『Fate』天抜き 「直球53本勝負第4弾+8」
作:White Snow
下記の作品は、『Fate』を中心にした内容となっております。作中のネ
タバレを含んでおり、『空の境界』、『月姫』、『歌月十夜』の関係者が出演
しております。また、中には故意に若しくは必然的に壊れたキャラが勃発して
おります。本編のイメージを崩したくない方はご注意ください♪
~作者から読者の皆様に~
当作品は、『Fate』をクリアされ、オールコンプを果たし、イメージを
崩されたキャラを見てもなお愛していけると、遠坂さんのように約束できる猛
者にお勧めします。
コンセプトは、ゲームを振り返ってもう一度楽しもう、です。
この作品群はある一つの話ができてから連想派生しました(笑)。作中に起
承転結からなる、起が隠されています。何かわかるでしょうか?
1.衛宮シェフの喫茶店 ~推薦~
士郎「今年の内のクラスの文化祭の出し物は、喫茶店か。藤ねぇにしては、
珍しく無難なものを……」
一成「いいではないか、平穏が一番。衛宮が厨房係なのはクラスの一致した
意見だ。衛宮が厨房を仕切ると聞くと、安心感が5割は増すから不思議
なものだ」
士郎「それは褒めているのか?」
一成「褒めておるとも」
2.衛宮シェフの喫茶店 ~もののふ~
セイバー「お疲れ様です、シロウ」
士郎 「なっ!? なぜセイバーが……って、いや別に来てくれて嫌じゃ
ないけど、逆に嬉しいんだけど……でも、でも……」
セイバー「どうかしたのですか?」
士郎 「せいばーサン、ナゼ完全武装ヲ、シテイルノデスカ!?」
セイバー「はぁ、今日はタイガに呼ばれて来たのです。何でも『食い逃げ』
を働く者を捕まえるために腕っ節が強い人がいるとかで……」
士郎 「あ、あそこに見えるのは、おなじみの関係者各位に、武闘派連中
が…………!? 戦争が、始まるのか!?」
3.衛宮シェフの喫茶店 ~オセロ、白は黒に~
士郎「あぁ、危険回避本能がカエレカエレ、と。藤ねえ……あなたはやはり
お祭りで大人しくする人じゃなかった」
一成「なに!? 藤村先生がまた暴走をしようとしているのか!? む、生
徒会長として文化祭を平穏無事に……うぐっ!」
士郎「か、一成!?」
一成「追加禁止条項ニ、抵触。ワタシはこれより生徒会長トシテ、この喫茶
店の補佐に全力でアタル」
士郎「うわっ! キャスターまで噛んでいるのか?」
4.衛宮シェフの喫茶店 ~内助の功~
キャスター「えぇ、そうです。キャスターは後方支援が担当。今日は事務職で裏
方しています。これぞ内助の功ですっ! あぁ、宗一郎様~♪」
5.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~委員長属性~
士郎 「何だよ、よく見ると看板のシールがはがされて……『食い逃げ』
は――この際目を瞑って、『ばるはら』って何だよ? ――明らか
にヤル気満々じゃないか!」
セイバー「大丈夫です。私の剣は両刃で峰打ちはできないので、使うのは殺
傷性の低い竹刀です。これなら当たっても命に別状はありません」
士郎 「問題大有りだし、手を抜く気ないんだね」
セイバー「当然です。罪を犯す者を私が許すと思いますか?」
6.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~元凶~
士郎 「――そもそも誰がこの企画考えたんだ?」
後藤くん「この企画は拙者が立案したでござる」
士郎 「そ、そうなのか? てっきり藤ねぇか、遠坂かと思ったんだが……」
7.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~噂をすれば~
遠坂「失礼ね。優等生な私が、学校でそんな羽目を外すわけないでしょ」
士郎 「で、出たっ!? な、何で遠坂までいるんだ? クラス違うだろ」
遠坂 「私はただの観客よ。藤村先生が面白いことやるから見に来てって
言われていたから。まぁ、うちのクラスの知人も勧誘されて、こち
らに来ているっていうのもあるかな」
士郎 「へぇー、そうなんだ。遠坂、あんまり構ってやれないが、ゆっく
りしていってくれ」
後藤くん「? ほほう、なるほどなるほど。ぜひ衛宮殿には、秘密裏にして
くれとは、このことでござったか、うむうむうむ」
遠坂 「!」
8.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~便利な時代劇~
遠坂 「ゴトーク~ン。口は災いのもと、っていう昔のありがたい言葉の
意味、貴方ならよくわかるわよね?」(ブリザード笑顔)
後藤くん「さ、さて……、最近物忘れが激しくてのぅ。士(し)の助(すけ)
さん、坂(さか)さん。では、次の話に参りましょうぞ」
遠坂 「よし」
士郎 (なぜ、いきなり副○軍?)
