『天抜き・桜乱舞』
TM公式の人気投票での応援SSの中に紛れ込ませたものです。
少し見直し手直ししたものを再掲載いたします。
1.「住まう者」
桜「いつの間にか、先輩がこの家に住んでいた時間に、わたし追いついて
しまいましたよ?
このままだと、もう追い越してしまいます」
2.「料理」
桜 「先輩は、他にする人がいないから料理始めたんですよね」
士郎「まあ、そうだな」
桜 「じゃあ、料理作ってくれる人がいたら、しなくていいですね?」
士郎「えーと」(エプロン姿の桜を見つつ)
桜 「わたし、だいぶ料理上達しましたよ?」
士郎「それはそうだけど、桜にばかり料理させるのは申し訳ないというか。
もちろん、桜の作る料理は美味しいけど、その……」
桜 「冗談です。わたしだって先輩の作るお料理食べたいです。
早く始めましょう、先輩」
士郎「ああ」
3.「キレイナモノ」
桜「先輩は綺麗。
私には眩しく見える。触れる事は出来なくても、見てるだけで、傍に
いられるだけで嬉しい。
姉さんも……、凄く綺麗。
何でも出来て、いつも前を見ていて、輝いている。
その綺麗な二人は、お似合いだと思う。
でも、それが嫌で堪らないわたし。
わたしの心は、綺麗ではない……」
4.「傷ついて欲しくないから、傷つける」
桜「あの時、本当に先輩を家から出れないようにしていたら……。
そうしたら、どうなってたんだろう」
5.「まったくだ」
綾子「基本的に可愛いし、あんなすっごい体しているだろ。
料理とか家庭的な面も出来て武器になってて。
なんで、遠坂に負けたんだ?」
6.「家」
凛「そろそろ、遠坂姓に戻さない?」
桜「遠坂……、ありがとう、姉さん。でも、間桐のままでいます」
凛「そう、残念だわ。でも、何故?」
桜「今変えても馴染めるまで時間が掛かりますし、それに……」
凛「それに?」
桜「先輩が戻ってきたら、また姓が変わりますから」
凛「ふうん、言ってくれるわね。
なら、気の済むまで待ちなさい。あいつが戻ってくるまで」
桜「はい」
7.「朝の目覚め」
士郎「桜が来る前に自分から起きるか、寝過ごして起こされるか。
その二つだったんだよな、今までは。
俺が先に目を覚まして起こすってのは、新鮮だ。
でも、もう少し眺めていようかな、……桜の寝顔」
8.「あなただけの為に」
桜 「いつか、先輩だけの為にお料理したいです」
士郎「でも、うちには藤ねえとかいろいろいるからなあ」
桜 「そういう意味じゃありません」
9.「こすちゅーむ」
士郎「アノ、サクラサン?」
桜 「はい、先輩?」
士郎「その格好、何?」
桜 「え、あの、先輩がお好きだと聞いたので」
士郎「誰に。というか、なんでブルマ」
桜 「ええと。でも、体育の時に普通に穿いてますし」
士郎「そうか、そうだよな。
でも…………、反則だ、それ」
10.「説明を求めます」
桜 「先輩のお父様のお知り合いの娘さんって言ってましたよね」
士郎「ああ」
桜 「どうして遠坂先輩の家で暮らす事になるんです?」
士郎「それは……」
桜 「それならそれでいいですが、結局この家に入りびたりで、
なおかつ遠坂先輩まで一緒に。どうしてです」
士郎「ええと……」
桜 「どういう事なのか教えて下さい、先輩」
士郎「だから、その……、遠坂がマ…いやいや」
桜 「……」(威圧ある瞳)
士郎「うーん……」
凛 「わたしから説明してあるのに。桜、恐ろしい子……」
11.「みだらなゆめ」
桜 「姉さんを使うだなんて何考えてるの。
今度は、わたしにしなさい」
ライダー「はい、桜」
激するままに叫んだが、後で冷静になり悶絶。
