しきりょーじょく

作:しにを


 この作品の登場人物は全てオリジナルです。  一見、『月姫』のキャラに名前とか似ているかもしれませんが、きっと偶然で すので誤解されませぬよう……。  という事にしておこう。
 学校の正門前。  まだ昼を回ったばかりだというのに、既に授業は終わったのだろうか、生徒 たちは次々と外へと出て行く。  その晴れ晴れとした顔。  さほど注意していなくても、「試験がどうの」「返って来るのが怖い」「と りあえず終わったんだから……」など等口々に解放感を伴って弾けた言葉が耳 に届き、ああ、定期試験が終わったんだなと気づかされる。  そんな中にあって、一人異質な空気を持った少女。  恐る恐るといった調子で、校門の端から顔だけが外を窺っている。  肩の辺りまで髪をたらした眼鏡の少女だった。  そう万人の目を引くほど際立った美少女ではないが、可愛い顔立ち。  不安そうに顔を曇らせていたので、本来の魅力は薄まっていたけれど。  幾分周りからの奇異の眼を気にしつつも、外の様子を確認し終えて、少女は ほっと溜息をつく。緊張が解けたのだろう、眼に見えて雰囲気が和らいでいた。  少女は丸めた背を伸ばして姿勢を正す。  晴れ晴れと安全な外へと足を踏み出し……、かけて止まる。 「あっ、志姫見つけた」  びくんと身をすくませる少女。  恐る恐る声の主を求めて顔をゆっくりと向けると、そこにはニコニコと笑み を浮かべた長身の男性。  子供っぽいと言っていいほどの、邪気の無い笑顔。  染めた紛い物でない光に透けるような金色の髪。  ちょっと見は女性のようにすら見える整った顔立ち。  黙って悠然と立っていれば、オーラをまとうモデルか映画俳優のように見え るのに、不似合いなほど笑み崩れている。  それはそれで魅力的に映っているけれど。  先ほどまでは影すら見えなかったのに。  志姫は呆然として立ち尽くす。  もしかして隠れていたのだろうかと、ちらりと思った。   「アルク……」  志姫の唇が名を形作る。  うん、とさらに嬉しそうにして、アルクは志姫に駆け寄った。  道一本隔てた距離を、飛ぶような数歩でゼロにする。 「志姫、会いたかった」  迷いも無く抱き締められる。  待って、と言いつつもその抱擁に志姫は抵抗できない。  大きく包むように強く腕が回された。  ぎゅっとされて、とりあえず志姫は解放された。 「ね、しよ」 「な、何を……」 「わかっている癖に。顔赤いよ、志姫。試験期間中だっていうからずっと我慢 してたんだから。志姫だってしたかったでしょ」 「したくないもん」 「嘘」 「嘘じゃない……」 「じゃあ、ワタシの事嫌いになったの? ワタシとするの飽きちゃったの?」  真顔で、多少不安そうにしながらアルクは訊ねる。  志姫としては、学校前の往来でこんな会話をして注目を浴びるのは顔から火 が出るほど恥ずかしいのだが、とりあえず素直に返事をした。 「アルクの事嫌いじゃないよ。でも……」 「そうか、よかった」  また、アルクに抱擁される志姫。  まだ続けようとした言葉は封じられてしまう。 「こんな処で……」 「あ、そうだね。じゃあ早速行こうか、二人の部屋へ」 「違う……、待ってよ……」  腕を掴みアルクは歩き始める。  志姫は仕方なく後に続く。  ややつんのめる様にして、とぼとぼといった様子で。  遅々とした志姫の歩みに、うーんと考え込むと、アルクは軽々と志姫の体を 抱きかかえる。  お姫さまだっこ。   「やだ、恥ずかしいよ、みんな見てるよ」 「だーめ。志姫はワタシの事、いきなりバラバラにしたんだから、これくらい してもバチはあたらないよね?」 「でも……」 「ワタシが志姫のこと好きなんだから、それじゃ駄目?」 「……」  にこりと笑うと、アルクは軽々と志姫を抱えて歩き始める。  映画の一シーンのような姿。  もともとが日常と隔絶した姿のアルクにはそんな行動が似合っていた。  たまたま二人を視界に入れていた通行人も、呆れたり笑ったり者は皆無で、 吸い寄せられるように見つめている。  