋葉は堪えきれず声を洩らした。

 晶は嬉しそうに年上である秋葉を欲しいままにする。
 耳元で囁き、敏感な胸を弄り。
 秋葉の声に高ぶりを感じ、すっと手を乳首から離し、やわやわと周辺を揉む
ように愛撫する。
 解放された乳首は、硬く突き出て存在感を示していた。
 既に軽く突付く程度では屈する事は無い。
 確かに晶が言うように、ぞくりとする色香を湛えた姿だった。

「でも、わたしより小さいのに、こっちは大人なんてちょっと不釣合い」

 晶はそう言って秋葉の秘裂に目を向けた。
 そして、秘裂の上、恥丘を彩る恥毛に触れる。
 いつもはふわりとした感触の柔毛が濡れて集まっている。
 かなり薄い方であるが、それでも晶に比べれば長さも数も上。
 白い肌、薄紅の唇を彩る黒い翳りは、同性である晶の心を奪う魅力があった。

「きっと、まだろくに生えていないわたしの事、遠野先輩は子供だって馬鹿に
しているんですよね」
「そんな事ないわ」
「本当ですか?」
「本当よ。こんなの関係ないでしょう」
「そうですか。じゃあ遠野先輩も同じ、いえもっと似合う姿になって貰います」

 子供っぽいといってよい笑い顔を、晶は秋葉に見せた。
 しかしそこには、秋葉を不安にさせるような禍々しいものが潜んでいる。

「何をするつもりなの?」
「こんな胸も無い子供には、不釣合いですものね」

 直接の答えになっていない言葉を口にして、晶はあれこれと探し始める。
 あったという声を発し、何かを手に秋葉の正面に戻る。
 秋葉は恐る恐るといった様子で、その手を見つめる。
 シェービングクリーム。 

「まさか……」
「勘がよろしいですね。そうですよ、剃ってしまうんです」
「やめて、そんな」
「何か不都合でもあるんですか?」
「例えば、誰かに見られて恥ずかしいとか」

 はっとした顔で秋葉が晶を見つめる。
 それに気づかないように、晶は言葉を続ける。

「……志貴さん」
「ッッ」

 動転した顔で秋葉は晶を見つめた。

「ふふふ。いいんですよ、誤魔化そうとなさらなくても。知っていますから。
 遠野先輩だってご存知でしょう、わたしが誰に女にして貰ったのか?」
「……」
「二人とも志貴さんに……」
「瀬尾、あなた」
「それなのに、志貴さんたら」

 そこにいない志貴に対し、晶は謎めいた目を向けた。
 そして、何が楽しいのだろう、くすくすと笑いながら剃刀を手に取った。

「じっと動かないでいてくださいね。
 こんな処に傷つけたらいけませんからね」

 石鹸の泡とは違うこんもりとした塊状の泡が秋葉の秘裂の周りに塗りつけら
れていく。
 晶の指がそれを引き伸ばしていく。
 秘裂の周りに、上のなだらかな曲線を描く丘の上に。

「白い肌に映えて綺麗だからもったいない気もしますけど……。
 飾りがなくなるのもきっと似合いますよ」

 手を休めずに晶は嬉しそうに言う。
 途中、よじるように濡れた恥毛を指で摘む。

「こんなに細くて、引っ張ったら根元から切れそうですね、ぷつんと」

 試すかのように、指が上がる。

「いっそ、全部毟り取ってあげましょうか?
 冗談です。遠野先輩に、そんな酷い真似出来る訳がありません」

 引きつった顔の秋葉を宥めるように言うと、晶は手の泡をさっと流し、剃刀
を手に取った。
 見せつける様に、金属片が秋葉の秘められた処へと近づく。
 触れた。
 直接肌に、刃が当てられた。
 その冷たい外観と違って温まっている。
 しかし、氷の刃を当てられたが如く、秋葉はぶるぶると震えた。