9.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~切れ者軍師の暗躍~
士郎 「それにしても、よく生徒会や教職員がGoサイン出したな」
後藤くん「天下三分の計でござる。まず藤村先生に三顧の礼と菓子折りでこ
の企画自体の味方にし、次に葛木先生を表向きはスポーツ体感喫茶
として言いくるめたでござる。
これで生徒に影響力が強い藤村先生と、公正の看板みたいな葛木
先生の学校のNo.1とNo.2を抑えることで、ガードの固い生徒会及
び教職員に対して交渉材料にしたでござる」
士郎 「おぉ」(感嘆の表情)
後藤くん「後は同志を集めてスタッフを結成し、この企画を水面下で実行し
たのでござる。オフェンスのメンバー集めは、嬉々として藤村先生
が志願したでござるがな」
士郎 「……本当に後藤くんの前世は切れ者軍師だな」
10.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~臥竜(がりょう)と鳳雛(ほうすう)~
後藤くん「いやいや、この企画自体は拙者が考えたものでござらん。とある
屋台の頭と意気投合し、かつてこの偉業に挑戦しようとしたと英雄
がいたというネタを仕入れたのでござる。――うむ、この企画を考
えた御仁は20年ほど先に進んでいるでござるな」
士郎 「どこの屋台だよ」
11.機動屋台中華反転マークII出張中 ~へれにずむ文化~
言峰 「――マーボーはあるか?」
高田兄「…………」
くいくいと品書きを指す。
言峰 「マーボーラーメンを3つ。大盛りで」
高田兄(――で、できる)
12.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~シェフ二号~
遠坂 「アーチャー、アンタも厨房係よ」
アーチャー「凛、心得た」
遠坂 「……ず、ずいぶんと潔い良いのね?」
アーチャー「――フ。もうすでにこの身の抗う心は磨耗したのだ」
遠坂 (やりすぎたかしら?)
13.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~保険~
桜 「先輩、私も厨房係の手伝いをしますから」
士郎「――うん、そうだね。……その方がいい。桜は、俺の側から絶対に離
れるな。今日は危険だから」
桜 「あ……はい」(赤面)
士郎(桜をオフェンスに回すなんて……そんな恐ろしいことはできない。主
として食い逃げ犯の命が危険だ)
14.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~和風VS洋風~
士郎「ここは当然、和風だろう!」
遠坂「いいえ、絶対に洋風よ! これは退けないわっ!」
蒔寺「何もめてんだ?」
鐘 「あれです」
指差す先には、喫茶店の制服候補である割烹着とメイド服が。
15.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~悪い回答例~
蒔寺「えー、どっちもかわんないじゃん」
遠坂「あなた、それでも女の子!? あのフリルとカチューシャの洗練され
たデザインを、古典的なお袋の味といっしょにしようとするの!?
そんな美的感覚だから日本人は西洋かぶれ、成金趣味なんて言われる
のよ! 清楚で格調高く統一感を出さないと!」
士郎「何を馬鹿な! 西洋に毒されるなど、本当に君は日本人か!? お袋
の味を馬鹿にするから、家庭の味が絶滅の危機にさらされるのだ!
