天抜き 其の四十六






 二千二百五十一「ことことと」

 セイバー「なかなか良い匂いがしていますね」
 士郎  「まだ出来上がりは先だけどな」
 セイバー「そうなのですか」
 士郎  「ああ、大鍋をこのまま火に掛けて、半分近くになるまで煮込む」
 セイバー「え、そんなに少なくなってしまうのですか」
 士郎  「まあ、そうだな」
 セイバー「むむ……。ああ、でもその分濃縮されるとも言える。
      しかし……」



 二千二百五十二「教える」

 凛 「そうねえ、士郎に弓を教えてって言ったら、的確に教えられる?
    姿勢とか呼吸とかだけでなくて、綾子を魅了してる領域まで」
 士郎「教えるって言っても、無理だそんなの」
 凛 「なんで?」
 士郎「もともと出来たとまでは言わないけど、ただ的を狙って……、ああ」
 凛 「魔術も同じよ。わたしがどうやってるかを言葉で伝えるの無理。
    だから、基礎から積上げていくの。まどろっこしくてもね。
    よく言うでしょ、学問に王道なしって」
 士郎「わかったよ。続きをお願いします、先生」



 二千二百五十三「マップコンプ」      

 アンリ 「あん? どうしたんだ、マスター」
 バゼット「二日目の夜、森でも教会でもなく公園へ行くのが正解でしたね」
 アンリ 「さんざぶち殺されて得た攻略ルートだな」
 バゼット「今回はあえて新都のビル街に行ってみましょう」
 アンリ 「はあ? なんでだよ」
 バゼット「まだ試してないからです」
 アンリ 「おい、ちょっと待てよ。ちょー、……ちッ。やれやれだ」



 二千二百五十四「会話」

 橙子「思うのだが、こうして愚にもつかぬ会話をする事が多いな」
 幹也「そうですね」
 橙子「たまには黙ったままでいるかね」
 幹也「いいですよ」
 橙子「……」
 幹也「……」
 橙子「……」
 幹也「……」
 橙子「……」
 幹也「……」
 橙子「……」
 幹也「……」



 二千二百五十五「眼鏡女教師、昼下がりの戯れ」

 藤ねえ「じゃあーん」
 士郎 「あれ、藤ねえ。何だよ、その眼鏡」
 藤ねえ「似合うでしょ」
 士郎 「どうだろう。桜はどうだ」
 桜  「え、結構良いと思います」
 藤ねえ「ほーら。桜ちゃんは素直な良い子ねー」
 桜  「でも、その眼鏡、見覚えがあるような」
 藤ねえ「これ、ライダーさんの。
     さっきうたた寝してたからちょっと拝借しちゃった」
 士郎 「えっ」
 藤ねえ「伊達眼鏡だし、別にちょっと借りても困らないよね」
 桜  「……先輩」
 士郎 「……ああ。まあ、気付いてそのまま歩いたりはしないと思うけど」
 桜  「でも、ライダーですよ」
 士郎 「そう言われると……」
 藤ねえ「次はセイバーちゃんにも見せてこようっと」
 士郎 「とりあえず待て、藤ねえ」



 二千二百五十六「トラウマ」

 凛 「衛宮くんは火が怖かったりとかそういうのはないの?」
 士郎「いや、別に」
 凛 「そう」



 二千二百五十七「イメージ力」

 志貴 「あれ、先輩」
 シエル「どうしました、遠野くん」
 志貴 「何でパスタなんか食べてるんです」
 シエル「訓練ですよ」
 志貴 「何の?」
 シエル「カレーが食べたくても何らかの理由で食べられない事があるでしょう」
 志貴 「それはあるでしょうね。ああ、それで断ちカレーという訳ですね」
 シエル「ふふ、そんな甘い話ではありません。
     カレーと思い込み、カレーを舌に再現し、万物をカレー味として食す。
     すなわち、カレー精神を鍛えているのですよ」
 志貴 「ふうん」(後ずさり)



 二千二百五十八「足して割ると」

 バゼット「この世す全ての悪……、途方も無い巨大な概念」
 アンリ 「まあな」
 バゼット「そのわりに具象化しているのは、こんなチンピラ風」
 アンリ 「チンピラ……。
      まあ、考えてみろよ、全ての悪だからな。
      無銭乗車とか信号無視とか裸マントで夜道歩くとか、そういうのが
      やたらと多い。必ずしも景気のいい大虐殺とかばかりじゃねえ」
 バゼット「なるほど」



