天貫き
作:西紀貫之
0『こしゅこしゅ』
志貴「……ん〜」(湯船に浸かりながら、体を洗う秋葉を見て一つ唸る)
秋葉「なにか?」
志貴「あ、いや、その胸を洗ってるタオルなんだが」
秋葉「はぁ」
志貴「洗えば洗うほどタオルのほうが綺麗になってたらと思うと、もうっ」
秋葉「そこまで洗濯板じゃないもん(くすん)」
1『進路』
志貴「お、晶ちゃんも買い物かい?(地元の本屋にて)」
晶 「ええ、ちょっと高校の資料あつめてまして」
志貴「ああ、進学かぁ。……って、エスカレーター式じゃないか」
晶 「はい、だから見てるだけなんです。もし、こういうところに行けたらと思うと……」
志貴「へ〜(晶の開いてる本を覗き込む)」
晶 「ああ……(うっとり)」
志貴「仏教系男子校?(少し退きながら)」
晶 「ああ……(うっとり)」
2『線引き』
蒼香「だから、僧侶にプロもアマもないんだってば!」
晶 「そんなぁ〜(メモ帳片手に)」
3.『いや、だからね』
秋葉「今日は蒼香が病欠だったのよ」
晶 「寺の人間が病にかかるということは痔なんじゃないですか?」
秋葉「……は?」
晶 「ヤマイダレに寺と書いて、痔ですから」
秋葉「……ただの風邪だと思うけど(けど、すこし納得気味に)」
4.『世界の三大美女』
秋葉「クレオパトラ、楊貴妃、小野小町ですが」
志貴「うん」
秋葉「では、月姫の三大美女は?」
志貴「え?」
秋葉「さぁっ(じりじり)」
5.『お料理』
翡翠「お湯を注ぐだけで……料理っ(カップ麺を見ながら)」
6.『枕』
志貴「あー、翡翠」
翡翠「はい、なんでございましょう」
志貴「昨日から使ってる、あのふかふかの枕なんだけどさ。
まえの枕と取り替えてくれないかな」
翡翠「合いませんか?」
志貴「あたたかくて良いんだけど、俺には高すぎるんだ」
翡翠「困りましたね、前のものは洗ってますし……」
志貴「今夜はさしあたって、これを枕にしたいなぁ(もみもみ)」
翡翠「あっ……でも今夜は秋葉さまの番では?」
志貴「あれだと低すぎるからなぁ(もみもみ)」
秋葉「ほ〜?」
7.『最高の枕』
秋葉「(やっぱり兄さんの腕枕が最高……)」
8.『最高の枕2』
志貴「やっぱ抱き枕っていいなぁ……」
秋葉「ああん、そんなに強く……もう、兄さんったら」
9.『最高の枕3』
アルク「志貴〜」
シエル「遠野く〜ん」
志貴 「ふはははははは、ふっかふかだ〜」
志貴 「むにゃむにゃ」
秋葉 「……どんな夢を見てるのかわからないけど、なんかむかつく」
10.『たとえるなら』
翡翠「……都こんぶ(秋葉を見ながら)」
志貴「(びくっ)」
翡翠「……イカスミ(琥珀を見ながら)」
志貴「(びくぅっ)」
秋葉「……な、なに? それ」
翡翠「いえ、何でもありません秋葉さま(にっこり)」
志貴「(Hしたあとの指の味とは言えないよな)」
11.『たとえるまでもなく』
翡翠「カレー」
志貴「うん、カレーだ」
翡翠「ちゅぱるまでもないですね(くんくん)」
志貴「問題あるよなぁ、これはこれで」
12.『夜食』
志貴「お、お茶漬けを紅茶で作るとは(げほげほ)」
秋葉「良い葉を使ったのですが……」
翡翠「レモンも、切り立てのものを使いましたが……」
琥珀「ミルクと砂糖もいれてたね、翡翠ちゃん(嬉しそうに)」
13.『目からウロコ』
志貴「それが食ってみたら意外に後を引く美味さで」
有彦「ええい、くるなくるな!」
14.『みんなでお料理』
琥珀「痛っ!(指を抑えながら)」
志貴「大丈夫? ほら、かしてみ……(ちゅーちゅー)」
秋葉「……(自分の指を見ながら包丁持ってプルプル震えている)」
翡翠「……(志貴の指を見ながら包丁持ってプルプル震えている)」
15.『みんなでお料理2』
アルク「うう……くすん(包丁持ちながら)」
シエル「指を切って、遠野君に指をちゅーちゅーして欲しいの?」
アルク「うう〜(スパッ)」
シエル「……すぐふさがっちゃうね、傷」
アルク「うう……くすん」
16.『みんなでお料理3』
