パルフェ天抜き・五号店

作:しにを

 




 「パルフェ」と「フォセット」の絵無し4コマ漫画風の何かです。
 クリアしてるのを前提として、ネタバレとか気にしてませんので、
 未プレイの方は読まない方が無難かと思います。
 いえ、先にぜひプレイして下さい。
 と、一応の注意書き。








161.「姉と」

 玲愛「姉さん」
 由飛「ああ、感動。玲愛ちゃんにそう呼んで貰えるなんて」
 玲愛「う、うん」
 由飛「ね、もう一回」
 玲愛「……、姉さん」
 由飛「ああっ、玲愛ちゃん。ん……?」
 玲愛「ええと、どうしたの?」
 由飛「よく考えたらつまんないなあって思って」
 玲愛「……えっ?」
 由飛「わたしからは変わらないんだもん。
    玲愛ちゃんは玲愛ちゃんで、今までどおり」
 玲愛「なんだ」(安堵と呆れの混ざった声で)



162.「いつも一緒に」

 仁  「俺は、自分で思ってるよりずっとちっぽけな男だったんだな。
     ちょっと恋人が出来たら、途端にいつも何してるか気になってるんだ。
     他の男と話してるだけでやきもきして、ずっと自分の目の届くところに
     おいときたくなって、いっその事拘束してなんて考える始末。
     本当にダメだな……」

 里伽子「そうだけど、でも……、それはそれで」(自分に言うように)
 恵麻 「悪くないわよねえ」(呟き)



163.「義理の」

 紬 「仁さんがもうすぐ義弟になる。
    男の兄弟が出来るというのも、妙な感じですが嬉しいものですね」
 恵麻「うー」
 紬 「そうやって睨まれても、困ります。
    そちらさんは、可愛い義妹が出来たんだから、おあいこでは?」
 恵麻「でも、でも、でもー」
 紬 「まさか、うちのかすりは可愛くないとでも?」(笑顔)
 恵麻「い、いえ、めっそうもございません」
 紬 「それなら、よろしいですけど」



164.「省みて」

 里伽子「勝負に参加しなかったんだから、勝ち負け以前の問題よね。
     それは自分でもわかってる。わかってるけど……」
    (結婚式の招待状を弄びつつ)



165.「買い物とか」

 仁  「メイド服の女の子が普通にそこらの店にいて、あまり違和感なくなって
     きたなあ。慣れなのか、ブリックモールの雰囲気なのか」
 里伽子「両方じゃないかしら」
 かすり「前は出掛ける時に大変だったけどねえ」
 明日香「うんうん」
 恵麻 「ん……、ちょっと疎外感が」



166.「いろんな事があったけれど」

 仁 「子供の頃からずっと欲しかったものが手の中にあるんだな、今」
 恵麻「奇遇ね。わたしもだよ、仁くん……」



167.「姻戚」

 由飛「仁がわたしの義弟になるのかあ。
    わたしがお姉ちゃん……、うわあ、変な感じ」
 仁 「何だか理不尽な感じがするのは、何故なんだろう」



168.「かっぱえび」

 恵麻「どうかしら、新しいクッキー。
    食感と後味に徹底的にこだわってね、味も幾つも用意して。
    一度食べだしたら止まらない、をコンセプトにしたんだけど。
    ……効果ありすぎた?」



169.「練習はちゃんとしてますよ」

 由飛 「ピアノも面白いけど、他にも面白いものはいろいろあるし。
     そればっかやりたくなーいーーー!」

 かすり「天才の傲慢?」
 仁  「単なるキャラクターだろう」



170.「あにいもうと」
 
 恵麻「仁くんの妹でも良かったかなあ」
 仁 「それはどうだろう……、いや、案外それって」
 恵麻「ね?」
 仁 「ああ」

 明日香「……何を言ってるんだろう、あの夫婦」
 かすり「そうね」
 由飛 「うん」



171.「意外な盲点」

 仁  「ひとつ気づいた事がある」
 恵麻 「何、仁くん?」
 仁  「ファミーユとキュリオの差」
 かすり「そんなの、いろいろあると思うけど」
 仁  「まあ、そうなんだけど、聞いてくれ。
     ケーキは決して負けていない。従業員のサービスも負けてないと思う」
 由飛 「じゃあ、何?」
 仁  「コーヒーとか紅茶」
 明日香「それが何?」
 仁  「もちろんファミーユだってけっこう上質の豆や茶葉を使っているけどさ、
     淹れるのが凄く得意だって人いる?」
 一同 「……言われてみれば」
 


