天抜き 其の四十八






 二千三百五十一「台所にて」

 凛「わたしが他人の為にご飯を作っている。
   理不尽ね。
   ……楽しいのが」 



 二千三百五十二「卵かけご飯」

 一同「いただきます」
   
 士郎  「あれ」
 桜   「……」
 凛   「ふうん」
 藤ねえ 「セイバーちゃん、卵割れないんだ、意外ねえ」
 セイバー「くっ」(敗北感に満ちた表情で)



 二千三百五十三「蠱惑」

 アルク「最近、志貴がつれないのよ。
     何か志貴を悩殺するような方法ないかなあ」
 レン 「……」
 アルク「あるんだ。ふーん。
     どうやるのよ、レン」
 レン 「……」
 アルク「ふんふん。
     まず、猫になって……、もういい」
 レン 「……」



 二千三百五十四「変わらぬ食卓」

 秋葉「いただきます」
 志貴「いただきます」
 秋葉「……」
 志貴「……」
 秋葉「あの、兄さん。夕食のメニューですけど」
 志貴「これで五日同じだな」
 秋葉「琥珀か翡翠に何かしましたか?」
 志貴「とんでもない。と訊くって事は秋葉じゃなかったのか。
    俺はてっきり……」
 秋葉「なるほど。
    琥珀、すぐに来なさいッ!」



 二千三百五十五「お手を拝借」

 志貴「うーん、どこにあるんだろう」
 秋葉「何かお探しですか」
 志貴「爪切りなんだけどさ。琥珀さんが出掛けててわからない」
 秋葉「あいにく私もわかりません。
    ところで、爪切りをどうなさるのですか?」
 志貴「ん、爪を切るんだよ」
 秋葉「誰のをですか?」
 志貴「誰の?」
 秋葉「ええ、どなたの爪を切ってあげるんですか?
 志貴「えーと、つまり、爪とは他人に切って貰うものなんだな」
 秋葉「はい」(何を言っているのだろうという目で)



 二千三百五十六「ステッキ武術はあるな」

 セイバー「……」
 士郎  「何だい、セイバー」
 セイバー「それは何かの護身用の武器として持ち歩いているのですか」
 士郎  「単なる傘なんだけど。
      雨は降りそうもないけど、壊れた傘を直そうと思ってさ」
 セイバー「そうですか。
      軽いですが、それなりの長さを持ち、鋭利な先端を持っている
      ので、その手の用途かと思いました」
 士郎  「そりゃ、セイバーが持てば、凄い攻撃力見せそうだけど……」



 二千三百五十七「君臨すれども統治せず」

 セイバー「ライダーに本を借りて読んでいたのですが」
 凛   「ふうん、グルメ情報か料理の本?」
 セイバー「近代史と政治の本です」
 凛   「へ? ま、まあ、興味あるわよね、王様としては」
 セイバー「結局のところ、王などいらないのでしょうか」
 凛   「ええと、その……、難しいわね。
      時代背景とか、文明水準とか、あ、でもまだ王様いる国あるし」
 セイバー「……」



 二千三百五十八「そこに至るまで」

 士郎  「今日のは自信作だぞ」
 セイバー「おお」
 桜   「凄いです、先輩」
 凛   「まあ、手の込んでるのは認めてもいいけど、問題は味よ」
 士郎  「その通りだな。まずは食べてみてくれ」(悠然と)
 藤ねえ 「ふうん、最初の頃は凄いの作ってたくせにー」
 士郎  「うッ」
 


 二千三百五十九「はじまり」

 桜   「なるほど、みんなに料理を習っている訳なんですね」
 セイバー「はい。やはり食べるだけというのは心苦しい」
 桜   「それは気にしなくても。
      姉さんには、包丁の使い方を教わったのですか」
 セイバー「サンドウィッチなどはどうかと言われました」
 桜   「姉さんは何もわかっていない。最初はおにぎりです」
 セイバー「おにぎりですか」
 桜   「そうです。他には考えられない」
 セイバー「よく、わかりませんが……、では、それをお願いします」