アルクはそんな観客の視線には意を払わず、悠然として軽快にマンションへ 向っていった。  約一時間後。  広々とした部屋の、やはり不必要なまでに広いベッドでアルクと志姫は何一 つ纏わずに、四肢を絡ませあっていた。   志姫の肌は上気し、白い肌を薄く桃色に染めている。  下半身は杭で打ち据えられていて、上半身はアルクの指と唇がくまなく探っ ていた。  形の良い乳房はアルクの手によって形を変えられている。  潰すように押され、引き伸ばされ、しかし玩具のように乱暴に弄ばれている 訳ではない。僅かに痛みにまでは至らない処で止められるその動きは、むしろ 繊細であり、そして明らかに志姫の官能を引き出していた。  そのアルクの自在に動く指は乳房をこねながら、小さなサクランボウのよう な乳首も黙って放っては置かない。  ツンと突き出ている乳首は、摘まれ、擦られ、志姫の甘い嬌声を誘う。  時には唇が触れて、優しくキスをし、また甘噛みをして悲鳴をあげさせる。  胸だけではなく、鎖骨の窪みを丹念に舐め、うなじをキスで濡らし、馴染ん でいる体だからこその多岐にわたる性感帯を的確に攻める。  すっかり志姫は陶酔に身を委ねていた。  何をされても、それは快感につながり、志姫は無抵抗のまま。  しかし快感に浸りながらも、アルクの顔が脇腹から上に伸びて、脇の下に埋 められたりすると志姫ははっと我に返った。  まじまじとは見られたくない処に、間近なアルクの視線を受け、舌で舐めら れている。  それは志姫を羞恥に身悶えさせ、しかしそのまま続けるアルクの愛撫に、ま た新たな快楽を引き出されてしまう。  その間ずっと、時には上半身と呼応するように、また時にはまったく別な動 きとして、アルクの下半身は動き、志姫の体を揺すっていた。  ずっぽりと秘裂はアルクのもので埋められ、大きなストロークこそ無いが、 浅く抽送は繰り返され、単純な前後の動きから、立体的な動きまで、さまざま に二人の繋がる支点に違った摩擦が生まれる。  まるで志姫の、いや自分自身の体重すらまったくゼロに出来るかのように、 アルクは複雑怪奇とも言える動きで志姫を翻弄していた。 「いや、うんん……」 「出すよ、志姫。いっぱい注いであげる」 「膣内は、なかはやめて……」  うわ言のような力ない声で、それでも志姫は懇願する。  しかしアルクは他の何事をも承知するであろうが、この志姫の願いには笑っ て首を横に振ってしまった。。 「だーめ。志姫だって満足しないでしょ」 「でも、今日は……」 「危険日? 平気だって。どっちに転んでも問題なし。いくよ、志姫」  ズンとアルクの腰が志姫の体を跳ね上げさせる。  その衝撃は志姫を、何度目かの高みに至らしめる。  志姫は、しっかりとアルクにしがみ付く。    「アルク、私、いっちゃう、いっちゃうよ……」 「志姫、いいよ、いって。一緒に……」  志姫の体ががくがくと震え、強張る。  アルクは優しい眼をして、愛する少女の一番可愛いと思える表情を確認する と、自分を解放した。  長い絶頂感の中で、志姫は己の子宮に注がれた事を感じ取り、その悦び故に、 今日最大の快美感に浸った。  アルクがコントロールを失うほど、全体で膣内のペニスを締め付け、最後の 一滴まで搾り取りながら……。              ◇   ◇   ◇  とぼとぼと志姫は歩いていた。  あれからもう一度アルクに可愛がられ嬌声を発し、おかしくなるほどの絶頂 を迎えた。間で何度も軽くイキまくりながら……。  その後、ドロドロになって放心した体をシャワールームに運ばれ、優しくア ルクに洗ってもらい、身支度を整えて別れを告げたのだった。  送るよとアルクは言ったが、あんな恥ずかしい事をして、赤面するような言 葉とおねだりをしてしまった相手とは、そのまま平然とは歩けなかった。  それで志姫は一人帰宅の途についていた。  しかし志姫の様子はどこかおかしかった。  自覚症状もあった。  体がおかしい。  黙っているだけでも、少し辛い。  熱っぽく、認めたくはないが、発情していた。  あんなにしたのに。  そう思っても体が火照り、焦燥感めいた気持ちが体を支配する。  