アルク「志貴ー! 志貴ー!」
志貴 「ん? って、ぉぉおおお!?」
アルク「吸ってー、吸ってよー」
志貴 「ちょ、待、ちょま……きゃ〜!(脱兎のごとく)」
シエル「手首切断してボタボタ流血してる女に、にこやかに追いかけられたら……
逃げますよね」
琥珀 「はぁ……それはそれとして」
シエル「はい?」
琥珀 「いいんですか? あのまま血を吸わせて」
シエル「……あ(素で)」
琥珀 「ふふふふふ(志貴に舐められた指を舐めまわしながら)」
17.『プレゼント』
志貴「秋葉に携帯電話が欲しいといったら、GPS機能搭載の受信専用のをあ
てがわれた」
有彦「…………」
志貴「しかも常に携帯して、コールされたら必ず出ないと秋葉に怒られるんだ」
有彦「……ジュース飲むか?」
志貴「うん」
18.『猫かわいがり』
志貴「レンはかわいいなぁ(黒猫を撫でながら)」
レン「…………(志貴の太ももの上で目を細めている)」
志貴「ほんとかわいいなぁ」
レン「ニャ」
志貴「でも、猫のオスの凸って、マッチ棒サイズなんだよね。だから猫のレン
には俺のは少し大き過ぎだよね」
レン「…………にゃ?」
志貴「ほんと、かわいいなぁ」
レン「にゃっ……!(太ももの間から押し上げてくる強張りに気がつく)」
志貴「ほんと、かわいいなぁ(がっちりと押さえながら)」
19.『大匙いっぱいの』(天抜き25「小匙いっぱいの」の続き)
志貴「琥珀さん(もぐもぐ)」
琥珀「はい?」
志貴「食べる人間が作り手に愛情を抱いてたら、どんな過程を経た料理でも最高
の料理だと思うよ」
琥珀「…………今日のご飯はおいしいですか?」
志貴「ああ、とっても(にっこりと)」
20.『洗面器いっぱいの』
翡翠「……さっきの話、きいておりました(デザートらしき赤い塊を出しながら)」
志貴「……あ〜」
翡翠「志貴様への愛情をたっぷりと注ぎ込みました」
志貴「…………あ〜」
翡翠「志貴様が私を愛してくれているのならば、最高すぎるデザートで御座います」
志貴「……(ぱくり)」
翡翠「(どきどき)」
志貴「……うぷ(口を抑えながら廊下の向こうへダッシュ)」
翡翠「うぷ?」
琥珀「あらあら、私の愛情諸共ですか〜(同情気味に)」
21.『みんなで初詣』
志貴 「ああ、除夜の鐘だ……」
琥珀 「百と八回の鐘突きですね。煩悩の数が百八つだからと言いますが……ふふふ」
志貴 「なんだよ琥珀さん、俺を見て。そんなに煩悩ないよ、俺は」
秋葉 「夜の煩悩は百八じゃたりないくせに」
翡翠 「イメージプレイ用の衣装だけでも三桁突入してますし」
志貴 「……そう、そう?」
琥珀 「四苦八苦してますからねえ、志貴さん(ぽつりと)」
レン 「にゃ?」
琥珀 「四かける九で三十六、八かける九で七十二。足して百八……でしょう?」
レン 「にゃ」
琥珀 「苦労人ほど業が深いんですかねえ」
22.『みんなで初詣2』
シエル「初詣なんてはじめてですよ」
アルク「わたしもはじめてだなぁ」
秋葉 「およそ神社に似合わないお二人ですからねえ……」
シエル「お賽銭を入れて、と」
アルク「こう?」
秋葉 (手を合わせて熱心に祈ってる)」
シエル「今年こそ良い年になりますように……遠野くんと」
アルク「……えーっと、今年こそ良い年になりますように」
秋葉 「心配しなくても、二人とも『イイ歳』じゃないですか(ふふん)」
志貴 「あーあーあー、新年早々バチあたりな(飛来した瓦を避けながら、遠目で)」
23.『だから、あのね……』
蒼香「……除夜の鐘プレイもない」
晶 「そんな〜(メモ帳片手に)」
24.『酒のつまみ』
晶 「やっぱり、志貴さんは洋風のものが?」
志貴「いやいや、ふつうのものだよ。ヘタを取って軽く洗ったキュウリを一本
まるごと、ミソとかつけてかじったりさ」
晶 「…………」
志貴「あ、晶ちゃん?」
秋葉「瀬尾はいったいどうしたの?」
志貴「さぁ、とつぜん真っ赤になったかと思ったら鼻血噴いて倒れちゃってさ……」
