天抜き 其の六十四






 三千百五十一「今、星が生まれた」

 琥珀「あの、志貴さん」
 志貴「…………、え、何?」
 琥珀「ちょっと、それはどうかと」
 志貴「うん? ああ、これは」
 琥珀「お蕎麦をなるべく均等の太さに切るというのは重要ですけど、
    少々熱中しすぎましたね」
 志貴「やりすぎて糸みたいだな」
 琥珀「ある意味凄い手腕ですけど」



 三千百五十二「ソイ・ソース・マジック」

 志貴 「どうしたの、先輩」
 シエル「アジフライにソースかけようと思ったんですけど、どっちかなと」
 志貴 「入れ物が同じで、中身の表示もしていないのか。
     でも、醤油の方があうって人もけっこういるよ」
 シエル「お魚ですから合うでしょうけど、わたしはソース派ですね」
 志貴 「なるほど。じゃあ…いや、何でもない」
 シエル「? あ、こっちがソースですね。よかった」
 志貴 「カレーにはソースはかけないんだねとか、何の気なしに言っちゃ
     駄目だ。絶対に駄目だ」



 三千百五十三「この神々しい断面」

 アルク「ええと、ここで油に入れて、と。きゃあっ」
 シエル「温度が高すぎです」
 アルク「なるほどねっ。そういう事なら」
 シエル「水で埋めない。ああああ、もう、何やってるんですか、あなたは」

 志貴 「……とか大騒ぎしていたわりには、何だかんだでそれなりの形に
     出来あがっているのが不思議だな。
     実際、美味そうだよ、このとんかつ」
 シエル「尋常でない力技でしたけどね」
 志貴 「訊かないでおこう」



 三千百五十四「インド探し」

 志貴「バイキング料理かあ。
    確かにどれも美味そうだけど、これだけいろいろありすぎると
    かえって選ぶのに困るな」
 一同「なるほど」
 志貴「え?」



 三千百五十五「墓穴に入らずんば墓地を得ず」

 琥珀「餃子の皮を使っていれば、中身がかなり風変わりでも、餃子と
    呼んでもらえますよね」
 志貴「そうだろうね」
 琥珀「逆に皮の方を小麦粉からでなくて米粉とかそば粉とか他の物で
    作っても、餃子ですよね。
    キャベツとか薄いお肉とかまったく違った食材でも」
 志貴「そう言われるとそうだね。
    急にそんな事言いだしたところ見ると、餃子作るのかな」
 琥珀「いえ、ワンタンスープですけど」
 志貴「えー」



 三千百五十六「お茶碗の中に宇宙がある」

 志貴「醤油、卵、米、水と食材を吟味したたまごかけご飯か。
    確かに異様な迫力あるような。
    じゃあ、いただきます。
    あれ、海苔はないの?
    え、何? そのへんなもの見る目」



 三千百五十七「ホルモンが歌いだしたぜ」

 琥珀「よいお肉が大量にありますので、アルクェイド様とシエル様も
    よろしかったらお呼び下さい」
 志貴「じゃあ、声かけとくよ」
 琥珀「お願いします。ロースやカルビとかだけでなくて、レバー等も 
    新鮮ですから美味しいですよ」
 志貴「それはそれで楽しみなんだけど、ひとつ頼んでいいかな」
 琥珀「はいはい。で? ……、わかりました。用意しておきます。
    いってらっしゃい。
    ウィンナーソーセージをご所望と」



 三千百五十八「旅になんて」

 有彦「久々だなあ、おまえと旅行なんてのも」
 志貴「たまにはね」
 有彦「しかし、そのせいかな。少しテンション高かったしれん」
 志貴「そうかもしれないね。まあ、のんびりでいいだろう」
 有彦「それもそうか。急ぐ旅でもないしな」
    とりあえずこれ食いながら一時間待つか」
 志貴「途中下車して、乗り遅れてまで手に入れた駅弁か」
 有彦「だから、蒸し返すなって」
 


 三千百五十九「猫が多い街は人間にも居心地がいいという」

 シエル「なかなか美味しいカレーライスですね」
 志貴 「確かに。でもなんでこの店に。知ってたの?」
 シエル「いいえ、初めて見かけたお店ですよ」
 志貴 「でも、こだわり自家焙煎って感じのコーヒー屋じゃない。
     美味い不味い以前に、そもそもメニューにカレーがあると
     普通は考えないじゃないか」
 シエル「強烈なコーヒーの香りに混じって、これはと思わせる様な
     カレーの芳香を感じ取った、それだけですよ」
 志貴 「それだけなんだろうけど、でもなあ」
 