傍にアルクがいたら、もう一度とせがんでしまいそうだった……。  どうしたんだろう?  耐えがたく、志姫が公園ででも休もうかと思った時、ぽんと後ろから肩を優 しく叩かれた。  振り向き、あっ、と声を洩らす。  良く知っている相手。  出来れば今は会いたくなかった相手。  黒系の服に身を包んだすらりとした体。  メガネがただでさえ整っている顔立ちを、さらに理知的に演出している。  それでいて暖かい笑顔故に、冷たい感じは消えている。  それは、志姫と同じ学校へ通う……。 「あ、シエル先輩」 「遠野クン?」  名前を呼び合い、シエルは何か言いかけて、言葉を止める。  じっと黙ったまま志姫を見つめていた。 「……」 「あの……」  その自分を見つめるシエルの目に、志姫はドキドキとさせられていた。  何か言い訳したい気分だが、何を言っていいのかわからない。  シエルはそんな志姫の様子をも見抜いているように、鋭く見つめている。  さらに志姫を見る目が厳しくなり、そしてフッと和らぐ。 「また、あの吸血鬼に抱かれましたね」 「その……」 「いいですよ、隠さなくても。志姫クンが望んだ訳でもないのでしょう。あの 極悪非道のあんぽんたんめ」  さらにシエルは志姫の知らぬ外国語でアルクを罵った。  そして、一転して優しい笑顔で志姫を見る。  志姫の手を取る。 「いきますよ」 「あの?」 「具合が悪いでしょう? 体が火照って、歩くのも辛いくらい」  シエルの言葉に志姫は恥ずかしそうに、そうですと頷く。     「はい、それで少し休もうかなって」 「そのままだとしばらくおさまりませんよ。わたしの処で休んで下さい、治療 もしてあげますから」 「すみません、シエル先輩」 「ふふふ、神に仕える者としての当然の務めです。清めてあげますよ。体の隅々 まで。聖液でね」 「え、ええっ?」              ◇   ◇   ◇ 「あーあ、まだ痕跡がありますねえ」  志姫は合わせ目が震えるほど硬く、歯を噛み締めていた。  体を支えている腕もぷるぷると動く。  それを知ってか知らずか、意に介さずにシエルは作業を続けていた。  志姫はシエルの言うままに、足を広げて立ち、上半身を倒す姿勢を取ってい た。必然的にお尻は突き出される形で上を向く。  ベッドの木枠を掴んで重心を支えて、志姫は頬を赤く染めていた。  それはそうであろう。  スカートもショーツも身に付けず、先ほどアルクと交わったばかりの性器を 露わにしているのだから。  シエルの部屋に入るが否や、志姫は下半身を露わにする様に求められたのだ。  真っ赤になった志姫の抗議は、やんわりとシエルに封じられていた。 「そのままでは、しばらくお家には帰れませんよ」 「早く元気になりたくはないですか?」 「恥ずかしいかもしれませんが、仕方ないんですよ、治療ですから」  そんな言葉で志姫は説得された。  さらにいろいろと理を以って説明してくれた。  確かに、シエルの言葉は詭弁めいたものは無く、誠意のこもったものであっ たが、志姫には悪魔の囁きにも感じられた。    結局、志姫は上だけ制服という姿になり、シエルの指示に従った。  泣きそうな声を洩らし、顔を紅潮させながら。  ほとんど息が触れるくらい近くで一番恥ずかしい処を覗き込まれ、ただ見ら れるだけではなくシエルの手によって秘められた処は捲られ、広げられている のだ。  羞恥に顔から火が出そうなのも、無理ない事だった。  あくまで、医者か科学者の冷静さでシエルが覗き込み、指で触れているのだ と頭では理解していたとしても。  さっきはアルクとよく似た行為に耽っていたのだが、互いに裸になり性行為 の過程で肌を晒すのとは、違った恥ずかしさだった。 「また、膣内に出されてしまって……」  端的に事実を指摘するシエルの声に、また頬の温度が上がる。  思わず抗議の声が飛び出す。 