晶 「(志貴さんがミソのこびりついたキュウリを頬張……うっ!)」
25.『羽根突き』
有彦「……なぁ遠野」
志貴「なんだ?(ぬりぬり)」
有彦「ふつう羽根突きの罰則の墨塗りってさぁ、OとかXとかを顔に書くよな」
志貴「ああ、そうだな(ちょんちょんちょん)」
有彦「俺の顔中に書かれた、この線だか点はなんなんだ? おい」
志貴「さぁ、なんだろうねえ(眼鏡をかけながら)」
26.『たこあげ』
志貴「……なぁ、秋葉(くいくいっ)」
秋葉「はい?」
志貴「上から見下ろすってどんな気分だ?(凧を更に上へと上げながら)」
秋葉「何で私に?」
27.『たこあげ2』
秋葉「みんながいろんな表情で見上げてるのがわかりますよ、それこそいろんな感情がこ
もった目で……。でも、ふと周りに目を向けると、自分ひとりなのに気が付くんです」
志貴「……そうなのか」
秋葉「上へ行けば行くほど、そう感じるようになります……」
志貴「そっか、凧もさみしいだろうなぁ」
秋葉「兄さん、しっかり糸を掴んでてくださいね」
志貴「ん?」
秋葉「確かに繋がってると信じられるから、凧は高く舞い上がれるんです。繋がってると
信じられるから、寂しくなんか無いです」
志貴「ん……そっか(くいっくいっ)」
28.『たこあげ3』
琥珀「……なんて絶妙なタイミングで糸が切れるんでしょう」
翡翠「あ、川に」
29.『独りで楽しもう』
志貴「…………」
翡翠「…………」
志貴「…………」
翡翠「…………」
秋葉「『独楽』と書いて、コマって読むんですが……」
志貴「そそそ、そうだよな、ははははははは!」
翡翠「(真っ赤)」
30.『二人で楽しもう』
秋葉「兄さん、その」
志貴「なんだい?」
秋葉「コマを回す時の『よいではないかよいではないか』って掛け声はやめてください」
琥珀「回ってる最中は『あ〜れ〜』ですよね〜」
秋葉「……まさかね(琥珀の帯に目をやって、すこし怪訝に首をひねって)」
31.『好奇心は猫を殺すか!?』
志貴「えーっとだな、ハテナマークとビックリマークって、猫の尻尾がデザインの元ら
しいという話を聞いてね」
琥珀「……はぁ」
志貴「ハテナマークは、『何だろうな?』って猫が興味を示したときの尻尾の形で……」
琥珀「あー、そうかもしれないですねえ」
志貴「ビックリマークは『何だコリャ!』って猫が驚きを示したときの尻尾の形で……」
琥珀「ピーンと垂直に、毛をボワっとさせた感じですよね、分かる気がしますが」
志貴「それぞれのマークの下についてる黒い小さな点は、お尻の穴らしいんだ。象形文
字ってやつなんだなぁと思って……」
琥珀「……それで実際に見てみたくなったんですね?」
志貴「うん、でもさすがにやりすぎた(盛大に炸裂したと思しきビックリ箱と、仰向け
にひっくり返ってる黒猫を見やって)」
32.『ごんぶと』作:西紀貫之さん
秋葉「……………………」
志貴「そこに骨は無いぞ」
*註:掲示板で秋葉の3サイズと体重を考察して「重い?」との疑問
→ 「実はマッチョ?」「いや骨太では?」との考察を受けて
33.『色あせても』
秋葉「あら琥珀じゃない。なに屋敷見てボーっとしてるの?」
琥珀「……昔のことを少し」
秋葉「ああ、あの窓ね」
琥珀「今となってはセピア色の思い出です」
秋葉「強いのね、琥珀は」
琥珀「今は皆さんがいらっしゃいますから」
秋葉「そうじゃなくて。セピア色ってイカスミ色のことなんだけど、
それを踏まえての思い出なのかな……と」
琥珀「どこを見て言ってるんです?」
34.『待ったなし』
志貴「犯罪者って良いよね」
有彦「あん?」
志貴「だって、弁護士が必ず付くし、裁判だってやってもらえるんだよ?」
有彦「カフェオレ飲む?」
志貴「うん」
35.『唯一譲りたくないもの』
秋葉「だって琥珀と兄さんがくっつくと、兄さんの妹って私だけじゃなく
なるじゃない」
翡翠「志貴……義兄さま?(うっとり)」
秋葉「ぜ、ぜったいだめだからね!?」
36.『無くても気がつきにくい』
志貴「……そういやこの家、体重計が無いな」