12.「おにぎり」
士郎「どうした、桜?」
桜 「何でもないです」(物思いから、慌てて手を動かす)
士郎「うまく握れるようになったよな」
桜 「は、はい」(嬉しそうに)
13.「この世界の伝統」
桜「どうして、どうして」
凛「何、その顔は?」
桜「姉妹なら、妹の境遇が恵まれる筈なのに……」
14.「この世界のもう一つの伝統」
凛「でも良かったじゃない」
桜「何がです」
凛「だって、桜は慎二と兄妹でしょ?」
桜「それは……」
凛「本当だったら、妹との身でありながら兄に……」
桜「ああッッ、嫌ァァッッ」(打ちひしがれる)
15.「18禁はダメだそうなので間接表現で」
士郎「ふうん、桜が……、満開だね」
桜 「!!! せ、先輩の馬鹿ッ」(真っ赤)
16.「包丁と鍋の音に混じって」
桜 「ねえ、先輩」
士郎「うん?」
桜 「やっぱりわたし、料理って楽しいと思います」
士郎「そうかな」
桜 「はい」
17.「最大の調味料がね」
藤ねえ「……んんっ?」
桜 「……あれ」
藤ねえ「うーん、美味しいんだけど」
桜 「何かもうひと味足りないですね。
いつもと作り方変えたりはしていないんですけど」
藤ねえ「桜ちゃんなら、そうそう失敗しないものねえ。
あ、そうだ、わかった。士郎がいないからだ」
桜 「え?」
藤ねえ「うんうん。なるほどね。おかわり」
桜 「は、はい」(頬が染まったのを隠すように慌てて)
18.「夜の夢」
桜 「ええと、その……、この前は、いきなりだったから。
びっくりしたし、余計な事しないでって怒ったけど、その、
あのね、もう一回…………。
だから、先輩……、わたしの…………ええと」
ライダー「要は桜に士郎の夢を見せれば良いのですね?」
桜 「……………………うん」(小声)
19.「下向きでたぷんとさせるのも凄いと思う」
凛「う、水着になったら胸はっていない、桜?」
桜「別に何も変わりませんけど、姉さん?」(微かな優越感を漂わせ)
20.「体重計などいりませんよ」
藤ねえ「ああ、最後のひとつを。
桜ちゃん、酷い……」
桜 「先生はもう幾つも食べたじゃないですか」
藤ねえ「最近いっぱい食べてるもの、桜ちゃん太っちゃうんだから」
桜 「な……」(不安そうな表情に)
士郎 「うん? 桜なら別に体重に変化ないぞ」
桜 「そうですよね」
藤ねえ「そうなんだ(……なんで、士郎が即答?)」
21.「遠くにあればね」
士郎「桜って確か遠坂に憧れてたとか話してたよな」
桜 「少し違いますけど……、そうです。
勉強も運動も何でも出来て。
何より強くて輝いていて、それに綺麗だし……」
士郎「でも、遠坂に似ていると言われると、一瞬嫌そうな顔するんだな」
桜 「え?」
士郎「自覚なしの反射行動か。なるほど」
22.「せめてもの仕返し」
桜「姉さんの足音が近づいてくる。
魔術師としての務めを果たしにくる。
……。
いいわ、恨み言も泣き言も言わない。
まったくの無抵抗で刃を受けましょう。
それがわたしの姉さんへの……」
23.「任務完了」
黒桜 「……。遅かったのね」
黒セイバー「すみません、桜。思ったより時間が掛かりました」
黒桜 「そう……」
黒セイバー「桜の命令を果たしました」
黒桜 「先輩は……」
セイバー 「命じられた通りに、間違いなく」(正面から)
黒桜 「……」(何か言いたげに、しかし何も言えずに)
24.「外への説明」
凛「だから、その……、言葉の綾と言うか。
説明するのに楽だから。
……。
悪かったわ、謝る。
不用意にセイバーのこと、妹みたいなものって言うんじゃなかった。
