天抜き 其の五十






 二千四百五十一「名前それは」

 ナルバレック「認識できぬ以上、ダウンにとっては名前が無いのだ」
 シエル   「つまり正面きって悪口を言ってもわからないと」
 ナルバレック「まあ……、そうなるな」



 二千四百五十二「深層心理の」

 秋葉「何度言ったらわかるんですか、兄さんは」
 志貴「悪かったよ。わかったから」
 秋葉「いいえ、わかっていません。何度夜に外出を繰り返せば。
    いっそ座敷牢で飼おうかしら」
 志貴「飼うって、せめて閉じ込めるとかじゃないのか」
 秋葉「そ、そうですね」



 二千四百五十三「まかない飯」

 志貴「琥珀さん、おかわり」
 琥珀「はい。でも、最初志貴さんが普通のご飯食べたいと仰るから
    こっそりとお出ししていただけだったのに……。
    秋葉さまをはじめとして、何でこんなにも大人数に」



 二千四百五十四「重低音、唸るエンジン音」

 志貴「ああ、翡翠だったのか。
    凄い音してたからさ、アルクェイドがバイクでも持ってきたのかと
    思ったよ。
    ふうん、新型の掃除機なのか、いや、気にしないで掃除続けて。

    ……それにしても翡翠でも新しいもの手にすると高揚するんだな」



 二千四百五十五ノ一「師弟」

 鮮花「授業料?」
 橙子「ああ、魔術師たる者に等価交換は当然。
    昔、大陸の武門の者は技をひとつ習うのに大金を用意したと言う」
 鮮花「そんなの弟子入りした時に聞いていません」
 橙子「そう言えばそうか。
    なら仕方ない」
 鮮花「良かった」
 橙子「我が従業員に給料が払えず、哀れ飢え死にするとしても仕方ない」
 鮮花「くッッ」(財布を開きつつ)


 二千四百五十五ノ二「流通経路」

 鮮花「よく考えると、直接お金援助して恩に着せた方が効果が……」
 


 二千四百五十六「誰もが考える事だが」

 シオン「……」
 さつき「どうしたのシオン、浮かない顔して」
 シオン「理不尽かもしれないけれどある過酷な運命を受けている、
     それ故に愛されている人物がいたとします。
     しかし、その前提を喪失した時に、その人物は同じような
     支持を受けるのかと考えていたのです」
 さつき「ふうん」
 シオン「まあ、今の姿が消える訳でもないですけど」
 さつき「ごめん、シオン、よくわからない」

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 二千四百五十七「みんな仲良く」

 志貴「もう少しでいいからどうにかならないものかな」
 琥珀「アルクェイドさん達ですか。
    利害関係が同じベクトルを向くといいんですけど」
 志貴「と言うと?」
 琥珀「いちばん手っ取り早いのはですね、共通の敵に立ち向かうなんて
    シチュエーションとか」
 志貴「なるほど。
    ……あの三人が手を合わせないといけないほどの敵?」
 琥珀「そうなんですよね、そちらの方が難しいかもしれません。
   (強いて言えば、志貴さんご自身なんですけどね)」



 二千四百五十八「ある意味」

 橙子「きみと黒桐か、そうだな、斬魔の妖刀がなまくらにされたと
    いうのはどうかね」
 式 「なまくらになったか試してもいいけどな。
    まあ……、合っていなくも無いな」
 橙子「そう考える時点で、いや、何でもない」



 二千四百五十九「姉と妹」

 幹也「所長と妹さんて似ていないんですよね」
 橙子「黒桐、妹なぞ持った記憶は無い」(平然と)
 幹也「似ていないから仲悪いんですか」(平然と)
 橙子「人の話を聞かんな、黒桐。
    仮定として答えれば、そうだろうな」
 幹也「でも、そっくりだとしても仲悪くなりそうですよね、所長は」
 橙子「む、うむ……、否定できんな」    



 二千四百六十「焼きたて」

 士郎  「ふうん、新しい店できたんだ。
      さすが新都らしい洒落た感じだな」
 セイバー「シ、シロウ、これは……、何という多種にわたった」
 士郎  「うん、何でも欲しいの買ってあげるよ」
 セイバー「おお、なんと」(うろうろうろうろ)
 士郎  「パン屋でこれほど目が輝くとは思わなかった。
      ちょっと高いけど食パンも一斤買っていくかな。
      あ、セイバー、これ。手で取らないでトングを使うんだ」