 ・・・以上、三千四十八から五十九まで「食の軍師」(泉昌之)ネタだったりします。



 三千百六十「整理されかつ美しく」

 士郎「遠坂、授業のノート返すよ」
 凛 「少しはテスト勉強の役に立ったかしら」
 士郎「ああ。ノートの取り方も完璧なんだな。驚いた」
 凛 「誉められるほどでもないけど。
    たまにノート見せてくれと言われるから、できるだけ見栄えは
    よくしているわね」
 士郎「見栄えか。実際はノート取る必要ないって事か?」
 凛 「集中して聴くか、自力で勉強すればね。
    ただ、授業中にまったく手を動かさずに聞いているだけなのは
    変に映るでしょう」
 士郎「確かに。でも、いらないけど取るノートがあれなのか」



 三千百六十一「欲しがりました」

 秋葉「たまに物をねだってくれたと思ったら」
 琥珀「よろしいではないですか。
    あんなにどれにしようかと悩まれている姿も珍しいですし」
 秋葉「なかなか見れないのは確かだけど。
    でも、そんなに違うものなの?」
 琥珀「それはもう天と地ほども違いますとも」
 秋葉「そんなものなのね。
    最初、何を言っているか理解できなかったけど……、砥石」



 三千百六十二「学校へ行こう」

 シエル「遠野君を監視する為と、この町にいておかしくない身分の確保、
     学校に属する意味はそれだけだったんですよね。
     今となってはその必然性も」
 志貴 「無くなったと。もしかして、学校やめちゃうの」
 シエル「いえいえ、別にそのつもりはありません」
 志貴 「でも先輩の場合、教会とかと無関係でも、何か事が起こったら
     なんだかんだで解決の為に動くのかなあとか思うんだけど」
 シエル「否定はできませんね。
     物凄い確率で事件に巻き込まれそうな誰かさんが傍にいますし。
     困ったものですね、本当に」
 志貴 「……」(あえて言葉と表情の不一致は指摘しない)
     


 三千百六十三「道理」

 橙子「寒い日が長い事続いたが、春らしくなったな」
 幹也「そうですね」
 橙子「どんな長い冬も終わり、いずれ春が訪れる」
 幹也「なにか含蓄のある言葉のように聞こえますよ」
 橙子「夜は明けて、朝になる。
    雨はいずれ止み、太陽が現れる。
    いつか物は壊れ人は死ぬ。
    眠った者は目を開く。
    煙草に火をつければ灰になる。
    どれも、当たり前の言葉だが、言う者が言えば何かを帯びる」
 幹也「言う者がですか」(苦笑気味に)
 橙子「人徳のなせるわざだな」(真顔)
 


 三千百六十四「てっぽう」

 琥珀「今日は、ふぐ料理など召し上がって頂こうかと」
 志貴「へえ」
 琥珀「さすがにてっさとかさばいて作るには技量が足りませんので、
    ふぐちりと唐揚げなど用意しました」
 志貴「それは楽しみだな。
    でも、毒とか大丈夫だよね」(冗談っぽく)
 秋葉「大丈夫ですよ、兄さん。毒物には慣れてますから」
 志貴「そうか。
    いや、そうかでおさめちゃいけない気がするが」



 三千百六十五「頂点」

 アーチャ「衛宮士郎が考えうる最高の剣とはエクスカリバー。
      ただしそれは自分が持っても無意味。
      あくまで使い手はただセイバーのみで、自分ではないと。
      なかなかに救われない状態だな」



 三千百六十六「射る者」

 士郎「サーヴァントの中でも三騎士のクラスは上みたいな事言ってた
    けどさ、アーチャーって実際のところ強いのかな」
 凛 「ん? 馬鹿みたいに宝具使いまくれるのよ、強いでしょ」
 士郎「そんなアーチャーなんて例外だろ。
    知ってるアーャーは二人ともそういうタイプだけど」
 凛 「ほら見なさい」(立ち去る)
 士郎「いや、そうじゃなくて、英霊相手に矢が当たるのとかさ。
    あくまで技量の問題かなあ、うーむ。
    でも結局、あいつなんかいつも剣使ってるし」



