天抜き 其の六十






 二千九百五十一「腹ペコ王」

 士郎「思えば、聖杯戦争の時にずっと空腹状態で戦っていたような
    ものだよな、セイバーって。
    魔力供給的な意味で」



 二千九百五十二「本人の意思」

 キャスター「可愛い娘が可愛い格好をして、誰が困るというの。
       誰の迷惑にもならないどころか、良い事でしょう。
       間違っているかしら、どうなの?」
 ライダー 「間違っていませんね。同意します」
 凛    「確かにそうね」
 キャスター「坊やはどう?」
 士郎   「まあ、悪くは無いよな」
 キャスター「ほら、皆が賛成よ。はい、着替える」
 セイバー 「しかし……、何か間違っている」



 二千九百五十三「微苛」

 幹也「ああ、もう、イライラするなあ」
 橙子「どうしたね、黒桐らしくもない」
 幹也「指に棘が刺さっているんですが、どこなのかわからないんです。
    でも何かしてると微妙な痛さがあったりしていらいらと」
 橙子「なるほど、それは煩わしいかもしれん。
    解決する方法はあるぞ」
 幹也「棘とってくれるんですか。本当にどこかわからないですよ」
 橙子「案ずるな、支障は無い。
    指を切断して、新しいのをつけてやる。
    それとも、感覚自体を取り去って何も感じないようにするか」
 幹也「その二択ですか」
 橙子「その二択だ」
 幹也「強いて言えば……、いやいや、遠慮しておきます」



 二千九百五十四「光陰」

 志貴「もう桜も散って、今度は夏に向かうか。
    でもほんの何ヶ月か前にはもう年末かとか言ってたんだよな。
    一年って早いよなあ」
 琥珀「まだ半分は残ってますけど、逆に半分もと言えますしね。
    春も夏も秋もなるとあっという間に過ぎ去る感じがします」
 志貴「冬は?」
 琥珀「不思議と寒い時期はずっと続いている気がしません?」
 志貴「するかもしれない」



 二千九百五十五「マッピングの為に敢えて罠に嵌るタイプ」

 バゼット「今回は先に新都を回ってみましょう」
 アンリ 「あん? 前に行った時に成果無くて、むしろ敵に気取られる
      率が高いって判断したじゃねーか。
      何でまたわざわざ出掛けんだ」
 バゼット「度重なる試行錯誤で三日目までの最適なルートはほぼ確立が
      できました。
      しかし、さらに良いパターンがあるかもしれません。
      ここら辺で別な行動を取る事にも意味はありますよ」
 アンリ 「まあ、マスターはあんただけどな」(嫌そうに)



 二千九百五十六「過去と未来」

 凛 「セイバーに限らずほとんどの英霊って生まれは過去でしょ」
 士郎「知ってる範囲だとだいたいそうだな」
 凛 「で、その時代で対応できる知識は持って出現するのよね。
    決して万能ではないけど」
 士郎「そもそも話が出来ないと困るしな。それがどうかしたのか」
 凛 「ふと思ったんだけど、今よりずうっと未来に召喚されたら、
    過去にいるわたし達には想像もつかない知識を有するのよね」
 士郎「そうだな」
 凛 「何かずるい気がするような、しないような」



 二千九百五十七「普通って何?」

 橙子「皆が異常だという中にあって、一人だけ影響も受けずに普通で
    いられるというのは、むしろ一番異常だとか言うだろう。
    黒桐の場合も当てはまりそうだが、別に普通ではないな」
 式 「そうか。普通に異常だろう、あれは」
 橙子「普通に異常か、なるほどなるほど」
 式 「何故、笑う」



