天抜き 其の五十四






 二千六百五十一「信仰心」

 幹也「鮮花は神様って信じてるの?」
 鮮花「難しい質問をしますね」
 幹也「難しいのかい」
 鮮花「ええ。難問ですよ」
 幹也「礼園なんか行ってるからどうかなと思っただけなんだけど」
 鮮花「なんだ。橙子師は信じてませんよ」
 幹也「そうだろうね。……って、それが答え?」



 二千六百五十二「師走」

 橙子「よく年末は物入りだと言うが、何をそんなに消費するんだ」
 幹也「忘年会とかクリスマスとか正月とか。
    普通の人の場合ですけど」
 橙子「なるほど。そう言えばそんなものもあったな」
 幹也「しみじみと言われても」



 二千六百五十三「ファッション」

 式「前から一度訊こうと思っていたって言われても……。
   寒いから一枚上に着るって普通の行為だろう?」



 二千六百五十四「鍋を囲む」

 橙子「闇鍋の準備をしているのか。
    黒桐も時々変なものに興味を示すな」
 幹也「たまには風変わりな鍋もいいかなと思ったんです」
 橙子「別段反対する理由は無い。やるとするか。
    ところで、わたしは暗闇でも物が見えるが構わないかね」
 幹也「構いますよ、それは。一方的に有利じゃないですか」
 橙子「それと闇鍋は、何を具材としても文句は無いのだな?」
 幹也「……やっぱりやめておきましょう。
    かわりに湯豆腐か鱈ちりあたりで」
 橙子「一転して白い鍋だな。まあ、その辺が無難だろう」



 二千六百五十五「血は流れた」

 橙子「涙を流す?
    当然可能だ。こうしてこう……。驚くまでも無い。
    女として当然保有しているスキルにすぎん」
 幹也「いえ、涙を流せたんですね」
 橙子「自在に流すのでなくて、存在への驚きか。
    ……黒桐だけでなく、皆がだと?」



 二千六百五十六「刃」

 式 「刀って点や線として、あるいは面として攻撃できる訳だけど、
    実は、触れて殺傷能力のある部分は全体の中では一部だろう。
    そう考えると不思議じゃないか」
 幹也「不思議なのかな」
 式 「何を考えこんでいるんだと訊かれたから答えただけだぞ。
    そんながっかりした顔をされても困る」



 二千六百五十七「不和の林檎」

 カレン「揉め事が見たい?
     何て恐ろしい事を……、アーメン。
     ……。
     皆がいるところで『この中で誰が一番強いのかしら?』って言えば
     良いと思うけど」



 二千六百五十八「上に立つ者」

 凛 「セイバーどうしちゃった訳?
    なんか真剣に考えこんじゃったけど」
 士郎「経済に興味を持ったと言うから、少し本とか集めて渡したんだ。
    その中に、社長が死んだら会社が潰れてしまうのと、まったく問題なく
    存続するのとどちらが良い姿かとかいう内容で書かれていてさ」
 凛 「それは後者でしょ。」
 士郎「そうだよな。でさ、社長と王様は違うんだろうけど」
 凛 「我が身で考えてみると、か。なるほど、いろいろ深いわね」



 二千六百五十九「モーパッサン」

 桜   「嘘、嘘でしょ。
      なんで体重がこんな、ねえ、ライダー、どうして?」
 ライダー「また少し胸が大きくなったでしょう。それが原因では」
 桜   「そうか。あーあ、もっと小さければその分……」
 ライダー「わかります」

 凛   「何かとんでもない事言ってるわね」
 士郎  「まったくだ」
 凛   「時に、その「とんでもない事」の意味合いは同じなのかしら?」
 士郎  「どうだろう」
  


 二千六百六十「至福」

 秋葉「炬燵?」
 琥珀「はい、志貴さんがご希望で」
 秋葉「まあ、いいけど。何で炬燵なのかしら」
 琥珀「よく眠れるそうです」
 秋葉「暖房器具の話をしているのよね?」
 琥珀「はい」
 秋葉「?」