 三千百六十七「再臨」

 エルメロイII世「冬木の地で聖杯戦争の兆し現るか。
         あれからたったの10年ほどでだと、信じがたい。
         いや、そもそも作られたもの、起こりうるか。
         ともかくそういう事態であれば。
         今、かの地で、これを触媒とすれば。
         ……。
         望みはしないだろうな、あの人は」



 三千百六十八「異様な色」

 志貴「なるほど、お湯を沸かそうとしただけなんだ。
    それでやかんの錆かメッキがお湯に溶け込んでしまったと。
    昨日まで少しもおかしいところなかったのに。
    うん、変と言えば、変だけど。
    今度は新品のやかんとか鍋を使おうよ、翡翠。うん」



 三千百六十九「年賀状」

 志貴「そういえば年賀状ってどうしているの」
 琥珀「お使いになるのでしたら、まだ余りがありますけど」
 志貴「いや、来たやつをどうしているんだ?」
 琥珀「頂いた相手のデータなどは全て記録して、来年に備えてますけど」
 志貴「へえ、さすがだな。
    いやいや、そういう事でもなくて、くじの当たり確認の話。
    かなりの数が来てたから、切手シートだけでもけっこうな数だろ?」
 琥珀「はあ」
 志貴「もしかしても確認してないとか」
 琥珀「そうなんです」
 志貴「ええっ、勿体無い。テレビとか旅行とか……。
    あ、そうか。別にそれくらい、どうってことないのか」
 琥珀「ご覧になりたいのでしたら、何年分か整理しています」
 志貴「後でね。
    なるほどな、こういう家に大量に集まるから、毎年引き取りが無い
    景品が残る訳か」



 三千百七十「早い者勝ち」

 士郎  「どうした、セイバー」
 セイバー「ふと、前の聖杯戦争を思い出していたところです」
 士郎  「前の聖杯戦争か」(邪魔しないようにそっと去る)
 セイバー「よくよく思い出してみると、あの時に出された美酒は確かに
      残っていた筈。
      ギルガメッシュに問えば、まだ……、いえ、そんな訳には。
      しかし……」



 三千百七十一「音が同じだからね」

 セイバー「なんでこんなにも櫻の花が持て囃されるのでしょうか。
      少々疑問にすら思います」
 士郎  「単純に奇麗だからじゃないかな。
      ずっと咲いている訳でもなくて見られる時期も短いしさ」
 セイバー「なるほど、納得できる理由です。
      実はさきほど凛やライダーとも同じような話をしたのですが」
 士郎  「ふうん。二人は俺とは違う意見だったのか」
 セイバー「おおまかな主張としては同じだったと思います。
      ただ、二人とも可憐であるとか、美しいとか力説していました。
      訊いたこちらが引く位に」
 士郎  「へえ、何でまた」
 セイバー「あの二人にそこまで気を遣わせるとは、なかなか凄い存在だと
      認識を新たにしました」
 士郎  「うん? ええと、花の話をしているだよね」
 セイバー「ええ。
      二人ともサクラという響きを否定する事は出来ないのでしょう」



 三千百七十二「克己」

 凛 「あんたが剣を投影するのに失敗したり、習った技が使えない時に、
    他の世界のあんたは成功しているのよ」
 士郎「ああ、そういう事もありえるよな」
 凛 「つまり自分に負けているのよ。
    士郎、あなたは自分に勝たないと」
 士郎「んん、どこかで意味が違ってないか」



 三千百七十三「直接使用だけでなく」

 士郎  「セイバー、前にバケツプリンに興味示していたよな」
 セイバー「な、な、何を言い出すのです」
 士郎  「食べたいなら作ろうかと思ったんだけど、違うならやめとこう。
      無駄にするのはいけないし」
 セイバー「いえいえ、否定はしていません、否定は。
      ……食べてみたいです」
 士郎  「よし。じゃあ作ろうかな」
 セイバー「しかし、何でまた、急に」
 士郎  「卵をすぐに使わないといけなくなったんだ。
      藤ねえがあそこでいきなり飛び込んで……、いやいや。
      まあ、とにかく他にもオムレツとかいっぱい作らないと」



 三千百七十四「付き添い」

 アルク「もう、志貴。ちゃんと選んでよ」
 志貴 「あ、ああ。それとなら、さっきの白いやつかなあ」
 アルク「白ね、白か。じゃあ、色は決めた。
     じゃあ、白でまたいろいろ見せて」
 店員 「はい、ではこちらと、そうですねえ」
 アルク「ふうん」
 志貴 「服選べと言われても、何着ても似合うから難しいんだよな。
     店員さんはむしろはりきってるけどさ。
     え、ああ、右がいいな」