 二千九百五十八「呼び名」

 橙子「礼園の中ではシスターや同輩から苗字で呼ばれる事が多いだろう」
 鮮花「そうですね。親しい人を除けば黒桐さんがほとんどです」
 橙子「しかし、ここに来ると黒桐はお前の兄の事で、鮮花は鮮花だな」
 鮮花「あまり意識してませんでしたけど」
 橙子「普通は自分の名前が呼ばれると、街の中であろうと自然に反応を
    するものなんだが、なかなかに変わっているな」
 鮮花「まったく自覚はありませんけど」



 二千九百五十九「導く人」

 凛   「セイバーはベーコン、カリカリになるまで焼く方がいい?
      それともさっと両面焼く程度にする?」
 セイバー「そうですね、今朝は……、むむ。
      どちらも魅力的ですぐには決めかねます。少し時間を」
 凛   「そんなに待てなーい。
      だったら、セイバーだけハムにする?
      それなら悩まなくいいでしょ」
 セイバー「それは問題の解決にならない。むしろ複雑化します。
      カリカリの食感も良いですが、ジューシーさも捨てがたい。
      これは、どうしたら良いのでしょう」
 士郎  「別に割り当て1枚じゃないだろ
      両方の焼き方すればいいだろう。そんな手間でもないしさ。
      あれ、何、その感心した目。遠坂まで?」
 


 二千九百六十「雨」

 志貴「しまったなあ、降らないと思ってたから、傘がない」
 秋葉「まったく、思慮が足りませんね、兄さんは。
    こんな事もあろうかと迎えに来ました」
 志貴「そうか。 
    ……いつ、どうやって!」



 二千九百六十一「でも頼むでしょ」

 シエル「ふうん、お好み焼き屋さんて、こんな感じなんですね。
     一人では敷居が高くて初めてです」
 志貴 「じゃあ、いろいろメニューもあるし堪能してよ。
     カレー入りと、他に何がいい?」
 シエル「当たり前のようにオーダー決まっているんですか。
     嬉しくもあり、少しつまらなくもあり、複雑ですねえ」



 二千九百六十二「インテリア」

 アルク「模様替え? というのをしてみたのよ」
 志貴 「そうか」
 アルク「純和風って感じ?」
 志貴 「そういう意図で変えたのか。
     それが何でアメリカ人イメージのJAPANテイストなんだ」



 二千九百六十三「玉にきず」

 凛 「やっぱりね、全ての面で秀でているってのはあり得ないの。
    どれだけそう見えても、どこかが欠けていたり、弱点があったり
    するものなのよ」
 士郎「なるほど」
 桜 「なるほど」
 凛 「納得いったって顔を、わたしを見ながらするのが、あれだけど」

 

 二千九百六十四「のどけしや」

 シエル「遠野君の日常って、何も無ければ何も無いんですね。
     本当に平穏で」
 志貴 「何か拙いかな」
 シエル「いえ、まったく。
     皮肉でなく、素直に心からそう思いますよ」



 二千九百六十五「中ではなかなか口に出せない」

 一成「……なあ、衛宮」
 士郎「なんだ」
 一成「久々に家にお邪魔して馳走にあっていながら、こう言うのも
    どうかと思うのだが」
 士郎「うん」
 一成「少々異常ではないか、今の衛宮家の有り様は」
 士郎「異常」
 一成「むろん、こうなったのには事情はあろうし、外よりとやかく
    言うのも失礼だとは思うのだが」
 士郎「いや、とんでもない。
    久々にまっとうな意見を貰った。そうだよ、その通りだ」
 一成「そ、そうか」(勢いに引きつつ)



 二千九百六十五ノ二「バランス」

 一成「とは言え、妙な調和を感じたのも事実なのだが。
    緊張感を窺がわせる均衡とでも言うか……、うむ」



 二千九百六十六「空き缶はごみ箱へ」

 アルク「えー、やっぱり甘いほうが美味しいじゃない」
 志貴 「甘すぎると駄目なんだ」
 アルク「ふうん。飲み終わったっと。えい」
 志貴 「前も見たけど、100mくらい離れてるのにダイレクトか。
     日常の事で非常識ない事された方がインパクトあるよなあ」