 二千六百六十一「餅」

 士郎「いや、それは焼いて食べるんだ」



 二千六百六十二「依って立つ」

 シオン「しかし、幾らなんでも騎士団長の時の貴女と違いすぎる」
 リーズ「思うに、戒律、地位、周囲からの期待、責任といったものは、
     私を支えていてくれたのではないかな」
 シオン「支柱を喪失したという事ですか」
 リーズ「環境の違いはおのずと変化を生じさせるだろうしね。
     でも、今は常にシオンに従属し繋がれて、別の見方をすれば、
     常に共にいて支えて貰っている。
     それも失ったらどうなるのだろうか」
 シオン「それを心配や畏れの顔ではなく、のほほんとして言う人間は
     どうにもならないと思いますよ」
 リーズ「確かに」
 シオン「でも、内情を知らないと、やはり達観しているように映る。
     知っていてすらそう見える。まったく……」
   


 二千六百六十三「技術」

 凛 「ライダーが運転したら安全運転なのかしら」
 士郎「レーサー級の腕前なんだろ。むしろ暴走じゃないのか」
 桜 「間を取って、同乗者から見ると怖い運転だけど、まったく事故とは
    無縁だったりとか」
 士郎「どれもありそうだな」
 桜 「そうですねえ」
 凛 「ここは、試しに自動車買ってあげなさいよ」
 士郎「待て」
 
    

 二千六百六十四「石と水」

 セイバー「シロウ、それは何をしているのですか」
 士郎  「包丁の切れ味が少し悪くなってきたか砥いでるんだ」
 セイバー「ほう、それで刃が鋭利になるのですか」
 士郎  「ああ。たまにやると効果あるな。
      専門の職人とかに比べれば雲泥の差だろうけど」
 セイバー「……」
 士郎  「ええと、やってみたいのか」
 セイバー「はい」(こくこく)

 士郎  「という訳だ」
 凛   「変なところに食いついたわね。
      一心不乱に砥いでいる姿に悲鳴上げそうになったけど」



 二千六百六十五「手料理」

 キャスター「宗一郎様が食べ慣れたものを作ろうと思うのだけど」
 士郎   「ああ、それはいいかもしれないな」
 キャスター「でも、料理の前に材料でつまづいているのよ」
 士郎   「材料? この紙か。ええと、野草とかの類かな、これ。
       うーん、聞いた事も……、もしかして正式名称は別じゃないか」
 キャスター「ああ、地方独特の呼び名だったりするかもしれないわね。
       さすがね、ボウヤ。なかなかの推察力だわ」
 士郎   「でもさ、どっちみちそうそう野草の類なんかは、そこらの店じゃ
       売ってないぞ」
 キャスター「何ですって」
 士郎   「俺に向かって、使えない奴って目を向けられても……」



 二千六百六十六「名残り」

 士郎  「屋根の上で見張るのって何か意味があるのかな」
 セイバー「高いところから下界を見下ろすのなら別ですが、ここでは。
      うかつに姿を現せば、むしろ敵に見つかる心配もあります」
 士郎  「そうだよなあ。遠坂はどう思う」
 凛   「知らないわよ。でも、高いところは好きよね、あいつ。
      馬鹿と何とかはって奴かしら」
 士郎  「テレビのヒーロー物なんかだと、皆がピンチの時に、颯爽と
      姿現したりするよな。崖の上からとか」
 凛   「きっとそれよ。いい年して、まったく。
      やっぱり馬か……」(何かに気付いたように笑みを止めて)
 士郎  「……」
 セイバー「……」
      


 二千六百六十七「戦場が如く」

 一成「味は非常に良いのだが、どうしたのだ今日の弁当は。
    おかずの種類は取り留めないし、妙にひしゃげたりと形が悪い
    ものが混在しているな。衛宮の作ったものにしては珍しい」
 士郎「そろそろ台所が手狭になったなあという事さ」
 一成「手狭?」
 士郎「ふう」(遠くを見つつ)



 二千六百六十八「潜む」

 シエル「それにしても、遠野君のお家、大きいですよねえ」
 志貴 「そうですね」
 シエル「あの広さで、四人。
     もしも誰か入り込んでこっそり暮らしてもなかなかわからない」
 志貴 「うん?」
 シエル「……かもしれないですね」(値踏みするように)
 志貴 「人がいない分、それなりにセキュリティには気を遣っていると
     思うけど」
 シエル「そうですよね。
     ……民間人レベルのセキュリテイですけど」(小声)



