パルフェ天抜き・三号店

作:しにを

 




 「パルフェ」の絵無し4コマ漫画風の何かです。
 クリアしてるのを前提として、ネタバレとか気にしてませんので、
 未プレイの方は読まない方が無難かと思います。
 いえ、先にぜひプレイして下さい。
 と、一応の注意書き。 








81.「閉店間際安売りはしません」

 仁  「うーん」
 里伽子「どうしたの、仁」
 仁  「このところ売れ残りが増えて。まあ、そんなでもないんだけど」
 里伽子「嘘でしょ。かすりさんも最近凄く腕を上げたって聞いてるわよ」
 仁  「その辺が原因かな」
 里伽子「どういう事?」
 仁  「姉さんも、幾つかの種類はかすりさんに任せたんだ」
 里伽子「うん」
 仁  「でも、自分が作るトータル数は減ってないんだ。
     かすりさんに譲った分、別なケーキ作り出して」
 里伽子「それは……さすがに供給過多ね」



82.「犬神家」

 女中 『わたしが作ったんですよー。何が一番美味しかったですかあ?』 
 金田一『うーん。生卵』 

 仁  「うんうん」



83.「接客レベル」

 仁 「正直、店員の教育レベルでいうとキュリオの方が上かな。
    うちも頑張ってはいるけど」
 玲愛「当然よ。まあそっちも最初とは見違えるようだけどね」
 仁 「一号店に行った事もあるけど、感心させられたものなあ」
 玲愛「行ったの? その時、誰が……何でもない」
 仁 「うん?」



84.「経営者として」

 仁  「もっと売上げ伸ばして、本店を復活させたいのは当然なんだけど、
     儲け第一にすると、この店の今の雰囲気無くなっちゃうと思うんだ。
     それなら急がないで少しずつでもって……甘いかな?」
 里伽子「甘いわね」(にべも無く)
 仁  「そうか」
 里伽子「……甘くて悪い訳じゃないけど」



85.「割れ鍋と閉じ蓋」

 玲愛 「正直ね、考え方は甘いし、やる事にぬかりはあるし。
     ああいう奴には傍にいて補佐できるしっかりした人間が必要なの」
 里伽子「反論はしたいけど、結論的には同意するわ」
 玲愛 「もう遅いけどね」
 里伽子「そうね」

 由飛 「仁ー、おそーいー。早くしないとデートの時間なくなるんだからー」

 里伽子「もう遅いのね」
 玲愛 「そうね」



86.「女からの眼」

 由飛 「ちょっと意外」
 明日香「うん」
 かすり「んー、結構そういうタイプよ、リカちゃん」
 恵麻 「そうね」
 仁  「里伽子がどうかしたのか」
 由飛 「隙あらば仁に甘えてる」
 かすり「隙あらばって。でも、眼のやり場に困らない程度には甘えてるわね」
 明日香「てんちょは容認してるんだ」
 恵麻 「べたべた反対」
 仁  「え、プライベートはともかく、仕事中はそんな事ないぞ」
 恵麻 「それは仁君が鈍いだけ」
 かすり「リカちゃんが絶妙なんだけど」
 仁  「んん……、思い当たる節が無い。本当?」
 一同 「一目瞭然」



87.「表裏」

 明日香「てんちょってさ、一流大学入って、学生なのにお店を経営している青年
     実業家なのかな」
 仁  「せっかく入った大学なのに、満足に卒業できそうにない借金持ちじゃな
     いかな」
 明日香「きっといい事あるよ、てんちょ」
 仁  「ありがとう」



88.「責任者」

 板橋「ここのお茶は美味しいねえ」
 仁 「いい加減、仕事に戻れと言うのも飽きてきた」
 板橋「サボってる訳じゃなくて、休憩時間だから。シュークリーム追加ね」
 仁 「オーダーお願い」
 由飛「なんで、板橋さんが店長なのかなあ」
 仁 「思ってても口にするな」
 板橋「うーん、それは普段は役立たずに見えても、何か起これば見違えるように
    活躍するんだよ。んんー、クリームの出来絶妙だねえ」
 仁 「あれかな、何か起こったら責任者として腹切り」
 由飛「きっとそうだよ」
 仁 「と言うとだ、逆に言えば何か起こるのを既定として人事しているのか」
 由飛「玲愛ちゃん、大丈夫かなあ」
 板橋「何を二人でこそこ話しているのさー。お茶、お代わりね。んー、落ち着く」 



89.「妹達」

 仁  「玲愛とかすりさんて、共に天才の姉さんを持って、違う道へ進んだんだな」
 玲愛 「負けたのは、ピアノの腕だけだから」
 かすり「うちの姉は完璧超人なので、誰かさんとは違うから」