和食は海外で高い評価を得ているんだぞ!」
蒔寺「ぐ」
16.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~良い回答例~
後藤くん「まあまあ、ここは拙者の顔に免じてそのあたりで」
士郎・ 遠坂「む」
後藤くん「平行線をたどる両者に対して、拙者から意見があるでござる」
全員 「?」
後藤くん「こんなこともあろうかと用意しておいたものが……、ここに!」
全員 「そ、それは!」(驚愕)
後藤くん「左様! これぞ和洋折衷の大正浪漫! 袴(はかま)エプロンで
ござる」
全員 「ハ、ハカマ~!?」
17.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~ビバ・和洋折衷~
遠坂 「ん~、ちょっと意外性で、有りね。新鮮な感じで、グーよ」
士郎 「懐かしい感じがいい」
後藤くん「文明開化の音がするでござるな~」
蒔寺 「いっしょにしただけじゃない~!」
18.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~ギリシア結界~
バーサーカー「がう、がっがうがう~~!」(へい、らっしゃい!)
客 「ひぃっ!」
脱兎のごとく逃げる。
イリヤ 「接客禁止よ」
バーサーカー「……」(落胆中)
19.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~忠告~
言峰 「衛宮士郎。選択するなら今のうちだぞ。今ならまだ間に合う――悪
いことは言わん、メニューからカレーは外しておけ」
士郎 「なんでさ? カレーは一応定番だろ?」
言峰、大きく溜息。
言峰 「カレーがあるとどこからともなく現れるヤツがいる。ヤツは……」
シエル「カーレー、カレ、カレ、カ~レ~が私を待っているぅ~♪」
士郎 「何か、ノリのいい歌声が聞こえてくるだけど……」
言峰「早くしろっ!」
20.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~幻のじゃがいもカレー~
美綴 「むむ? 大鍋知らない? 後夜祭の時の打ち上げ用に仕込んでたん
だけどなぁ」
士郎 「す、スマン。――全ては遅かったんだ」
シエル「はぁ、至福の一時でした~♪」
メニューにカレーの文字が消えた。
言峰 「手遅れだったな、衛宮士郎」
士郎 「――そうだな」
ぐー、で殴られた痕が痛々しい。
21.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~辛党神父~
言峰 「あの手(カレー)の悲劇は私が求めるところと違っていたのだが……、
まぁいい。ところでマーボーはないのか?」
士郎 「あるかっ!」
言峰 「ふむ。――そうか。ちょうど良かった」
士郎 「――なに?」
言峰 「もう一人シェフを連れてきた」
魃さん「じゃじゃ~ん、アル!」
士郎 「!?」
22.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~猫避け~
猫アルク 「ニャーッ!? これはかなわんニャ~」
アルクェイド「く、やるわね。この私が立ち入れない結界をつくりだすなん
て……!」
志貴 「ホントにニンニク嫌いなんだ」
アルクェイド「だって~、ここはクチャイもん。他、行こう志貴、他っ!」
猛烈な香辛料の臭いが漂う、泰山仮出張所前にて。
23.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~泰山仮出張所~
魃さん「……誰も来ないアルね」
言峰 「――はふはふ。ふむ、追加を頼む」
魃さん「あなただけアル、理解があるのは」
士郎 「誰かこいつらつまみ出せ」
24.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~鳳雛の死?~
悲鳴が響き渡る。
士郎 「最初の犠牲者か……」
後藤くん「最初の勇者――と思ったらどうやら違うようでござる。何を血迷
ったのか、注文する前にセイバー殿を始め、遠坂殿たちに粗相を働
こうとした愚か者でござった」
士郎 「――正体を知らないからとはいえ、それはある意味、勇者だが……」
後藤くん「赤毛のバテレン学生でござった。いやぁ、見事に華を咲かせたご
ざる」
志貴 「有彦。……グッド・ラック!」