「P尾……」
「はい、遠野先輩?」
「本当に……?」

 何を、ともどうするとも、それ以上秋葉は口にしない。
 はっきり言う事で、既定の事実となる事を怖れるように。

 晶は手はそのままに、そこをじっと見つめていた視線を上げた。

「やめてもいいですよ。ここの毛を剃っちゃうのを。
 本当に、遠野先輩がお嫌ならば、無理強いはしません」
「え……」
「でも、ここをわたしの自由にさせてくれたら、わたしは凄く嬉しいです。
 今この瞬間は遠野先輩はわたしのものなんだ、こんな事を許すほど心からわ
たしを愛してくれているんだ、そう感じて嬉しくて嬉しくてどうにかなってし
まうかもしれません。
 でも、こんな事で印をつけなくても、遠野先輩はわたしのものなんですから、
遠野先輩がお嫌なら……」

 感情が覗えぬ目で晶は黙ってしまう。
 確かに、威圧の欠片も無く、ただ秋葉の言葉を待っているように見える。

「P尾の好きにして」
「いいんですね」
「P尾が望むなら、全部剃っても、全て手で毟っても構わないわ」
「はい……」

 小さい声で、しかしはっきりと秋葉は意志を告げた。
 晶は一瞬だが確かに歓喜に目を輝かせ、そしてまた平然たる態度に戻った。

 視線が秋葉の谷間へ向けられる。
 手が、最大限の注意を払いつつ、動いた。
 何の抵抗も無く、剃刀の刃が肌を滑った。

 泡に塗れた剃刀を晶は持ち上げ。しげしげと眺めた。
 こそげ取った泡に、黒い線が混じっている。

「ふふ、こんなに……」

 満足げな笑みを浮かべ、晶は上級生の顔を見つめる。

「遠野先輩の仰る通りにしましたよ」
「……」

 もとより返事がくるのは期待していない。
 しかし、沈黙する秋葉に、つと晶は訝しげに眉を寄せた。

「どうかなさったんですか、遠野先輩?」
「な…なんでもないわ」

 明らかに何かに耐えるような声。
 しかし秋葉はそれ以上何も言おうとしない。
 晶はちょっと躊躇の色を浮かべたが、魅惑的な行為に関心を戻した。
 後で訊ねればよかろうと思って。

 再び剃刀を秘処に当て、ゆっくりと動かした。 
 何度も、何度も。
 手は機械のように動くが、目は酔った色を浮かべていた。

 剃刀が滑ると、クリームの泡も水滴もこそげ取り、肌を剥き出しにする。
 心なしか赤みが残るものの、そこにあったものの存在は消え去っている。
 元々が薄くちぎれそうなほどの細さだったからか、剃り跡は丹念に見てもほ
とんど目に入らない。
 まるで元からの無毛の姿であったかのようにすら目に映る。
 確認するように晶の指が滑り、賛嘆の表情を浮かべる。
 まったくざらりとした感触は無い。
 他と同じく滑らかな肌の見事さのみが感じられるのみ。

 恥丘のささやかな茂みを剃り落とし、今度は晶の手は秋葉の股間のあちこち
を這い回る。
 よりいっそう丁寧に優しい手付きで。
 時折お湯を垂らし、また所々に泡を掻き立てて、隅から隅まで剃刀の刃が秋
葉を柔らかく撫でていく。

「こんなものですかね」

 やや疲れたらしい手で剃刀をそっと台に置くと、手桶の柄を握る。
 お湯を半分ほど満たすと、秋葉の胸辺りの高さから、まだ開かれたままの腿
の間へ滴らせる。
 細い糸となってクリームの泡に当たり、さらに手桶は傾けられた。
 じゃばじゃばと下腹部から太股までお湯が浴びせられる。
 一度だけでなく、何度も。

「ほら、丸見え」

 興味深そうに、晶は全てを剃り落とされた秋葉の谷間を見つめる。
 秋葉は顔を背けた。
 ぎゅっと足が閉じかける。
 しかし晶の目を感じて、制止の言葉も無いというのに、秋葉は僅かに足を開
いた状態で止まった。
 微妙な位置。
 晶はその様子に、微笑を浮かべて観察を続けた。
 秘裂自体はほぼ閉じてしまっている。
 だが、恥丘と外側の唇を彩っていた萌草が全て刈り取られたのは、余さず見
て取れる。
  