 二千九百六十七「備蓄倉庫」

 士郎  「ここが非常用の食べ物とか置いておく所なんだ」
 セイバー「なるほど、籠城の用意ですね」
 士郎  「そういうのも想定してなくもなかったのかなあ」
 セイバー「しかし、シロウ、ひとつ疑問が」
 士郎  「ああ。正確に言うと非常用の食べ物とかが置いて
      あった所なんだ」
 セイパー「置いてあった?」



 二千九百六十八「土台作り」

 ランサー 「なあ、あれ何だと思う」
 アーチャー「衛宮士郎が走っている」
 ランサー 「見たまんまだな。
       別に何か事件でも起こったという訳でもなさそうだが」
 アーチャー「ふむ。恐らくはトレーニングだろう。
       基礎体力の強化、持久力の鍛錬などの」
 ランサー 「なるほど。その辺と縁遠くなっているからわからなかったぜ」
 アーチャー「縁遠くか……、そうだな」



 二千九百六十九「朝食」

 士郎   「で、ここで味噌を入れる。最初から入れるのとは全然味が
       違ってくるから」
 キャスター「なるほどね」
 士郎   「ところで、味噌とか納豆とか平気なのか?」
 キャスター「平気よ。毒物とかは慣れてるから」
 士郎   「なるほど……とは言いたくないなあ」
      
     

 二千九百七十「対抗心」

 セイバー「どうです、シロウ。
      矢を横から断つのではなく、矢尻を打つ」
 士郎  「まあ、矢を射ったのが俺だからサーヴァントからすれば
      どうって事無いんだろうけど、うん、凄いな」
 セイバー「これぐらいであれば造作も無い事です」
 士郎  「でも」
 セイバー「でも、何です」
 士郎  「アサシンの場合、単に矢尻に当てるんじゃなくて、正面から
      受けながら縦に切断までしてたんだ」
 セイバー「なるほど、なるほど。
      すみません、シロウ、もう一度お願いします」
 士郎  「あ、ああ。
      アサシンの剣技の事になると、ちょっとむきになるよな」



 二千九百七十一「流麗」

 凛   「ライダーもずいぶんと髪の毛長いわよね」
 ライダー「あまり自分では意識しませんが」
 凛   「邪魔になったりしない?」
 ライダー「ええ。
      でも、何でしたらさっぱりと切りましょうか」
 凛   「ええっ、駄目よ。もったいない」
 ライダー「どうしろと」



 二千九百七十二「小市民性」

 志貴「あのさ、琥珀さん」
 琥珀「はい」
 志貴「前の石鹸まだあったよね」
 琥珀「ああ、小さくなってましたから新しいのを用意しました」
 志貴「前のは?」
 琥珀「捨てましたけど」
 志貴「ええっ」
 琥珀「(なんでこんなに驚かれるんでしょう)」



 二千九百七十三「あなたにここにいてほしい」

 志貴 「この町にいる理由を考えるのが難しいって言ってたよね」
 シエル「ええ。埋葬機関の人間が常駐するには平和すぎると言うか」
 志貴 「先輩がこの町に留まるんじゃなくて、俺が先輩の行く所に
     着いていくって方法もあるけれど」
 シエル「…………………………き、却下」
 志貴 「ええー、でも」
 シエル「お願いします、全理性で抑えているんです。
     それ以上は言わないで下さい」
 志貴 「う、うん」
 シエル「惜しいんだけど、死ぬほど惜しいですけど、駄目でしょう。
     駄目ですよね、…………いやいや」(葛藤の様子で)



 二千九百七十四「火力増強」

 士郎「まあ、いつかこんな日が来るとは思ってたよ……」
    ガスレンジを業務用のものに取り替える工事を見ながら。



 二千九百七十五「見えない」

 士郎「サーヴァントは姿を消していられるんだよな」
 凛 「ええ、受肉していない存在だもの。
    セイバーみたいな例外はいるけれど」
 士郎「その割りに、姿消しているところをほとんど見た事が
    ないような気がするな」
 凛 「姿消していたら見てもわからないでしょ。
    現れている時だけ認識するから、そう感じるのよ」
 士郎「なるほど。……そうなのか?」