25.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~姉妹の力~
桜 「やりすぎじゃないかしら?」
ライダー「いえ、石にはしていませんから」
遠坂 「ま、いいわ。さぁ、出すもの出しなさい」
士郎 「見事なコンビネーションだ」
遠坂 「まぁね。姉妹の力よ」
桜 「こ、こんな姉妹の力は嫌です!」
ライダー「さ、三姉妹ですか?」
長女、取立て担当。次女、勧誘誘惑担当。三女、足止め担当。
26.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~取立て屋~
士郎「それにしても遠坂。黒スーツに、黒サングラスが似合いそうだ。きっ
と本当の取立て屋みたいに見えるぞ」(邪気はない)
遠坂「っく!? あら、今度衛宮くんからも取立てしてあげる。だって、私、
本職ですから」
士郎「しまった! 墓穴を掘ったか!?」
27.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~呼び込み要員~
士郎 「なぁ、呼び込み行かなくていいのか?」
遠坂 「それならちょうどいいのがいたから、そいつに任せてあるわ」
アサシン「だ、断じて仮面の人生などではないっ……!」
ア○パン○ンの着ぐるみを着て、サンドイッチマンとして校内巡
回中。
28.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~覚醒?~
羽ピン 「きゃー、可愛い~! ね、写真とろ、写真」
晶 「わぁー、○ンパ○マンですね」
月姫 「あんまりはしゃぐな、はぐれるぞ」
アサシン(か、可愛いなんて、初めて言われた……)
本当に正義の味方に目覚めてしまいそうなアサシン。
月姫 「――反応なしか。丁度いい、ア○パンチと正拳突き、どちらが強
いか試してみるか」
晶 「だ、駄目ですよ、先輩!」
29.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~抑止力~
葛木「……フン、フン、フッ、フッ、ハッ、フー、ハァァ~~、ハアッ……」
もの凄い勢いで拳をシャドウボクシング中。
客A「……やめようぜ」
客B「そ、そうだな」
30.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~英雄、色を好む~
ランサー 「はっはっはっはっ」
女性客A 「きゃー、やだー、もー。ランサーさん、おかしー」
ランサー 「だろだろ」
アーチャー「……」
女性客B 「やん。ランサーさん、そこはダーメだったら」
ランサー 「ン~? そんなことを言う子はこうだ」
アーチャー「……、……!!」
女性客C 「あ~、ズルイ、ズルイ! あたしも、あたしも!」
アーチャー「仕事しろっ!」(青筋)
31.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~油と水~
ランサー 「えー? こういう時ぐらい羽目外させろよ。誰かさんはいいよ
な、あのお譲ちゃんがマスターでよ」
アーチャー「――英雄の誇りはどこにいった?」
ランサー 「あー? ふむ、――狗に喰わせてやったが?」
アーチャー「やっぱり白黒つけねばならんようだな」
ランサー 「いいだろう。テメェはいくら悪ぶろうと、根は真面目だ。その
すかしたところが気に食わなかったんだ」
ゴングは鳴った。
32.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~赤VS青~
蒔寺 「さぁ、はった、はった! 青が勝つか、赤が勝つか、一口食券一枚
からだよ~!!」
由紀香「ちょっと、不謹慎だよ~」
遠坂 「そうよ。飼い主の了承を得ない賭博は、ご法度よ」
由紀香「と、遠坂さん?」
遠坂 「え? 何かしら?」(優等生、爽やかスマイル)
33.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~最強の武器~
食い逃げ犯「よ~し、これで逃げ切ればタダになるんだな」
由紀香 「に、逃げないでください」(涙目)
食い逃げ犯「うわ……ご、ごめん。代金は払うから、泣かないでくれ」
由紀香 「あ、ありがとうございます」(ほにゃんな笑顔)
食い逃げ犯「も、萌え~」
鐘 「さすが、癒し系。良心に訴える作戦ですね……」