 二千三百六十「最後のひとつ」

 藤ねえ 「いただきいッッッ」
 セイバー「ああッッ」
 藤ねえ 「と言う訳で、最後のドラ焼きはわたしのものなのだ」
 セイバー「し、仕方ありません」
 藤ねえ 「なんだけど、半分わけてあげる」
 セイバー「おお、ありがとうございます、大河。
      しかし、どうやって私が気付かないうちに……。
      それにいったいどれほどの速さで……。むう」



 二千三百六十一「忙中閑あり」

 凛   「鬱陶しいわね、ぼーっと突っ立って。
      少しは何か準備するとか、やる事はないの?」
 アーチャ「ないな」
 凛   「じゃあ、何か暇つぶししていれば? 趣味の一つもあったんでしょ」
 アーチャ「む……」
 凛   「何故にそんな困った顔」



 二千三百六十二「君よ、走れ」

 氷室 「うむ……」
 由紀香「わあ、やっぱり速いねえ、蒔ちゃん」
 氷室 「確かに」
 由紀香「トラック何週目だろう、あれ」
 氷室 「気がついたらずっと走っているからな。
     しかし、あれはどうであろう。
     優雅にとまでは言わないが、静かにと言うか、見苦しくなくと言うか……」
 由紀香「ははは……」



 二千三百六十三「ただの一度も敗走はなく」

 士郎「無理だとわかっていても、苦痛しかなくても、
    涙を流しながら、それでも止まる事無く、
    それでも…………、食べるんだ」



 二千三百六十四「無言で座して頷く」

 志貴 「何してるの」
 シオン「思考実験です。なかなか実りのある検討が出来ました」
 志貴 「へえ、どんな内容?」
 シオン「整理せずに補足を加えつつ話すと、丸二日ほど掛かりますが、
     説明しましょうか」
 志貴 「やめとくよ」



 二千三百六十五ノ一「誘惑」

 橙子「良ければ、借り部屋を引き払って、ここで暮らしたらどうだ」
 幹也「ここでって……、えっ!?」
 橙子「どうだね」
 幹也「いや、その、橙子さんとって、そんな……、ダメでしょう」
 橙子「今払っている部屋代は幾らかね」
 幹也「そんなには高くないです…が…………、払わなくてよくなるのか。
    それは……、いやいや、でも……」(思いっきり惑い)


 二千三百六十五ノ二「対価」

 橙子「いや、家賃は取るが。
    正確には、その分減俸……、というか現物支給か、一種の」
 


 二千三百六十六「努力出来るのも才能だそうだが」

 士郎「ふぅ……、さすがに疲れた」
 凛 「当たり前よ、それだけやってれば。
    まあ、剣にしても魔術にしても、まだまだ頑張らないとダメだけど」
 士郎「わかっている。
    遠坂なんかは子供の頃から凄い鍛錬とかしてたんだろうな」
 凛 「え?」
 士郎「俺なんか比べ物にならないほどの魔術師になるには、物凄い努力が
    必要だったんだろ。まあ、もともとの才能が違うけど」
 凛 「え?」
 士郎「何だよ、遠坂」
 凛 「努力も研鑽もしたけど、それほどは……、記憶に残る程は」(小声)



 二千三百六十七「蔵の中」

 凛 「へえ。確かに、よく分からないものがいろいろあるわね」
 士郎「ああ。元からあったり、藤ねえが持ってきたり」
 凛 「うーん、これは何? 随分と厳重に梱包してるけど」
 士郎「わからない。でも、開けてはいけないものだ」
 凛 「ふうん。開けてもいい?」
 士郎「遠坂、これは開けては『いけない』ものだ」(静かに)
 凛 「……わかったわ。そういう類のものね、了解。
    何だかんだ言っても、魔術師の家ね」



 二千三百六十八「焼き飯という響きは良いね」

 士郎「ご飯はいっぱいあるけど、おかずの素材がほとんど無いな。
    肉とネギが少しと、あとは卵くらいか」
 凛 「その材料でのベスト選択は、炒飯ね」
 士郎「なるほど。時間も無いし、いいかもしれないな」
 凛 「そうと決まれば、士郎と桜は下がっていていいわ。
    中華と言えば、もう作るのは言うまでも無いでしょ」
 桜 「わたしもだいぶ教えて頂いていますから」
 士郎「だいぶ腕を上げたぞ、俺だって。遠坂こそ休んでてくれ」