 二千九百七十六「奉行は誰か」

 セイバー「シロウ、最近は鍋物をしませんね」
 士郎  「冬も終わったからなあ」
 セイバー「一時期は手を変え品を変え頻繁に登場していたのに。
      暑い時に食べても美味しいのではないですか」
 士郎  「確かにそうなんだけも、白菜がない季節はなあ」
 セイバー「無くても良いのではないですか」
 士郎  「いや、何がなくとも白菜がないと」
 セイバー「そういうものなのですか……」



 二千九百七十七「ろじうらどーめい」

 志貴 「でも、なんでまたこんな名前に。自虐的というか」
 シオン「皆のネーミングセンスがバラバラだったのです」
 志貴 「それにしたって」
 シオン「地名を入れようというアイディアがあったのですが」
 志貴 「それで良かったじゃないか」
 シオン「あそこはむにゃむにゃ」
 志貴 「なるほど、微妙だ。それで路地裏か……」



 二千九百七十八「紅茶の味」

 凛   「こんなものかしらね、どう?」
 セイバー「良い香りです、美味しいですよ、リン」
 凛   「そう。でも、もう少し何かが違うのよね」
 セイバー「充分だと思いますが。お茶うけのクッキーにも合いますし」
 凛   「お茶よりそっちのがメインみたいじゃない。
      そう言えば紅茶の淹れ方が昔のアメリカ人にはわからなくて、
      煮てからお湯は捨てて、葉っぱにシロップとかかけて食べた
      なんて逸話があるそうね」
 セイバー「ほう」
 凛   「どうしたの?」
 セイバー「美味しかったでしょうか、それは」(真顔)
 凛   「不味いと思うけど」



 二千九百七十九「武装」

 橙子「まあ、若いうちは、若さは武器だと思っているだろう。
    やがて、武器と言うよりも鎧だったと感じるようにもなるだろう。
    わからない? そうだろうとも」



 二千九百八十「電卓」

 凛   「これだけ余り。なかなか余裕はできないわね。
      後はこれだけ今週支払いがあって……、うわ、厳しい」
 セイバー「リンであればそんな道具無しで計算できるのではないですか」
 凛   「まあね。でも、古い電卓叩くのがいいのよ、お金の計算は。
      風情があるというか」
 セイバー「私にはよくわかりませんが」
 凛   「後は、これならわたしでも使えるってのもあるけど」(小声)


   
 二千九百八十一「今昔」

 橙子「同じ魚でも、海藻とか食べていたものより、海老だの貝だのを
    食べて育った方が、身が美味くなるのはわかるだろう?」
 幹也「そうですね」
 橙子「それなら理解できるだろう。それと同じ理屈だよ」
 幹也「でも、有機肥料で育てた桑の葉と人工肥料で育てた葉の違いで、
    できる反物の手触りがそんなに違うものなんですか」
 橙子「違う」
 幹也「桑の葉を蚕が食べて、繭から取った絹糸で布出来て……。
    納得できるような、できないような」



 二千九百八十二「遠い手」

 セイバー「シロウ、今は居ながらにして世界中の食べ物を集められるとか。
      凄い世の中になったものですね。魔法のようです」
 士郎  「ああ。ただ、お金が必要だけどね」



 二千九百八十三「鱧」

 秋葉「この髪はけっこう自慢なんですよ」
 志貴「確かに髪も綺麗だよな、秋葉は」

 琥珀「珍しく正解」



 二千九百八十四「立ち食いそば」

 シエル「時間が無くてお金もない時にはいいですけど、
     立ち食いは…」
 志貴 「店によっては置いてますよ」
 シエル「?」
 志貴 「あれ?」
 シエル「女子高生が食べてるのはどうなのかしらと。
     遠野君は何を?」
 志貴 「いえ、別に。水飲みます?」