 二千四百六十一「この光は遥か昔の云々は置いといて」

 青子「夜空、好きなの?」
 志貴「はい」
 青子「どうして」
 志貴「見えないし、見えても手が届く事はないから」



 二千四百六十二「うどんも良いですがマロニーも」

 士郎  「今日の夕食さ、しゃぶしゃぶなんかどうかな」
 凛   「駄目よ、特売日じゃないもの。でも、豚しゃぶならいいかしら」
 士郎  「なるほど。そっちの二人はどうだ」
 桜   「そうですね、豚肉の方がヘルシーですし」
 セイバー「私も賛成です、シロウ。豚肉であればさしものタイガも生肉を
      奪い取ってそのまま食べる真似はしないでしょう」
 士郎  「確かに。でもさ、あれは藤ねえだけが凄かったんではなくて、
      セイバ…さてと、メニュー決まったところで買い物だな」



 二千四百六十三「騎士王として」

 凛「この人は何の誉れをもってと言われても、現在におけるナイトって
   貴族じゃなくて一代限りの称号だし。
   俳優とかミュージシャンとかもなっていたわね。
   何故って……、英国に貢献したのよ、ともかく」



 二千四百六十四「欠席裁判」

 士郎「いたとしても対して結果が変わるとも思えないけど」



 二千四百六十五「宴の後」

 藤ねえ 「ただいまー」
 セイバー「ただいま、帰りました」
 士郎  「お帰り、二人とも。どうだった、セイバー?」
 セイバー「素晴らしかったです、シロウ。
      色とりどりで見ているだけでうっとりするようで。
      それぞれを実際に食すと、これがまた、素晴らしかった」
 藤ねえ 「ケーキバイキング、すっかり気に入ったみたいよ」
 士郎  「前から興味あったみたいだからなあ。
      藤ねえに頼んで良かったよ、俺じゃ行きにくいし。
      でもさ、おごりで良かったのか」
 藤ねえ 「セイバーちゃん一人分くらい構わないわよ。
      ついでに他の人も誘ったんだけど」
 士郎  「ライダーは甘味よりアルコールだからなあ」
 セイバー「桜と凛はどうして行かなかったのでしょう」
 士郎  「どうしてだろうな。あ、本人達には絶対訊くなよ」
 セイバー「はい?」



 二千四百六十六「魔術師の倫理」

 幹也「研究資金が必要で魔術使って強盗したり非合法な事をしたら、協会
    とかで問題になるんですよね」
 橙子「程度にはよるが、物理的にありえぬ現象などが取り沙汰されれると
    まずいと見なされるのではないかな」
 幹也「同じ目的で、普通に拳銃を使ったりした場合はどうなんですか」
 橙子「それは対象外だろう。
    まあ、警察が工房に乗り込んできてまずいものが見られてしまうと
    隠蔽に動くかもしれないが」
 幹也「納得いくような、いかないような」



 二千四百六十七「根源」

 幹也「所長って何で人形師になったんです?
    特に人形作りを行ってきた訳でもないんでしょ」
 橙子「蒼崎は確かに人形使いではないが、何故と問うか。
    そうだな、何故、何故だろうか。何故、何故、む……何故」
 幹也「軽い気持ちだったんで、そこまで困るならいいです。
    ……そんな顔するの初めて見ました」



 二千四百六十八「食べ慣れているからですよ?」

 一成「ふむ、今日の弁当は衛宮作だな」
 士郎「当りだ。良くわかるな」
 一成「ああ、先日、一昨日と食べ比べても一番美味い」
 士郎「そうか」
 一成「ああ」



 二千四百六十九ノ一「早朝の台所」

 凛 「うう……、ミルク」
 士郎「ほら」
 凛 「ううう……」
 士郎「こう言っちゃなんだけど、寝起きに襲撃受けたらおしまいじゃ
    ないかな、遠坂って」
 桜 「あ、でも、それは先輩に殺気がないからじゃないですか。
    いざという時には瞬時にしゃきんとするんですよ」
 士郎「拳法修行してたりもしたしな。
    じゃあさ、いきなり頭叩いたりしたら避けたり受けたりするかな」
 桜 「どうでしょう」(うながす目で)
 士郎「どうかなあ」(いやいやそちらこその目で)
 桜 「……」
 士郎「……」