 二千六百六十九ノ一「変化」

 志貴 「レンなんだけど、人間の姿の時に例えば右手に怪我したら
     猫になっても怪我した状態かな」
 アルク「そうじゃないかな。肉体に怪我があるいう事実を意識して
     いる訳だし」
 志貴 「じゃあ、逆も成り立つよな。猫の姿で右手を、とか」
 アルク「多分だけど」
 志貴 「だったら、猫の時にヒゲを切っちゃったら、人間になった
     時にどうなるんだろうな」
 アルク「……試す気?」(身の毛がよだつという顔で)
 志貴 「いや、気になっただけ」


 二千六百六十九ノ二「垣根」

 レン「……」
 志貴「え、狭いところを潜りにくくなるだけ?
    それだけ?
    機能のマイナス分を引きずるって事かな、それは」



 二千六百七十「まあ、何でも食べるし」

 セイバー「なるほど、中華料理というのは多彩なのですね」
 凛   「ええ。古来より食に関しては情熱を燃やした国ですもの。
      およそどんな素材でもより美味しくと試行錯誤されているわ」
 セイバー「素晴らしいですね」
 凛   「ただ、その本なんかは材料をふんだんに使える場合のだから。
      飢饉の時にとても食べられないモノを何とか食べられるまで
      持っていったメニューなんかも多いわ」
 セイバー「なるほど」
 凛   「この調子で家計が圧迫されると、そんな料理を披露するから」
 セイバー「え?」
 凛   「もとの素材を考えると驚くほどの工夫よ、決して雑ではない。
      むしろ研鑽と技巧との極致。
      ただ、決して美味しくはないけど」
 セイバー「待ってください、凛」
 凛   「大丈夫、土を食べるまではいかないから」(楽しそうに)



 二千六百七十一「カレーショップにて」

 志貴 「先輩は何にします」
 シエル「季節の野菜のカレーにしましょう」
 志貴 「なんだか最近、野菜のカレーばかり食べてない?」
 シエル「少しカロリー控えめにしようと思ったりしまして」
 志貴 「そう。
     でもカレールー自体がけっこう高カロリーなんじゃ」
 シエル「遠野君、この世には気休めという言葉があるんです」
 志貴 「そうですか」



 二千六百七十二「魔」

 志貴「おーい、アルクェイド。
    いるんなら返事くらい……って、眠ってるのか。
    ……。
    無防備すぎるぞ。
    でも、あの時みたいな殺人衝動はもう起きないだろうな。
    今やろうったって無理だろうけど。いろんな意味で」



 二千六百七十三「魔女」

 キャスター「男? あまり好きでないわね。
       というか好感を持つべき理由はないわ」
 凛    「へえ。葛木先生はともかくとして、士郎は?
       あんまり嫌った態度とも思えないけど」
 キャスター「坊やは有用だから」(悪気なく)
 凛    「ドライね。わかるけど。
       じゃあ、ランサーなんかは利がないから害な訳ね」
 キャスター「ええ。それに享楽的な、いかにもな男だし」
 凛    「なるほど」



 二千六百七十四「お手伝い」

 志貴「琥珀さん」
 琥珀「はい、何です」
 志貴「俺が料理の手伝いするって言い出すのわかってた?」
 琥珀「奇妙な事を仰いますね。
    志貴さんの気まぐれなんて誰にも予測できません」
 志貴「でも、今日はなんでこんなに手間のかかる料理ばかり」
 琥珀「下拵え手伝ってくれる人がいてラッキーでしたねえ」
 志貴「何か騙されているような」
 琥珀「美味しいですよ、今夜のお料理」
 志貴「はいはい。これ、全部皮をむいて刻めばいいんだね」



 二千六百七十五「筋肉の部分も」

 セイバー「魚は皮と身の間、そして骨の周りが美味しいそうですが」
 士郎  「そうだな。鮭なんか皮まで美味いし」
 セイバー「つまり、まるごと食べれば良いのですね」
 士郎  「いや、それは……、いや、あながち間違いでもないか」