 三千百七十五「勉強の仕方」

 幹也「テスト近いみたいだけど、鮮花は特に試験勉強とかしてるの」
 鮮花「学校の定期試験でしたら特には」
 幹也「それであれだけの成績を維持してるのは凄いね」
 鮮花「あくまで普段の授業の理解度を確認する為の試験ですから。
    教科書の内容を理解しておいて、授業で話したそれ以外の事を
    その場で吸収して、あとは問題を幾つかやってパターンを把握
    すれば、それで充分でしょう」
 幹也「それが出来ていれば充分だろうな。出来ていれば」



 三千百七十六「実証」

 アルク「そもそも、カレーなんてどこが美味しいのよ」
 シエル「根本的で深い質問ですね。
     言葉を重ねるのは簡単ですが、実際に証明してみましょう」
 アルク「受けて立つわ」

 アルク「という、やり取りがあったのよ」
 志貴 「なるほど。で……?」
 アルク「でって?」
 志貴 「いや、その流れで先輩みたいにカレーに開眼するとかさ」
 アルク「まあ、美味しかったけど、別にそれほどは」
 志貴 「何と言うかアルクェイドらしいな」
 アルク「んー?」



 三千百七十七「去年は何度か」

 シエル「夏に向けて冷蔵庫入手しようかと思ってるんです」
 志貴 「今あるやつ、調子悪くなってるの」
 シエル「そっちは別に何ともないんですけど。
     夏場はモノが傷みやすいのでカレー用としてもうひとつ」
 志貴 「ああ、なるほどね」
 シエル「ええ」
 志貴 「(突っ込んだほうがいいのか。
     でも、まったく不自然さの無い雰囲気だし)」
 


 三千百七十八「波風なく」

 秋葉「兄さんは明日何時ごろに戻るのかしら」
 琥珀「夕方にはお帰りになる予定だそうですよ。
    電車に乗りそこなったとか、トラブル発生とかなければ」
 秋葉「そう、夕方ね。
    ……」
 琥珀「どうなさいました?」
 秋葉「いないならいないで、心穏やかに過ごせるものなのね。
    少しの間だけとわかっているからだけど」



 三千百七十九「経費削減」

 シエル「本部から連絡、珍しい。
     ええと、備品や消耗品は今後、本部で現物支給にする。
     まあ、いいですけど。
     ……え?」



 三千百八十「異端」
 
 士郎  「どうした、セイバー、ぼうっとして」
 セイバー「大河が剣の修練をするというので眺めていたのですが」
 士郎  「珍しいな」
 セイバー「確かに理にはかなっているのです。
      しかし、あれで強くなれるとは信じ難い。
      いや、実績はあげていたそうですし、確かに腕は立つというのは
      わかります。わかりますが、理解しがたいというかしたくない」
 士郎  「剣のサーヴァントが困惑するって……。
      あれ、俺、藤ねえにも剣習ったんだけど。聞いてないな」



 三千百八十一「蛇の目」

 琥珀「あら、急に凄い雨」
 翡翠「そうですね。……ッ」
 琥珀「え、え、翡翠ちゃんどうしたんです。
    お風呂使えるようにして、タオルを何枚も出して?」
 翡翠「お迎えに」
 琥珀「ああ、志貴さんが、今まさに門を……って、翡翠ちゃんも
    どうやって察知したんでしょう」



 三千百八十二「人生すなわちこれゲーム」

 アルク「人間ってせいぜい百年程度の寿命しかないのに、暇が多いのかしら」
 志貴 「そうでもないと思うけどな」
 アルク「それにしては暇つぶしに熱入れすぎ。何でもゲームにしちゃうし」
 志貴 「たしかに、何から何までゲーム化してるかもしれないな」
 アルク「さっきテレビでやってたから、わたしも試してみようかな」
 志貴 「家で大人しくしている方がいいかもなあ、おまえの場合」
 アルク「銀行にある預金を使ってまずはどこかの会社を買えばいいのよね」
 志貴 「モノポリーとか人生ゲームって訳でもない様だな。
     え、マネーゲーム? 影響が大きすぎるからやめろ」



 三千百八十三ノ一「お料理教室」

 セラ「後は適度に煮込んで完成。
    なるほど理解できました。
    実際に作って教えて頂き、感謝します」
 士郎「別にお礼なんていいよ、これくらいなら」
 セラ「普段はどうであれ、受けた行為に対しては礼を失しないよう努めるのが、
    アインツベルンに連なる者としての当然のあり方です。
    ……けれど、どうしてお嬢様がこの家で出たといって食べたがる料理は
    普通の料理本にレシピが載っていないのかしら」