 二千四百六十九ノ二「襲撃者来たる」

 藤ねえ「おはよー。
     む、むむむ、いつも隙が無い遠坂さんがこんなだらしない格好。
     乙女の嗜みを忘れちゃ駄目でしょ。
     ちょーーーっぷ!!」
 桜  「あ、真正面から当った」
 士郎 「そのまま倒れた」  



 二千四百七十「複数のテレビ」

 幹也「橙子さん、部屋のテレビですけど、何かの時には監視モニタになったり
    る訳ですか。こんなに幾つもあるのは?」
 橙子「いや、単にテレビとしての機能しかないよ」
 幹也「じゃあ何でこんなにあるんですか」
 橙子「どういうものか知らんがチャンネル全部反応するのがひとつも無くてな。
    一通りいつでも観れるようにした最小数が現状の姿さ」
 幹也「それは仕方ありませんね」
 橙子「ああ」
 式 「何で今ので納得するんだ……」



 二千四百七十一「色」

 幹也「アイス買ってきたよ」
 式 「何味だ」
 幹也「ストロベリーだよ。式にはこれが…………、何、この色」
 式 「新しいのを用意した。どうだ形容しがたい色だろう」
 幹也「形容しがたい色だね」
 式 「ストロベリーはダメだよな。じゃあ、何味にするのかな」
 幹也「う……、くぅッ」(脱兎)
 式 「あれ、あ、困らせたかっただけで、追い出すつもりじゃ……、はぁ」



 二千四百七十二「経験済み」

 幹也「おはようございます、所長」
 橙子「おはようという時間でもないだろう、既に」
 幹也「だいぶ夜遅くなって、寝坊しました」
 橙子「まあ就業時間など決めていないが。
    ん、身支度も出来ぬほど急いできたのか。髭の剃り残しなど珍しいな」
 幹也「あれ、本当だ」
 橙子「わたしが剃ってやろうか」
 幹也「遠慮します。だいたい他人の髭剃りなんで出来るんですか」
 橙子「ふふん」(勝ち誇った顔で)
 幹也「ん?」



 二千四百七十三「戦の前に勝利を得ているべき」

 橙子「うん? 珍しく誰もいないのか。
    鮮花がいれば秘文字の講習でもしてやろうかと思ったのだが。
    そう言えば、黒桐が式と出掛けるからどうのとか騒いでいたような。
    ……。
    しかし、いちばん中途半端な時に戻った気がするな、我が弟子は。
    式の存在が予定外だったとは言え。
    あれならばずっと傍にいて篭絡する方が効果的だったろう……。
    そうだな時期を逃しては駄目だな。さっさと子供の頃に始末して
    おけば良かったのだな」



 二千四百七十四「知らなきゃ良かった」

 志貴「ただいま」
 琥珀「お帰りなさいませ、志貴さん。
    あら、秋葉様は?」
 志貴「一緒じゃないけど。何でここで秋葉の名前が出てくるのさ。
    今日はアルクェイドと出掛けたんだから」
 琥珀「それはそうなんですけどね。
    朝から張り切って志貴さんを尾行…いえ、見守るのだと仰って」
 志貴「え」
 琥珀「てっきり途中で帰ってくると思ってたんですけどね。
    特にお迎えの連絡無かったし、志貴さん達と何かあったかと」
 志貴「まったく気付かなかった。
    いや、待て。と、すると、え、どこまで見ら…まさか、いやいや」
 琥珀「何で真っ青になられているんです?」(楽しそうに)



 二千四百七十五「黒と白」

 琥珀「あら、レンちゃん、ミルク飲みます?」
 レン「……」(こくこく)
 琥珀「はい、どうぞ。
    あっちの白いレンちゃんは姿を見せないんですね」
 レン「……」
 琥珀「そっくりの人間がいたら成りすましたり入れ替わるのが醍醐味、
    なんですけどねえ。勿体無い」
 レン「……」(そうなの? と問うような目)

 翡翠「……」(たまたま通り掛かって嫌な顔)



