天抜き 其の六十七






 三千三百一「全ての道は」

 シエル「……で残ったところに、カレールーを投入という訳です。
     ちょっと風変わりですけど、なかなか美味しいでしょう」
 志貴 「うん。味もさることながら、ここからカレーに持って行くとか、
     発想力というか強引さというか感動的だと思う」



 三千三百二「問題の問題」

 藤ねえ「ふうん、テスト問題ですか。なるほど、なるほど。
     ちょっと面白みに欠けますかねえ」(去る)
 葛木 「…………面白み」
    


 三千三百三「脂肪の塊」

 ライダー「率直な話、異性へのアピールを除いて、胸が大きくて
      何かメリットはあるとお思いですか」
 桜   「確かにデメリットの方が多い気がする」



 三千三百四「食卓」

 凛「何となくパン食べてるイメージが無いわね、この家」



 三千三百五「労働と糧」

 士郎「一成はバイトとかしないのか」
 一成「勉学に修行、生徒会の仕事とあるからな。
    実際に働いて金を稼ぐという社会勉強という側面はあるが、
    特に買いたいというものも思い浮かばない。
    まかない飯? ……ふむ」



 三千三百六「来訪」

 ライダー「お弁当を忘れていましたので」
 桜   「ありがとう、ライダー」

 士郎  「ライダーが学校来たら、そりゃあ、こうなるよなあ」
 凛   「そうよねえ。視線で火がつきそう」



 三千三百七「料理の後」

 志貴「食べられるもの同士を合わせてもおかしくなるんならさ、
    普通では駄目なものをかけあわせたらどうかと思ったんだ」
 琥珀「マイナスとマイナスを掛けたらプラスという事ですか」
 志貴「そう」
 琥珀「現実には駄目でしたねえ」
 志貴「食材を無駄にしなかったと思えば」
 琥珀「そうですけど、翡翠ちゃんには…」
 志貴「言わない、言わない」



 三千三百八「人が生きる」

 橙子「なに、人生などどうにかなるものだ。
    どうにでもなると言ってもいい。楽観的に言えば」
 幹也「そうですね」
 式 「そうだな」
 鮮花「微妙に考えている意味合いが違うような」



 三千三百九「学園生活」

 青子 「有珠って学校ではうまくやってるのかしら」
 草十郎「そりゃ、やっているだろう」
 青子 「そうね、その辺は如才なくやりそうよね」
 草十郎「そこは俺だってうまくやっているんだし」
 青子 「……訊いた人間の判断基準がアレだったわね」



 三千三百十「ジョン・ブル」
    
 青子 「有珠って、スリッパはくなーとか変なこだわり多いけど、
     食べ物に関しては寛容すぎるわね」
 有珠 「静希君、青子は今度からお店のおみやげいらないみたいよ」
 草十郎「わかった」
 青子 「わかるなッ」



 三千三百十一「懐かしき味」

 セイバー「オオムギを煮たものが食べたいです」

       略

 セイバー「いただきます。
      ふむ……、この舌触り、匂い」
 士郎  「こんな感じで良かったかな」
 セイバー「申し訳ないですが、欲していたものと少々違います」
 士郎  「失敗したか。今ひとつ味付けとかがわからなくて」
 セイバー「いえ、美味しすぎる。
      もっとこう、仕方なく食べるというか、うんざりすると
      いうか、端的に言うと不味いものでないと駄目なのです」
 士郎  「そ、そうか」



 三千三百十二「法隆寺」
 
 翡翠「いかがでしょう」
 志貴「うん、美味しそうだ。じゃあ、ひとつ貰うよ」
 翡翠「……」
 志貴「う、ああ、ええと……、残念だけど渋柿だな、これ」
 翡翠「……」
 志貴「口直しにこっちのリンゴを貰うよ。ウサギのやつ。
    あ、こっちはいいよ」
 翡翠「ありがとうございます。
    ではごゆっくりご賞味ください」
 志貴「ああ。…………なんでリンゴも同じように渋いんだろう」



 三千三百十三「操作」
 
 凛 「テレビとか電話とか使い方違うのはわかるわ。
    違う会社のだとそうなるんでしょうね。
    でも、何で同じ会社のでも種類違うと変わっちゃうの。
    なんでよ」
 士郎「確かに、ちょっと不思議だな。 
    人間工学とか?」
 凛 「人間工学?」



 三千三百十四「知っている限り」

 凛 「もしかして誤解しているかもしれないけど、別に魔術は
    全部が全部、戦闘能力持っているって訳じゃないから」
 士郎「え」
 凛 「あ、やっぱり。
    純粋に研究に没頭している学術的志向なタイプもいるし、
    一人で平和に過ごす人だっているわよ」
 士郎「そう言われればそうだろうけど……」
 凛 「聖杯戦争にそういうタイプは近寄らないのは確かよね」
 士郎「ああ、それでか」



