天抜き 其の六




  台詞に名前を書かないで,天抜きが可能かという実験 

  二百五十一「現状打破について悪友に相談」作:がんさん

   「時間のかかるゲームとかをプレゼントすれば、それに夢中になる分、
    女の子同士で衝突する回数も減るんでねーの?」
   「なるほど…」

    そんな訳で、買ってきました「牛乳パズル」。ご存じない方のために
    説明すると、「真っ白け」のジグソーパズル。完成しても真っ白な板
    ができるだけという不毛さがたまらない逸品である。


  二百五十一ノ二「牛乳パズル ― 1勝0敗」作:がんさん
 
    「おもしろいねー、これ♪」
    「気に入ったか?」
    「うん(はぁと)」

    どうやら目論見は成功らしい。

 
  二百五十一ノ三「牛乳パズル ― 2勝0敗」作:がんさん

   「こんなのやっていられますかー!」
   「5 分でギブアップか、ウチのお嬢様は随分短気のようだなー。」
   「短気ですねー。」
   「短気です。」
   「むきーー!」

   「完成したら、デートに連れて行ってやろうと思ったのになー。」
   「短気な人には、無理ですねー。」
   「短気は損気です。」
   「ぐぐぐぐぐ…」

    その後、精神的に疲弊した秋葉は牛乳が嫌いになった。

   「家計が助かりますねー。」
   「一時は、一日に 5l も飲んでいたもんなー。」
   「ねー。」


  二百五十一ノ四「牛乳パズル ― 3勝0敗」作:がんさん

    「きゅう」
    「あ、気絶した…」

    夏場の全 CPU フル稼働はやめておいた方が良いらしい。
 

  二百五十一ノ五「牛乳パズル ― 3勝0敗1分」作:がんさん

   (うとうとうと…)
   「翡翠… 眠いの?」
   「いえ、大丈夫です。志貴さま。パズルごときに睡眠時間を取られた
    くらいで、仕事に差し支えることなどありません… (うとうと)」

    不憫なので、パズルは没収。

   「うー…」
   「そんな涙目上目遣いで見られても…」
   「せっかくの志貴さまからの頂き物…」
   「今度、翡翠のお弁当持ってデートするから… ね?」

    戦果、3勝1敗に訂正。


  二百五十一ノ六「牛乳パズル ― 3勝2敗」作:がんさん

    「むきーーー!」
    「先輩、なんで怒るのー!(脱兎)」
    「遠野くんを殺して、わたしも死ぬー!」
    「なぜにーー!」

    かつての拷問メニューの一つだったとか。侮り難し法皇庁!


  二百五十一ノ七「牛乳パズル ― 3勝3敗」作:がんさん

   「ありがとー、じゃあ、お兄ちゃんの部屋で一緒にやろうね。」

    状況悪化。


  二百五十一ノ八「牛乳パズル ― 3勝4敗」作:がんさん

   「ありがとうございますー。じゃあ、お礼にこれを。」
   「コーヒー牛乳パズル?」
   「おまけも付けちゃいますね。」
   「ミ… ミルメーク…」
   「あはー♪」

    負けました… こう… 魂的に
 

  二百五十一ノ九「戦果について悪友に報告」作:がんさん

   「三大怪獣大決戦は、しばらく阻止できそうだ。」
   「よかったじゃねーか。」

   「でも、やつれ具合が前と変わんねーぞ?」
   「戦場が俺の部屋に移った。」
   「パズルを持って入り浸ろうとする都古ちゃんと、爪研ぎに使おうと
    するレンと、捨ててしまおうとする翡翠の精神戦が…」

   「今日… 俺ン家に来るか?」
   「心の友よ!(滂沱)」
   「姉貴がプレゼントを欲しがってたけどな。パズル以外で。」

    きゅう



  二百五十二「『都古』を『とこ』と読んでいました」作:がんさん

 都古「ああっ! アキハがぼう走して、コハクがはっちゃけて、ヒスイが
    洗ってるっ!」
 レン「志貴が危険ねっ! 都古ちゃんっ、マジカル・とこに変身よ!」
 都古「うん、分かった。」