 二千六百七十六「機械」

 士郎「そう言えば、遠坂って飛行機とかは平気なのか?」
 凛 「平気よ。わたしが操縦する訳じゃないもの」
 士郎「そういうものなのか」



 二千六百七十七「それはどうかな」

 シエル「まったく、無理をしてはいけないとわかっているでしょう」
 志貴 「わかってはいるんだけどね、うう……、ダメだ。眩暈がする」
 シエル「自然に見えるものであっても、意図して能力を使えば過度の
     負担となる、そういうものなんですから、遠野くんの魔眼は」
 志貴 「挙句に壊したり殺したりするだけの能力だからなあ。
     どうせなら何かを生み出す能力が良かったな」
 シエル「そうですね」



 二千六百七十八「最強にして劣弱」

 シオン「こういっては何ですが、志貴が真祖や代行者と渡り合えるのは、
     決して魔眼の力ゆえではありませんよ」
 志貴 「そもそもあの二人とは、まっとうに勝負にはならないけど」
 シオン「正しい認識ですね。
     あの二人に勝つ手立てがある事も確かですが、実現させるのは
     非常に困難ですから」
 志貴 「そんなつもりは毛頭無いけど」
 シオン「まあ、魔眼などよりも志貴が遠野志貴であるという事実の方が
     攻守共に大きな効果がありますね」
 志貴 「ごめん、意味がわからない」
 シオン「そういうところがですね……」



 二千六百七十九「ラッキーガール」

 志貴 「なあ、アルクェイド、おまえは自分が運が良いって思うか」
 アルク「うーん、どうだろう。
     難しい質問ね、うん。
     そもそも生まれからして、ねえ。でも、今は志貴いるし。
     最初の出会いは最悪だけど。
     うーん、降参。答えは何?」
 志貴 「いや、問題じゃなくて、質問だから。答えはないよ」



 二千六百八十「蟹尽くし」

 藤ねえ「じゃーん、ほらほら、こーんな大きな蟹がいっぱい」
 士郎 「凄いな、これは」
 桜  「まだ、動いていますよ」
 凛  「高そうね、まっとうに買ったら」
 藤ねえ「生でも食べられるけど、茹でたのと、殻ごと夜いたのと、
     炒め物とか、蟹玉とか、ええと、他に何出来るかな。
     とにかく、腕をふるって」
 一同 「了解!」

 セイバー「美味しいものだと思いますが、何でシロウ達はああも
      熱狂するのでしょう」
 イリヤ 「日本人の食文化でしょ。他に松茸とか鮪とか」
 セイバー「なるほど」
 イリヤ 「ブリテンにはそういうの無いの?」
 セイバー「酒と…………、思いつきませんね」



 二千六百八十一「不和の種」

 カレン「こんにちは」
 士郎 「ああ」
 カレン「何しに来やがった、この糞ビッチ、と言わんばかりの表情。
     まったく、酷い家だわ」
 士郎 「そこまでは思ってない」
 カレン「までは、ね。
     歓迎されざる客だとは自覚しているから、おみやげぐらいは
     持って来たわ。ケーキだけど」
 士郎 「ああ、すまない。
     でも、また数が1つ多いか、少ないかするんじゃないのか」
 カレン「さあ?」



 二千六百八十二「なりわい」

 幹也「所長は人形作りをしてますけど、普通の魔術師ってどうやって
    生計を立てているんですか」
 橙子「さあ」
 幹也「……あれ、それでおしまいですか。何か解説とかは」
 橙子「説明しようにも実際のところ、良く知らん。
    表の顔を持った者、魔術を種に何かやっている者、いろいろと
    いただろうが詳しくは知らん。
    逆に言うと、魔術師として食うために何をすれば良いのだろう」
 幹也「さあ」
    
  

 二千六百八十三「のばら」

 橙子「何かの役に立つ技術としての見地から言えば、科学の進歩が
    魔術の領域から奪い去っていったものは多いだろう。
    唯一絶対からひとつの選択になったと。
    煙草の火はこうしてライターで簡単につけられる。
    ふふ……。 
    あたらしいぎじゅつのさんぶつ。このようなぎじゅつがふえれば
    そのうちに まほうは このよから きえてしまうだろう……か」
 幹也「ぶつぶつと何ですか」
 橙子「いや、なんでもないさ」 



 二千六百八十四ノ一「作って」

 志貴「ふう、美味しかった。
    さすがは琥珀さん。カレーを作らせても一流だね」
 琥珀「はあ、唐突に飛び込んできたので何かと思いましたが。
    何だったんですか、いったい」
 志貴「シエル先輩への嫌がらせです」
 琥珀「ええと、また喧嘩したんですか」
 志貴「先輩があんまりわからずやだったんで。
    明日、悔しがらせようと思いまして」
 琥珀「巻き込まれたくないんですけどねえ」