 三千三百十五「行ったり来たり」

 シエル「さてと、そろそろ失礼しますね」
 志貴 「けっこう暗くなってるな、先輩、送っていくよ」
 シエル「それは嬉しい申し出ですけど、遠慮しておきます」
 志貴 「なんで」
 シエル「秋葉さんがいい顔しないでしょうし。
     それに、遠野くんが夜に一人で歩いて戻るのが心配で
     お屋敷まで送って行きたくなりますからね」
 志貴 「なんか納得いかないけど、そう言う事なら。
     じゃあ、また明日」
 シエル「はい、また明日会いましょう」



 三千三百十六「物量」

 士郎 「新米の季節か」
 藤ねえ「なになに、欲しい?」
 士郎 「また驚かすの目的で大量に俵積まれるのは、困……らないか。
     充分、消費しそうだし。
     でも土蔵使えなくなるほどだと、ううん、悩むな」



 三千三百十七「箱」

 橙子「これほどこれ見よがしに、謎めいた箱が置いてあったのに
    誰一人として好奇心を持たないとはな」
 幹也「ここにいる誰のものでもない謎めいた箱がこれ見よがしに
    置かれていたら、みんな警戒すると思いますけど」



 三千三百十八「アメリカンクラッカー」

 シエル「どうでしょう?」
 志貴 「動きとか、一定のリズムの音とか、悪くない気はするけど。
     どうも、他の部分が気になって、効果が薄れる気がする」
 シエル「糸付けたコインとかだとありふれてますから、なかなかに
     斬新な催眠術の小道具と思ったんですけどねえ」



 三千三百十九「首輪」

 芳助 「蒼崎からのプレゼント? 凄いセンスだな。
     呪いでも掛かってたりしてな、ははは」
 草十郎「……」
 芳助 「何故、知ってる…じゃないな。
     気付いてしまったなって表情? マズいって何が?」


 
 三千三百二十「ピアノ」

 青子 「ひけるけど、ピアノくらい」
 草十郎「ほう」
 青子 「何なら見せてあげたいところだけど、有珠が触らせて
     くれないのよね」
 草十郎「だろうな」
 青子 「ピアノを大事にしているからよ」
 草十郎「うん」
 青子 「微妙にズレがあるような気がするわね」


    
 三千三百二十一「本」

 アルク「……」
 志貴 「読書中、意外な光景だけど、似合うと言えば似合ってるか。
     何読んでるのか興味はあるけど、邪魔しないでおこう」



 三千三百二十二「シャツ」

 琥珀「あら、翡翠ちゃん、どうしたの?」
 翡翠「志貴様が、制服のシャツの少しサイズが合わなくなったと。
    それで新しいものを用意したところです。
    そうなると前のはいらなくなるのか、ですか? 
    はい、そうなるのでは……皆さま、何か?」



 三千三百二十三「階段」

 琥珀「このお屋敷のどこかにひたすら地下へと続いて行く階段が
    あるのを見つけたとしたら、試しに降りてみます?」
 志貴「うーん、嫌だな。
    ……何か、本当にありそうな気がしてきた」
 琥珀「どうでしょうねえ」
 志貴「どうだろうなあ」(目はあわさない)



 三千三百二十四「将棋」

 志貴 「あのさ、シオンは将…」
 シオン「詰みました。志貴、あなたの負けです」
 志貴 「え?」
 シオン「屋敷の中をうろうろとしていたら、立派な将棋盤を見つけて、
     ふと、私の事を思い出した。そうですね?」
 志貴 「あ、ああ」
 シオン「分割思考による演算能力でチェスや将棋を行ったらどうか。
     五分後に開始すると、王将の逃避行をした挙句、投了です」
 志貴 「そう言われてもなんだか」
 シオン「あ、志貴。そこは『歩』ではなくて『腑』なのですから。
     巧いことを言ってはいませんから、念のため」
 志貴 「そこまで読まれるのか……」

     

 三千三百二十五「槍」

 ランサー「ゲイボルクは別にしても槍ってのは投擲って攻撃方法も
      ある訳だ。投げたら無手になっちまうけどな」
 士郎  「確かにそうだな」
 ランサー「おまえや赤いのみたいにポンポン出せれば別なんだが。
      ただ、それができたとしても考えものだな」
 士郎  「どうしてさ」
 ランサー「ランサーって言うよりアーチャーだろ、そのスタイルは」
 士郎  「剣主体のアーチャーとか、正面から戦うアサシンとかも
      いるけどね」