 都古「こんふーの力、ここに集まれ… めいく、おーる!」

      :
      :

 マジとこ「街のへいわを守るため、
      彼のていそう、守るため、
      虹のほこなら、天も殺る!
      マジカル・とこ、ここにすい参!」
 
 (註:「とこちゃん」は,FreeBSD という PC-UNIX の非マスコットキャラです)



  二百五十三「お茶の時間はトリップタイム」作:がんさん

 秋葉 「兄さん…」
 シオン「志貴…」

 琥珀 (お二人とも、妄想で赤面なんて、可愛いったらないですねー。)
 志貴 (小声でも、そういう危険な発言は、よしてー。)

 秋葉 「むふふ…」
 シオン「うふふ…」
 
 琥珀 (お互いが考えていることがバレた時点で、女の友情は終わりなので
     しょうねー♪)
 志貴 (やめてー!)



  二百五十四「受身は取れませんでした」

 志貴「う…、ベッドから蹴落とされるほど酷かったかのかなあ」



  二百五十五「学術的好奇心」

 琥珀「あら、レンちゃん、お散歩?
    ミルク飲むかしら。……はい、どうぞ。
    ……。
    確か子犬をお鍋で骨が溶けるまで煮詰めると、傷薬になるのよね」



  二百五十六「対価を」

 秋葉「兄さんは私のこと、妹の癖して口うるさいとか、可愛くないとか
    お思いでしょうけど……」
 志貴「……」(肯定の意を示さないようにしている)
 秋葉「兄さんの一挙一動に熱っぽい目を向けて、いつも一緒にいようと
    して、兄さんの言う事ならどんな事だって喜んで従う……、そんな
    妹になるには、兄側の努力も必要なんですよ。
    私だってどんなにか……、わかっているんですか、兄さんは?」
 志貴「そ、そうですね」(何だか凄い説得力に押されつつ)
    


  二百五十七ノ一「順位」作:のちさん

  1位から順に秋葉、シエル、晶、アルクェイド、琥珀、翡翠、レン

 志貴「ということで、レンにするか」
 翡翠「いったい、なんの順位だったのですか?」
 志貴「デートにかかるお金」
 翡翠「……」


  二百五十七ノ二「仕返し」作:のちさん

 翡翠「……」
 志貴「……」

  パタン

 志貴「翡翠も怒らせちゃまずいな……」



  二百五十八「ナルバレック家というものは」作:権兵衛党さん

 ナルI「子孫には伝えておこう。ロアという名の死徒には手を出すなと」
 ロア 「…行かず後家のくせに」

 ナルII「先祖からの口伝だ。ロアに会ったら
    『その後、嫁いで子孫もバッチリ作ったぞ』と最初に言えと」
 ロア 「………ヒマなのか?」



  二百五十九「面影」作:権兵衛党さん

 黄理「あいたっ、痛いぞヤブ。もっと丁寧にやれ!」
 宗玄「ふん、もっと乱暴でもいいくらいじゃ!」

 志貴「あいてっ、痛いぞヤブ。もっと丁寧にやれ!」
 宗玄「…ふん、もっと乱暴でもいい、くらい、じゃ…」
 志貴「どうかした?」
 宗玄「なんでもないわい」



  二百六十「街角にて」作:のちさん

   街の雑踏で志貴を見かけて

 橙子「……ほう、そういうことか、青子の奴」
 橙子「まあいいだろう。……預けておくさ」
 橙子「……長いことではないだろうからな……」
 橙子「私も、甘くなったかな」
 橙子「……ふん、帰ってあいつらでもからかうか……」