 由飛  「何だか馬鹿にされた気がする」



90.「属性」

 仁  「里伽子なんか凄く隙がなくしっかりしてるじゃないか」
 明日香「そうだよね」
 仁  「姉さんは、本当の姉さんな訳だ」
 由飛 「うんうん」
 仁  「でも、いちばんお姉さんぽい空気出してるのかすりさんな気がする」
 明日香「なんだかわかる気がする」
 由飛 「そうだねえ」



91.「憧れのキャンパスライフ」

 仁  「おお、だいぶ進歩が著しい」
 明日香「頑張ってるもん。せんせと一緒の大学通いたいから。
     でも、まだ心配」
 仁  「明日香ちゃんが一生懸命やって、それでもダメだったとしても、
     俺は待ってるから。ごめん、縁起でもないな、受験生に向かって」
 明日香「ううん、嬉しい。わたし、頑張るから」
 仁  「実際、三浪、四浪くらいなら余裕で卒業できずにいると思う」
 明日香「それは、嬉しくないよ、せんせ」
    


92.「馴れ初め」

 かすり「そう言えばさ、リカちゃんて、仁くんのどこが良かった訳?
     出会ったばかりでそんなに魅力的とは正直……ねえ」
 里伽子「難問ですね。しばらく考える時間を下さい」
 かすり「真顔……」



93.「同級生」

 仁  「それでさ、明日香ちゃんが……」
 明日香「ねえ、せんせ」
 仁  「ん?」
 明日香「なんで当たり前みたいに私のクラスの子の名前が幾つも出てくるの?」
 仁  「……職業柄?」



94.「至福」

 仁 「炊き立ての新米のご飯、生み立て高品質の生卵」
 


95.「勝負」

 かすり「じゃあ、姉さんがケーキ、恵麻さんが和菓子を作って勝負」
 仁  「ちょっと無茶だろう」
 紬  「面白いですね」
 恵麻 「うん、やってみる」
 かすり「で、作っちゃうんだなあ、二人とも」
 仁  「そこそこじゃなくて、かなり美味しい」
 かすり「うーん、落ち込むなあ」



96.「屈辱の姿を見下ろす」

 玲愛「それでね、仁」
 仁 「……」
 玲愛「どうしたの?」
 仁 「信じがたいなあと思って。玲愛が笑顔で俺の腕に縋ってるなんて」
 玲愛「恋人だもの。……嫌?」
 仁 「嫌じゃないけど、人に土下座させたのと同一人物と思えない」
 玲愛「あれは仁がやったんでしょ。私はそんなのさせたくなかったわよ。
    ……まあ、今なら逆にちょっと見たいかも」



97.「卒業」

 恵麻「結婚式の時にね、少しだけ夢見てたなあ」
 仁 「何を?」
 恵麻「突然、外から飛び込んできて手を取って逃げ出してくれないかなあって」
 仁 「誰にって、俺か」
 恵麻「うん」



98.「少女の殻を脱ぎ捨て」

 かすり「明日香ちゃん、大学合格おめでとう」
 恵麻 「頑張ったわね」
 由飛 「えらい、えらい」
 里伽子「おめでとう、明日香ちゃん」
 明日香「ありがとうございます、皆さん」
 かすり「ああ、でも初々しい女子校生の姿ももうすぐ見られなくなるのか」
 由飛 「それは少し残念」
 かすり「でも、まあ、今でも胸大きいから」
 恵麻 「そうね、非常識なほど」
 里伽子「うん、大きい」
 由飛 「そうだよね」
 明日香「え、え、何、このセクハラ空間。てんちょ〜」



99.「盲点」

 恵麻「うん、美味しい。ケーキ食べてると幸せ」
 由飛「ほんとに好きなんですね。三食ケーキにしちゃえばいいのに」
 恵麻「由飛ちゃん、今何て言ったの?」
 由飛「え、三食ケーキにしたらって。ご、ごめんなさい」
 恵麻「生地に野菜を練りこんだり、お肉だって何とか調理方法で。
    そうよ、甘くないケーキだっていいんだから。
    ああ、考えが広がる。うんうん」
 由飛「あのー、恵麻さーん」



100.「不在」

 玲愛 「うーん……」
 かすり「どうしたの、新入り。もうキュリオが恋しくなったのかなあ?」
 玲愛 「……」
 かすり「あれ、当たりなの」
 玲愛 「私がいなくてもお店回るんだなあって思って。ふぅ」
 かすり「あら、あらら、重症?」



101.「二人で朝を」

 由飛「おはよう、仁」
 仁 「おはよう」
 由飛「ええと、朝ご飯作るね」
 仁 「あ、嬉しいな。でも簡単でいいぞ」
 由飛「うん、ありあわせだから。えーとトーストでいいよね?
    コーヒーいれてサラダ作って、ヨーグルトも残ってると。
    そうだ、卵は茹でるかハムエッグにで…………お任せします」