172.「女の園」

 仁「恋人になってから、小姑がいっぱいいるみたい……か。
   なるほど」



173.「旅の途中」

 里伽子「ねえ、仁」
 仁  「なんだ、予約した旅館まではもうちょっとだと思うぞ」
 里伽子「それはあたしも道は確認してるから。
     そうじゃなくて、部外者が慰安旅行に参加していいの?」
 仁  「誰も文句どころか、違和感もないみたいだけど?」
 里伽子「まあ、そうだけど。いいのかしら、これは……」
 仁  「いいじゃないか。コースも予約も里伽子のアドバイスだし。
     正直、ぎりぎりで旅行の企画始めただろ。もう万事休すと
     思ってたから、ほんとに助かった」
 里伽子「そこで助けちゃうのがダメなんだろうなあ」(小声)



174.「はじまり」

 仁  「あの時、俺がせんべいが食べたいとか、カレーが食べたいとか言ってたら、
     変わっていたのかなあ……」
 かすり「どうしたの、仁くん、遠い目をして」
 由飛 「ええと、どうして恵麻さんがケーキ作り始めたのかって訊いたの」



175.「鷹爪」

 仁 「そう言えば、川端さんの事がうちで話題になったよ」
 瑞奈「え……、あのう、ファミーユでですか?」
 仁 「ああ。川端さんって玲愛と一緒に本店から派遣されて来たじゃない」
 瑞奈「まあ、そうですけど」
 仁 「玲愛がああなんだから、きっと川端さんも凄いに違いないって」
 瑞奈「ええと……」
 仁 「板橋さんはあんなだし、玲愛は有能だけど暴走するところもあるから、
    何かあった時に手綱を握る隠れた実力者という推測になったけど」
 瑞奈「ええと、ええと……、ギブアップ?」



176.「恋するが故に」

 仁 「ときどきさ、何と言うか、玲愛って馬鹿だよな」
 玲愛「でも、そこが可愛いでしょ」
 仁 「うん」
 玲愛「え……」



177.「戦力外」

 由飛 「仁がわたしを選んでくれたら、もれなく可愛い妹がついてくるんだから」
 仁  「うっ、それは……」
 かすり「それ言うなら、わたしだって、綺麗な着物姿のお姉さんがついてくるもん」
 仁  「それも、凄く……」
 明日香「うう……、わたし一人っ子……」

 瑞奈 「あれ、玲愛は参加しないの?」
 玲愛 「しないわよと言うか、出来ないわよと言うか」
 瑞奈 「お姉さんいるのよね?」
 玲愛 「だから何よ?」



178.「勝利へ通じる道」

 里伽子「ゴールを定めて、そこに至る為の方法を幾つも考えて、その中で
     最も実現性のある選択をして、後は進捗をきちんと計って勝利を
     勝ち取る。
     そういう流れで出来る事は、ある意味簡単だし性に合っているん
     だけど……」
 仁  「それ以外のものもあるんだ」
 里伽子「ええ、あるのよ。難しいわね」(微笑)



179.「本場の技術」

 仁 「姉さんは外国に行こうとかは思わない?」
 恵麻「外国?」
 仁 「ああ。本格的にケーキ作りの修行をしに留学って事だけど」
 恵麻「仁くんも一緒に来るの?」
 仁 「いや」
 恵麻「じゃ、無理」



180.「言葉だけだけど」

 里伽子「結婚式のメッセージ?」
 かすり「うん。顔を出してはくれないでしょ」
 里伽子「……」
 かすり「でも、何もないんじゃ寂しいかなと思って」
 里伽子「……」
 かすり「あ、でも、やっぱり酷だよね。
     ごめん、リカちゃん……帰るね」
 里伽子「え、待って」
 かすり「そうだよねえ」(見透かした表情で)
 里伽子「悪いかしら」
 かすり「全然」(一転、いたわるような表情で)



181.「縄地獄女の滴り」

 かすり「仁くんが無体にもわたしを緊縛して思うままに体を貪ろうとした時に、
     紬姉さんと父さんが部屋に来たじゃない」
 仁  「前半に訂正を要求したいけど、あったな。
     何か言ってきたか、やっぱり」
 かすり「別に特には。でも、あれから紬姉さんに会うと妙に機嫌が良いの。
     何だろうね」
 仁  「何だろう。でも、どうしてかは訊けないよな」
 かすり「うん」



182.「故郷の味」

 由飛 「あー、やっぱり日本はいいなあ。ご飯美味しいし」
 かすり「普段どんなのを食べてるのよ」
 由飛 「みんな、いろいろと連れてってくれるんだけどね」
 明日香「ふうん。例えば?」
 由飛 「ええと、何だったかなあ。ウィーンではねえ……」
 