 三千三百二十六「夏の名残り」

 セイバー「かき氷のシロップがまだ残っていました」
 士郎  「ああ、どうしても残るんだよなあ」
 セイバー「どうしましょう。来年まで保管しておきますか」
 士郎  「さすがに一年はもたないだろうなあ。
      冬に暖かい部屋でアイスクリームってのはいいけど、かき氷は
      なあ。凍らせる……、いや、冷蔵庫のスペースも限られているし」
 セイバー「シロウ」
 士郎  「なんだい」
 セイバー「アイスクリーム……、いいですね」
 士郎  「はいはい」



 三千三百二十七「さる境地」

 小次郎 「……」
 セイバー「どうしました、アサシン」
 小次郎 「うむ、良いところに。そのまま立っていてくれ」
 セイバー「はい?」
 小次郎 「……、そうか。
      なるほど、思案するのと実際は違うか。これでは一手足りない」
      さすがセイバーと言うところだな、礼を言う」
 セイバー「お役に立てたなら、幸いです」

 士郎  「今のやり取りって、立っているだけにしか見えなかったけど、
      何か常人には見えない攻防とかあったのか」
 セイバー「いえ、見ての通りです。
      ただ、何かを仕掛けられて、何かを返したのでしょう。 
      剣の英霊としては悔しいのですが、何が起こったのかは……」
 士郎  「当人にも分からないのか」



 三千三百二十八「クリスマス間近」

 藤ねえ「今年はサンタさん、何プレゼントしてくれるかなあ」
 凛  「!!!」
    
     慌てて辺りを見回すが、士郎も桜もいない。



 三千三百二十九「定番化は僅か」

 士郎「毎年新しい種類の鍋物が出てくるよな」
 桜 「そうですね。これも去年は見なかったですよ」
 士郎「へえ、変わった食材だな。
    でも、助かるよなあ、目新しいのが出てくると」
 桜 「まったくですね」



 三千三百三十「募金」

 鳶丸「今年も、生徒対象で歳末たすけあいの募金箱を設置するが、
    何か異論はあるか」
 青子「例年の事だし、いいんじゃない。進めて」
 鳶丸「じゃあ、手配しておく。だが、何か言いたげだな」
 青子「集めたお金を元手にしてもっと…」
 鳶丸「却下」



 三千三百三十一「釣りバカ日誌」

 ランサー「こうもうるさくなってくると、河岸を変えたくなるな」
 アーチャ「ふん、それは敗北の言葉と受け取っていいのだな。
      フィーッシュ!!」
 ランサー「うるせえ。
      だけど、本気で船でも出してみたいってのも確かだ」
 アーチャ「船釣りか。それも悪くはないな」
 ギル  「何を話しているかと思えば。暇潰しの案として採用を
      してやらんでもないがな」
 ランサー「ああ、おまえなら船の一つも持っているか」

 キャスタ「英雄とか言われている輩が集まって船旅?
      ああ、嫌だ嫌だ」



 三千三百三十二「共通の知り合いの不在」

 一成「む……」
 凛 「あら」
 一成「何か言いたげだな」
 凛 「露骨に嫌そうな顔するのやめたんだ」
 一成「衛宮が板挟みになるのも気の毒であろう。
    そちらこそ、前より軟化しているように思うが?」
 凛 「ふん。……同じ理由よ」



 三千三百三十三「手料理指南」

 琥珀「トマトスープ仕立てのお鍋を食べて、残りにご飯を
    投入してチーズなんかも加えてリゾットに。
    さらに最後に卵で包んでオムライス。
    どうです、美味しそうでしょう。作るのも簡単です」
 秋葉「美味しいかもしれないけど、お鍋を残り少なくする
    時点でギブアップしそうなんだけど」
 琥珀「お二人だと少々辛いかもしれませんねえ」
   


 三千三百三十四「山の生活」

 青子 「一人で山奥にいて遭難したり怪我したらどうするの」
 草十郎「自分からって事は無いと思うけど、どうだろうなあ」
 青子 「ん?」
 有珠 「死ぬのが前提な訳ね」



 三千三百三十五「テリトリー」

 凛   「あんたとランサーでどちらが巧いのかしら。
      もしも投げ槍勝負とかやったら」
 アーチャ「……」(嫌な顔)



 三千三百三十六「しょせん」

 シエル「どうも、皆さんわたしの事をカレーの為なら何でもするくらいに
     誤解されているようですが」
 志貴 「誤解かな」
 シエル「それほどカレーにばかり関心がある訳ではありませんし」
 志貴 「まあ、それはそうかもしれないけど」
 シエル「だいたい地元にあるカレー屋さんの情報すら不完全でしたし」
 志貴 「あ、メシアンの事、まだ根に持ってるんだ」



 三千三百三十七「ほめ言葉」

 式 「なるほど、おまえは何でもそつなくこなすな」
 鮮花「これくらい何てことないでしょ」
 式 「いや、お世辞抜きでたいしたものだ。
    そう言う点、トウコに似ているな。さすが師弟か」
 鮮花「……あ、ありがとう」(微妙な表情で)
 式 「あ、ああ」(同様に)
 


