かにしの天抜き・3時間目

作:しにを

 




 以下は「遥かに仰ぎ、麗しの」の全シナリオクリアしてるのを前提としています。
 ネタバレとか気にしてませんので、未プレイの方は読まない方が無難かと思います。
 読まなくてもいいのですが、未経験の方はぜひプレイして下さい。
 と、一応の注意書き。今回、蒼兵衛さんからもご投稿頂きました。








  81.「目指せ穴蔵マスター」作:蒼兵衛さん

 美綺「ねえねえセンセ。このゲームの扉にも、うちの学院のと同ネタっぽい
    思わせぶりな文句が書き連ねてあるよー」
 司 「まあ元ネタからして有名な戯曲だからなあ。
    ―――さてと、今夜こそ狂王の試練とやらを果たして来るか」



  82.「客観的に見て、異論はない」作:蒼兵衛さん

 司  「えぇっ!? 殿子が理事長と僕の仲を嫉妬していたって……。
     どうしてさ?」
 殿子 「だって……私と司より司とみやびのほうが、すっごく親子って
     感じがするんだもの……」
 みやび「うが――!! 殿子、そりゃどーゆー意味だコラ――ッ!!」 



  83.「カーグラTV(CV:アム○・レイ)」作:蒼兵衛さん

 司 「足回りはマイルドだがコシがあって、広い回転域もあって街乗りに最適。
    ただしエンジンはデチューン気味で、最高性能を引き出すのは困難」
 美綺「ふぅ〜〜ん?」
 司 「足回りはガチガチで、エンジンとミッションも高回転向けでピーキー。
    街乗りにはお世辞にも向いているとは言えないが、抜群の走行性能を誇る。
    突っ走るとスピードの向こう側に連れて行ってもらえるほど気持ちいい」
 栖香「はぁ……? ところで滝沢先生。私共は、お姉様と私の違いを先生にお訊ね
    してみたつもりだったのですが、今のご返答はいったい……?」



  84.「深海1500メートルのEpilogue」作:蒼兵衛さん

 美綺「そして、あわれすみすみは、愛する司センセと引き離され、
    異国の花嫁となってしまうのでありました―――ベンベン♪」
 司 「いっぽう残された傷心の僕は、同じく妹を失ったみさきちと慰めあい、
    いつしか身も心も通わせるようになり―――」
 美綺「その様子を鹿野上さんづてに知ったすみすみは、いよいよアタシと
    AIZAWA、陽道への恨みを深めていく―――というワケだねッ!」
 二人「「いやぁ、ドロッドロのぐっちょぐちょだね〜♪」」

 栖香「あのぅ……お姉様に滝沢先生……そんなに楽しそうに私の人生を
    どろどろのぐちょぐちょにしないで頂けませんか……」



  85.「血は繋がらなくともお姉ちゃん」作:蒼兵衛さん


 鏡花 「皆さんの仰る通り、私もリーダさんと滝沢先生はお似合いだと思います。
     でも貴女は、風祭さんと先生の仲を応援するんですのね」
 リーダ「お嬢様の初めての恋を、私が邪魔するわけには参りません。それに……」
 鏡花 「それに?」
 リーダ「つまりは、『日本の正しいお姉ちゃんは、妹のいやがる事をしないのだ』
     という事なのだと思います♪」
 鏡花 「まあ(くすくす)」



  86.「へつらうにも相手を選べ」作:蒼兵衛さん

 坂水「滝沢君。いやぁ、よくやってくれた」
 司 「は? 恐縮ですが坂水先生。いったい何のお話でしょうか?」
 坂水「君があの風祭の小娘―――理事長代理の手綱を取ってくれなかったら、
    私はストレスの余り、精神に失調を来していたかもしれない。
    それを思うと、君には感謝してもし足りないよ」
 司 「はぁ……」
 坂水「そこで、どうだね。今度飲みにでも行こうじゃないか。
    彼女を手懐けた君と私が組めば、こんな地の果てでも風祭グループの
    恩恵を、少なからず受ける事ができると思うのだがね……?」
 司 「ほほぅ……中々に興味深いお話ですね」
   (粛正リストに、一名追加、と……)



  87.「二人は仲良し」作:蒼兵衛さん

 由  「先輩先輩っ、みやびさんが大人になるまで待つっていう理由を追加すれば、
     もうしばらく婚約期間を延長できるかもしれませんよ?」
 司  「おおっ! ナイスアイデアだ由っ!!
     その理由なら、あと数年はモラトリアム期間を引き延ばせるな!」