 藤ねえ「で、三人で別々に作ったと。
     一人くらいチキンライスにするとかして欲しかったなあ」



 二千三百六十九「風そよぐ」

 凛 「……洗濯物をぼうっと眺めている姿か、見たくなかったわね」
 士郎「ち、違う。濡れ衣だ」
 凛 「違わないじゃない。下着をじっと見て。じゃあ、何してたのよ」
 士郎「変な意味でなくてさ、随分といろんなのあるんだなと思って」
 凛 「ん……、まあ、多種多様ね、確かに」



 二千三百七十「深夜映画でも見たのか」

 桜   「ライダーって、髪の毛が武器になったりしないの?」
 ライダー「武器ですか」
 桜   「髪の先に棘つけたりして」
 ライダー「いえ、そういうものは……」
 桜   「そうなんだ」
 ライダー「ええ(何で……)」



 二千三百七十一「初夏の日差し」

 琥珀「ああ、暑いですねえ。
    ……って、何で変な事を言ったみたいな目で。翡翠ちゃんまでッッ」



 二千三百七十二「贅沢な望み」

 秋葉「兄さんと何の話をしてたの?」
 琥珀「夕飯のメニューの参考に、何か食べたいものはございませんかと」
 秋葉「ふうん、で、何と答えが返ったの」
 琥珀「何食べても美味しいから、何でもいいよとまず言われまして」
 秋葉「褒められているようで、まったく参考にならないわね」
 琥珀「はい。それから、中途半端に美味いものがたまには食べたいと、
    仰っていました」
 秋葉「……何それ」
 琥珀「何でしょう。ちょっと困っています」



 二千三百七十三「手打ち」

 凛   「蕎麦打ち?」
 士郎  「ああ。そんなには難しくなさそうだけど、何だか奥深そうだ」
 セイバー「ほほう。興味深い。出来立ての腰の強い麺、良いです、シロウ」
 士郎  「だろ、道具は何故かあるし、早速」
 凛   「そうね。……あ、やっぱりダメ。
      士郎の場合、納得いくまで毎日蕎麦が食卓に並びそうだから」
 セイバー「それはそれで良いではないのかと……」
 凛   「却下」



 二千三百七十四「牢獄」

 志貴「宝物庫なんてものがあるって言うから、見てみようと思っただけなんだ」
 琥珀「そうですか、言って下されば良かったのに。つい泥棒かと思って」
 志貴「ああ、悪かった。
    しかし、琥珀さんがちょっと暴れただけでこんなに崩れるなんて、
    どれだけ混沌としてたんだろうな」
 琥珀「わたしが時々片づけしていたんですけど」
 志貴「……ふうん」
 琥珀「それにしても怪我が無くてよかったですね。
    出口がさっぱり見えませんけど」
 志貴「待ってて誰か助けてくれるかなあ。
    ちなみに、これ壊したりしたらまずいかな」
 琥珀「秋葉様は気になさらないと思いますけど。
    ただ、国宝級の壷とかも無造作に置いてありましたねえ」
 志貴「ふ、ふうーん」(さりげなく出した短刀をしまいつつ)



 二千三百七十五「駅弁」

 藤ねえ 「よぉいしょっと」
 士郎  「何だ、大包み抱えて」
 藤ねえ 「駅弁大会やってたから、いろいろ買ってきたんだよ、えっへん」
 凛   「凄い数ですね。……蟹飯もらいッ」
 桜   「わたしは、ええと、この海鮮寿司を」
 セイバー「なるほど。いながらにしていろんな地方の味を食せると言うのは、
      なかなか面白いですね」
 士郎  「確かにな」
 凛   「甘いわね、二人とも。
      駅弁は出かけて駅で買って列車の中で食べて初めて本当の…」
 士郎  「ストップ。……日本一周するとか言い出したらどうする」(小声)
 凛   「そ、そうね」
 セイバー「むむ……」(たこ壷めしに胡散臭い目を向けている)