「ふふふ、本当に赤ちゃんみたい。
 赤ちゃんはこんなにいやらしくしていませんけどね」

 こうして見ると、幼児のように縦筋だけの姿でないにしても、僅かに綻びか
けた割れ目は閉じて中の性器は隠れ、遥かに未熟な外観を晒しているように晶
の目に映る。
 比べれば、頼りなく薄い翳りを持つ晶の方が年長に見えそうだった。

「これが今まで生えていたのに……」

 剃刀についた泡を洗っていた洗面器を、こぼさぬように秋葉の前に置く。
 泡だらけでよくはわからないが、それでも白い泡に混じって黒味がかった細
い糸が浮いているのが見て取れる。
 無造作に晶は手を突っ込み、泡を、いや泡に混じったソレを摘んだ。
 泡に塗れた手を軽くお湯で流す。
 手には、細い絹糸のような黒い毛が数本残る。
 晶が丹念に剃り落とした、秋葉の性器の周りを彩っていた恥毛のなれの果て。

 秋葉は羞恥の表情で目を背けた。
 さすがに晶もそれ以上、突きつける真似はせずに、お湯で流した。

「さてと、もっときちんと見せてくださいね」

 あえて、晶は強制をしない。
 言葉でも。
 行動でも。
 
 太股に添えた手は何ら動きを見せない。
 ただ、黙って秋葉の顔を見つめるだけ。
 しかし、それだけで秋葉はおずおずと動き始める。
 正座を崩したようになっていた足が動く。
 両の膝が左右に分かれ、大きく開かれる。

「見えにくいなあ」

 ぽつりとした呟き。
 しかしそれで秋葉はさらに動く。
 体が浮き、そして後ろに倒れるような形になる。
 爪先立ちになった足の踵が下半身を乗せ、後ろに回した手が上半身を支える。
 開かれた谷間を前に突き出すような形。
 露骨に見せつけるような格好ではないが、隠す事無く晶の目に晒されていた。

「可愛いですよ、遠野先輩。ふふふ、子供みたい……」

 開かれた谷間の奥は、きらきらと光っている。
 その淫らなまでの官能を感じさせる姿と、周りの無毛の様のアンバランスさ。
 
「でも、子供はこんなところを硬くしておねだりなんてしませんよ。
 これ、まさかお湯だとか言いませんよね?」

 粘膜を晶の指が無造作に突付き、指の腹が一撫でした。
 びくんと奮える秋葉と、晶の指先の間につぅーっと光る粘線が延びて、垂れ
落ちた。
 その指先をしげしげと晶は見つめる。

「お湯にしては……」

 秋葉が羞恥の表情で自分を見つめているのを意識しながら、晶はそのまま指
を口に含んだ。
 味わうように舌を動かしているのが外からもわかる。
 
「美味しい……。遠野先輩」

 酔ったような目が秋葉を見下ろす。
 肉食獣めいた瞳が、獲物を見つめる。

「可愛がってあげます」
 
 身を寄せ、秋葉の体に重なろうとする。
 顎に手をやり、晶は唇を近づけた。

「あ、待って。瀬尾…ちょっと……」

 うっとりとした秋葉の顔が突如、さっと変わる。
 いきなり夢から醒めたかのように。

「遠野先輩……、どうなさったんです?」 

 秋葉の様子に、ふっと晶の雰囲気も変わる。
 何か起こったのかと身を離し、秋葉を見つめた。
 晶の目にぶるぶると秋葉が震え、情けない顔をしているのが映る。
 何か周りに異変があった訳では無い。
 あくまで、秋葉自身の身に何か……?
 晶にはわからない。
 しかし素に戻った晶の問いに、はかばかしい答えを秋葉は返さない。