 三千百八十三ノ二「我が家の味」

 桜 「そんな凄い料理出した事ありましたっけ」
 士郎「いや、出してないと思うな。残り物使ったり、材料別なの使ったりして
    アレンジしたみたいになってイリヤには珍しいんじゃないか。
    ちゃんとした料理ならセラが作る方がむしろ美味いと思う」



 三千百八十四「解明はされている」

 シエル「意外ですね、飛行機に乗ったことないんですか」
 志貴 「乗る用事がなかったんで。
     それに、あまり乗りたくないんです」
 シエル「もしかして、怖いんですか?」(からかう様に)
 志貴 「んー……、正解。
     だって、あんな脆いものが空を飛ぶのは怖いよ。
     ちょっと何かあればどうにもならない」
 シエル「あんな鉄の塊が飛ぶわけが無い……とか言うのとは
     少し次元が違うんですね、遠野君の場合」



 三千百八十五「時を告げる」

 志貴「あれ、また腕時計遅れてる。いい加減、寿命かな」
 秋葉「それでしたら、家にあるものをお使いになったらどうです」
 志貴「あの高そうなのか。不相応な感じだけど、一時しのぎならいいか」
 秋葉「道具は使ってこそですよ。それじゃ、琥珀に言って……」
 志貴「どうかしたか」
 秋葉「定期メンテナンスに出して、まだ戻ってなかったような」
 志貴「なんなら取ってこようか。ついでにこれも見て貰いたいし」
 秋葉「ちょっと遠いです」
 志貴「どの辺?」
 秋葉「スイスです」
 志貴「そういうレベルの時計か」



 三千百八十六「計画的」

 志貴「なんだ、また温泉旅行の検討か」
 有彦「いやいや、当分行かない。前に作った日程表とか眺めてんのよ。
 志貴「旅行先の簡単なデータとか、電車の時間幾つもメモしたり。
    行き当たりばったりかと思ったら、意外と段取り立ててるんだな」
 有彦「そんなたいしたもんでもないって」
 志貴「……現地で旅費稼ぎって予定が予めあるのはどうかと思う」



 三千百八十七「勝負」
 
 志貴「日本中でシエル先輩が名前も知らないカレー専門店を10軒
    挙げられたら勝ちか。
    期限は今日中、楽勝だとは思うが、思うんだけど……」



 三千百八十八「DEAD OR ALIVE」

 琥珀「秋葉様、調査の結果、面白い結果が」
 秋葉「調査? 言ってごらんなさい」
 琥珀「秋葉様の御学友の方などを除きますと、一度は死んだ筈なのに
    生きているという条件から外れるのは、秋葉様とわたし達姉妹、
    それくらいなんですよ」
 秋葉「何よその死亡率。生存率?」



 三千百八十九「あの男」

 橙子「いや、アルバという男は、素質溢れる有能な男だった。
    魔術師としては名門だしな。ただ」
 式 「自分の方がより優れていただけだ、とか言うわけか」
 橙子「それはそれで厳然たる事実だが、それはどうでもいい。
    例えば炎の魔術を使うとしても、地球を燃やし尽すにはとか、
    そういう発想は浮かばない男なのだ。
    やるやらない、できるできない以前に」
 式 「何となく理解できた」



 三千百九十「身体測定」

 志貴 「先輩が水の上を走るのって魔術とかじゃないよね」
 シエル「ええ。体術ですよ」
 志貴 「いったいどうやってるの」
 シエル「簡単ですよ。右足が沈まないうちに左足をですね」
 志貴 「ふうん」
 シエル「いえいえ、あながち嘘でもないんですよ。
     説明は難しいですけど、体重を消すまではいかなくても
     軽くして……、え、何ですか、妙な顔をして。
     体重が何ですって? 
     言っておきますが、あくまでたとえ話ですからッ」



 三千百九十一「取り出したるは」

 アーチャ「凛、その袖口」
 凛   「えっ、ああ、血が出てる。
      ……勿体無い」
 アーチャ「その言葉が出るのはどうかと思うぞ。君らしいが。
      とりあえず、応急処置として使うといい」
 凛   「使うといいって、ガムテープ出す方もどうかと思うけど」
 アーチャ「戦場では万能アイテムなのだがな。
      いや、傷の手当てにというのはもっとずっと前に……」
 凛   「どうかしたの?」(ぐるぐる)
 アーチャ「ああ、藤ねえ……か」