 二千三百七十六「雷鳴」

 士郎「うわ、凄い稲光だな。
    ……誰も怖がったりしないんだな、この家では」



 二千三百七十七「詳細は訊くな」

 幹也「あれ、所長、髪型変えたんですね」
 橙子「ああ。どうかね?」
 幹也「そうですねえ……」
 橙子「ふむ、明快な回答が無いという事は、それなりに合っているのだな」
 幹也「ポジティブだ」
 


 二千三百七十八「お茶請け」

 翡翠「他にご用意するものはございませんか」
 志貴「うん、これだけで充分だよ」
 秋葉「ええ」
 翡翠「では、何かご用の際には及び下さい」
 志貴「……」
 秋葉「……」
 志貴「琥珀さん出掛けていたのか。
    まあ、とりあえず、外観で誰が作ったのかわかるのは助かるな」
 秋葉「ええ、そうですね。で、どうします、これ?」



 二千三百七十九「鍋」

 凛   「ええーっ、この暑いのに、鍋物ーー?」
 藤ねえ 「まあまあ、暑い時に熱い物食べるのもいいよー」
 桜   「冬野菜とはまた違った味わいになりますしね」
 セイバー「実に美味しそうです」
 士郎  「ほら」
 凛   「ま、わたしも別に嫌とは言わないけど。
      でも、この結果はわかっていましたな顔が気に入らない」



 二千三百八十「シンプルに戻る気はする」

 士郎  「今年の夏はかき氷機大活躍だったな」
 セイバー「数々のシロップをかけたもの、果物や豆、白玉など加えたもの。
      ああ、どれも美味でした」
 士郎  「でもさ、だんだんと何でも試してやろうというか、インパクト
      勝負になったのは、何がいけなかったんだろう……」
 セイバー「む……」



 二千三百八十一「まつりごと」

 凛   「セイバーって、騎士としての誇りとか行動様式にそっての言動や
      欲求なんかはあるみたいだけど」
 セイバー「みたいとは不本意な物言いですね」
 凛   「あまり国王として政務を執りたいとか、国の政治を正したいとか
      そういうの沸き立つってのは無いでしょ」
 セイバー「いや、私は、その……、自身の王としての存在についての疑いを
      ですね、だから、ええと……」



 二千三百八十二「朱」

 志貴「で、今日は何を手伝えばいいんだ?」
 秋葉「ええと、これは特に目を通すだけだし、これは結果待ち。
    こっちのは、差し戻し……」
 志貴「やる事無いんなら、俺は…」
 秋葉「駄目ですッ! そ、そうですね、これを確認して下さい」
 志貴「関連会社の海外展開計画なんて俺わからないぞ」
 秋葉「もう結果はまとまっています。あとは押印するだけですから」
 志貴「じゃあ、俺はいいだろう」
 秋葉「私が最終確認をして判子を押しますから、曲がっていないかどうか、
    それを見て下さい」
 志貴「それって別にさあ」
 秋葉「今日の午後は、仕事を手伝ってくださるんですよね?」
 志貴「はいはい」



 二千三百八十三「夜に蠢く」

 秋葉「何をなさっているのですか、兄さん?」
 志貴「ん、何となく夜風に当たりたくてさ。月も綺麗だし」
 秋葉「そうですね。
    でも、心配ですからこっそりと外へ抜け出す真似はなさらないで下さい」
 志貴「了解。今度は秋葉を誘うよ」
 秋葉「それならいいですけど。……いいのかしら?」
 志貴「綺麗だな、月……」
        


 二千三百八十四「揺らぎは無い」

 琥珀「秋葉様って、志貴さんに色眼鏡の掛かった幻想は抱かれていないんですね」
 秋葉「どういう意味?」
 琥珀「例えば、純粋無垢な志貴さんを性悪なアルクェイドさんが騙しているんだとか」
 秋葉「ああ、そういう事ね。それは無いわ。だって兄さんですもの」
 琥珀「深い感情表現ですねー」