「体の具合でも……?」
「違う…わ」

 声と裏腹に、わずかに顔が苦しげに歪む。
 体がもじもじと悶えるように、わずかに震え動く。
 どう見ても、何か異変が秋葉の中で起こっていた。

 そう言えばさっきも遠野先輩、様子が変だった。
 剃毛に緊張と怯えがあったのだろうと、あまり気にしなかったけど……?
 気遣うように晶は秋葉の様子を観察する。
 
 しかし、その様をじっと見つめるうちに晶の表情が変わっていった。
 先輩の様子を案ずる後輩の顔に、面白がるような色彩が加わっていた。
 この表情、動き、何かに耐える様子は、晶の初めて見たものではなかった。
 耐える?
 そう、これは遠野先輩が……。
 明らかに目が笑みを浮かべ、しかしそれを正面には出さず晶は内心で頷いた。

「もしかして、遠野先輩……」
「……」

 返事を待たずに晶は屈みこんだ。
 すっと指が伸び、先ほどまで弄んでいた秘裂の奥へと潜る。

「だめ、P尾、そこは……」

 秋葉の悲鳴じみた声。
 先ほどまで指の愛撫に酔っていたとは思えぬ拒否の言葉。
 しかし晶は、その声が聞こえぬかのように、粘膜をゆるゆると指で嬲った。

「だ…め……、くぅぅん」

 苦しげに秋葉が声を洩らす。
 晶が指を上下に動かす度に、ぶるぶると震える。

「ふふふ、ポットの紅茶をほとんど二人分飲んだりするからですよ」

 悶える秋葉の姿を、愉悦の色をもって眺める晶。
 秋葉は唇を噛み、目に溢れんばかりの懇願の色を浮かべて晶を見ていた。

「おしっこ我慢しているんですよね」
「……」

 秋葉は黙って肯定も否定もしなかったが、答えるまでえんえんと晶が秘裂の
粘膜を弄り続けるだろうと悟り、激しく首を縦に振った。

「それなら、はやく言えばよかったのに。
 言って下さらないと、遠野先輩がおもらししそうだなんてわからないですよ」

 指を離され僅かに息を吐く秋葉に、冷笑混じりの声を掛ける。

「我慢なさると体に悪いですから、おしっこさせてあげますよ」

 秋葉の顔にほっとした色が浮かぶ。
 まだ、もじもじと体の変調に身悶えしつつも、終わりが見えた為か、秋葉は
口を開き、荒く息を吐いた。

「お願い、はやく、はやくトイレに行かせて……」

 体が早くも浮き気味になる。
 しかし平然としたまま晶は動こうとしない。

「慌てなくても平気ですよ、遠野先輩。
 ちょっとはしたないですけど、ここでしてしまいましょう。
 ちっちゃな子供なら、お風呂でしちゃっても恥ずかしくは無いでしょう。
 ね、秋葉ちゃん?」
「そんな」
「嘘ばかり。ふふ、期待しているんでしょう」

 やれやれと言った口調と手振り。

「はしたなくおもらししちゃう処を、見せたいのでしょう?
 わたしに恥ずかしい処を、見つめて貰いたいのでしょう?」

 再び、晶の指が濡れ光る秘裂を探る。
 とろとろと淫液を分泌する膣口でもなく。
 薄い紅の包皮から弾け出した肉芽でもなく。
 その間の、わずかばかりのぽつんとした穴を。

「や、ダメ。
 そこ、弄っちゃダメぇぇ」

 絶叫が起きかけ、しかしそれは秋葉自身の身悶えで止まる。
 声と体を震わす動きで、放尿を促されたから。
 限界を超えそうになったから。
 晶は構わず突付き、指でちろちろと弄る。