 二千四百七十六「お帰りなさい、ご主人様」

 凛 「修繕費やら食費やらがかさんでるでしょ、解決策を思いついたわ」
 士郎「ふーん」
 凛 「気の無い返事ねえ。いいわ、目を覚まさせてあげる。
    ずばり、メイド喫茶よ」
 士郎「……遠坂、あのさ」
 凛 「はい、ストップ。だいたい言いたい事はわかるから。まず聞きなさい。
    何もね、本格的なやつを始める気は無いの。
    単純にメイド服を着たウェイトレスが迎えるだけ。変なサービスなし。
    そして、美味しい料理とお茶。それを期間限定で。どう?」
 士郎「どうって言われても、できるのか、そんなの」
 凛 「料理は問題ないでしょ。
    メイド服はキャスターに言えば凄い勢いで作ってくれるわ、きっと。
    で、一番肝心なメイドは、セイバーや桜やわたしよ。
    ライダーなんかもいいわね。
    バゼットはむしろ執事服の男装姿の方が良いかも。
    ね、どう。成功の可能性は大きいでしょ。何か疑問は?」
 士郎「そもそもどこで店やるのさ。和式の家じゃ合わないだろ。
    洋館はあるけど、魔術師の家に不特定の人間入れるのはまずいんだろ」
 凛 「あ、しまった。
    …………とでも、言うと思った?
    だーいじょうぶ。当てはあるの。むしろだからこそ考え付いたのよ」
 士郎「そうか。でもダメだな」
 凛 「なんでよ」
 士郎「成功するから」
 凛 「だから、成功するに決まって…え?」
 士郎「成功はする。むしろ、し過ぎる」
 凛 「し過ぎる?
    ん……、なるほどね。なるほど、そこまでは考えなかったわ、そうねえ」

 

 二千四百七十七「入れ物」

 幹也「ふと思ったんですけど、動物でも本物並みのレベルの人形って
    作れるんですか」
 橙子「出来なくは無いな。少なくとも肉体だけなら問題ない。
    ただ、魂が入るかはわからないな」
 幹也「人間の方が難しそうですけど」
 橙子「経験の問題だよ。人間外はやった事が無いというだけで。
    そうだな、動物の体に人の魂を宿らせるのも面白いかもしれん。
    例えば……」

    後のパンダ師匠誕生の経緯である。



 二千四百七十八「そもそも近づくなとは言っていた」

 鮮花「式になんか関わらなければ、兄さんはあんなに怪我したりせずに
    すんだのにッッ!」
 一同「……」(実に最もだとという表情。幹也も含めて)
 


 二千四百七十九「ジレンマ」

 シエル「全世界の人間がカレーの素晴らしさに目覚めたら素晴らしいと
     思いませんか」
 志貴 「素晴らしいのかな」
 シエル「少なくとも皆が同じ共通認識を有するのですよ」
 志貴 「なるほど」
 シエル「ただ、その時に全ての人々がカレー皿を手に出来るかと言うと、
     否でしょうね。難しいものです」
 志貴 「カレーが好きな故に争いが起こるか……、深い話だね」 



 二千四百八十「見れども見えず」

 秋星「俺のは見えてるものを見えなくしてる訳でなくて、気にしてない
    だけだから、目の前にあるはあるのよ。
    そういう意味では役立つかしれねえけど、うっかり触わったらさ
    壊れたり死んだりするんじゃないの。
    線だか点だかはまんま認識してんだから。かえって危ない、ん?」
 志貴「そうですね……」



 二千四百八十一「アルコール」

 士郎「じゃあ、これだけ買いますね」
 ネコ「はいよ、社員割引だから、これだけお釣りと」
 士郎「アルバイトなのにすみません」
 ネコ「えみやん、良く働いているし、別に損してる訳でもないから。
    けど、ビールとか日本酒とかでなくて、料理酒をしょっちゅうって
    どういう事かとは少々疑問」
 士郎「そうですよねえ」



 二千四百八十二「日々の糧」

 士郎「遠坂と桜はまだ高校生だから別として、まっとうに働いているの
    藤ねえだけなんだよな、なにか不思議だ。
    働き振りがまっとうなのかは別として」



 二千四百八十三「来るべき未来」

 凛 「ああ、何か荒稼ぎする手段でも考えないといけないかしら」
 士郎「あまり協力できそうな話題じゃないけど、どうしたんだ」
 凛 「何をやろうとしても、宝石が幾つも必要になってくるの。
    理論だけじゃなく、実証しないと意味が無いし」
 士郎「なるほどな」
 凛 「金の切れ目が魔術師血統の切れ目って洒落にならない」
 士郎「切ないな、それ」
 凛 「でも、希望はあるのよ」
 士郎「へえ、さすが遠坂」
 凛 「宇宙よ。宇宙には、どこかの星には、きっと宝石なんてごろごろ
    転がってるわ。それまでの辛抱ね」
 士郎「何百年後の話だよ……とか突っ込めない本気の目ッッ」