  二百六十一「あしおと」作:のちさん

 秋葉  カッカッ
 琥珀  ペタペタ
 翡翠  コツコツ
 アルク たったっ
 シエル スタスタ
 レン  とててて

 志貴「聞き分けられるのは、七夜の力のせい、だけか?」



  二百六十二「約束」作:のちさん

  秋葉トゥルーエンド後、志貴の教室にて

 有彦「いいッスよ」
 有彦「うぃっす、大丈夫ッスよ」
 有彦「は? そりゃまあ、付き合い長いッスから」
 有彦「……今度、ラーメン食いに行くって言ってましたしね」
 有彦「そーゆーの、ほってく奴じゃないッス」
 有彦「じゃ、そーゆーことで」



  二百六十三「父と娘」作:のちさん

 宗玄 「回復の兆しが見えてきたな」
 朱鷺恵「本当に?」
 宗玄 「体のではない。心の、じゃよ」
 朱鷺恵「……え?」
 宗玄 「おまえでは、無理じゃったがな」
 朱鷺恵「……そっか……」
 宗玄 「朱鷺恵、あきらめが肝心じゃ」
 朱鷺恵「……わかってるわよ、もう……」



  二百六十四「かわいそうな悪魔」作:もとはるさん

  (秋葉からこんこんと説教を受けている志貴を眺めやりながら)
 琥珀「なに?翡翠ちゃん。『分かってたんなら志貴さまに一声かけて差し
    上げればよかったのに、どうして』って言いたげな顔で」
 翡翠「……」
 琥珀「それはねー。『かわいそうな悪魔』ってお話、知ってる?」
 翡翠「(…悪魔…)」

   (註:対戦お題【寓話】に絡めての作品として頂きました)



  二百六十五「復讐」作:月影さん

 志貴 「へー、お前って酔うことはないんだ。」
 アルク「毒物に対する分解機能は人間のそれを遥かに上回っているんだか
     ら、当然でしょ?」
 琥珀 「ふふふ、そんな時は私にお任せです!血管に直でアルコール注入
     しちゃえば一発ですよー。」(アルクに注射針を刺しつつ)

 琥珀 「…これで私の復讐も……終わりました。」
    (ほぼ全壊状態の遠野の屋敷を背景に)
 志貴 「シリアスモード入ったフリしたって誤魔化されないからね。」


  二百六十六「注がれるグラスを見ながら」作:月影さん

 秋葉「兄さん!いいですか、兄さんはご自分の体というものを分かってい
    なさ過ぎるんです!もっと体調管理には気を付けてですね…。」
 志貴「あぁ、…そうだな、うん、気を付けるよ。」
 秋葉「分かって頂けたら結構です、…あら?グラスがもう空になっていま
    すね。」
 志貴「あ、いや、もう流石にこのあたりが限界だから…。」
 秋葉「私のお酒は飲めないというんですか、兄さんは!」
 志貴「いえ…その、頂きます…。」
   (こういう矛盾したところが可愛いと言えなくもないんだけど…。)


  二百六十七「秘密の宴」作:月影さん

 蒼香「こ…こいつらは化け物か、私だっていい加減強い方だっての
    に……(ガクッ)」
 秋葉「日本酒というのもなかなか捨てたものではないわね。」
 晶 「まだまだありますからジャンジャン飲んで下さいねー。」
 羽居「お〜〜!」


  二百六十八「宴の後」作:月影さん

 式 「幹也、当然私と帰るよな、私を〈はなさない〉って言っただろ…。」
   (目が据わってる)
 鮮花「兄さんは妹を夜道に一人で帰したりなんてしませんよね?」(酒臭い)
 燈子「酔ってまで家に帰る事もないでしょう、今日はここに泊まっていきな
    さい。」(眼鏡を外しているのに妙に優しい)
 幹也「とりあえず放っておけないからね、酔い潰れてる藤乃ちゃんを送って
    くよ。」
   幸せそうに寝ている藤乃を抱えて、幹也退室。