 みやび「……ホホ〜ウ、そうかそうか。
     そんなにお前ら、ペアでドラム缶クルーズに行きたかったのか。
     お望みならスグにでも叶えてやるぞ……!」



  88.「恋人には見えない」作:蒼兵衛さん

 みやび「うむ。やたら大雑把で単調な味付けだが、意外といけるな。
     つかさ、もう一口頂戴。あ〜〜ん♪」
 司  「やれやれ。うちのお姫様は、いつからこんなに甘えん坊になったのやら。
     ホレ、あ〜〜ん」

 殿子 「……最近のみやび、傍から見ていて羨ましくなるくらい幸せそう」
 梓乃 「あの、殿ちゃん? よろしければ、私も殿ちゃんに『あ〜〜ん』って
     してさしあげますよ?」



  89.「この先は茨の道」作:蒼兵衛さん

 司  「『司は私達のものだッ!』って……実際には逆で、
     僕が『みやび』をもらったものだと思ってたんですがね、りじちょー」
 みやび「ふん、甘いな滝沢司。確かに『みやび』は身も心も司、お前のものだ。
     しかしお前が教師であり且つあたしの秘書でもある以上は、理事長で
     雇用主であるあたしの下僕と見なして、何ら差し支えないのだっ!」
 司  「う〜〜ん、ジャイアン理論並みに理不尽な気もするけど……まあ、
     今のみやびになら、僕の所有権を預けていても構わないか……」

 リーダ「……ついにロリコンの十字架を背負う覚悟を決めて頂けましたか、
     マイロード」(←聖母の微笑み)



  90.「ドラム缶の竈まで設えてました」作:蒼兵衛さん

 司  「中庭から煙が上がっているって報告を受けて来てみたら……。
     理事長、何をやってるんですか!?」
 みやび「見れば分かるだろう、落ち葉焚きだ。風流なものだろう」
 司  「あのなぁ。……リーダさん、ここでこんな事しちゃってもいいんですか?」
 リーダ「学則には定められておりませんし、学院の敷地は風祭の私有地ですので。
     それにお嬢様の喜ぶお顔を見てしまいますと……」
 みやび「細かいコトを気にするな司。やってしまったからには楽しまねばソンだ。
     焼きたてのおイモをやるから機嫌を直せ。ホレ、うりうり♪」
 司  「んガッ!? ―――や、やめろみやびッ!
     熱々の焼き芋を口の中に突っ込むな!!」



  91.「敬語はダメと言ったけど」作:蒼兵衛さん

 司  「僕がリーダさんと結ばれて、みやびの執事として仕える事に
     なっても、二人を一生守る事はできそうなんだよな」
 みやび「な、なっ!? 今更そんな事、許さんぞっ!!」
 司  「分かってる、ただの仮定の話だよ。たとえばもしかしたら
     もしかする、追加シナリオとかの―――」
 みやび「巫山戯んな! あーもぉ何もかもちくしょ―――!!」



  92.「その薬指に」

 司「給料三ヶ月分ってここの月給だと相当な額になるんだけど、
   ここの金銭感覚だと、全然たいした事無い額でもあるんだよなあ」



  93.「鏡を見るが如くなのだが」

 暁「どうだ?」
 司「いや、何と言うかまったく違う絵ですね。
   どっちも凄く目を惹きつけるものがありますますけど」
 暁「確かにな」
 司「しかし、双子がお互いを描きあって、なんでこんな風に」



  94.「よきにはからえ」

 司「よーし、そっちの切り身とかもう煮えたと思うぞー。
   あ、よそってくれたのか、ありがとう。
   ここのは追加分だからまだだ、もう少し待つ。
   ネギはとろとろのが良ければ、別にしとくから言ってくれ。

   しかし、ここに鍋奉行が一人もいないというのも何だか不思議だな」



  95.「理想像」

 燕玲「邑那の理想の男性像ってどんなかしら」
 邑那「改まって質問されても、んー、すぐには浮かんでこないですね」
 燕玲「じゃあ、質問変更。司は理想の男性像?」
 邑那「違いますね」(ためらいなく)
 燕玲「だったら、もっと邑那にとって魅力的な男性が現れたとしたら、
    お役御免になるのかしらね、彼は」
 邑那「え……?
    そうですね、もちろんお払い箱です」(悪戯っぽい笑み)
 燕玲「ええっ? あ、ああ、そういう意味か。現れたとしたら……ね」
 邑那「はい。現れたとしたら」(ありそうもないという口調で)
 