 二千二百五十九「中の人」

 都古 「パンダ師匠の中には……」
 パンダ「この中を知りたいのか。チャックを開けるとどうなるのかを」
 都古 「……」
 パンダ「臓物だ」
 都古 「臓物……」



 二千二百六十「子犬のワルツ」
 
 志貴「琥珀さんが新しいリボンくれたじゃない、長いやつ。
    それがひらひらするのが珍しいのか、面白かったのか。
    咥えようとして体捻って丸まって転がって、髪の毛がボタンに絡まって。
    それでこの惨状なんじゃないかな」
 琥珀「あらあら、レンちゃん可哀想に」



 二千二百六十一「君去りし後」

 秋葉「寮の方は変わりは無い?」
 蒼香「そうだな、特にはないな」
 羽居「ええとね、秋葉ちゃんが家から通うようになってファンクラブの子が
    少し減ったんだって」
 秋葉「ファンクラブ?」
 蒼香「へえ」
 羽居「氷の女王様みたいじゃなくなったからなんだって。
    でも、かわりに今の秋葉ちゃんがいいって子が増えてね、全体では前
    よりファンクラブ大きくなってるんだって」
 蒼香「なるほど」
 秋葉「ファンクラブ?」 
   


 二千二百六十二「限り無し」

 バゼット「有限が無限にあるのは、無限なのでしょうか」
 アンリ 「あん?」
 バゼット「何故かそんな事を思ったのです」
 アンリ 「俺にはわからないが。
      終わらない事と、終わらせない事の違いみたいなものか」(呟き)
 バゼット「何か言いましたか」
 アンリ 「いいや」



 二千二百六十三「挟む」

 シエル「落ちろッッッ!」
 アルク「効かないわよ、そんな攻撃。無駄よ、無駄」
 シエル「この距離ならどうです。
     黒鍵の雨をかわせるものならかわしてごらんなさい。
     はあああぁぁぁぁッッッ!!」
 アルク「たとえこんなの当たった所で……、ちょっとタイム」
 シエル「何です」
 アルク「シエル、指の間に挟んで投げたのよね、一本ずつ」
 シエル「そうですよ」
 アルク「そうなると、三本か四本。両手で最高八本」
 シエル「それが?」
 アルク「今、九本飛んで来たけど、どうやったのよ」
 シエル「……ええと?」



 二千二百六十四「艶と輝き」

 士郎  「どうしたんだ、ライダー。考え込んで」
 ライダー「食費や他の出費を切り詰めようというお話があったなと」
 士郎  「ああ、家計の破綻は座して見過ごせない。
      で、それとシャンプーがどうかしたのか」
 ライダー「わたしの場合、使用量がどうしても多くなってしまうのです。
      でも粗悪な品を使うのも抵抗があり、悩んでいます」
 士郎  「そうか。それだけ綺麗な髪だもんな。いいよ、それくらい」
 ライダー「ありがとうございます。でも……」
 士郎  「まだ、何かあるのか」
 ライダー「リンスが」
 士郎  「わかった、リンスでもトリートメントでも好きにしてくれ」
 ライダー「はい」(満面の笑顔で)



 二千二百六十五「壁の中にいる」

 エミヤ「なるほど、こういう事もありうるのか…………きゅう」(任務失敗)
     


 二千二百六十六「剣鬼」

 小次郎「斬るという動作を行った時には既に、対象を斬り終えている。
     こちらへの攻撃を先にさせてなお、先にこちらが切り捨てる。
     なるほど、面白い。
     ……。
     幸い、修練の時間はたっぷりとある」

 凛  「ランサーとバゼットの話をした訳ね」
 士郎 「ああ、そしたら凄く食いついてきて、じっと考え込んでさ」
 凛  「生身で宝具の域に到達しちゃってもわたし驚かないわ」
 士郎 「そうだなあ」



 二千二百六十七「無数の剣の立つ荒野」

 凛   「名だたる名刀、魔剣の類を数多くストックしている。
      それは、確かに凄いわね」
 アーチャ「ふむ。だが、宝具クラスの剣ばかりではないぞ」
 凛   「さらにとっておきがある訳?」
 アーチャ「いや、逆だ。
      ありとあらゆる粗悪品、失敗作、へっぽこ剣もどき。
      むしろそんなものの方が多いくらいだ」
 凛   「まあ、そうよね。
      消せないの、そういうのは?」
 アーチャ「無理だ」(しみじみと)



 二千二百六十八「磨耗の果てに」

 凛「ただひとつの道を閉ざす事が、何て困難だったんだろう。
   すべての道を閉ざすのはこんなにも簡単なのに。
   わたしは衛宮士郎を幸せにしたかった。
   アーチャーへ至る道だけはは進ませたくなかった。
   それだけなのに。
   それだけだったのに。」(冷たい体を抱きしめながら)