 二千九百八十五「梅雨時」

 凛 「もう、はっきりしない天気ねえ。洗濯もままならないし」
 士郎「この時期に雨降るのは仕方ないだろ」
 凛 「雨はいいのよ。ただ、降るならがーっと降る。
    晴れるなら、からっと晴れる」
 士郎「遠坂らしいな」



 二千九百八十六「土蔵付き一軒家」

 凛 「けっこう古めかしいから代々続いている家みたいだけど
    衛宮家の持ち家になったのって、そんなに古くないのよね」
 士郎「そうだな」
 凛 「その前ってどうだったのかしら」
 士郎「藤村組の関係だったんじゃないのかな。
    もしかしたら藤ねえなら知ってるかも」
 凛 「なるほど。
    …………いいわ、詮索はやめておきましょう」
 士郎「気になってたんじゃないのか?」
 凛 「そうだけど、掘り返して何か出てきたら嫌だから」



 二千九百八十七「事実と記録」

 凛「事実でなかったとしても、記録に残されて、人に認知されたら
   それが真実とされてしまう……、か。
   遠い未来には使えるようになっているのかもね、あの槍」


   ※「Fate/Complete material」II初版132頁参照
     ゲイ・ボルクの使用者が……。
   

    
 二千九百八十八ノ一「点と線」

 幹也「説明聞いてもよくわからないんだけど、刀で斬っているのとは
    違うんだよね、式の場合」
 式 「ああ。確かに斬ってはいるけれどほとんど力はいらない。
    見かけ上くっついているのを少し力を加えて離すという方が近い」
 幹也「ふうん。なら別に業物の刀とかでなくて、鉄の棒でもいいのかね」
 式 「良くない」
 幹也「同じ事じゃないのかな」
 式 「断じて違う」


 二千九百八十八ノ二「指先ひとつで」

 幹也「でも、それこそ別に素手でもいいわけだよね」
 式 「それほどリーチがないから駄目だ」
 幹也「普段は短刀だからあまり変わらないんじゃないかな」
 式 「真っ昼間からそうそう日本刀なんぞ、持ち歩けるか。
    常識で考えろ」
 幹也「なるほど。
    でもさ、それなら鉄の棒とか定規とかなら」
 式 「だから、それは嫌だと言っているだろう」


 二千九百八十八ノ三「もうひと方は」

 志貴「そもそも素手で訳分からないものに触れるのが嫌だよ。
    別に拳を鍛えてないから、外れれば手が痛いし……」



 二千九百八十九「多彩」

 桜 「先輩、最近わたしレパートリィ増えているんですよ」
 士郎「奇遇だな、俺もだ」
 桜 「と言うより」
 士郎「新しい料理憶えざるをえないよな」
 桜 「そうですよね」



 二千九百九十ノ一「この世で一番の痛みの一つ」

 凛 「サーヴァントというか英霊って虫歯にはなるのかしら」
 士郎「ならないんじゃないのか、何となく」
 凛 「でも傷を負ったりはするでしょ」
 士郎「そう言われると。遠坂の家の記録とかでないのか、そういう情報」
 凛 「ないわよ、そんなの。
    それに聖杯戦争の期間でどうやったって虫歯にはならないわよね」
 士郎「それもそうだな」


 二千九百九十ノ二「既に」

 士郎「あ、そうだ、もともと虫歯で有名な英雄とかなら、英霊になっても
    虫歯なんじゃないかな」
 凛 「そんなので有名なの、誰か思い当たる?」
 士郎「いや、知らない……」