 三人「あ…。」

 (註:この4本は対戦お題【できあがった人達】として頂きました)



  二百六十九「素人にはお勧めできない」

 志貴「何か買い物あったら買ってくるけど?」
 琥珀「そうですねえ、ある事はあるんですけど……」
 志貴「なら言ってよ。遠慮なんてしなくていいよ」
 琥珀「ありがとうございます。でも多分お店がわからないですから」
 志貴「教えて貰えば大丈夫だよ」
 琥珀「うーん、でも地図書いても入り組んでてわかり難いし、看板とか目印
    になるものもありませんからねえ」
 志貴「それじゃ、知らない人にはわからないね」
 琥珀「まあ、知らない人に知られるとむしろマズイお店ですから」
 志貴「……」



  二百七十「寒風に背を丸めドアを開けると」

 シエル「まあ、お金があるにこした事はないかもしれませんけど、貧しくて
     も暖かい家庭の方がいいですね」
 志貴 「そうだね」
 シエル「旦那様がお仕事を頑張って帰ってきたら、わたしと子供とで迎えて
     皆で食卓を囲んで。笑い声が絶えないような……。
     寒い日にはぐつぐつと煮込んで湯気を上げたお鍋で、身も心も温め
     てあげて……、そういう平凡でも幸せな生活に憧れますね」
 志貴 「ああ、本当に素敵だね、それ(そのお鍋って、カレーなんだろうけ
     ど……、まあ、こんな目をした先輩の夢にケチつけられないし)」         



  二百七十一「遊園地にて」

 志貴「そりゃ予想はしていたけど、目立つ事この上なしだな……」



  二百七十二「ある意味似合いすぎている言葉」作:水晶宮夢源さん

 ロア「・・・・また、来世」



  二百七十三「譲れない」作:水晶宮夢源さん

 秋葉「・・・・わかりました、正式にリビングにTVを設置しましょう」
 全員「おお〜〜」
 秋葉(・・・・これで兄さんと一緒に映画を・・・・)
 琥珀(う〜〜ん・・・・志貴さんを部屋に入れる口実が減ってしまいますね・・・・)
 レン(・・・・薄型はイヤ)



  二百七十四「表情とか、開いたり閉じたりする手とか、声の変化とか」

 志貴「翡翠は俺が命じたら何でもしてくれるよね?」
 翡翠「もちろんです」
 志貴「そうか。何でも言う事に従うんだ」(含みある言い方)
 翡翠「え……」
 志貴「ふうん」
 翡翠「あの……」
 志貴「……」(意味深な笑み)
 翡翠「……志貴さまが、その…お望みなら……、わたし……。
    でも……、何をすればよろしいの…でしょうか?」(真っ赤)
 志貴「いや、ちょっと訊いてみただけだから(ああ、堪能した、満足)」



  二百七十五「そういう人」

 琥珀「志貴さんの一番大切なものって何です?」
 志貴「うーん、何だろう。これってのが浮かばないなあ」
 琥珀「そうですか」(ちょっと気落ちした様子で)
 志貴「ん? じゃあね、琥珀さんは?」
 琥珀「もちろん、志貴さんですよ」
 志貴「あ……。うん、俺も琥珀さんのことが何より大切だよ」
 琥珀「ふふふ、…………はぁ(溜息)」



  二百七十六「朝のひととき」

 志貴「お、もう行くのか。気をつけてな」
 秋葉「ふふッ、車ですよ、兄さん。それでは、行って参ります」
  笑顔を見せ、軽やかな足取りで秋葉外へ。

 志貴「朝、ちょっとだけ早く目を覚まして、おはようって言って。
    毎日は無理にしても朝御飯一緒に食べて。
    登校までの時間、他愛のない話して。
    それだけで、一日中嬉しそうにしてるんだよな。
    秋葉……」(罪を悔いるような顔)