 
  96.「ゴールの置き方」

 司  「理事長のキャラクターからすると、前提が間違っていたかも」
 リーダ「何の前提がですか」
 司  「認められたいという願望。それを目的としての行動」
 リーダ「しかし、お嬢様は」
 司  「認めさせるんだ」
 リーダ「え?」
 司  「認めてもらうんでなくて認めさせる、認めざるをえなくする。
     そっちの方が理事長らしくないかな」
 リーダ「……はい。そちらの方が」



  97.「お嬢様」

 司「お嬢様っていうとイメージするのは2パターンですかね」
 暁「ほう、後学までに伺いたいな」
 司「きっちり分析した訳じゃないですよ。何となくで。
   ひとつは理事長みたいなの」
 暁「なるほど。頷けるな」
 司「もう片方が三嶋みたいな完璧タイプ」
 暁「つまり理事長は何から何まで完璧とはほど遠いと言ってる訳だ。
   おっとダメ、訂正は受け付けない。
   でもまあ、言いたいことはわかる。対照的だな」
 司「対照的だから対立するんですかねえ」
 暁「その辺を悩んでいたのか。で、司はどっちのタイプが好みなんだ」
 司「それはもちろん、って、言いませんよ。もう行きます」
 暁「ちッ」



  98.「馬を射んとすればまず将を」

 司  「そうか、リーダさんを幸せにしようと思ったら、先に理事長を
     幸せにするのが一番手っ取り早いんだな」
 みやび「それをあたしに言った時点で、実現させる難易度が上がる気が
     するんだがな」(小声)



  99.「何をして勝ちなのか」

 司「あの二人が姉妹喧嘩したら、どっちが折れると思う?」
 奏「みさきち」
 司「そうだよな。即答でそうなるな。
   で、その場合に、本当に勝ったのはどちらだと思う?」
 奏「みさきち」
 司「そうだよな」



  100.「愛の巣」

 司 「いざとなったら二人でここに立てこもって暮らせそうだな」
 殿子「うん……? そうね」

    いつの間にやら生活臭漂うようになった格納庫を見渡して。



  101.「あちらでもこちらでも」

 司   「通販番組の時間が重なった時はどうするんだ?」
 通販さん「……」
      (画面から目は離さずにレコーダー作動しているのを指差し)
 司   「録画してまで見るのか。
      ん……、今は少なくとも他のチャンネルにやってないよな。
      まさか全部録画している……のか、そうか」



  102.「そーかん」

 司 「もしも僕がもっと強い倫理観があったとしたら、こんな関係には
    ならなかったかもしれないな」
 殿子「……」
 司 「いや、後悔じゃなくて。
    あー、でも少しだけ惜しいかな。
    ずーっと殿子のお父さんでいたかった気もする」
 殿子「それはわたしも同じ。ずっと司の娘でいたかったかもしれない」
 司 「少しやり直してみるか」
 殿子「駄目。もう100%の娘は無理。
    父娘で恋人は少しいけない気がする」
 司 「了解」(ちょっとだけそれもいいかなという表情で)



  103ノ1.「姉と妹と親友と」

 美綺「これで晴れて姉妹の関係になれたよ」
 奏 「良かったね良かったね、みさきち」
 美綺「ありがと。
    ただ、こうなると、かなっぺが心配だなあ」
 奏 「なんで?」
 美綺「今まで反発していた反動で物凄い勢いでお姉ちゃんを慕う妹。
    しかしその傍には仲を阻むように常に一人の女が。
    邪魔だ、ずるい、憎い。
    思い余ってすみすみは…………、冗談デスヨ?」
 奏 「ありそう、ありそうだよ、ひーん」


  103ノ2.「姉と親友と妹と」

 美綺「大丈夫。
    妹なんだからすみすみはお姉ちゃんの命令に絶対服従」
 奏 「それは違うと思う」
 美綺「奏はあたしの親友なんだから、すみすみより立場が上に」
 奏 「え、え、無理だよ」
 美綺「遠慮はいらないって。
    よし早速お姉ちゃん命令で『かなっぺの言葉はあたしの言葉』と
    言ってくる」
 奏 「やめてえ、仁礼さん本気で言いつけに従いそうだからダメー」



  104.「何とか占いではなく」

 千代美「自分を動物に例えると? 犬」
 美綺 「犬なんだ。どっちかと言うと猫っぽくないかなあ」
 千代美「そうだけど、牧羊犬やってるから」
 美綺 「んんん……? ごめん、わからない」
 千代美「狼から羊の群れ守っている」
 美綺 「なるほど」
 奏  「うん、狼だよね、狼」(遠くに貴美子の姿を捉えて)