「だって……」 「まあ妊娠したりする可能性はほとんど無いだろうし、奴もそれは望んでいな いでしょうね、でも志姫クンは女の子なんですから、快楽に溺れて、こんな」 「溺れてなんていません」 「ふうん、そうだったのかな? まあ、それならなおさら何度もこんなに避妊 もせずに中出しされるなんてのは、感心しないな」 「それは……、はい……」 「それに幾らすぐに洗浄しても、人間の体の構成上、多少なり吸収してしまう んだから。前にもふらふらしていただろう? 志姫クンの体調で全然効果が変 わってしまうんだからね。  アルクの体液は、異性に対しての催淫効果が尋常でなく強いのだから」  また、花弁が指で掻き分けられ、膣口を探られる。  それにより、火が燃え上がる。 「んんんッッッ」  押し殺す声。  僅かな刺激で驚くほどの快感が身を貫く。  指が離れるのにほっとする。 「……!!!」  声にならぬ絶叫が洩れる。  今の指とは異端の感触。  もっと柔らかく、もっと暖かく、もっと蠢くそれは……。 「やだ、先輩、舐めちゃ嫌です」 「そうかな?」 「嫌、お願い、やめて……」 「わたしの分泌する唾液の成分に解毒効果があるのは、志姫クンも知っている でしょう?」  志姫は頷く。  何度か、傷を負った処を舐めてもらった事がある。  解毒効果どころか、回復効果すらシエルの体から分泌される事は、志姫も実 体験として承知していた。 「だから我慢して下さい。それにわたしだって、正直なところ、舐めるの嫌な んですから」 「えっ?」  幾分の嫌悪感の混じった声。  志姫はそれを敏感に感じ取り、文句を言っていた口を閉じた。  何故だろう、殴られたような衝撃を感じて。  シエルは傷ついたような志姫に、慌ててフォローを入れる。 「ああ、志姫クン、そんな顔しないで。  わたしが志姫クンのここを舐めるのを嫌がる訳ないでしょう。一日中だって 舌を這わせていたいくらいです」 「でも……」 「アルクの後始末をしていると思うと、多少は気分がブルーになるのもやむを 得ないという事ですよ。これが翡翠さんや琥珀さんのと言うのならまだ我慢で きますけどね」 「ごめんなさい、先輩……」 「いいですから、志姫クンの為なら……」  シエルの舌が、志姫の秘裂全体に唾液を塗りたくるように動く。  やがて舌先が一点に集中する。 「ああ……」  膣口からにゅると入り込んだ舌の感触に、たまらず志姫は声を出す。  まるで独立した生き物のようにシエルの舌は際限なく動き、奥を探る。  志姫の腿と腰はシエルに抑えられ、身悶えしても舌からは逃れられない。  シエルは口を拭いながら顔を離した。  ぐっしょりと口の周りから顎の方まで濡れている。  舐められていた志姫はと見れば、唾液だけでなく、志姫自身の蜜液もまたと ろとろと溢れているのが明らかになっている。 「奥の方までは無理ですね。後は……。志姫クンもこのままじゃ我慢できない でしょう?」 「……」 「挿入しますよ、いいですね?」 「はい……」  かちゃかちゃいう音と衣擦れの音。  そして、志姫は膣口を大きく開ける熱いものの存在を感じた。  何度も味わった、アルクともまた感触の違う男の人のもの。 「入ってくる。先輩の……」 「そうですよ。志姫クンの可愛い処に、わたしのが呑み込まれていますよ」 「んん……」 「これだけで、イッてしまいそうですね。きゅうきゅう締めつけてきます」 「先輩の大きい……、はぅぅ」  慌てずにゆっくりとシエルは腰を動かす。  長大なシエルのペニスが、傍から見れば不思議なほど簡単に、志姫の中に呑 み込まれていく。  志姫の喘ぎ声と、シエルの微かな呼気を伴いながら。  ぴちゃ、ぴちゃと水音を響かせて、シエルのペニスが志姫の中を出入りする。 「本当は、もっとゆっくりと楽しみたいのだけど……」  スピードが上がる。  ぢゅぷ、ぢゅぷと、いやらしい音が大きくなる。  腰をつかんでいたシエルの手が一つ離れ、制服の上から、志姫の柔らかい胸 を揉みほぐす。 「やんッ」  突然の刺激に身悶えする志姫。  構わず、シエルは。形の良い志姫の胸を崩し、引っ掻くように尖っている乳 首を指先で弄る。 「そろそろですか、志姫クン?」  腰が微妙に緩急をつけて動いている。  その一動作一動作が志姫を狂わせていく。  