  二百七十七「嘘つき族と正直族」作:がんさん

 アルク「えー、わたしは志貴に嘘なんかつかないよ?」
 シエル「もちろん、わたしも遠野くんに嘘はいいません。」
 秋葉 「お黙り! この嘘つきシスターが!」
 翡翠 「志貴さま… わたしのことは信じてくださいますよね?」
 琥珀 「あはー、女はみんな嘘つきですね。」



  二百七十八「十七等分割」作:がんさん

 琥珀「今日はお客様が多いですねー。あ、志貴さん。この一ラウンドのケー
    キを人数分に切ってくださいますか? ええ、17 人ですので、17 等
    分ですね。」

 琥珀「あそうそう。コンパスと定規以外は使ってはいけませんよ?」



  二百七十九「身の毛がよだつ地獄」

 志貴 「ふぅ、すっかり夜になった」(疲れた様子で、でも満ち足りた表情)
 秋葉 「兄さん」
 志貴 「あ、あ、秋葉」
 秋葉 「ずいぶん遅いご帰宅ですこと」
 志貴 「こ、これは……」
 秋葉 「また、あの女のところで。いえ、言い訳しても無駄です。シオン……」
 志貴 「え、シオンまで……、あ、体が……」
 シオン「感心しませんね、そんな…乱れた真似を」
 志貴 「ちょっと、何を、おい、秋葉」
 秋葉 「兄さんは『懲戒の部屋』という短編小説をお読みですか、筒井康隆ですけど?」
 志貴 「い、いや。それが……?」
 秋葉 「まあ、体感なさって下さい。いいわ、シオン、お願い」
 シオン「はい」

  絶叫、絶叫、さらにまた絶叫。



  二百八十「三行半」

 秋葉「もう、兄さんには愛想が尽きました。
    とっとと何処にでも荷物をまとめて出て行ってください」(指ぴしり)
 琥珀「本人の前で仰ったらいかがです?」(八つ当たりの残骸をちらりと見て)
 秋葉「何を言ってるの、そんな事出来るわけないでしょう」
 琥珀「はぁ」


  二百八十一「三行半2」

 秋葉「もう、兄さんには愛想が尽きました。
    とっとと……」
 志貴「うん、何?」(ちょっと引いた様子で)
 秋葉「言えと仰るのですか。私に、続きを……」(ぶわっと涙)
 志貴「何だかわからないけど、ごめん、俺が悪かった。
    だから、秋葉、泣き止んで……、ああ、何なんだ……、いったい」



  二百八十二「勉強の時間」

 志貴「ん……、ああ?」
 秋葉「兄さん」
 志貴「え? あ、ああ、いつの間にかうたた寝してたか。
    すまん、秋葉、勉強見てやるって言い出したの、こっちなのにな」
 秋葉「いえ、そんなに謝らなくても……」
 志貴「あれ、30分近く眠ってたのか、秋葉も起こしてくれればいいのに。
    さてと、じゃあ問題集を……って、全然やってないじゃないか」
 秋葉「だって、兄さんが……、寝顔が……」(真っ赤になってもごもご)
 志貴「うん?」(怪訝な顔)



  月影さん特集【バレンタイン編】

  二百八十三「前日」作:月影さん

   鍋を前にして、
 琥珀「ふふふ、これを入れれば…、いえ、やっぱりいけません、あぁ、
    でも…、あ!いけません私の左手ちゃん!!言う事を聞きなさい、そ
    れを入れたら志貴さんが大変なことに…あぁ!!」

 翡翠「姉さん、さっきから何やってるの?」
 琥珀「翡翠ちゃんこそ、お鍋から黒い煙が出てますよ…?」


  二百八十四「だってコレ高そうなんだもん」作:月影さん

 アルク「はい、志貴、チョコレート♪」
 志貴 「あ、ありがとな…、それにしてもお前もバレンタインは 知って
     たのか。」
 アルク「当然よ、日本の風俗はそれなりに勉強してるって言ったでしょ、
     あ、そういえばホワイトデーには<三倍返し>するのが男のかい
     しょーなんだってね、…でも何を三倍で返すものなの?」
 志貴 「え?えーと、その、愛情…とかじゃないのか。」
 アルク「へー…、ふふ、愛情なんだ、楽しみ♪」
 志貴 (すまんアルクェイド、…あぁ、心が痛む。)