もう言わないから、そんな傷ついた顔で見ないでよ。ね、桜?」
25.「ダブリました」
士郎「一応は同学年だしさ、教室で先輩と呼ぶはちょっと」
桜 「うーん、そうですよね。
じゃあ、衛宮さん、衛宮くん。ああ、ダメです。
士郎さ……、これも言えない。
やっぱり先輩は先輩です。他のはダメです」
士郎「う、うん。俺も何だか恥かしかった」
26.「■■ダッタモノヲミツメテ」
桜「本当に、先輩にならいいかなって思っていたのに。
ごめんなさい、ごめんなさい。
こんな事になるのなら、教会で姉さんに殺されれば良かった。
でも怖くてできなかった。
ごめんなさい、先輩……」(視界を曇らせながら)
27.「あらゆる敵を打ち払って後」
黒桜「先輩のいない世界なんて、もう、滅んじゃえ。
わたしごと、滅んじゃっていい」」
28.「悋気」
桜 「ライダーって美人ですよね」
士郎「そうだな、見惚れるなあ」
桜 「背が高くてスタイルもいいし」
士郎「うんうん」
桜 「胸も大きいし」
士郎「ああ」
桜 「……」
士郎「それが、どうしたの?」(どうでもよさそうに)
桜 「いえ、ごめんなさい、先輩」
士郎「うん?」
29.「幾つかは代替わりしている」
桜「よし、洗い物もおしまい。
……そう言えば、いつ頃からだったろう。
わたし用のお茶碗とか揃えてくれたの」
30.「何もない食卓で」
藤ねえ「えええーーッ、なんで朝ご飯ないのよ」
士郎 「だから、寝過ごしたんだって。
いや、一度目は覚ましたんだけどさ、凄く寝心地良くてさ。
暖かくて柔らかくて、もう少しだけと思っているうちに……」
藤ねえ「むう。桜ちゃんは?」
桜 「わ、わたしも今日は寝坊しちゃったんです。
起きたんですけど、起きられなくて。……嬉しかったし」
藤ねえ「もう、何で二人揃って。うー、お腹すいたよう」
士・桜「……」(見詰め合って、共に頬を赤く染めて)
31.「とある日常の姿の」
桜 「ん? 先輩、どうかしましたか?」
士郎「ああ、桜を眺めてた」
桜 「な、なんでですか」
士郎「俺の前では笑顔だったけど、あれは笑ってなかったんだなって。
今の桜見てたら、よくわかったから」
32.「心に刻む」
凛 「でも、桜にされた事、全部憶えているから」
桜 「奇遇ですね、わたしもです。姉さん」
凛 「そう、ふふふ」(楽しそうに)
桜 「はい」(曇りない笑顔で)
士郎「やっぱり、姉妹なんだなあ……」
33.「あの日のリボンのお返しに」
凛「うん、綺麗よ、桜」
桜「ありがとう、姉さん」
凛「幸せになりなさい。
ま、あいつは一生懸命桜を幸せにするだろうけど」
桜「はい。もう充分すぎるほど幸せにして貰いました」
凛「ブーケ、狙っているからね」
桜「ちゃんと姉さん目がけて投げますよ」
凛「そろそろ、始まるわね。行きましょう、新婦さん?」
34.「覗き込む顔」
士郎「ふぁ……、ん、桜?」
桜 「おはようございます、先輩」
士郎「おはよう。起こしてくれれば良かったのに」
桜 「気持ち良さそうに眠ってましたから」
士郎「人の間抜けな寝顔見てたなんて、桜も人が悪いな」
桜 「え、ええっ?」
士郎「冗談だよ。さてと朝食作ろうか」
桜 「はい。……あっ」(よろめく)
士郎「っと。どうした、桜」
桜 「正座してたら足が痺れちゃいました」
士郎「なんだ。(……って、どれくらい前からいたんだ?)」
35.「気になります」
凛「ふうん、そんな感じなんだ。
あんまり恋人のデートって雰囲気じゃ無さそうだけど。
ま、あの二人が楽しいんなら、いいのかな。
報告ありがとう、ライダー。
見張りはもういいわ。え、個人的に興味?