 恵麻 「……ふうん」
 仁  「由飛がどうかした?」
 恵麻 「出てくるレストランとかケーキ屋さんとかの名前ね、
     一生に一回くらいは行ってみたいなあって思うような超名店ばかり」
 仁  「そうなの?」
 恵麻 「星三つで満点だけど、特別に五つあげよう! ……みたいなお店。
     そこより、わたしのケーキのが美味しいと本気で言ってくれるのは
     嬉しいんだけど」
 仁  「なるほどね」
 
 

183.「一曲いかが?」

 かすり「ぁぁぁあーーーひーとぉーーー♪
     お粗末さまでした」
 明日香「うまかったよー」
 恵麻 「うん、聞かせる感じ」
 かすり「ピアノ伴奏付きだとそれなりに聞こえるのよ」
 由飛 「弾ける曲は限られちゃうけどね。次は何弾こうか?」

 玲愛 「世界的に認められてんのよ。リサイタルとかしたら、お金払って
     聴きに来る人達がいてねー。それを……」
 仁  「まあ、いいじゃないか。みんな喜んでるし」
 玲愛 「そうなんだけど、うー」



184.「財政再建」

 里伽子「手っ取り早くて確実な方法はひとつあるわよ。
     喫茶形式をやめて純粋なケーキ屋に変更する。
     当然、今よりずっと店員数は削減となるわね。
     それじゃ意味はない……、ええ、その通り。
     恵麻さんを立ち直らせて天職につかせるのが目的なら、
     そういうやり方もあったという選択の話。
     ……そんな言い方だと少し考え込むんだ、仁は。ふうん」



185.「依頼」

 玲愛「はい。さっさと持ってきなさいよ」
 仁 「あ、ああ。
    ……あのさ、今、俺と花鳥は喧嘩中だよな」
 玲愛「ええ。正直、あんたの顔なんて一瞬たりとも見たくないわね」
 仁 「でも、約束通り用意してくれたんだ」
 玲愛「当たり前でしょう。今日渡すって約束してたんだから」
 仁 「……そうか。そういう奴だよな、おまえ。
    とりあえず、ありが…」
 玲愛「ふん」(皆まで聞かず店を出る)
 仁 「そうか……。
    今回はこっちから折れるかな」



186.「よりどりみどりですが」

 板橋「仁くんってさ、若い綺麗な女の子周りに侍らせているけど」
 仁 「訂正を求めたいんだが」
 板橋「でも、つき合うとしても大変そうな子ばかりだよねえ」(しみじみと)
 仁 「何故だろう、今、板橋さんと初めてわかり合えた気がする」
 板橋「うーん?」



187.「白い巨塔」

 恵麻「今だから言うけどね、仁くんの結婚の話聞いた時凄いショックだったの」
 仁 「う、うん。そうだろうなとは思う」
 恵麻「それでね、夜中に気がついたら……」
 仁 「気がついたら?」
 恵麻「一心不乱でウェディングケーキ作ってた。こーんな大きいの」
 仁 「そ、そうか。それは、その、何と言うか……、ごめん」



188.「Only you」

 かすり「どうせ、わたしは男の人は仁くんとしかつきあった事無いし、
     初めても仁くんで、他の人なんて知らないし、結婚相手も仁くん一人だし、
     今までやったすっごい事もぜーんぶ仁くんからだけですよーっだッッ。
     馬鹿にするなら、してくれていいんだから」

 由飛 「それはそれで」
 明日香「羨ましいというか、眩しいと言うか」
 玲愛 「うんうん」



189.「持つ者、持たざる者」

 仁 「あの、玲愛、出来れば姉さんとはうまくやって欲しいんだけど」
 玲愛「やってるじゃない」
 仁 「いや、いやいや。あれはちょっと違う」
 玲愛「言っとくけど、経営面については退く気は無いわよ。
    でもまあ、他はもう少し譲歩して、衝突を減らせるようにする」
 仁 「へえ」
 玲愛「何よ、その意外そうな顔」
 仁 「だって、玲愛っておよそ融通きかなそうだから」
 玲愛「まあ、最終的にして絶対的な勝者は私だから、少しは配慮しないと」
 仁 「何に勝ったんだ?」
 玲愛「ばか」



190.「家族の絆」

 玲愛「前に、私が休んだ時に姉さんが代わりしたでしょ」
 瑞奈「ああ、あったわね」
 玲愛「どんなだった? 本人いわく立派に務めたそうだけど」
 瑞奈「そうねえ。玲愛って家族愛が強い方かな」
 玲愛「普通……かな」
 瑞奈「それじゃ、玲愛のお姉さんだって配慮して話した方がいいよね」
 玲愛「……その言い方で見当ついた。やっぱり」
 瑞奈「でも、ちょっと嬉しそうなんだ」(小声)