  二百八十五「幸せが怖いんです」作:月影さん

 シエル「はい、遠野君、チョコレートです。」
 志貴 「あ、ありがとう先輩、…へー、凄いな、これ全部シエル先輩が
     作ったの?」
 シエル「もちろんです、こう見えて私パン屋の娘ですから、洋菓子を作
     るのは得意なんですよ。」
 シエル(そういえばここにあるのも父さんから教えてもらったものばか
     りですね…。)
 志貴 「先輩……?あの、何か悩みでもあります?俺なんかで良ければ
     ですけど、力になりますよ。」
 シエル「あ、いえ、何でもないんです、すみません、ちょっとボーとし
     ちゃって…。(相変わらず変なとこだけ鋭いですね)」

 シエル(お父さん…、お母さん…、困りますね遠野君には、私にはそん
     な資格なんて無いのに…。)


  二百八十六「認識の差異」作:月影さん

 有彦 「先輩、流石にコレは遠野の奴が可哀相なんじゃ…。」
 志貴 「いいんだ有彦、何も言うな…。」
 シエル(変ですね、遠野君の方に愛情を注いだつもりだったんですけど…?)

  有彦には市販のチョコ、志貴には手製のハート型の…カレールー(固形)。


  二百八十七「不器用って胸キュン?」作:月影さん

 志貴「秋葉、お前そんなに沢山俺にくれるのか?」
 秋葉「あ、いえ、これは学院の後輩から頂いたものでして…、私はコレ
    とは別に…その、兄さんにきちんとご用意してあります…。」
  おずおずと差し出す秋葉。

 志貴「あ、そーだよな、秋葉からのにしちゃ数が多いし、どーりでラッ
    ピングなんかも可愛すぎると思ったよ。」
 秋葉「どーいう意味ですか兄さん!」
 志貴「あ、いや、その…(ワテワテ)。」
 秋葉「…あ、でもやはりもう少しラッピングを可愛らしくした方が良か
    ったでしょうか、その…チョコレートの形がなかなか上手くいかな
    かったものでそこまで気が回らなくて…、あ、で、ですが、味は保
    証しますよ、兄さんの好みに合わせて少し甘さを抑えてみましたか
    ら、その、形は少々歪ですが多分気に入って頂けると…。」(上目
    遣いで)
 志貴「秋葉、うん、嬉しいよ、ありがとう。」(優しく)
 秋葉「兄さん……、はい、喜んで頂けたのなら何よりです。」


  二百八十八「トラップ」作:月影さん

 翡翠「志貴様、差し出がましいとは思ったのですが、その、日頃の感謝
    をと思いまして…。」
 志貴「ありがとう、翡翠、ただ日頃の感謝をしないといけないのはこっ
    ちかもしれないけどね。」
 翡翠「いえ、とんでもありません。」
 志貴「それじゃ早速頂くね、………(すっぱい?)」
 翡翠「あの志貴様…?」
 志貴「翡翠、何でチョコに梅が入ってるの?」
 翡翠「あ、その、アプリコットなどを中に入れたものもあると聞きまし
    たので、梅を入れても美味しいかと…。」

 志貴(形が普通だったんですっかり油断してた!!)