34.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~諸刃の剣~
由紀香「た、助けて~!」
誘拐犯「も、も、もっ萌え~~!!!」
鐘 「――由紀、効果絶大ですね。恐るべし……」
蒔寺 「冷静に見ていないで助けろよ、おいっ!」(大慌て)
35.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~看板三人娘~
美綴「これは中(あた)る!」
由紀香の誘拐事件を見て、何かを思いつく。
セラ 「ご注文をお伺いします」
リーズリット「紅茶のおかわり、お持ちした」
美綴 「旦那様、ケーキとコーヒーのセットはいかがですか~♪」
彼女たちに向けられる無数のカメラのフラッシュ!!! ハカマエ
プロン萌え~な大きいお友達の皆さん。
美綴「くくの、く。入れ食い、入れ食い。見てなさい、遠坂! 今日中に彼
氏ゲットして、後夜祭には、もうすんごくラブラブにっ! 賭けは、私
の勝ちよ!」
36.衛宮シェフの食い倒れ喫茶ばるはら ~勝利者の余裕~
遠坂 「血迷ったわね、美綴。憐れね、貴女。女より、服に萌える男がい
いなんて……。さて、士郎は、と…………ん?」
士郎 「桜、そこはそうじゃない。包丁はこう使うんだ」(手取り)
桜 「――ハ、ハイ……」
士郎 「む。ライダー、脚にゴミがついているぞ、――よし取れた。せっ
かく綺麗で長い脚だからな」(足取り)
ライダー「―――っ!」
士郎 「危ないぞ、セイバー。気をつけるんだ。そこは油が飛んで、滑り
やすいから」(腰とり)
セイバー「あ、ありがとう、シロウ」
イリヤ 「はい、お兄ちゃん。ん~~」(口移し)
士郎 「ちょっと、待て~!!!」
遠坂 「ちょっと! あんた達、なにやってんのよ!?」
藤ねえ 「あたしも混ぜなさいっ!」
37.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~だって面白いから~
遠坂 「……なぜそこで先生が、しゃしゃり出てくるんですか?」
藤ねえ「あれ~? 本心を代弁してあげたのに」
遠坂 「――――、――――」(図星)
38.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~最後の砦~
小次郎「ここからは通さん――」
小次郎「……ふふ、言ってみただけだ。なに、ただの幽世の独り言だ、この
程度の戯言ぐらい許せ。そうでもしないと…………出番がなかった
のだ」
小次郎「――よい日和でござるのに拙者はここでも日陰者か」
階段の前で呪縛され、門番となり滅多に来ない食い逃げ犯をひたす
ら待ち続ける、独りの侍。
39.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~埋伏の毒~
士郎 「どうしたんだ、セイバー? ぼーっとして」
セイバー「……い、いえ」
ごくっと喉を鳴らす音が。
士郎 「ま、まさか!?」
セイバー「――美味しそうですね」
士郎 (まずい……! セイバーにとってこれは実質、兵糧攻めか!?
いわゆる、マテ、と言うヤツだ!?)
40.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~家庭内害虫、迫害~
後藤くん 「うわっ、曲者じゃ! 皆の者、出会え、出会え!!」
ギルガメッシュ「! そこは我(オレ)の席だぞ、服が汚れるではないか!
おのれ、虫けらの分際で。我の千の財を受けてみるがいい。
そら、そら、そらっ!」
士郎 「うわっ、やりすぎ、やりすぎ! その何でもかんでも宝具
で解決する癖、止めろっ!」
41.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~家庭内害虫、逆襲~
臓硯 「ぐぼはぁ!」
士郎 「センセー、流れ弾が蟲の親分に命中して、部屋中蟲だらけでエライ
コトになってます~!!」
藤ねえ「家庭科室からゴキブ○ホイホイ、ちょっぱってきなさい」
42.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~誇り~
志貴(く……、食い逃げしようか? それとも、いや、でも有彦じゃあるま
いし。仮にも主人公が食い逃げなんて。しかし……この二千百円がタダ
にできるのは大きいっ! いやいや、しかし!!)