102.「休日」

 恵麻「良し、いい具合。見て見て、仁くん」
 仁 「何をしているのかと思ったら、ケーキ焼いてたのか」
 恵麻「ただのケーキじゃないんだな、これが。クリームをねえ…」
 仁 「毎日あれだけ焼いててまだ足りないのか」
 恵麻「いつものはお仕事で、今日のはお休みの余暇に作ってるんだもの。
    全然別だよ」
 仁 「そうかなあ」



103.「好き」

 かすり「なんで仁くんてあんなに卵好きなんだろうね」
 里伽子「呪いね」
 かすり「…………呪い? え、真顔?」
 里伽子「恵麻さんがケーキ好きなのも呪い」
 かすり「ふむ。じゃあ、リカちゃんが仁くん好きなのは?」
 里伽子「それも、きっと呪い」
 かすり「なるほど」



104.「レンズ越しの」

 里伽子「え、仁、眼鏡好きなの?」
 仁  「嫌いじゃないぞ。少なくとも里伽子のは似合ってるし好きだな」
 里伽子「……馬鹿」
 仁  「なんだよ」
 里伽子「あたしの……馬鹿」(さらに噛み締めるように)



105.「力の限り」

 由飛「卵パーティ?」
 仁 「うん。存分に腕を振るって卵料理の数々を味わって貰うんだ」
 由飛「いつもので、まだ足りなかったの? 存分って……」



106.「同じ大学に」

 里伽子「合格おめでとう、明日香ちゃん。これ、お祝い」
 明日香「あ、ありがとうございます、里伽子さん」
 里伽子「明日香ちゃんが後輩になるのね」
 明日香「え。……そ、そうです。よろしくお願いします」
 里伽子「(何なの、この、全然考えてもみませんでしたって顔は?)」



107.「乗り越えるべき高すぎる壁」

 かすり「全然違う手順と分量で、なんで同じ味になるんだろう。
     これとこれとこれと。恵麻さん……」



108.「絶望」

 仁  「卵が尽きた……」
 かすり「この世の終わりみたいに、そんな台詞吐く人他にいないわね」
 


109.「ビジネス・ウォーズ」

 板橋「やっぱり、この時間はブリックモールにお客さん多いねえ」
 仁 「そう思ったら、店に戻ったらどうです。こんな所で油売ってないで」
 板橋「仁くんだって店から逃げてるじゃないか」
 仁 「俺は買出しの帰り。この両手の荷物を見てくれ」
 板橋「まあまあ。ゆとりは大切だよ」
 仁 「そもそもこんなに馴れ合う間柄なのか、ファミーユとキュリオ」
 板橋「既存有名店のネームバリューとか人脈、資本力を使って、君の店を潰そうと
    日夜手を変え品を変え……の方がいいかな?」
 仁 「それは勘弁して欲しいですけど」
 板橋「そういう場合、儲け度外視で安売り攻勢かけて競合店苦しめるのは、こっち
    の筈だよねえ。
    それで、弱小側が安売りでなくて起死回生の新メニュー編み出したり。
    何だか納得いかない。どう思う」
 仁 「はいはい(帰りたいなあ)」



110.「指」

 玲愛「何を集まっているのかと思ったら、どん引きする話大会? まったく。
    え、私。……そうねえ。
    子供の頃ね、姉さんがピアノ弾いてたんだ。
    私がどれだけ練習しても出来ないところをあっさりと弾くの。
    本当に聞き惚れるほど巧く。
    それが凄く妬ましくて、知らずピアノにそっと死角から近寄っていてね、
    弾いてるところで、ピアノの蓋を力いっぱい閉じようと。
    もうピアノなんか弾けなくなっちゃえって。
    たまたま、誰かが姉さんを呼んで演奏が止まったんで、私の動きも止ま…、
    え、あ、ちょっと、実話じゃないわよ。今考えた作り話なんだから。
    ねえ、そんな眼を逸らして後ずさりしないでってば。
    一等って、違うんだったら。そんな事する訳ないでしょ、ねえ」



111.「あるパターン」

 仁 「ごちそうさまでした」
 恵麻「お粗末さまでした」
 仁 「姉さん、料理うまいよなあ」
 恵麻「そうかな、これくらい普通でしょ」
 仁 「いや、ケーキ以外も結構なものだと思う。
    それにしても、良かったよ」
 恵麻「何が?」
 仁 「姉さんみたいなタイプは極端な料理ベタな場合があるから。凶器なみの」
 恵麻「そうなの?」(よくわからない)
 