191.「両雄並びなんとか」

 かすり「リカちゃんと玲愛ちゃんが組んだら凄そうだよね」
 仁  「それは手強そうだよな」
 かすり「でも、並んでる姿が想像できない」
 仁  「うん」



192.「トラウマ」

 玲愛「今更だけど、私だってそれなりに心の傷だったんだからね」
 仁 「うん?」
 玲愛「発表会で演奏失敗して逃げ出して……。
    その曲を練習しろって、よくよく考えると酷い事させられてる」
 仁 「そうだな。その通りだ。
    すまなかった。でも、他に方法がなかった」
 玲愛「わかってるわよ。
    ただ、時々文句言いたくなるだけ、あんたと姉さん見てると」
 仁 「む……」



193.「姉と弟の終わった後で」

 仁 「煙草、やめたんだ」
 恵麻「そうなんだ。そうか……」
 仁 「やっぱり料理人として、喫煙しない方がいいからな」
 恵麻「え、そんな理由?」
 仁 「そうだけど?」



194.「怒髪」

 明日香「玲愛さんて結構怒ってる時に顔に出るんだよね」
 かすり「そうだよね」
 明日香「じゃあ、今は本当は怒ってないのかな」
 かすり「そうなのかも」
 明日香「それでいて、あんな事言っちゃうんだ。勢いでなくて」
 かすり「それはそれで怖いね」



195.「強くならねばならなかった」

 里伽子「仁が思ってるほど、あたしは強くなんかないわよ」
 仁  「そうか?」
 里伽子「嘘だと思う?」
 仁  「うん」
 里伽子「……冗談よ」(ため息)
 仁  「?」
  


196.「瓦解の土地として塩を撒くまで」

 玲愛「まだ、貼ってあるんだ、打倒キュリオって」
 仁 「い、いいだろ。ウチの目標なんだから」
 玲愛「文句言う筋合いはないけど。
    キュリオ打倒と掲げるからには、三号店をブリックモールから撤退
    させるまで あらゆる手を尽くす訳ね」
 仁 「いや、そこま…」
 玲愛「こちらで採用されたスタッフは解雇されて仕事を失う。
    本店や二号店は経営計画に狂いを生じさせておかしくなっていく。
    そこまでいかなくても、板橋店長や瑞奈や私は戻っても肩身が狭い
    思いをさせられる。人間関係に悩んで、お店を辞めるかもしれない。
    まあ、そんな事はどうでもいい事よね、高村店長としては」
 仁 「……」



197.「教える」

 恵麻 「良く出来てるわねえ。凄く美味しい」
 かすり「本当ですか、嬉しい。恵麻さんに褒められた」
 恵麻 「どうやって作るのか教えて欲しいくらい」
 かすり「はい。ええと、スポンジはいつもより堅めにしておいて、
     苺を潰したら〜中略〜で、クリームを薄く削いで出来上がりです」
 恵麻 「ええと……、ね、実際に作ってもらってもいい?」
 かすり「はい。まだ材料はあるから、これとこれで……。
    (説明できない人は、説明だとわからないか……、なるほど)」



198.「悪」

 明日香「絶対にてんちょに出来ない酷い事?
     そうだなあ、恵麻さんのケーキを目の前で地面に叩きつけるとか。
     こんなのは食べ物じゃないとか言って」
 仁  「……」
 明日香「まだ、生易しい?」
 仁  「イイエ、ジュウブンデスヨ、アスカサン」



199.「ホワイトデーの朝」

 玲愛「はい、頼まれてたやつ」
 仁 「うん、ありがとう。ひい、ふう、みいと。確かに。ほい、代金」
 玲愛「……別に私がとやかく言う事じゃないけど。
    ホワイトデーの贈り物、ライバル店で買うのってどうなのよ」
 仁 「だってさ、買いに行ってる暇ないんだから仕方ないだろ。
    ファミーユのクッキーとか貰ってもあまり嬉しくないだろうし」
 玲愛「まあ、それはそうかも」
 仁 「ファミーユを外せば、キュリオになるからなあ、この辺りでのベスト」
 玲愛「まあね。ファミーユ入れたってうちがベストだけど」
 仁 「ともかく、開店前に用意してて貰って助かった」


200.「ホワイトデーの朝2」

 仁 「さてと、みんなに義理チョコのお礼配らないとな」
 玲愛「うん」
 仁 「それから、これ」
 玲愛「何よ」
 仁 「だからホワイトデーのお返し。
    玲愛もくれただろ?」
 玲愛「う、うん。でも、私が頼まれた数だと……」
 仁 「だから、自分の店の商品貰っても嬉しくないだろ。
    玲愛にはファミーユ特製のをさ。ナンバー2の店で悪いけど」
 玲愛「ん……、あ、ありがと」
 


≪蛇足≫ 前回まで、仁⇒卵ネタばかりだったので、今回は使いませんでした。
     こんなに苦労するとは思わなかった……。



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