じゃあ、続行の方向で」
36.「朝、やって来た時に」
桜「ただいま」(門をくぐりつつ、小声で)
37.「重いだろう、そっちは俺が持つよ」
士郎「こうやって二人で買い物してると」(独り言めいて)
桜 「新婚さんみたいですよね」(間髪入れずに)
士郎「……」
桜 「……」
士郎「桜も同じ事考えてたんだ」
桜 「は、はい」
38.「名前」
桜「衛宮桜、うん、ぴったりとはまります。
衛宮凛だと、こうはいきません」
凛「そうね。わたしもそう思うわ。賛成」(あっさりと)
桜「え、姉さん?」(戸惑って)
凛「遠坂士郎、これならいいわね。まったく問題無いわ」
桜「なっ」
39.「落ちてたので拾ったそうです」
藤ねえ「ほら、これ……」
凛 「うわあ」
イリヤ「大きいわね」
藤ねえ「本物見るより、凄いよね」
凛 「そうですね、生々しいと云うか、うーん」
桜 「あれ、皆さん、どうなさっ…、私のブラに何をッッッ」(真っ赤)
40.「ひとり遊び」
桜「一時の慰め、ずっと付き纏う罪悪感……。
もう、それすら逆転している。
罪悪感すらむしろ快感になって……、なんて……あさましい。
……ごめんなさい、先輩」
41.「料理だけは」
凛「あ、いい匂い。
ふうん、全部中華なんだ」
桜「ええ。そうです」
凛「どういう意味かしら?」
桜「さあ?」
42.「日常の光景」
士郎「……」
桜 「どうしました、先輩?」
士郎「うん、女の子がこの家で料理しているのを見るとさ、
時々不思議に思える」
桜 「そうですか?」
士郎「ああ。それで、もっと不思議なのが」
桜 「不思議なのが?」
士郎「時々しか不思議に思わない事かな。
すっかり桜がいるのが当たり前になってるんだな」
43.「待つ人」
桜「もう、夜に先輩が出掛けるのを心配しなくていいんですね。
傷ついて帰ってくるのを見なくていいんですね」
大切そうに、本当に大切そうに冷たい体を抱きしめて。
44.「クッキングタイム」
桜 「で、それからこうやって」
士郎「なるほど、ああ、色づきがまるで違うな。
それにしても……」
桜 「はい?」
士郎「桜に料理を教わるようになるとはなあ」
桜 「あの……、先輩?」(心配そうに)
士郎「こういうのも悪くないな。
ずっと自己流でやって来たし、何だか嬉しい」
桜 「はい。……わたしもです」
45.「快晴」
士郎「家事手伝ってくれるのは嬉しいんだけど」
桜 「はい?」
士郎「洗濯は、その、特に……」
桜 「とりあえず、終わってから聞きますね」(平然と下着を干す)
士郎「いや、いいや。言うだけムダっぽい。残りすませよう」
桜 「はい。……なんだろう?」
46.「心の中」
桜 「ライダーは先輩の事、どう思っているの?」
ライダー「……ご命令であれば言いますが、わたしは桜の気分を害する
真似をしたくないです」
桜 「え……、いいわ、言わなくて」
ライダー「感謝します、桜」
桜 「(どっちの意味だろう。悪い評価なの、それとも……?)」
47.「士郎殺害リストを眺めて」
桜「あれ、でも意外とわたしが直接手を出したの少ない……」
48.「恨みます」
桜 「……」
士郎「ごめん、謝るから。非難するなら、お願いだからせめて
ちゃんと言葉にしてくれ」
桜 「…………はい」
49.「新都でデートです」
士郎「(しかし、雰囲気変わって、前より人目引くようになったよな、桜。
実際、気のせいでなくて、こっち見てる奴が次々出るし。
なんだか不釣合いに見えるかなとか、ちょっと思っちゃうな。
あ、本当に綺麗だ、桜。見違えるなあ)」
桜 「どうしたんです、先輩?」
士郎「うん、何でもない。
腕組もうって言ったら、桜どうするかなあって思って」
桜 「え、腕。え、ええっ。
はっ、ははいいっ」(すっかり動転で目を丸く)
士郎「……こういう処は桜だな、やっぱり」
50.「櫻舞う空の下で」
桜 「お花見ですね」
士郎「お花見だな」
二人、万感の想いを胸に。
END
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