 二千三百八十五「護る者」

 凛   「もしも、自分の役割を放棄し続けたら、守護者失格となってしまったら、
      座からは不適格として放逐されるのかしら」
 アーチャ「何か言ったかね?」
 凛   「何でもないわ。
      でもそんな事をしたら、多大な犠牲や取り返しのつかない事態になる。
      ああ、そんなのを見過ごせる訳は無い。
       あり得ても、起こりえないから、ここにいる……のよね」



 二千三百八十六「犯人」

 士郎 「藤ねえだろ、これ」
 藤ねえ「え、何で、わたしとわかるのかな。完全犯罪の筈なのに」
 士郎 「こんな事やりそうなの藤ねえだけだし。
     強いて言えば、動機がありそうな怪しい人物像こそが、唯一人藤ねえ」
 藤ねえ「ぬぬぬ、完全ではなかったか。あー、がっかり」
 士郎 「まったく。って傷心して立ち去るな、藤ねえ。
     片付けはどうした、おいってば。……俺がやるのか、これ?」



 二千三百八十七「じゃれ合い」

 白レン「何よ」
 七夜 「言い訳が多いなと思って見ていただけだ」
 白レン「わたしが? ふざけないでよ」
 七夜 「事実だと思うがな。
     では、脅しは口にする割に実行が伴わないに変えるか」
 白レン「人を馬鹿にするのもいい加減にしなさい。
     わたしがいなければ、存在できないくせに。
     そうよ、ちょっとわたしが気まぐれを起こせば、お終いなんだから」
 七夜 「何度もそれは聞いたが、その気まぐれとやらは一向に起きないな」
 白レン「そ、それはわたしにはマスターが必要だからよ。
     そうでなければ、七夜をそのままになんかしておかないわ」
 七夜 「では、気まぐれで消してしまっては拙いのではないのか、俺は」
 白レン「そ、そうよ。だから寛大にもわたしは許してあげているのよ。
     だから感謝しておとなしく従いなさい」
 七夜 「(いろいろ言が矛盾していて、なおかつ俺が正しいようだが……)」

 

 二千三百八十八「望み」

 さつき「ねえ、シオン」
 シオン「何です」
 さつき「吸血鬼から元の人間に戻ったら、シオンは何をしたいの?」
 シオン「……」
 さつき「ん?」
 シオン「なるほど、難しい質問というのはあるものですね。
     あるいは答えられないような……」



 二千三百八十九「夏の名残り」

 士郎「もう、すっかり秋だなあ。
    そろそろ夏物の入れ替えとかも本格的にしないと。
    料理なんかもだんだんと……あれ、まだかき氷のシロップ残ってたか。
    来年まではもたないし、邪魔になるから捨てるか。
    さすがにもう食べないから……、食べる? ああ、わかった」



 二千三百九十「ジョリ」

 琥珀「志貴さんは髭剃る時は電気剃刀なんですね」
 志貴「ああ、そうだな」
 琥珀「普通の髭剃りとか使いそうですけど」
 志貴「何か怖いから」
 琥珀「そうですか。ちょっと不思議です」
 志貴「まあ、眼鏡掛けてはいるけれど、一応ね」(小声)



 二千三百九十一「相性」

 ランサー「ふと思ったんだがな、マスターにするならお前んとこの小僧は
      俺と合っているかもしれねえな。
      何だかんだあってもいざ戦いとなれば、自分で無鉄砲に突っ込
      んじまう辺り。俺にはおあつらえ向きだ」
 セイバー「確かに無鉄砲という部分は否定しきれない」
 ランサー「でもな、俺がサーヴァントなら、それは減じる筈だ」
 セイバー「私よりあなたは優秀だと?」
 ランサー「いや、単に俺が男だから。腕の優劣でなくてな」
 セイバー「あ、ああ、そうかもしれません」
 ランサー「まあ、現実は厳しいがな」



 二千三百九十二「剣の舞」

 士郎「うぉぉぉ…はぁぁぁ。よし、投影できた」
 凛 「凄いものね。
    そう言えば、剣を出した時って必ず柄を握っている訳?」
 士郎「うん?」
 凛 「鞘の方握ってたりとか、間違って刃を掴んで血飛沫飛んだり。
    すっごく重い剣なんかだと、弾みで肩外れたりしないかしら。
    って、邪魔しちゃダメよね。はい、次行ってみましょう」
 士郎「……投影するのが怖くなってきた」