 二千二百六十九「容積」

 鮮花「前からなんだか変だなと思ったけど、やっぱり」
 藤乃「?」
 鮮花「チェストの引き出し、わたしの方が余裕あるの」
 藤乃「それがどうかしましたか
 鮮花「下着の数は同じなの。けれどカップの大きさが。
    あ、何だか腹が立ってきた」
 藤乃「あの、わたし?」
 鮮花「あ、藤乃に腹が立ってる訳じゃないから。
    何にかわからないけど、もう」
 藤乃「???」
 
  

 二千二百七十「スタイリッシュ」  

 幹也「橙子さんもスーパーで買い物なんてするんですね」
 橙子「人を何だと思ってるんだ。霞では生きていけんよ」
 幹也「それはそうですけど、買い物カゴ持ってる姿は違和感が」
 橙子「知らん。お、タイムサービスが始まった。
    わたしは行くぞ」
 幹也「はい。……無駄に格好良いのが、やっぱり似合わないなあ」



 二千二百七十一「アインツベルンの科学力は」 

 士郎 「サーヴァントに匹敵するほどの攻撃力?」
 イリヤ「そうよ、リズは強いんだから。
     宝具とかは持ってないけど」
 士郎 「その凶悪なの片手で振り回せるなら十分だとおもう。
     じゃあ、セラは?」
 イリヤ「セラは別に戦闘には……、ああ、そうだ、セラも強いよ」
 セラ 「お嬢様?」
 イリヤ「精神攻撃」
 士郎 「ああ」
 リズ 「……」(頷き)



 二千二百七十二「跳んだり跳ねたりするのに」 

 シエル「これなんかどうですか、遠野くん」
 志貴 「あ、いい感じですよ、先輩。
 シエル「好感触ですね。じゃあ仮置きに。
     もう少し明るい色のも選んでみましょう」
 志貴 「こうして見ているとさ」
 シエル「あ、すみません夢中になってて。
     退屈ですよね、服選びの付き添いなんて」
 志貴 「いや、いいんだけど。
     意外とキュロットスカートとかジーンズはいてるの見ないなって」



 二千二百七十三「お手伝い」 

 アルク「おかえりー、志貴」
 志貴 「ただいま…って、何でおまえがいるんだ」
 アルク「遊びに来てたのよ」
 志貴 「ふ、ふうん?」
 アルク「あ、でも翡翠のお手伝いして掃除したんだから」
 志貴 「え、そうなのか」(傍らの方へ視線を向けて)
 翡翠 「はい、お手伝いして頂きました」
 アルク「ほらね」
 志貴 「そうか(翡翠が何か言いたげな困り顔でなくて真顔か。うーん……)」



 二千二百七十四「魔術師の弟子」 

 鮮花「あの、橙子師」
 橙子「何かね」
 鮮花「わたしが時計塔に行ったとして」
 橙子「ふむ」
 鮮花「蒼崎橙子に魔術を学んだと話しても良いのでしょうか。
    それとも?」
 橙子「難しい質問だな。
    ある種の魔除けにはなるが、忌避の原因にも成りかねないし。
    どうしたものだろうなあ」
 鮮花「黙ってる事にします」



 二千二百七十五「心穏やかな者は」 

 鮮花「でね、藤乃……ん?
    もう眠っちゃったのか。
    ……ふーん。わたしはあんな寝顔してないでしょうね、きっと」



 二千二百七十六「チェンジ」 

 橙子「つまり、鮮花はフルハウスになっている手札をわざわざ崩して上の役を
    狙うタイプだな。
    それも元手を活かすフォーカードではなくストレートフラッシュとかを」
 鮮花「唐突に何ですか」
 橙子「いや、なんとなくだが」



 二千二百七十七「評価」 

 鮮花「ときどき思うんですけど」
 橙子「何だね」
 鮮花「兄さんは式のどこが良かったのでしょうか。
    わたしだと私情が入ってわからなくて。客観的に見てどうなんですか?」
 橙子「それは……、それは……?」(絶句)
 鮮花「橙子師?」
 橙子「ほら、ええと、幹也だからかな」
 鮮花「……」(答えになってないと思いつつ感情は納得)



 二千二百七十八「朽ちつつ」 

    異様な風切り音。

 葛木「……ふむ。
    何もせずにいれば、衰えるが道理。
    それに感慨も起こらない筈だが、そうでもないのか」

    さらに試すが如く疾風の速さで拳を打ち出す。何度も、何度も。

 