 三千百九十二「雨」

 秋葉「傘と言うものは自ら持つものではありません。
    さし掛けられるものです。
    百歩譲るとしても、男物の傘を差して歩くなど」
 志貴「じゃあ、俺が持って濡れないように歩けばいいんだな」
 秋葉「ええ、そうです。
    ただ、兄さんが濡れるのも心苦しいですね。
    一緒に入っても構いません」
 志貴「はいはい。
    結局普通の相々傘だと思うんだけどな、これ」



 三千百九十三「つるつる」

 凛 「普通の家庭っての良くわからないけど、こんなにそうめんとか
    冷麦とか毎日毎日食べるものなの?」
 士郎「他の家は知らないけど、前からこうだな。
    とにかく藤ねえが大量に持ってくるからさ。
    つけ汁とか薬味とか変えて、けっこう違った感じにしてるだろう」
 凛 「この家にいる限りは普通な訳ね、了解。
    前提となる感覚が違うというか、慣れというか。あーあ」



 三千百九十四「手に取るもの」

 アルク「わたしに足りないものがわかったのよ」
 志貴 「常識か」
 アルク「武器よ。シエルは黒鍵とか第七聖典とか持ってるでしょ。
     志貴だって短刀持ってるし。そういうのが無いのよ」
 志貴 「そのどれよりお前の爪の方が強いからなあ。
 アルク「ところで、そういうのってどこで買えばいいの?」
 志貴 「さあ。謎だな、そう言えば」



 三千百九十五「男向き」

 有彦「せっかくシエル先輩のポイント稼げたのになあ」
 志貴「何か急用らしいからで仕方ないだろう。
    きっちり見極めして来て下さいって頼まれたよ」
 有彦「専門店とかでなくて、立ち食い蕎麦屋のだけど、驚くほど美味い」
 志貴「立ち食いか」
 有彦「椅子あるからいいだろう。でも不思議とシエル先輩だと、蕎麦屋
    とか牛丼屋でも馴染みそうだよな、いい意味で」
 志貴「そうだね。
    それとアイツの場合も平気で馴染みそうだな、別の意味で」



 三千百九十六「コーギトー・エルゴー・スム」

 志貴 「タタリに作り出された奴は、自分が幻だって自覚がなかったけど
     少し不思議な気がする」
 シオン「不確かな部分を意識していなければ、矛盾は感じません」
 志貴 「そんなものかなあ」
 シオン「そうですよ。現に志貴は、今、何も問題を意識していません」
 志貴 「うん? ……ええと、冗談だよね?」
 シオン「冗談?」
 志貴 「え?」



 三千百九十七「道」

 ランサー「剣も魔法もいい師匠に習っているんだろうがな」
 アーチャ「セイバーと凛に何か不満か」
 ランサー「いや。ただな、二人とも才能あるのを伸ばしたタイプだろ。
      足りないのを何とかしておっつけようってタイプじゃなかろう」
 アーチャ「そうだな」
 ランサー「坊主にはそっちのが必要だと思うが」
 アーチャ「ふん。足りなければ自分で考え、鍛え、穴を埋めるものだ。
      それでも必要だというなら、自分で教えたらどうだ」
 ランサー「俺も才能に不自由ないほうだったからなあ」
 アーチャ「ふん」



 三千百九十八「理解」

 イリヤ「……という訳。
     ダミーの人形に記憶を封じておいて、何かの時に使うようなもの」
 凛  「なるほどね」

 士郎 「何で魔術に置き換えるとコンピュータについて理解できるんだ。
     言ってる事はほとんど同じ内容なのに」



 三千百九十九「解決策」

 士郎「別に町中を舞台にしないで、どっかに集まって戦っていれば
    最低限の被害ですむのに。少なくとも普通の人は巻き込まれない」
 凛 「集まれと言われてすんなり集まるような魔術師なんていないわよ。
    いたらいたで、そういうタイプは逆にもっと被害拡げそうよね」
 士郎「なんか救われないな」



 三千二百「連鎖」

 志貴「ええと、鍋を戻そうとしてちょっと肘が当たった菜箸が転がりそうに
    なって、それを止めようと動いたら、フキンが(中略)、
    ……で、最終的にこうなったと」

   完全にひっくり返った皿を見て。
   床・カレー・ライス・皿




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