 二千三百九十三「自然体」

 橙子「やれやれだ。…と、黒桐来ていたのか」
 幹也「僕だけじゃないですけど。
    今お茶の支度をしてくれていたんです」
 橙子「わたしの分もお願いする。
    それにしても、一応わたしも含めてだが、女性と二人きりでいて
    まったく平然としているな、君は」



 二千三百九十四「落ち葉焚き」

 士郎「……ほんとに、女の子に人気あるんだな、焼き芋。
    追加用意しないとダメかな、これは」



 二千三百九十五「逃れ難き魔力」

 セラ 「……」
 士郎 「別に俺は悪くないぞ」
 セラ 「ふう……、お嬢様、お戻りにならないと」
 イリヤ「いやよ。もう、ここから出ない」
 セラ 「お城の部屋の方が暖房器材は充実しております」
 士郎 「こたつはそういうのと次元が違うからなあ」
 セラ 「お黙りなさい、衛宮士郎。お嬢様。
     リーズリット、あなたも……何をしているのです」
 リズ 「温かい」
 イリヤ「ああ、もう、冬終わるまで、ずっとここにいるぅ」
 セラ 「衛宮士郎!」
 士郎 「だから、俺が悪いわけじゃないだろう」



 二千三百九十六「寒風吹きすさび」

 志貴「あー寒かった。琥珀さん、今日は夕飯何するの」
 琥珀「お帰りなさい、志貴さん。こんな日ですから温かいシチューなど」
 志貴「それはいいなあ」
 琥珀「でも、外は雪に閉ざされていても、家の中は真夏のように熱くして
    あえて、ひんやりとした素麺などをすするのも贅沢ですかねえ」
 志貴「シチューをお願いします」
 琥珀「はい」



 二千三百九十七「メンタリティな問題かな」

 シエル「遠野君、カレーうどんは好きですよね」
 志貴 「まあ、そうですね」
 シエル「カレーうどんにさらにお餅が入っているのも食べますよね」
 志貴 「意外と美味しいですね」
 シエル「じゃあ、そこからうどんを除いて、カレーとお餅にしても、
     味がおかしくなる訳ではないでしょう」
 志貴 「はい」
 シエル「だったら、カレー雑煮もありでしょう、お正月に」
 志貴 「いや、それは、何か違う気がします」
 シエル「遠野君がわかりません……」



 二千三百九十八「アビリティ」

 志貴「有彦はさっさと自動車の免許が取りたいって言っててさ」
 秋葉「良いですね。兄さんも取られたらいかがですか」
 志貴「え?」
 秋葉「何か変な事言いましたか」
 志貴「いや、秋葉は反対すると思ってた」
 秋葉「身に付けておいて役立つスキルでしょう。別段反対はしません」
 志貴「そういうものなのか。なるほどなあ」



 二千三百九十九「日替わりとか」

 秋葉「免許を取られたら、車も用意しないといけませんね」
 志貴「そうなるのかな」
 秋葉「お好みはありますか」
 志貴「そうだなあ、スポーツカータイプもいいけど、どっか行ったりとか
    考えると、ハッチパックか。それとも……」
 秋葉「全部お買いになれば良いではないですか」
 志貴「そんな訳に……いくのか、この家は。
    でもさ、何台も持つより一台乗りこなす方がいいんじゃないかな」
 秋葉「ふうん」
 志貴「何だよ、その目は」
 秋葉「いいえ、何でもないです。そういうお考えなんだ、ふうん」
   


 二千四百「ほほう、飛魚出汁を使っているな」

 志貴 「ほら、出来た」
 アルク「わーい。いただきまーす」
 志貴 「変なものに興味持つのも困るんだけど、素人が作るラーメンに
     素材とかのこだわり持たないで欲しいよなあ。
     いつの間にか寸胴鍋とか用意してあるし」
 アルク「叉焼の柔らかさがやや減点ー、店主」
 志貴 「はいはい」



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