 二千二百七十九「言ったら負け」 

 ネコ「こう見えても、品行方正な優等生だったんよ、エミヤん」
 士郎「そうですか」
 ネコ「勉強も出来たし、先生達の信望もあったんだから。まあいいけど」
 士郎「(うまく猫を被っていたんですねと言いたいけど、ダメだッッ)」



 二千二百八十「任務遂行」

 琥珀「翡翠ちゃんを熱く見つめて、何を物思いに耽っているんです?」
 志貴「翡翠の着ているメイド服があるだろ」
 琥珀「ええ」
 志貴「布地に薄い鉄板を縫い込んだりしてさ、重くするんだ」
 琥珀「……ええ??」
 志貴「そうしたら、仕事する時の動きとか、ゆっくりになるかな」
 琥珀「さあ」
 志貴「って、事を考えてたんだ」
 琥珀「…………でも、可愛いかもしれませんね」
 志貴「ああ」(強く)



 二千二百八十一「この身は堕ちようとても」

 シオン「よくよく考えてみると、あらゆる吸血鬼はわたしの敵ですね」
 さつき「何か言った?」
 シオン「いえ、別に」



 二千二百八十二「独創メニュー開発」

 琥珀「いっぱい食べて下さいね」
 志貴「秋葉、何か琥珀さん怒らせるかしなかったか?」(小声)
 秋葉「とんでもない。兄さんこそ」(小声)
 志貴「俺も思い当たる事はないぞ」(小声)
 秋葉「じゃあ、これは別に嫌がらせではないのですね」(小声)
 志貴「いろいろ考えすぎて変な方向に行っちゃったんだろうなあ」(小声)
 


 二千二百八十三「図書館にて」

 士郎  「意外な所で会うなあ」
 ランサー「うん? まあ、そうかもしれねえな」
 士郎  「何か調べ物?」
 ランサー「ああ。死後どんな風に言われてるのか、ふと気になってな。
      柄でもない話だが」 
 士郎  「で、どうだった?」
 ランサー「誰だ、こいつって感じなのと、事実だけど違うってのと。
      変な気分だな」(しみじみと)



 二千二百八十四「相対的だとしても」

 志貴 「先輩は自分が常識人だと思う?」
 シエル「わたしですか。……どうでしょう?」(懐疑的に)
 志貴 「そういう反応返すんだから、そうなんですよ」
 シエル「そうですかねえ」



 二千二百八十五「こねこねこ」

 レン 「……」
 白レン「なによ」

 秋葉 「猫は放っておくと増えていくって本当ですね」
 志貴 「違う意味だと思うが」



 二千二百八十六「中華まんください」

 志貴「シエル先輩はカレーまん取るだろうってのは予想通りだったな」
 有彦「そりゃ迷いもしないで手を伸ばすよな」
 志貴「だったら下から穴開けて、肉まんと具を取り替えてみたら吃驚する
    んじゃないかって言ったの有彦だったよな」
 有彦「実施したのはお前だけどな。俺はナイフなんぞ持ち歩かんし」
 志貴「……」
 有彦「……」
 志貴「まさか、泣き出すとは思わなかったもんなあ」



 二千二百八十七「冬の公園で缶コーヒー」

 志貴 「少しは暖まったな」
 アルク「うん、美味しかったね」
 志貴 「さてと、あれ、ゴミ捨てる所がないな」
 アルク「あ、志貴、あそこ」
 志貴 「うーん? 遠いな。よく見つけるな、あんなの。
     じゃあ、捨てて来るから待ってろ」
 アルク「えー」
 志貴 「じゃあ、一緒に行くか」
 アルク「そうじゃなくて。……えいッ」
 志貴 「投げて入れる…って、届くのか、あの距離。凄いな」
 アルク「んん?」(何故誉められたのだろうという顔で)



 二千二百八十八「自負」

 凛   「本気でランサーと戦ったら、勝てた?」
 アーチャ「ああ」
 凛   「ライダーやキャスターは?」
 アーチャ「むろん」
 凛   「バーサーカーは無理でしょ」
 アーチャ「やり様にはよるが、不可能ではなかろう」
 凛   「ふうん。じゃあ、セイバーは?」
 アーチャ「無理だな」
 凛   「セイバーにも勝て……え、無理なの?」
 アーチャ「ああ」(明快に)
 凛   「そうなんだ。ふうん」(複雑な表情で)



 二千二百八十九「実際」

 凛 「こういう人物だとは知り合うまでわからなかったわね」
 士郎「え、俺が? 遠坂も他人の事言えないだろう」
 凛 「わたしは当然よ、そうしてたんだもの。
    ま、士郎の場合、見たまんまのところも多かったけど」
 士郎「何がさ」
 凛 「気になる?」
 士郎「ああ」
 凛 「教えない」(嬉しそうに)