秋葉「に、兄さん? 払いは私がします。頼みますから、変なことはなさら
ないでくださいね」
43.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~本性~
琥珀「そうですよ~、志貴さん。漢(おとこ)なら、ドーン、と構えていて
くださいまし。健気で可愛い娘たちを侍らせ、貢がせ、脱がせ、鳴かせ
るのが本当の鬼畜な志貴さんじゃありませんか」
翡翠「ね、姉さん、そ、それは……」
秋葉「……それ、いいわね」(思案、妄想中)
44.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~手本となるために~
黒桐「さ、さぁ、遠慮しないで頼んでいいよ」
藤乃「どうしたんですか、先輩? 顔が青いですよ」
黒桐「――いや、本当に何でもないんだ」
黒桐(給料日前だが、仕方ないか。とにかくこの子の前で食い逃げなんて、
そんなことはできない。どうせ逃げられないし。いや、そもそも今月も
給料貰あるのか? ハァー……)
45.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~○○を探せ!~
式 「――視線を感じる」(周囲を見回し)
鮮花「……そんな事より早く幹也を探さないと。く、藤乃に幹也をみすみす
餌食にさせてたまるものですかっ!」
式 「わかっている。この視線は……藤乃の千里眼? いや違うな……」
秋隆「ご注文はどうなさいますか?」
鮮花「悪いけど、いらない。人を探しているだけだから」
式 「? 今、もの凄く聞き慣れて、聞きたくない声を聞いた気がしたが?」
鮮花「え? う~ん、見渡したところ知り合いは、いないみたいだけど」
式 「気のせいか? だがしかし、こう視線は感じるんだが……」
目の前をごく自然にウェイターの『秋隆』が通り過ぎていく。あまり
に不自然じゃないところが、あまりに不自然。
46.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~特権~
士郎 「うまいか?」
レン (こくっ、こくっ、こくっ)
士郎 「そ、そうかっ! よし。そら、もっとあるぞ」
志貴 「よかったな、レン。特別サービスしてもらえて」(父親の目)
セイバー「やはり――」
遠坂 「―― 子供には甘いわね」
イリヤ 「むーーーーー」
ちょっとジェラシーシスターズ。
47.衛宮シェフの食い逃げ喫茶ばるはら ~人身御供~
文化祭安全委員長A「貴方たちのクラスの催しから苦情が多数寄せられてい
る。よって強制的に営業停止と、関係者代表の出頭を命
じる。拒否権は認められない。
断れば、今後の学生生活において学校の全トイレ掃除
が毎日というノルマが課せられることになるだろう」
後藤くん(チッ! もう潮時か……)
騒然となり、視線が後藤くんに集中する。
後藤くん「……実は、あの人が言い出したことなんです~!」
慎二 「!?」
48.衛宮シェフの食い倒れ喫茶ばるはら ~裏取引~
後藤くん「あの人がボクに暴力を振るって、無理矢理計画を推し進めたんで
す。黒幕は彼なんですぅ~、ボクは脅されて仕方なく。本当は『食
い倒れ』喫茶だったんです」
涙目で語りながら、袖の下を渡す。
文化祭安全委員A「むむ、ほほう……」(ニンマリ)
後藤くん (にやり)
文化祭安全委員長A 「あー、えへん。……何と悪どい奴だ。連行しろ!」
文化祭安全委員全員「はっ」
慎二 「ちょっとマテー!!!」
49.衛宮シェフの食い倒れ喫茶ばるはら ~悪~