 二千四百八十四「似てくる」

 幹也「鮮花は橙子さんに弟子入りしているってことはさ」
 鮮花「はい」
 幹也「橙子さんみたいになりたいんだ」
 鮮花「……え?」
 幹也「心底意表を突かれたって顔」



 二千四百八十五「共通」

 セイバー「二回の聖杯戦争を経験した者として思うのですが、単純な
      クラスが同じ者は、どこかな共通点を持っているようです」
 士郎  「そうかなあ。
      セイバーの話聞いた限りだと、ライダーなんかどう考えても
      似てないように思うけど」
 セイバー「確かに外観、物の考え方、生き方、似てるとは思えません。
      ただそれでも同じ特徴があったのです」
 士郎  「何さ」
 セイバー「二人ともパンツをはいていませんでした」(満面の笑みで)
 士郎  「え、えっ。……ええええええッッッ」
 


 二千四百八十六「俗に魔力が宿るとは言うが」

 バゼット「凛や桜はともかくとして、どうしてサーヴァントが髪を長く
      しているのでしょうか」
 士郎  「そう言えばそうだな。桜と遠坂も長いけど」
 バゼット「セイバーは通常は結い上げていますが、戦闘にあっては長い
      髪は邪魔になると思います」
 士郎  「それで短いのか、バゼットは。でも、もっともな意見だな」
 バゼット「もしや、逆では。弓折れ矢尽きた状態であっての最後の武器。
      なるほど、そう考えれば合点がいきます」
 士郎  「多分、違うと思う」



 二千四百八十七「もしもし」

 凛    「え、ライダーもキャスターも携帯電話使ってるの」
 ライダー 「桜とはともかく他と連絡する時に便利ですし」
 キャスター「出先で値段調べるのにも便利ね」
 凛    「信じられない、本当に持ってる」
 ライダー 「ここに召還された時点で一般の知識はありますから」
 凛    「ライダーはともかく、キャスターなんて魔女でしょ。
       高レベルの魔術を使えるのに……」
 キャスター「その時点での最新の技術を駆使するのが魔術師よ。
       冷蔵庫とか自動車だって使用するのに抵抗は無いわ。
       むしろそれくらいできずに魔術師名乗るなんて笑止ね。
       と言う訳で、一応、携帯の番号登録しとくから教えて」
 ライダー 「電話番号は不要ですが、そういえば凛のメールアドレスは
       まだ登録していませんでしたね」
 凛    「え、え、えええ?」(冷や汗)
 
 

 二千四百八十八「紐解いてみる」

 綾子「先に恋人を作るという競争には負けた。それは認める。
    衛宮の事を少し良いなくらいに思っていた事も認める」
 氷室「ふむ」
 綾子「だけど、わからない。
    どうして遠坂と衛宮の姿に凄い敗北感を抱いているんだ」
 氷室「それは、そういう事ではないのかね。認められないだけで」
 


 二千四百八十九「恣」

 子ギル「どうしました、お兄さん」
 士郎 「いや、ギルガメッシュの奴さ、って本人前にして何だけど、
     ああだろ?」
 子ギル「言いたい事はわかりますよ」
 士郎 「どう考えても子供の君の方がしっかりしていて常識人なのが
     逆だろうと思って。
     子供の頃から我がままというならまだわかるんだけどさ」
 子ギル「ははは。
     でもね、お兄さん。学んでああいう大人になったんです。
     この世に並び立つ存在はなく、誰よりも尊い。世界の全て
     は自分の者だって。それに相応しい王になってああなんです」
 士郎 「なるほど、今の尺度では確かに判断できないな」
 子ギル「とは言ってもと、自分でもどうかと思いますけどね。あーあ」



 二千四百九十「おぞましきもの」

 鮮花「この世で何が一番嫌かですか。
    そうですね、幹也がわたしに謝っている光景などは身の毛がよだつ
    気がしますね」
 橙子「意外だな」
 鮮花「式の不始末について弁解を始めて」
 橙子「……。ああ、深いな」



 二千四百九十一「鑑賞」

 藤ねえ「……」
 士郎 「……」

 凛「意外ね、藤村先生はともかく士郎まで仁侠映画好きだなんて」
 桜「義理と人情で耐えて忍んで最後に単身で立ち回りですから」
 凛「納得」
 


 二千四百九十二「収支決算」

 秋葉「だから、必要なものがあれば用意すると言っているじゃないですか」
 志貴「とっさに必要になる場合だってあるだろう」
 秋葉「それはそうかもしれませんが」
 志貴「何も大金を好きに使わせろと言ってる訳じゃないんだし。
    常識の範囲内でいいから」
 秋葉「わかりました」
 志貴「わかってくれたか」
 秋葉「但し、原則領収書の提出を義務付けます」
 志貴「えー。自販機とかはどうするのさ」
 秋葉「全てについてこちらに記録をして出して下さい。監査します」
 志貴「ん……、おこづかい帳?」
   