志姫の反応に、終わり近しとみて、シエルは動きをさらに激しくした。 「ああっ、先輩、先輩、もう、私、ああああァァッッッッ」  志姫の崩れそうな上半身を支え、シエルもまた志姫の中に放った。  その瞬間には、さすがにシエルもしかめるように顔の表情を変え、そして体 全体をゆっくりと弛緩させた。  ドクン、ドクン……。  激しい脈動と共に、膣道の奔流が、志姫の子宮を満たした。  シエルが優しく志姫の体を下ろす。  まだつながったまま、志姫は息を荒くしながら突っ伏してしまった。  にゅるとペニスが引き抜かれる。  こぽっとペニスからどろどろの粘液がこぼれる。  二人の淫液に濡れたペニスはまだ勃ったままだった。  放心したままの志姫の秘裂に指で触れ、シエルはつうーっと後ろへと動かす。  蟻の門渡りを越えて、くすんだ色のすぼまりへと。  濡れた指で、シエルは皺を濡らすように指を動かした。  外からまっすぐに穴のほうへ。  そして、ちょんと穴に指を置いて起点とし、渦巻きを広げるように外へと。  飽く事無く、何度もマッサージをするように続ける。  やがて淫液に濡れそぼり、やわやわとした動きで志姫のアヌスはほぐれたよ うに僅かではあるが自ら穴を開いた。 「こちらにも」 「え、後ろもですか?」 「そうですよ。直腸は吸収が優れているんです。嫌かな?」  志姫は黙ったまま腰だけを上げた。  濡れた秘処と今触れられた後ろのすぼまりをシエルの眼に晒す。  シエルに弄られた開いたままの淫らな穴を。 「息を大きく吐いて、楽にして下さいね」  言いながら、シエルはすぼまりへペニスの先を当てる。  小さな穴にはあまりに不釣合いな大きさ。  しかし、志姫はそう不安そうにはしていないし、シエルも迷いが無い。  いやむしろさっき以上の興奮の色すら浮かべている。  ずむとペニスが動く。  穴に亀頭の先かめり込み、呑み込まれていく。  幾重もの皺が広がり、痛々しいまでの姿になる。 「んんん……」  さすがに痛みを堪えるような顔をして、ぎゅっと手を握り締める志姫。  シエルはそれを気遣いながらも、動き自体は躊躇なく続ける。  亀頭がすっぽりと消え去り、幹がゆっくりと志姫の深奥へと向う。 「入りましたよ、志姫クン」 「苦しい、先輩。いっぱい……」 「志姫クンの中、きつきつで凄いですよ。前とは違った感じで、頭が蕩けそう ですよ……」  シエルも苦痛ですらあるかのように、顔を幾分強張らせている。  しかし、それはあまりの愉悦に耐える表情であるとわかる。   「いいよ、動いて、先輩」 「辛かったら言ってくださいね」  ぬちゅう……、ぬちゅう。  さっきより慎重にシエルは動く。  ゆっくりと、優しく。  決して荒々しくする事無く、志姫に無理をかけないように。  何十回かの緩やかな抽送の果てに、わずかに志姫の反応が変わる。  悩ましげに声を洩らし、体の強張りも消える。 「よくなってきましたか、志姫クン?」 「先輩、お尻が熱い……」  少しだけシエルの動きがリズミカルに変化する。  手が前に回され、ぽたぽたと愛液と精液の混合を滴らせる花弁を掻き分け、 固くなった肉芽を優しく擦る。 「シエル先輩、ダメ、もう、お尻でイっちゃう……」 「いいですよ、イキなさい。わたしと一緒にね……」  大きくシエルは腰を打ちつけ、ぎゅっと志姫の肉芽を包皮ごと潰す。  直腸への一撃に志姫は、火傷するような熱さをすら感じた。 「あああ、ダメ、あああああぁぁぁぁッッッッッ」 「んん……」  志姫が達すると同時に、シエルもさっき以上の量の精液を迸らせた。  本来は排泄の用途にしか使わぬ筈の器官の奥へと              ◇   ◇   ◇ 「本当はもう何時間か休んでいって貰えればいいのだけど、遅く帰るのはまず いですね、秋葉くんもうるさいから」  志姫は頷く。  まだ余韻に浸り、放心した顔つき。 「かといってそんな状態では、遠野クンも帰れないでしょうし……」  志姫の鞄からポーチを取り出す。  その中の小さな包み。  そこから取り出されたモノに志姫の眼が大きくなる。 