 二千二百九十「王道なし」

 幹也「橙子さんって凄い魔術師なんですよね」
 橙子「ああ」(断言)
 幹也「……」
 橙子「それくらいの自負を持たねばこの稼業はやってられんよ」
 幹也「そうですか」
 橙子「それと幼い頃からの自覚と努力が肝要だ」
 幹也「意外な言葉ですね」
 橙子「それを捻じ曲げる反則な存在もいるがな」(忌々しげに)



 二千二百九十一「ギリシアの時代からローマの時代へ」

 キャスター「まあ、頷けるわね」
 ライダー 「同意します」



 二千二百九十二「塵ひとつ無し」

 志貴 「あれ?」
 アルク「どうしたの、志貴?」
 志貴 「いや、部屋が綺麗だなと思ってさ。前に来た時とまるで違う」
 アルク「それはね、お掃除したから」
 志貴 「掃除? お前が? ええと、まさかレンが」
 アルク「違うわよ、わたしがしたの。退屈だったから、徹底的にやってみた訳。
     ホームセンター行っていろいろ道具買い込んだりしたんだから」
 志貴 「へえ、それは意外だ」
 アルク「珍しい事だから、けっこう面白いの。壁とかぴかぴかになるし」
 志貴 「遊びと思えば労働も楽しく出来る……とかいう言葉があったっけ」
 アルク「そうだ、今度は志貴の部屋もやったげようか」
 志貴 「きっぱりと断る」(即座に)

     

 二千二百九十三「潜り込みますか?」

 シエル「小学校……」
 志貴 「へ?」
 シエル「給食のカレーというものは、なかなか美味しいそうですね」
 志貴 「まあ、そんな記憶はあるな」
 シエル「まとめて大量に作りますし、理には適っていますね」
 志貴 「……」(あえて口を噤んでいる)



 二千二百九十四「闇夜の烏」

 シエル「人の事をどう呼ぼうと構いませんが、本来はあなたこそがそういう
     存在である筈なんですよ」
 アルク「そうなの?」



 二千二百九十五「欲するもの」

 秋葉「クリスマスの飾りが目立ちますね」
 志貴「そうだな。
    秋葉はプレゼントに欲しいものある?」
 秋葉「そう訊ねられずに用意したプレゼントを貰いたいものですけど」
 志貴「そうだよな」


 二千二百九十六「欲するもの2」

 志貴「それはそれとして、何が欲しいんだ」
 秋葉「プレゼント……」
 志貴「高いものは駄目だぞ」
 秋葉「頭に浮かぶのは、お金では買えないものですね」
 志貴「そうなのか」
 秋葉「ええ」
 志貴「それは、遠野家の財力だと金銭的な物は望めば手に入るからかな」
 秋葉「いいえ。
    もしも貧しかったとしても、私の願い事は変わりませんよ」
 志貴「そうか」



 二千二百九十七「同じであって」

 琥珀「本当に、レンちゃんはおとなしいですねえ」
 志貴「そうだなあ」
 琥珀「おしゃべりで元気なレンちゃんも可愛いでしょうけど」
 志貴「……あれとはまた別なのかな」
 琥珀「別ですよ」

   視線の先に白レン。



 二千二百九十八「神と御子を称え」

 幹也「二人とも賛美歌とか当然歌える訳だね」
 鮮花「当たり前です」
 藤乃「はい。降誕祭が近づくと、学園内での行事もありますし」
 幹也「なるほど。二人とも声質は違うけど綺麗な声だから良い感じだろうね。
    ん……、と言う事は、もしかして所長も……」
 橙子「当然、歌えるぞ。何だ、その目は」
 幹也「いえ別に」
 橙子「まあ、どんな顔をして歌えばいいのか、今ではわからないがね」



 二千二百九十九「敬虔に」

 凛 「へえ、あんたも賛美歌なんて歌えるんだ」
 言峰「当然だ。これでも教会をひとつ預かる身だ」
 凛 「それはそうだけど……、信じられない」
 言峰「ふむ。では聞いてみるか?」
 凛 「うーん、やめとく。わたしは対立する立場だし。
    なんだか、あんたの歌は異教徒にも神への冒涜の気がするから」
 言峰「ほほう」



 二千三百「緑と赤」

 シエル「そうですね、クリスマスですからホウレン草とニンジンを使って、
     ケーキを作りましょう」
 一同 「えええええええッッッッッッ!!!!!!」


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