  105.「仕草」

 司  「理事長には内緒なんですが」
 リーダ「はい」
 司  「親密な存在になってから、最初は腹が立ったような言動が
     どうにも可愛く見えるようになってるんですよ」
 リーダ「それは、まったく同感です、司様」



  106.「コネクション」

 司「ここで生徒達に嫌われるってけっこうリスキーじゃないですか」
 暁「今現在はともかく何年後とか考えると確かにそうだな。
   風向きなんてのはどう変わるかわかったものじゃない。
   しかし、純粋だった司きゅんがそんな事考えるようになるとはなあ」
 司「別に深い意味はありませんよ」
 暁「どっちかと言うと、誰に好かれたのかって方が運命左右すると思うな。
   司の場合は」(小声)
 司「何か言いましたか」
 暁「いーや」



  107.「夫婦坂」

 猪早夫「ああ、まったく。なんでまたよりによってお前みたいな奴に。
     うちの可愛い可愛いお姫様が。こんな色魔に誑かされるとはッッ」
 司  「いや、まあ、美綺が可愛い事には同意しますけど」
 猪早夫「ぬう、何か文句でもあるというのか」
 司  「凄まないで下さい。あのですね、お義父さんが結婚する時にも
     同じ事言われたんじゃないかなと」
 猪早夫「聡子さんとわしか。
     ……」
 司  「あれ、あの、凄い急所突いたのか。
     ええと、ほら、お二人仲が良くて、あんな夫婦に僕らもなり……。
     しゃがんでうつむかないで下さい」
     


  108.「あの人に食べさせるもの」

 殿子「梓乃、考え事しながら包丁使うと危ない」
 梓乃「え、考え事なんて」
 殿子「凄い勢いでみじん切りして、ぼーっと手を止めて、また動かして」
 梓乃「う、うう……」
 殿子「……凄く楽しそうだった」(小声で微笑みつつ)



  109.「変化」

 司 「もしも、僕が君を裏切って去っていったらどうする
 邑那「……そうですね、どうもしないでしょうか」
 司 「追う事もしないし、報復もしないか。
    だとすると、そんな君の傍からは僕は離れられない」
 邑那「でも、前のわたしであれば、でしょうかなどと言わなかったです。
    きっと、瞬時にどうもしないと言いきったと思います」
 司 「ふうん。……それならなおさら離れられないな」



  110「青天井」

 リーダ「司様」
 司  「あ、リーダさん。それ、制服のクリーニングですか」
 リーダ「はい、そうです」
 司  「デザインからして普通の学校と違ってますけど、一着あたりの
     値段って高いんでしょうね」
 リーダ「そうですね。全部オーダーですし。最も制服だから一定価格で
     販売してますけど、これくらいはしますね」(指で数字を示す)
 司  「うわ、結構な額になるんですね。
     でもいらなくなって売ったら元取れるだろうかな」
 リーダ「?」
 司  「超がつくお嬢様学園の本物の制服なんて、マニア垂涎の一品で
     はないかと思……、何でもないです」
   


  111.「オフィスにて」

 邑那「あの、どうかしましたか、こちらを見つめて」
 司 「魅力的な恋人の横顔をついつい眺めていただけなんだけど」
 邑那「嬉しくなるような事を、お仕事中に言うのは卑怯です」
 司 「訊かれたから答えただけなんだけど。
    いつも微笑み浮かべているから、真剣な表情をしている邑那って
    珍しいから、それだけで見惚れてた」
 邑那「え、え、あ……、きゃあ、そのまま送信しちゃった」
 司 「それ、まずかったの」
 邑那「はい。ど、どうしましょう」

 燕玲「な、何、今来たあれはいったい何、邑那。
    何を二人でわたわたしているのよ、あなた達……」



  112.「朝のフルーツは金」

 リーダ「差し出がましいですけど、お食事はきちんと栄養があるものを
     おとりになられた方が。
     司様の口に合わないようでしたら、味付など工夫致しますので
     ぜひ仰って下さい」
 司  「いえいえ、味には不満はないです。
     面倒くささとか、そういう理由ですから」
 リーダ「それでしたら、お部屋までサーヴをしますし」
 司  「でも、あの……」
 リーダ「……料理人と私どもメイドのサービスよりインスタント食品の
     方が上だと、新任の先生が言っていたと噂が流れるかしら」
 司  「何か物騒な事を言いませんでしたか、リーダさん」
 リーダ「何も。気が向いたら食堂にいらして下さい。焼き立てのパンと
     コーヒーでも、炊きたてご飯でもご用意いたしておりますので」
 司  「寄らせて貰います」