 

 二千四百九十三「頂点を見てしまうと」

 凛   「どう、美味しいでしょ。
      とっときの記念日に備えての秘蔵のワインなんだから」
 セイバー「美味しいですね。だが、しかし……」



 二千四百九十四「ささやかな毒」

 アーチャ「お茶の用意が出来た」
 凛   「遅かったわね」
 アーチャ「君がわたしほど手際よくできるならぜひ拝みたいものだが」
 凛   「淹れ方はなかなかね。まあ、これくらい取り得がないと」
 アーチャ「……パイなどもあるが、どうかね」
 凛   「うん。……え、美味しいじゃない。意外ね」
 アーチャ「この特製クリームをつけるとさらに絶品だ」
 凛   「うんうん」
 アーチャ「……カロリーについてはあえて述べない」(小声)
 凛   「何か言った?」
 アーチャ「信じがたいほどだと言っただけだ」
 凛   「?」



 二千四百九十五「半分はフライでカレー塩で食べます」

 シエル「はい、できました」
 志貴 「刺身とご飯とお吸い物。シエル先輩とは思えない」
 シエル「マグロの柵を頂いたんですよ。
     新鮮なものはやはりお刺身でしょう」
 志貴 「この上からカレーかけたりはしないの」
 シエル「お望みならすぐにでも」
 志貴 「冗談です。では、いただきます。
     ああ、とろけるように美味い……ん、カレーの味?
     気のせいだよな」
 シエル「醤油の小皿にほんの一粒二粒混ぜたのを察するとは。
     遠野君もなかなかですね」(呟き)



 二千四百九十六「今日はカレーです」

 志貴 「あれ、先輩、このカップは何?
     薄めたカレーが入っているみたいだけど」
 シエル「箸洗いですよ」(平然と)



 二千四百九十七「先と後」

 シエル「こちらは最初は辛いけど、すっと後を引かずに消えますよ」
 志貴 「どれ、ん…おお、本当だ。
     凄く辛いのに、嘘みたいに辛さが消える」
 シエル「こちらは逆で、食べていて辛味がないのに」
 志貴 「飲み込んでから辛くなるのか。どれ。
     ……うわ、なんだ、変な感じ」
 シエル「なかなか対比すると面白いでしょう」
 志貴 「面白いですけど、交互に食べると結局ずっと辛いんじゃ……」



 二千四百九十八「皆が満足」

 志貴「みんなで食事に行くと言っても、いったいどこに行けばいいんだ」
 琥珀「困って直接皆さんにお訊ねになったのでは?」
 志貴「一人一人ならそんなに難しくないけど、全員満足させるとなると」
 琥珀「うーん、共通点はないんですかね」
 志貴「俺が連れて行くところならどこでもいいと、皆から言われてる」
 琥珀「わたしと翡翠ちゃんもそう言いましたものねえ。
    でも、だったら何も悩む必要ないじゃないですか」(笑顔)
 志貴「充分あるよ……ってわかってて面白がっているでしょう」
 琥珀「あらあら、心外ですねえ」



 二千四百九十九「煙」  

 志貴 「魔術師とかって皆高いところが好きなのかな」
 アルク「さあ、どうかしら」
 志貴 「でも、電柱の上にいたり、高層ビルの屋上に立ったりさ」
 アルク「それはそうでしょ、目の強化すれば遠くまで見えるもの。
     高い所いてもおかしくないわ」 
 志貴 「おお」
 アルク「もしかして、今気付いたのね」



 二千五百「出稽古」

 小次郎「一本。ここまでとしよう」
 士郎 「ふぅ……、あ、ありがとうございました」
 小次郎「いやいや、こちらも気分転換になる。悪くないな、稽古は。
     また気が向いたら手合わせに来ると良い」
 士郎 「ぜひ、お願いします、……と消えちゃったか。
     確かに、セイバーとは一味違った剣捌きの凄さを味わえるよな。
     時々、今ので死んだなって目を向けられるのも、何とも」



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