「ああ、それは」 「アプリケーター付ですか、こちらの方が使いやすいのでありがたいですよ」 「先輩……」 「遠野クン、ちょっとじっとしていてね」  止めても無駄と悟り、志姫は言われるままに足を広げる。  さすがに、常備の生理用品を取り出すシエルの姿には、眼を背けながら。  タンポンのアプリケーターが穴に嵌められる。  挿入感。  引っ張って、飛び出す感覚。  自分でしている時とはまるで感触が違う。   「なんでこんな事知っているかとか聞くのは無しですよ。それと……」  小さな球体のついた鎖。  どこか禍々しい形に志姫の顔が曇る。  それは、志姫の良く知っている性具によく似ていたから。 「遠野クンの大好きな、アナルビーズじゃないですよ。簡単な栓みたいなもの です。さ、お尻をこちらに」 「でも、そんなの入れて帰るの……」 「ああ、嫌なら止めましょう」  眼に見えてほっとした顔をする志姫。  シエルは特に表情を変えずに言葉を続ける。 「そのまま帰ったら、だんだんとお尻から垂れてきてショーツやスカートまで 濡らしてしまうかもしれない。ずっとお尻の穴を閉じていれば別だけど、今は まだ緩んでいますからね」 「え?」 「それに、前に出したのだけじゃ足りなくて、お屋敷の前、いや坂辺りでまた おかしくなってへたり込んでしまうかも。ただでさえ下半身に過度に意識が集 中するんだから。  志姫クン、我慢できなくなって、自分の手で。  前も後ろも精液と志姫クンの愛液でぐちゃぐちゃになって……。  うん、そっちの方がいいかな。  そんな素敵な姿はこっそり後をつけて、ぜひ見学させて貰おう」  いいなあ、と嬉しそうに笑うシエル。  それに対し、志姫の顔が真っ青になる。   「先輩、あの、それをすれば……」 「ああ、お尻の中に保留させておけば、中和作用も速いから、充分帰宅するま でおかしくならないし、そのまま洗ってしまっても大丈夫だと思うな」 「それじゃ先輩、私の」 「ダメ」 「……」 「志姫クン、さっき嫌がったでしょう? 愛する女性が嫌がっている行為をす るなんて、男として出来ないですよ」  優しそうな顔、しかし眼は明らかに笑っていた。  志姫にはそれが何かわかる、ちょっぴり苛めモードに入っている時のシエル の顔だと。 「シエル先輩の意地悪……」 「でも、志姫クンが自分から望むのなら、考え違いだとわかるんだけどね」  さあ、頼んでごらんなさいとほのめかすシエルに、志姫はかあっと顔を赤く しつつ、従わざるをえなかった。 「……お願いします、シエル先輩、私のお尻の穴に栓をして下さい」 「どうして?」 「先輩の注いでくれた精液が……、洩れてこないようにです」 「ふふ、よく出来ました。じゃあ、お尻を。ちょっときついけど我慢して」  あれ、もう許してくれるんだ、志姫は意外に思いつつもほっとした。  淫乱で帰るまでもたずに自分の手で悪戯してしまいそうな私の……と言わさ れるとか、自分の手でお尻の穴を開いておねだりさせられるのではと、さらに さらに苛められるのを志姫は覚悟していたから。  シエルは志姫の腰を掴むと、ピンポン球ほどの大きさの樹脂球をめりめりと アヌスにめり込ませていった。  最初の最大円周の所まではゆっくりと、そして残りはすぽんと入り込んだ。 「これでよし」 「なんだか、変……」 「歩いているうちに慣れますよ。取る時は自分でしにくかったら、恥ずかしが らずに琥珀さんにでも頼んで下さい」 「そんなの……、言えません」  志姫は手早く下着とスカートを身に着けた。  シエルは少し乱れた髪を梳いてやる。 「でも、まだ影響は残っていますから、気をつけて下さいね。やっぱり、わた しもご一緒しましょうか?」 「いえ、一人で大丈夫です。シエル先輩、さようなら」 「はい。遠野クン、また後で会おうね」  後で?  幾分疑問に思いつつも、志姫はシエルの部屋を後にした。  確かに、さっきまでの熱夢からは醒めたようで、お尻の違和感を除けば、歩 くのには支障がない状態に回復していた。
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