 三千三百三十八「威圧」

 秋葉「わかっていただけましたか、兄さん」(穏やかに)
 志貴「ああ、わかった」

 琥珀「どうでした?」
 秋葉「確かに、妙に聞き分けがいいと言うか。効果はあったわ」
    でも、それが何故か嫌な感じもあったんだけど」
 琥珀「難しいですねえ」

   部屋中に無造作に積まれた札束の山々を眺めて


    
 三千三百三十九「ナイトウォーカー」

 志貴 「先輩よく街灯の上に立ったり、屋根走ったりするけどさ
     雨の日なんかは危なくないの」
 シエル「心配無用ですよ。
     わたしにとっては地面を歩くようなものですから」
 志貴 「さすがだね」
 アルク「へえ」
 シエル「……余計な事は言わないように」



 三千三百四十「遠い夏の日」

 凛 「しかし、呆れるほどいろんなものがあるわね、この家は。
    あ、ビニールプール発見。
    ちょっと、何で夏に教えてくれなかったのよ」
 士郎「何でと言われても」
 凛 「ちなみに言っていたらどうなったと思う?」
 士郎「どうって、そりゃ……」(途中で止める)
 凛 「ふふ」



 三千三百四十一「葵の御紋的な」

 士郎「エクスカリバーって、見たらすぐに正体がわかるものなのかな」
 凛 「火を吹いていたりはしていないけど、見る人が見れは人の手には
    ならない素性だとは見抜けるんじゃないの」
 士郎「なるほど」
 凛 「何でまた、そんな疑問を持ったのよ」
 士郎「剣まで隠しているって、セイバーしかいないなあって思ってさ」
 凛 「確かに」



 三千三百四十二「締めに」

 士郎  「最後にとき卵をかけまわす」
 セイバー「ああ、この待つ間が良いです」
 士郎  「最初は作れなかったんだよなあ。汁まで全部…」
 セイバー「士郎」
 士郎  「お、できたよ、雑炊」



 三千三百四十三「一面の銀世界」

 アルク「綺麗でしょ、志貴」
 志貴 「確かに、ちょっとしたものだな」
 アルク「何か反応が弱い」
 志貴 「いきなり抱きかかえられてビルの屋上まで連れてこられた驚きが
     まだ残っているだけだ」
 アルク「見せたかったんだもん」



 三千三百四十四「乱高下」

 シエル「カレー相場がッッッ」
 志貴 「(突っ込まない、突っ込まない)」



 三千三百四十五ノ一「妹欲しいですか?」

 シオン「秋葉を妹にしたいという希望を持つ者はけっこういますね」
 志貴 「そんな事まで調べてるのか。
     意外な気もするけど、確かに妹欲しいって声も聞くし」
 シオン「対象は志貴の周りの女性です」
 志貴 「そうなると、意味合いが大分変ってくるな」
     

 三千三百四十五ノ二「その逆」

 シオン「ちなみに秋葉は姉などいらないと言っています」
 志貴 「どういう意味合いでかな」



 三千三百四十六「ロンドンの市場にて」

 凛 「もしもセイバーがこんなものが食べられるか。
    もっと美味いものを持ってこい、とか叫んでいたら、
    ここの料理文化ってもう少し変わっていたのかしら」
 士郎「民族的なものとか諸々あるからなあ」
 凛 「まあ、美味しい高級レストランが立ち並んでいたと
    しても、節約して自炊生活だけどね、留学中は。
    あ、その鱈、かなり良さそうよ、士郎」



 三千三百四十七「こぼれるもの」

 秋葉「……え。
    カレーを食べながら涙を浮かべるなんて、まさか兄さん。
    別れ…」
 琥珀「期待に胸ふるわせているところ申し訳ありませんが、
    単に辛すぎたためかと」



 三千三百四十八「食い入るように見つめている横で」

 士郎「あんなにカッティングしたやつじゃなくて、原石使うんじゃ
    駄目なのかなあ」



 三千三百四十九「自分の家然と」

 アルク「ふふふん」
 翡翠 「……」
 アルク「ん、何? 手伝いとか必要?
     いいわよ、志貴が帰ってくるまでなら」
 翡翠 「いえ、大丈夫です。
    (特に待ってて気づまりとか、そういうのは無いのですね)」



 三千三百五十「鷹の眼の如く」

 藤ねえ 「ジャーン!」
 アーチャ「……これは?」
 藤ねえ 「双眼鏡。何だか遠くを見張るお仕事だって聞いたから、
      プレゼント」
 アーチャ「むしろ、視野も狭くなるし、必要はないんだが。
      いや、独り言だ。
      ありがとう」



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