 二千九百九十一「空気」

 鮮花「ねえ、橙子師は?」
 式 「さあ。オレが来た時にはもういなかったけど」
 鮮花「正直、式と二人だと少し居心地悪いわね」
 式 「そうか。オレは平気だな」
 鮮花「ふうん」
 式 「何なら、オレも外へ出ても構わないけど」
 鮮花「え」
 式 「鮮花に追い出されたという事実が残るけどな」
 鮮花「何よ、その嫌な感じ。いなさい」
 式 「ああ」



 二千九百九十二「こだわり」

 志貴 「最近、カレー食べるところ見ないけど、まさか飽きたとか」
 シエル「まさか。何度も言いますけど、あれはごちそうですから、
     毎度毎度食べるのは間違いです」
 志貴 「そういうものかなあ。でもさ、この頃毎回、それ、食べて
     ない」
 シエル「いえ、でもいろいろと種類がありますから、一辺倒という
     訳では」
 志貴 「要は凝り性なのかな」



 二千九百九十三「闇夜の」

 志貴「あれ、レン、どこに行った」
 琥珀「あそこにいますよ」
 志貴「え、どこ」
 翡翠「そちらです、志貴様。背を向けていますけど」
 志貴「ああ、なるほど。
    何で真っ暗な庭にいるのに、わかるんだろう」
 


 二千九百九十四「縁日」

 凛「あ、ちょっと待って。
   注意しておくけど、なくなってもお小遣いの追加とか来月までないから
   考えて使う様に。
   それと、くれぐれもあんた達は本気にならないように。
   じゃあ、散開」



 二千九百九十五ノ一「カレーラーメン」

 シエル「カレーか勝っているんですか、ラーメンですか」
 志貴 「さあ……」


 二千九百九十五ノ二「近似の」

 シエル「もう少し親身になってくれても」
 志貴 「そんな事言われて……、ああ、そうだ。
     カレーうどんはどっちが勝っている訳?」
 シエル「ふむ。なるほど。
     いい検証材料ですね。そうかあ」
 志貴 「ふぅ」



 二千九百九十六「夏の日」

 橙子「どうした、黒桐。息を切らしてやって来るとは」
 幹也「冷蔵庫が壊れたんです」
 橙子「……それがどうした」
 幹也「買いだめしていたアイスが」
 橙子「ああ。
    わたししかいないが、とりうえず手伝うか?」



 二千九百九十七「お買い得ではある」

 凛 「ああ、暑かった」
 士郎「ご苦労さん。冷蔵庫入れとくから」
 凛 「お願いするわね。シャワーでも浴びてこようっと」
 士郎「しかし遠坂とセイバーが買い物行くと買ってくる食べ物が
    大きなサイズになるよなあ、いつも。
    余る事はないし、いいんだけどさ」

 

 二千九百九十八「武器よさらば」

 アーチャー「どうした、セイバー、完全武装の姿とは。
       特に異変は見受けられぬが、何か予兆か」
 セイバー 「いえ、平和なものです」
 アーチャー「ふむ」
 セイバー 「ふと、鎧が錆びてはいないかと思いまして。
       そんな事はありえないとわかってはいるのですが」
 アーチャー「わからないではないが、他の者が騒がぬうちに普段の
       姿になるのだな」
 セイバー 「はい。
       ……普段の姿、ですか」(小声)



 二千九百九十九「見慣れぬ車」

 士郎 「ん? あ、藤ねえか」
 藤ねえ「やっぱり気づかなかったわね」
 士郎 「そんな自動車見た事ないけど、どうしたんだ」
 藤ねえ「代車。せっかくだからちょっとドライブ。
     どう、乗ってみる」
 士郎 「つきあってもいいけど。
     ちょっと待て、車検はしたの今年だったよな。
     何で代車が必要になったんだ」
 藤ねえ「あ、用思い出した。またねえ、士郎」
 士郎 「おーい」



 三千「終極」

 志貴「今、もしも血を吸ってくれと言ったら、
    どうしただろうかな、あいつ」
    
    声にならない声、煙る月だけが、視界に



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