 二千六百八十四ノ二「量」

 琥珀「一人分でなく、鍋いっぱい作ってくれって注文する辺り、
    恐らく明日、遅くてもその次の日には大量消費されるのが
    前提なんでしょうけどね」
 


 二千六百八十五「大切に」

 凛「夕食まで時間あるからって、士郎に貰った?
   ちなみにどのくらい前に? 一時間前、そう。
   気に入ったんならいいけど。
   帆立の貝柱の干したのを1個ね。……英霊かあ」



 二千六百八十六「づくし」

 秋葉「どうですか、兄さん。
    多少は私にも料理の腕がありますでしょう?」
 志貴「多少どころか、これは立派なものだと思うよ。
    煮付けに焼いたの、フライに汁物とどれも美味しかった」
 秋葉「そ、そうですか。やりま…、うん、喜んで頂けたなら。ええ、はい。
    ちょうど届いた材料で、まだ寒いし、温まるものを考えたんです」
 志貴「なるほど、それでか」
 秋葉「?」
 志貴「あ、何でもない。本当に美味かったよ、うん。
   (美味かったんだけど、すっごいトロの塊だったんだよなあ。
    寿司とか、刺身とか……、勿体無い。美味かったけどさあ)」



 二千六百八十七「湯煙紀行」

 有彦「うーん、ここだと特急使って、いや、ちょい乗り換え無理か」
 志貴「何だ、また温泉でも行くのか」
 有彦「当たり。どうだ、たまには一緒に行くか」
 志貴「休みでもないのに何日も泊りがけで行けるわけないだろ」
 有彦「ふふん、日帰りだ」
 志貴「日帰り?」
 有彦「最近は日帰りでどこまで遠くの温泉制覇できるかこってんのさ」
 志貴「また、訳のわからない事をしてるな。でも一日ならいいかな」
 有彦「お、乗り気だな。それならも少し熱入れて調べるか。
    前回は温泉について30分で帰ったが、もう少し削ってみせるぜ」
 志貴「ちょっと待て」
 有彦「二人なら、どっちかが捨て身でバス走るの止めたりできるしな。
    いろいろ選択の幅も広がるってもんだ」
 志貴「待てったら」
 


 二千六百八十八「風邪知らずとも言うな」

 藤ねえ「ほら、リンゴだよ。
     蜜がのってて美味しいんだって。早く剥いて、剥いて」
 士郎 「よし…って、それくらい藤ねえでも出来るだろ」
 藤ねえ「他人に剥いて貰った方が美味しいもの」
 士郎 「何気に理不尽だ。
     まあ、いいか。一日一個のリンゴは医者いらずとか言うしな」
 藤ねえ「そうそう。
     うーん、それだと夏とかはどうするのかなあ?」
 士郎 「うん?」
 藤ねえ「リンゴない季節はどうするの」
 士郎 「夏みかんでも食べればいいだろ。あれもビタミンCあるし」
 藤ねえ「だったら冬もみかんでいいじゃない」
 士郎 「そうだな。それなら皮剥くの止めるか?」
 藤ねえ「剥くー。剥いてー」



 二千六百八十九「電話」

 凛 「幾らなんでも固定電話と携帯電話の違いくらいわかるわよ」
 士郎「そうだよな」
 凛 「衛宮君も古いの大事にするのもいいけど、もう少し小さいの
    持った方がいいと思うわ」
 士郎「遠坂、それはコードレスなだけだ」



 二千六百九十「春一番」

 士郎「吹いていたとしてもおかしくないよな」
 凛 「一番早い例で二月五日だそうだし」
 士郎「でもなんか聖杯戦争にあわないよな」
 凛 「まったくね」



 二千六百九十一「思い込んだら」

 凛「困難な坂道でも怯まず歩いていくというと聞こえがいいけど、
   あいつの場合、却って喜んでそっちを選ぶでしょう。
   違う、桜?」
 桜「違いません」
 凛「別にそれが悪いとは言わないけど」
 桜「そう、そうですよね」(救われた様に)