文化祭安全委員A「ご協力を感謝します。では、元の通り『食い倒れ』喫茶
として営業してください。彼には全責任を被ってもらいま
しょう」
後藤くん 「ふふふ、ご苦労をおかけいたしましたな」
文化祭安全委員A「何の何の、文化祭の平和を守ることが我らの務めゆえ……」
後藤くん 「むふふ、そちも悪よのぅ~」
文化祭安全委員A「いやいや、貴殿ほどででは……」
後藤くん・文化祭安全委員A「HAHAHAHAHAHAHAHAHA!」
50.衛宮シェフの食い倒れ喫茶ばるはら ~正義の味方~
士郎「……えーと、この場合、正義の味方としてはどうしようか? 桜吹雪
はないけど、刺青(令呪)ならあるんだが」
51.衛宮シェフの食い倒れ喫茶ばるはら ~後夜祭、後の祭り~
士郎 「す、凄いな。食い逃げ阻止率99.99……パーセントか」
後藤くん「……一人だけ食い逃げを阻止できなかったでござる」
士郎 「うん。あの面子で逃げられるなんて、それの方が脅威だ」
遠坂 「アイツは、青かった……。犠牲は、多かったわ」
累々と横たわるオフェンス要員。
青子 「え? ただ、蹴っ飛ばしただけよ。志貴以外は障害物といっしょ
だもの。もっとも私は、障害物は気にしないけどねー、アハハハ~」
穂群原学園の文化祭要綱に、食い逃げ喫茶の禁止条項と、来賓者に二人
目の立ち入り禁止が追加されたのは別の話。
52.衛宮シェフの食い倒れ喫茶ばるはら ~若気の至り~
橙子「ほー、穂群原学園が文化祭をやっていたか。ふむ、懐かしいな」
鮮花「? ご存知なんですか?」
橙子「ちょっと若気の至り、過去の秘密というヤツだ」(視線を逸らして)
式 「もしかしてあちこちに張り紙のあった、眼鏡の魔女に注意、と言うの
はお前のことか」
橙子「知りたいかね? フフ、命を代償とするならいいぞ」
黒桐「あ。それ、僕調べたんです」
橙子「!?」
53.衛宮シェフの食い倒れ喫茶ばるはら ~策に溺れた~
藤ねぇ 「勇者の健闘を讃えて、黙祷三時間!」
士郎 「ながっ!」
藤ねぇ 「もー。あんなに散々馬鹿やったでしょ、反省なさい」
後藤くん 「そ、そんな!」
遠坂 「策士、策に溺れたわね。策を抱いて溺死しなさい!」
アーチャー「――凛、君は決め台詞まで奪うのか!?」
後藤くん 「くっ、不覚! 劉禅に裏切られた蜀の将兵の気持ちがよくわか
るでござる」
*劉禅。三国志における蜀の最後の君主。どんな人かは、私の口から語
るのは憚れます。
下記、番外編。
54.隠れた名店を訪ねて ~機動屋台中華反転マークII~
女性レポーター「――みなさん、こんばんは。こちらは美咲町の公園通りで
す。それで今回の隠れた名店は屋台なんですよ~。中華反転
マークIIって言うお店なんです!
私も志貴さんといっしょに……いえ、私もよく来るお店な
んです。最近までまたどこかに修行に出かけられていたみた
いですね」
セイバー「? シロウ、このレポーターは若い。学生のようですが?」
士郎 「あ、セイバーは知らないか? これ結構人気あってさ、一般公募
の中から隠れた名店を当選者自らがレポートするというTV局の企画
番組なんだ」
セイバー「なるほど」
士郎 「へぇ、この子可愛いな。妹にするならこういう子がいいな」
何かが割れる音がした。
55.隠れた名店を訪ねて ~修行の成果~
女性レポーター「新しいメニューができていますね?」
女性レポーター「マーボーEXラーメン? え、専門家に出会った?」
女性レポーター「そ、それ、た、食べるられるんですか?」
女性レポーター「い、いえ、私はお蕎麦で……。そう、お蕎麦が食べたい気
分だったんです!」
逃走!