  二百八十九「隠し味」作:月影さん

 琥珀「はい、志貴さん、どーぞ♪」
 志貴「あ、ありがとう、琥珀さん、…あの、ところで大丈夫だよ…ね?」
 琥珀「嫌ですねー志貴さん、そんな危険なものなんて入れてませんよ、
    ただ隠し味は入れておきましたけどね。」
 志貴「へー、何入れたの?ブランデーとか?」
 琥珀「今日はバレンタインですよ、女の子が男の子に想いを伝える日で
    す、ですから隠し味は…<愛情>ですよ。」(そっと耳打ちで)
 志貴「こ、琥珀さん!」
 琥珀「ふふ、いつもやられてばっかりじゃないですよー、たまには仕返
    しです♪」
 志貴「はぁ、…まいったよ。」

 琥珀(でもさっきの言葉は本当ですよ…志貴さん。)


  二百九十「問答、無用」作:月影さん

 琥珀「はい、志貴さん、どうぞ♪」
 志貴「あ、ありがとう、…ところで琥珀さ…」
 琥珀「何も入ってませんよー♪」
 志貴「いや、あの…」
 琥珀「何も入ってませんよー♪」
 志貴「え…」
 琥珀「何も入ってませんよー♪」
 志貴「頂きます…。」


  二百九十一「さっちんキラー」作:月影さん

 さつき(毎年渡し損ねちゃってるけど、今年こそは絶対遠野君に渡すん
     だから!!)

 さつき(遠野君発見!勇気を出せさつき、ファイト!!)
 さつき「あ…、あの…、遠野君、その…」
 志貴 「あ、弓塚さん、どうしたの?」
 さつき「あの実はね…」
 有彦 「おーい、遠野、お前チョコいくつだ?親友としてコレは必ずチ
     ェックしないとな。」(背後から)
 志貴 「何が親友だ、お前には関係無いだろ。」
 有彦 「はははは、まーそう言うなって、で、いくつだ?」

 さつき(………またコイツだよ!!(俯きながら凄い形相で))


  二百九十二「青春乙女」作:月影さん

 さつき(はぁ、今年もまた渡せそうにないよ…。)
   志貴が走って追いかけて来て、
 志貴 「弓塚さん、さっきはごめん、あいつ他人がいてもお構い無しだ
     から、…あの、何か用事かな?」
 さつき「え、あ、あの、あの、あの、じ、実はね、渡したいものがあっ
     て、その…コレ!」
   チョコを突き出す弓塚。
 志貴 「え?あ、えーと、誰かに渡せばいいのかな?」
 さつき「そ、そうじゃなくて、遠野君に…。」
 志貴 「え、俺なんかでいいの?…ありがとう、弓塚さん。」
 さつき「ううん、じゃ、じゃあね。(にっこりと手を振って)」

  帰宅後(夜)
 さつき「……っ、やったよぉぉおおおお!!」(ガッツポーズ)
 さつきの母「さつき、五月蝿いわよ!近所に迷惑でしょ!!」


  二百九十三「未来視の使い方」作:月影さん

 晶 「あ、あの、志貴さん、受け取って下さい!」
 志貴「あ、うん、ありがと、晶ちゃん、…えっと、ここで開けてもいい
    かな?」
 晶 「あ、一応恥ずかしいので、その、できたら家で…はっ!(未来視
    発動)」

 晶 「や、やっぱりここで食べていって下さい!家に持ち帰ったら遠野
    先輩に見つかって……、私も志貴さんも大変なことにー!!」
 志貴「わ、分かった!」


  二百九十四「麗しの女学院」作:月影さん

 羽居「えへへ〜、蒼ちゃん、チョコあげるね〜♪」
 蒼香「あのな、言っておくがバレンタインのチョコは男に渡すものだ、
    そして私は女だ、おまけに仏教徒の娘だぞ。」
 羽居「愛があればそれでいいのだ〜。」
 蒼香「あー、はいはい、分かったよ。」

   後輩から貰ったチョコを横目に、
 蒼香(他の奴と違ってコイツに他意は無いんだろうけどな…。)


  二百九十五「物陰のアサシン」作:月影さん

 都古(あ、お兄ちゃん発見!)
 都古(お、お兄ちゃん、私に気付いて!)
 都古(どうしよう、…チョコ渡したいのに、うまく話かけられないよー!!)
 都古(えーい!!)