 二千六百九十二「僕に任せてください」

 橙子「……」
 式 「……」
 鮮花「……」
 幹也「何か?」
 橙子「いや、意外と言いそうで言わない台詞かなと思ってな」
 式鮮「……」(うんうんと頷く)



 二千六百九十三「英国的解決」

 セイバー「仕方ないですね、凛もシロウも」
 凛   「こいつが物分り悪すぎるの」
 士郎  「遠坂が勝手過ぎるからだろう」
 セイバー「だから、二人とも黙って下さい。
      私から見ると両方間違ってはいないようです。
      そうは言っても納得はしないでしょう。
      ここはブリテンに伝わる騒動の解決方法の出番です」  
 凛   「何かわからないけど、凄く嫌な予感がするけど」
 士郎  「俺も」
 凛   「ね、セイバー…、別にわたし達」
 セイバー「待っていて下さい。まずは」(走り去る)
 士郎  「……嬉々としているのが逆に怖いぞ」
 凛   「わたしも」



 二千六百九十四「未来世界へ来た男」

 士郎「伝説としか思われてない事が本当の出来事かどうか
    検証しようとする人っているだろ」
 凛 「そうね、トロイの木馬に対するシュリーマンとか。
    ノアの箱舟に対して黒海洪水説を出したり」
 士郎「聖杯ってさ、そういうのの関係者呼び出せた訳だろ。
    勿体無かった気がしないか」
 凛 「そう言われればそうかもしれないけど……」(歯切れ悪く)



 二千六百九十五「遅い夕食」

 セイバー「ふむ、絶品ですね。この料理は素晴らしい」
 凛   「そうだろうけど」
 セイバー「不服があるのですか、これに」
 凛   「ないけど、午前零時に食べるのは……、眠い」
 士郎  「すまない。納得行くのが出来るまで時間が掛かった」
 セイバー「待った甲斐はあったというものです」
 士郎  「でも、なんか遠坂が急ごしらえで何か作ってなかったか」
 セイバー「それはそれという事で」
 士郎  「まあ、いいけど」



 二千六百九十六「実はけっこう温和」

 志貴 「これも、本物のネロ・カオスと思っていいんだな」
 シオン「ええ、油断は禁物です」
 志貴 「ああ。奴の恐ろしさはよく覚えている。
     ところでさ、シオン」
 シオン「はい、志貴」
 志貴 「下手にライオンとか出るより、ゴリラの方が強そうに見える」
 シオン「で?」
 志貴 「いや、それだけ。
     こほん……、さあ殺し合おうか……ネロ・カオス!」



 二千六百九十七「蛙になれば」

 藤ねえ 「ほらほら、もういたのよ、おたまじゃくし」
 士郎  「へえ。今年は春が早いのかなあ」
 セイバー「よくわかりませんが、食用でしょうか」
 ライダー「幾らなんでも。
      ……でも大河ですから。もしや」
 


 二千六百九十八「何となく手に取り」

 士郎  「たどり着くのが遅すぎて溺れる魔女を救えなかった船、
      というアルバムがあるんだけど」
 キャスタ「よくわからないけど、ケンカを売られているのかしら?」



 二千六百九十九ノ一「交換してみた」

 七夜「……」
 レン「……」
 七夜「……」
 レン「……」
 七夜「これはこれで悪くは無いな。うるさくないと言うのも」



 二千六百九十九ノ二「交換してみた2」

 志貴 「ちょっと待て。本当にあいつそんなに何でも言う事聞いてるのか」
 白レン「当然でしょ」
 志貴 「まったく信じられない」
 白レン「いいから、早く持ってきなさい」
 志貴 「はいはい」(しぶしぶ台所へ行く)
 白レン「信じられないのはこっちよ。
     こんな安楽な暮らしぶりだったんだ。ふうん」



 二千七百「消える」

 士郎  「どうした、セイバーぼんやりとして」
 セイバー「ぼんやりとは酷いですね。思索に耽るのも時には良いものです」
 士郎  「そうか。食べ物の事でも考えているのかと思ったよ」
 セイバー「来し方、行く末、考える事はいろいろとあります」
 士郎  「確かにそうだな。
      ドーナツを食べると穴はどこに消えるのかとか愚にも付かない
      事考えるよりマシな事なんて……、目の色が変わっている」



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