  113.「鏡だけでは足りない」

 司「思えば上原にもいろいろ心配かけたな」
 奏「え、あ、いえ、みさきちが幸せならわたしも嬉しいし」
 司「良い友達だな、うんうん。先生の立場としても嬉しいぞ。
   それにしてもあいつも、良く知ると頭の回転速いし筋が通っているし
   気遣いも出来るし、明るくて可愛いし、一緒にいて楽しいし、自分の
   事もきちんと測れる奴なのに、なんで自分の魅力だけは正しく把握し
   ていなかったんだろう」
 奏「それは、女の子だもの」
 司「そういうものか。
   そうだな、そういうものなんだろうなあ」
 奏「先生、わたし見てしみじみと頷いてるう」



  114.「体質的なものも大きいですが」

 邑那「どうかなさいましたか?」
 美綺「うん。それだけ大きい胸だと肩こりしたりするのかなあって」
 邑那「しますよ」
 美綺「やっぱりそうなのか、ふうん」
 邑那「ふふふ。……ふぅ」(十代の頃はどうだったかなとかふと思い)
 美綺「んんん?」



  115.「触らぬ神」

 司  「気のせいかもしれないけど、日によって敷地内にいるメイドの
     数ってけっこう違ってないかな? 増えたり減ったり」
 リーダ「気付かれたのは司様が初めてですよ」
 司  「そうなのか。で、なんで……って、行っちゃった。
     話したくないってことなんだろうなあ。
     いや、へたにこの話題に突っ込むと何かとんでもない事に。
     うん、やめとこう」



  116.「やはり似てる、この二人」

 鹿野上「そして、こちらが決算の予測。補正案はこちらのレポートに」
 邑那 「わかりました。目を通しておきます。
     ……恨みはないのですか」
 鹿野上「と、言いますと」
 邑那 「わたし達は当然の対抗手段をとったまでです。
     しかしあなたは待ち望んでいた機会を潰された。違いますか?」
 鹿野上「ああ。結果としてやりたかった事を行えていますよ。
     満足しています。そう言えば納得なさいますか」
 邑那 「いいえ」
 鹿野上「では、言葉で肯定しようと否定しようと無意味では」
 邑那 「そうですね」
 鹿野上「……こちらからも質問をひとつ。何故、僕を残したんです?」
 邑那 「使える道具だからです。
     使い勝手が悪かったら、別の道具を用意します」
 鹿野上「それならばここにいる理由になります。では」


 
  117.「通り名」

 栖香「思えば、一年のうちのほんの半月ほどの時間のおかげで、この家は
    いつも桜屋敷と呼ばれているのですね」
 司 「誇らしい事のようにも思えるけど」
 栖香「ええ。次のお花見が楽しみですね」
 司 「そうだね」



  118.「終わりの始まり」

 燕玲「いよいよね」
 邑那「はい。長いこと待っていた時が、まさに今来るのですね」
 燕玲「時間が勝負よ。当分、もしかしたらずっとここには戻れないわ」
 邑那「わかっています。
    ん…………」
 燕玲「どうしたの。急に顔色変えて。何かあるなら言って」
 邑那「何でもないです、行きましょう」
 燕玲「わかったわ」
 邑那「(パソコンの中のあのフォルダとか、そのままだけど……。
    平気よね、誰も入れないし。入ったとしても立ち上げたりは。
    でも万が一、あれを他人に……、いえいえ)」
 燕玲「本当に大丈夫なの、邑那。ねえ?」
 邑那「大丈夫ですよね?」
 燕玲「それを訊いているのよ。大丈夫なのかしら……」 



  119.「ぷに」

 リーダ「お目覚めの時間になりましたよ。
     ……起きない。ふふ、つん」
 司  「うわ、あ、な、何?」
 リーダ「きゃっ」
 司  「リ、リ、リーダさん?」
 リーダ「す、すみません、マイ・ロード、つい……。
     お嬢様はこれくらいだと絶対にお目覚めにならないのに」


  120.「新婚さんの食卓」

 梓乃 「最近、頑張ってお料理をしても食べ残しされてしまうんです」
 みやび「女をものにしたら本性を現したか、奴め」
 梓乃 「そんな事はありません。先生は優しいです」
 みやび「むう」
 リーダ「いろいろと慣れないお仕事をされてお疲れなのでは?」
 梓乃 「そう思って、滋養のあるものを作ったり、好物を聞いて作ったり、
     珍しい食材を取り寄せてみたり、いろいろとしているんですけど」
 殿子 「梓乃、もしかしてそれ全部作っていない?」
 梓乃 「ええ」(何ら疑問を抱かずに)
 一同 「なるほど」



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