56.未来視の少女 ~発動~
女性レポーター「と、言うわけで私のもう一つの御用達のお蕎麦屋さんへ
……くっ!」
突如体勢を崩す。
女性レポーター「い、今のは……また、視えた!?」
57.未来視の少女 ~特番~
女性レポーター「TVの前で見ているあなた!」
士郎 「?」
晶 「これより『隠れた名店を訪ねて』は中断し、『晶ちゃんの未来予報』
を放送します」
士郎「な、何が起きたんだ? 新手の企画か?」
58.未来視の少女 ~未来予報~
晶「――暴風警報と彗星警報がでています。
他にも通りすがりのインフルエンザが流行中で、ドッペルゲンガーと、
そもさん、せっぱ。
占い師が招き猫して、拳骨の嵐です。それにともない妖精の笑顔が雪崩
で、脳天直下に落石注意です。
公園でイナゴが大量発生して、お寺で骸骨が笑います。
赤い濃霧が学校で発生し、馬との衝突で人生の奈落に落ちて、底なしで
す。
溶岩が危険で、剣が降るでしょう。降剣量は千本。背後からのゲイ(?)
には、注意しましょう――って、や、やめてください! 私は止めたいだ
けなんです、は、離し……」
TV画面(大変お見苦しいところをお見せしました。もうしばらくおまち
ください)
唐突に画面が青いバックに変わり、猫のようなものがアニメーションして、
白いテロップが流れる。
59.未来視の少女 ~阿鼻叫喚の図~
士郎 「い、一体何が起きたんだろう? ――――っは!?」
強い風を感じて、恐る恐る振り返る。
セイバー「――シロウ、私では不足ですか!?」
士郎 「お? おおっ!?」
セイバー「食べるのが好きじゃ、ダメですか!? ライオンさんが好きじゃ、
ダメですか!? 寝るのが好きじゃ、ダメですか!? 王様じゃ、
ダメなんですか!?」
士郎 「落ち着いてくれ~~!!!」
それからその百発百中だったことは、語るまでもないだろう。
60.反省会 ~生還?~
セイバー「シロウ、反省しているのですか! マスターがサーヴァントを連
れず、一人で出歩くなど、聖杯戦争を甘く見ています。無事に生還
できたからこそ良かったものの」
士郎 「……それは骨身に沁みたよ。あちこちで襲われて命からがら逃げ
てきたんだから」
セイバー「シロウ、反省しているのですか!」
士郎 「そもそも、セイバーが……」
セイバー「シロウ、反省しているのですか!!」
士郎 「……せ、セイバーさん?」
セイバー「シロウ、反省しているのですか!!??」(だんだん声色が強く)
士郎 「滅茶苦茶怒ってるよ~」(泣き)
61.絆の再確認 ~二人だけの世界~
士郎 「もうセイバー以外に誰もいらない」
セイバー「やはり貴方は私の鞘です。剣は、納められるべき貴方のところに
戻るのですから」(赤面)
士郎 「……」(真っ赤、真っ赤)
見詰め合う二人。
藤ねえ 「あのー、もしもし? こりゃ突破できそうにないわねー」
二人だけの『全て遠き理想郷』(笑)。
~作者の制作レポート~
第1弾から第3弾までご覧になった方、ごぶさたしておりました。お初にお目
にかかる方は、初めまして。作者のWhite Snowです。
私の拙作をここまで読んでいただいて本当にありがとうございます。感謝感
激です。いまだ勉強不足の、筆力不足の私ですが日々精進しております。これ
からも皆様の頭休めぐらいになればいいなぁ、と思いながらキーを叩いており
ます。
さて、冒頭で語った通り、今回の作品群はある一つの話からここまで連想し
て派生してしまいました。我ながら発想が飛んで、まとまりがないなぁと感心
しています。
一応、答えあわせしましょうか? まぁ、聡い皆様のことなのでわかったと
思われます。答えは、作品番号『11』だったりします(笑)。
ではでは、このあたりで終わりましょう。読者の皆さんと、当サイト運営者
しにをさんのご健康をお祈りしつつ、百万の感謝を添えてお贈りいたしました。
世界に百万の笑顔を目指す、まだまだ寒くて、こたつの好きなWhite Snowで
した。
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