「我慢しなくていいんですよ。
 遠野先輩の可愛い処、見せて下さい」

 むしろ優しいと言ってよい表情と言葉。
 確かに演技でなく、目がきらきらと輝き、秋葉の尿道口を見つめている。

「あ、もう……」
 
 泣きそうな秋葉の顔が、晶を見つめる。
 晶は頷いて見せた。

「剃っちゃっているから、よく見えますよ。さあ……」

 晶の手が離れる。
 ほとんど間髪を入れず、秋葉の体がぶると震えた。

 ぴちゃ。

 今までの行為にない水音が弾けた。
 堰を切ると、まったくとめどなく奔流は迸り続けた。
 弧を描き、秋葉の股間から尿が下に弾ける。

「凄い勢い。よっぽど我慢していたんですね、遠野先輩」
「あ…うぅ……」

 恥ずかしげに、しかし明らかな解放感からの喜びの色を見せる。
 
 晶はまだ小水を迸らせている秋葉に構わずに、手をつっこんだ。
 腕に秋葉の尿が掛かり、晶はその尿道口の下、別のぬるぬるとした液で濡れ
た膣口に指を突っ込んだ。

「いやッ、あっ、あ…あああッッ
 やだ、んんん……」

 秋葉の絶叫を唇でふさいだ。
 そうしている間にも尿は出つづけ、晶の指の動きで秋葉はがくがくと体を動
かす。

「うふふ、軽くイキましたか、遠野先輩」

 ざばーっと湯船のお湯を直接かける。
 
 お湯に混ざった秋葉の排泄物が晶の足をかすめるが、晶にはその事を何ら気
にした様子は無い。
 
「さて、どうしましょうねえ。
 二人で楽しむのもいいけど、特別ゲストもいいかもしれないし……。
 主人の素敵なところをメイドさんに見て貰うのなんてぞくぞくしてしまう。
 それとも……、他の方がよろしいですか、遠野先輩は?」

 一端、言葉を切る。
 秋葉は次の言葉を待つ。
 予期して、いやわかっている。
 晶が誰の名前を出すのかを。
 誰の名前を出されるのが、自分に一番の刺激を与えるのかを。

「志貴さんに、見てもらいましょうか?」
「ああッ」

 ビクンと体が震える。
 その言葉故に。
 その言葉と同時に晶が肉唇に這わせた指の動き故に。
 とろりとした粘液が晶の指を新たに濡らした。

「下級生に剃られちゃってすっかり可愛くなった処を、志貴さんに見せてあげ
るのもいいかもしれませんよ。
 子供らしくお兄ちゃんって可愛く甘えて」

 耳元で囁き、晶は小さな秋葉の耳朶を噛んだ。
 痛みを感じるほど強く。
 痕が残るほど強く。
 しかし、その痛みは今の秋葉には、甘く変換される。
 優しく愛撫するよりも、蕩けるほどに甘い刺激。

「取り敢えずは戻りましょうか。
 一緒に何かいい趣向を考えましょう」

 指で嬲られるように、舌で弄られるように、形無き息が耳の中までを撫でか
き混ぜる。
 言葉が妖しく秋葉の耳を愛撫する。

 秋葉は甘く悲鳴をあげ、そして頷いた。
 嬉しい、そして酷い。
 相反する思いに抱きながら。
 追い討ちをかけるように晶が耳元で囁く。
 染み込む。
 秋葉の胸にゆっくりと染み込んでいく。

「なにしろ……、夜は長いですからね、遠野先輩」


 《つづく》













―――あとがき

 という訳で、瑞香さん→古守さんと続いたリレーの3人目です。
 だいぶ時間が経ちましたが。いきなりの指名は酷いよ古守さん、と泣きなが
らすぐに構想練ってたのに、約5ケ月って……。
 でも眼球舐めなんてフェチばりばりの行為で悶絶させられた後に、早々次の
が書ける訳も無く。おまけに遠野家が舞台と言う事で、選択肢が増えた事が逆
に難易度を上げる結果に。
 
 そんなこんなでいろいろ考えましたが、あえて、志貴や琥珀さん達は使わな
いで、晶ちゃんと秋葉の二人にこだわってみました。

 で、考えた末が……、剃毛プレイ。あーあ……。

 とりあえず、これからどうとでも出来るように用意は整えましたので、次の
方どうぞ。
 晶×秋葉にこだわるも良し。
 あるいは流れを変えて、志貴を加える、琥珀さんを使う、はたまた全員の狂
宴も良かろうと思います。

 あえて、次の指名なしでの自由参加にしますので、続き書きたい方はどうぞ。
 参戦表明されて書くもよし、いきなりでダブったらそれはそれで。
 サイト持ちの方はご自分の処での公開で結構ですし、無理であればこちらに送
って頂ければ掲載いたします。
 何とか、今回の薄味を払拭して頂ければと願って止みません。

 お読み頂きありがとうございました。

  by しにを(2003/2/4)



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