37.『お料理の逆襲』
翡翠「………………………………(しくしく)」
志貴「ほ、ほら、カップヤキソバも複雑なの多いからさ」
琥珀「ソース投入してお湯を注ぐのは誰でもやっちゃうものよ?」
38.『目からウロコ2』
志貴「それが食ってみたら意外に美味くて……ってどうした?」
有彦「俺だけだと思っていたよ(がっちりと手を握りながら)」
39.『老若男女とか初めてとか』
秋葉「兄さんの『初めて』は……誰だったんです?」
志貴「……どっちの『初めて』?」
秋葉「………………」
40.『続・女 -オンナが素に戻るとき-』
少年「……あれ? 琥珀さんのって、翡翠ちゃんやお母さんのと色が違うー」
琥珀「……誰にも、言ってはいけませんよ(内股)」
41.『疑惑のテクニシャン』
志貴「……なるほど、確かにそれは考えても見なかったな」
琥珀「ええ、女性のも男性のも、穴をいじるのは得意なんですよ」
志貴「だけど掃除は滅茶苦茶苦手なんだよね(後じさりながら)」
琥珀「ささ、お気になさらず(耳かき片手ににじり寄りながら)」
42.『燃やしましょう』
志貴「あれ? うちに焼却炉なんてあったんだ」
琥珀「最近買ったんですよ、必要に迫られまして。遠野家が対外的に外に出せ
ないごみを焼くための物ですから(にっこり)」
志貴「……何焼くの?」
琥珀「見ないほうがいいですよ」
志貴「どれどれ……こ、これは出せないわ(チラリと覗き見て)」
琥珀「丸めたティッシュってかさばるんですよね〜(マッチを擦りながら)」
43.『やきいもを食べた後で』
シエル「………………」
志貴 「………………あのさ、先輩」
シエル「………………」
志貴 「なんでカレーの香りが?」
44.『捨てられた』
秋葉「あら、その犬、お屋敷の門のところに捨てられていたんですか?」
志貴「うん、なんか放っておけなくてさ」
翡翠「あ、尻尾を振っちゃって……可愛い」
琥珀「ずっと独りでさみしかったのよ、きっと」
翡翠「元気出すのよ、私達がもらってくれる人を探してあげるから」
琥珀「人に噛み付かなければ良いのだけれど……」
翡翠「見た目は良いし、素直な性格なら引く手数多よ、きっと」
琥珀「まぁ、良縁はどこに転がってるか分からないから〜」
秋葉「……犬の話よね?」
45.『数』
蒼香「……大晦日に百八人の来客? ……まさかね(出前の電話をしながら)」
46.『バレンタインデーの朝』
シエル「もう、知りません!(そっぽを向いて去る)」
志貴 「あ――(すぐに追いかける)」
秋葉 「ねえ、あれどうしたの?」
琥珀 「せっかくもらったのに、開ける前に匂いを嗅いだのですよ」
秋葉 「ああ、それで」
琥珀 「しかもそのあと、『やっぱり』と呟いたんです」
秋葉 「どちらも悪いし、どちらも悪くないわねえ」
47.『バレンタインデーの昼』
翡翠「……(くんくん)」
志貴「くれるのはありがたいけれど、匂いを嗅いだ後に首を傾げながら渡すのは――」
翡翠「……(ずずい)」
志貴「あ、ありがとう」
48.『バレンタインデーの夜』
琥珀「はい、どうぞ」
志貴「あ、ありがと」
琥珀「…………」
志貴「…………」
琥珀「もちろん匂いを嗅いだだけで分かるとは思っていませんよね?」
志貴「え――」
琥珀「大丈夫です、チョコレートですよ」
志貴「ほっ(ひとくち食べながら)」
琥珀「匂いだけは……ね」
志貴「え――」
琥珀「ふふふ、冗談ですよ(満足げに去りつつ)」
志貴「どのあたりが冗談なんだろう(もぐもぐ)」
49.『バレンタインデーの深夜』
秋葉「クラスメイトに教えてもらった、美味しい洋菓子屋さんのチョコです」
志貴「あ、ありがとう……本当にうれしいよ秋葉」
秋葉「ふふ、それではおやすみなさい――(踵を返しつつ)」
志貴「おやすみ、秋葉」
秋葉「(手を抜くわけではなく、労さないことが株を上げることもある……か)」
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