   ビュォオオ……、ガスッ!(都古の投げたチョコが志貴の頭にヒット)
 志貴「アベシッ!!」


  二百九十六「恋愛運>金運」作:月影さん

 志貴「やれやれ、でもなんだかんだと今年は随分いっぱい貰えたんだな、
    …ん、レン?」
 レン「………(ジー)。」
 志貴「あぁ、コレ?欲しいの?いいよ、いっぱい貰ったしね、はい、お
    裾分け。」
 レン「………(パクパク)。」(幸せそうに)

 志貴(…立場は逆だけど、ホワイトデーのプレゼント代がかからないっ
    てのはある意味一番かも…、うーん、贅沢なのかそうでないのか微
    妙だなぁ。)


  二百九十七ノ一「予想外」作:月影さん

 ななこ「有彦さんもチョコを頂いてきてるんですねー…。」
 有彦 「ん、まーな。」
 ななこ「御親戚の方からですか?」
 有彦 「俺をいくつだと思ってんだ。」
 ななこ「ではご自分でお買いになられたんですね…。」
 有彦 「てめぇ、俺を馬鹿にしてんのか…、それとその同情したような
     目で俺を見るのは止めろ。」
 ななこ「ではとうとう犯罪に手を!?」
 有彦 「クラスの女から貰ったんだよ!」


  二百九十七ノ二「予想外だったもので…」作:月影さん

 ななこ「…ホントですか?」
 有彦 「そんな自分さえ誤魔化せないような虚しい嘘を俺がつくわけね
     ーだろ。」
 ななこ「…………。」(浮かない表情)
 有彦 「…ほら、出せよ。」
 ななこ「はい?」
 有彦 「どーせ、用意してんだろ、出すに出せなくなったとかで無駄に
     するこたねーだろ。」
 ななこ「は、はい!」(嬉しそうにチョコを差し出すななこ)
 有彦 「ふん、お前は分かり易すぎるんだよ。」


  二百九十八「最低賃金法違反」作:月影さん

 橙子「幹也君、こっちにいらっしゃい、チョコをあげるわ。」
 幹也「あ、わざわざすみません。」
 橙子「いいのよ、…それより今月のお給料のことなんだけどね…。」
 幹也「これで現物支給ってのはナシですよ。」
 橙子「………。」
 幹也「……板チョコ一枚で、一月過ごせっていうんですか?」

   おもむろに眼鏡を外して
 橙子「どの道払う金は無いぞ。」
 幹也「無いじゃなくて使ったんでしょーが!!」


  二百九十九「許される線」作:月影さん

 鮮花「あの、兄と妹の関係でもチョコを渡すくらいは普通ですよね?許
    されますよね?」
 橙子「その質問に答える前にまず私からも聞きたいんだが、…鮮花、そ
    れでお前は<許される>と<許されない>、どっちの答えを期待し
    てるんだ?」
 鮮花「それは…、その……。」
 橙子「難儀な性分だな。」(煙草に火をつけながら)


  三百「素直になれない」作:月影さん

 式 「ほら。」
 幹也「え、式、僕にくれるの?」
 式 「勘違いするなよ、秋隆がどうしてもと言うからわざわざ持って来
    てやったんだ。」
 幹也「それでも嬉しいよ。」
 式 「う…、大体俺がチョコレートなんて作ること事体がおかしいんだ、
    和食とか俺の好きなものならまだしも…。」
 幹也「(くすっ、苦戦したんだな)ありがと、式。」
 式 「う…、まぁ、いいからさっさと食え、言っとくが旨くないぞ。」
 幹也「美味しいよ、式。」
 式 「う…、ふん、お前の味覚がおかしいだけだ。」

  ……以上です。ありがとうございました。



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