112.「修羅場?」

 由飛 「ねえ、店長」
 仁  「店長?」
 由飛 「本店が再建しても、ここのお店は残るのよね?」
 仁  「ああ、そのつもりだ」
 由飛 「じゃあ、本店には誰を連れて行くの?」
 仁  「ええと」
 かすり「あ、わたしも知りたいなあ」
 明日香「うんうん。元のお店に戻すんだよね、てんちょ」
 由飛 「つまり、私は置いてきぼり決定?」
 仁  「ええと、ええと」



113.「only」

 里伽子「ケーキの事だけ考えている。ケーキの事しか考えていない。ケーキの事
     ばかり考えている。ニュアンスがそれぞれ違いますよね。
     恵麻さんはどれですか?」
 恵麻 「え? ええと」
 里伽子「お菓子職人としてはある意味美徳ですよ」
 恵麻 「そ、そうよね」
 里伽子「はい」
 恵麻 「でも、それ答えるとどうなるの?」
 里伽子「……さあ」



114.「視察」

 翠 「……」
 大介「……」
 翠 「あれ、本当に花鳥?」
 大介「だよなあ」



115.「この手に世界中の」

 玲愛「そう言えば、高村って良く出来たからってプリン配ったりするのよね」
 仁 「ああ、悪いか。本当に絶品のだな」
 玲愛「ストップ。別に文句じゃないの。
    独り占めしないで、人にあげちゃうんだって意外に思っただけ。
    自慢にするほど出来の良い卵菓子をね」
 仁 「変かな」
 玲愛「変じゃないけど、変な奴」
 仁 「何だよ、それは」



116.「昔袖を通した服に」

 明日香「今日からまたお願いします」
 仁  「ああ。でも、最初は大学も慣れてないんだから優先させるように」
 明日香「はーい。着替えちゃいますね」
 仁  「棚に前の制服置いてあるから」
 明日香「懐かしいなあ……、てんちょー」
 仁  「どうかした?」
 明日香「これ」
 仁  「う……。(前のだときついのか。でも太ったとか言ったらダメだよな。 
     いやいや、別に明日香ちゃん太ってないし。ウェストとかは平気だ。
     これは、そうか胸か、胸が大きくなってるのか。うん、凄いな。
     と、そこ見つめちゃまずいよな。エッチな意味ではないでもないけど。
     これだけ立派だと、そりゃ見てしまうよな。
     凄いな。前のあれよりさらにというとどれだけ……、イカン。
     何か反応返さないと。黙ってるのは拙い。
     おっぱい大きくなったんだと明るく。ダメだ。
     もしかしたらコンプレックスになってるかもしれない。
     そもそも凄いセクハラ発言だ。皆に何言われるかわからん。
     明日香ちゃん、大きくなったんだ……、何か変だ。
     胸と取られても拙い。けっこう、明日香ちゃん小悪魔だし。
     どうする、どうする……くううう)」
 明日香「また胸が大きくなったから、サイズ変えるね」(平然と)
 仁  「……ああ。足りなければ注文するから」

     

117.「でも味は黄身のが上だよね」

 仁 「よくさ、アスリートとかで黄身無しのゆで卵とか食べるって言うじゃないか」
 由飛「そうね、あとささみ肉とか。体作る為でしょ?」
 仁 「それ。白身だけ食べるのはいいんだけどさ」
 由飛「うんうん」
 仁 「残った黄身はどうしてるのかな」
 由飛「そうだねえ(下手に捨てるんじゃなんて言ったら激怒しそう)」
 


118.「姉妹」

 由飛「玲愛ちゃん、お待たせ。随分待った?」
 玲愛「そんなでもない。じゃあ帰りましょ」
 由飛「うん。…ああ」
 玲愛「どうしたの、姉さん?」
 由飛「こんな風に玲愛ちゃんと接する事が出来るようになって、嬉しいの」
 玲愛「まあ、いろいろとわだかまりがあったから」
 由飛「でも昔の玲愛ちゃんと、何だか違う感じだった。こっちで会って」
 玲愛「世の中には似たような人がいるんだって知ったしね」
 由飛「誰のこと?」
 玲愛「前の店の……ううん、何でもない。姉さんは姉さんだし」



119.「沈思黙考」

 仁  「……」

 恵麻 「さっきから考え込んでるの、仁くん」
 かすり「全然こっちに気づいてないわね」
 由飛 「何考えているんだろ、仁」
 里伽子「お店の事とかかしら」
 明日香「あ、そうだよ。てんちょだもん」

 仁  「にわとり飼おうかなあ」

 一同 「えっ!?」



120.「果て」

 仁「本店を再建したら……、そうしたら何をすればいいんだろう、俺。
   ……。
   まあ、まだまだ気が早い話だよな。
   さてと、今日も一日頑張ろうっと、うん、晴れたなあ」



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