『天抜き』 〜ワセ柿〜 

作:White Snow

 



『天抜き』 〜ワセ柿の空干し〜 (投稿日:2004/10/05)


 1. 安普請

 黒桐「冷えてきましたね、所長」
 橙子「ん。隙間風が涼しいな。……くしゅん!」

 黒桐「強がり言ってる場合ですか!」



 2. 火の用心

 鮮花「待ちなさい、式!」
 式 「火遊びは火傷の元だぞー」

 橙子「……いくら寒くても事務所を焚き火にして暖まるわけにもいかん。止めて来い、黒桐」
 黒桐「ハハ、僕が二人を止めるなんて無理ですよ」
 橙子「大丈夫だ、黒桐。お前がキスの一つでもしてやれば大人しくなるさ」

 鮮花「――さあ、兄さん、カモン! 優しくて深いのをお願いします!!!」
 式 「――その時は、切り刻んでやるからな、コクトォ〜!!!」
 黒桐「た、助けてください、って……所長?」

 橙子「……これで事務所の安全は守られたな。良かった、良かった」
 黒桐「僕の命が守られていないですよ!」



 3. 赤とんぼ

 霧絵「とんぼさん、いっしょに飛びましょー♪」

 洗脳探偵「ぐるぐる〜。あなたを、めまいです」
 霧絵「――ぐるぐる〜」



 4. 夕日 〜失恋慕情〜

 鮮花「――フ。夕日が、眩しいわ」

 黒桐「イモあるよ」
 鮮花「……すんすん。ムード台無し」



 5. 夕日 〜総体の思い出〜

 藤乃「……いつまでも忘れませんから、先輩」

 黒桐「イモあるよ」
 藤乃「…………先輩、新しい思い出にしますね」

 黒桐「え? 食べずに記念にする? な、何で?」



 6. 夕日 〜真っ黒なカラス〜

 式 「……カラスは、何で鳴くんだろうな……?」
 黒桐「家族のことを思って鳴くんだよ、確か」

 式 「……そ、そうか。家族のことを、思うのか。…………家族か」
 黒桐「? 式、何でそこで僕を見て照れるの?」



 7. 夕日 〜情熱〜

 大輔「ああ、愛しの橙子さん。僕の女神様! ジュッ、デーム!!!」

 橙子「――! 鮮花、何か寒くないか?」
 鮮花「そうですか?」
 式 「寒いみたいだぞ、黒桐」

 黒桐「そ、そんな!? 一晩中考えた、とっておきだったのに……」



 8. 夕日 〜決闘〜

 橙子「安心しろ、青子。貴様には土下座して『ごめんなさい、お姉さま。生まれてきて、
    ホントーにゴメンなさい!』と世界の皆々様方に詫びるまでは、生かしておいてや
    る。慈悲深い姉に感謝しろ」
 青子「はっ! 姉貴こそ、そのたるんだ体はそろそろ換え時でしょ、手伝ってあげるわ。
    大変だものねー、逝(い)かず後家は」

 橙子・青子「オホホホ」

 橙子「――今すぐ死にたいらしいな、アオアオ!!!」
 青子「――その名で呼ぶなっつてんでしょ、ミカン色のくせに!!!」

 ジャッジマン「――レディ、ファイト!」



 9. 紅葉

 橙子「お前を見ると、秋が来たことを実感できるなぁ、うむうむ」

 アルバ「――Why?」



 10. 墓参り

 黒桐「安らかに成仏してください。南無」
 荒耶(……感謝するぞ)

 式 「供える花が彼岸花なんてな……」
 黒桐「あの人が好きな花かな、と思ってね」
 式 「……イメージそのままだよな」

 荒耶(……彼岸花。花言葉は、『悲しい思い出』だそうだが)



 11. 秋隆、秋を語る

 秋隆「秋は好きですね。『葉隠れの術』で、お嬢様の尾行に最適で――」
 式 「――その身、落ち葉のごとく散らしてやろうか?」

 秋隆「執事忍法『変わり身の術』!」
 黒桐「な、なに人の後ろに隠れてんですかっ!?」

 秋隆「はは、お嬢様。黒桐様といっしょに二人羽織などしてみましょうか」
 黒桐「うわわっ! 勝手に人の腕でファイティングポーズしないでください!」
 式 「くっ、卑怯な秋隆! それに黒桐とそんなにくっつくんじゃない!」



 12. フェアリーリング

 玄霧【あなた」「は」「目覚める】

 眠り姫「…………あ、私は眠っていたのか?」
 玄霧 「ああ、目が覚めましたか」
 眠り姫「……ここは、どこでしょう? それに、貴方は誰でしょうか?」
 玄霧 「本当に、ここはどこで、私は誰なんでしょうね。ご存じないですか?」

     ――――Kuu……

 玄霧 「……リンゴ、どうぞ」
 眠り姫「……お、お気遣い感謝いたします」(照れ照れ)



 13. ガランドウな季節

 橙子「黒桐、今年もあとわずかだな」
 黒桐「そうですね、所長」

 橙子「では、経・理・課・長の黒桐クン。当事務所の財政状態はどうなっているかね?」
 黒桐「――過分に楽観的にポジティブシンキングに捉えて、希望の明日を夢見て遠回し
    な言い方をすると『あかい』と言うべきでしょうか?」
 橙子「フム。では、経・理・部・長の黒桐クン。……今年は、年を越せると思うかね?」
 黒桐「……」

 橙子「――――今年も、あとわずかか……」
 黒桐「……命も、あとわずかそうです」

 式「あ。今、事務所にでっかい線が入ったな……」



 〜制作レポート〜

 天抜きでの投稿、ごぶさたしておりました。

 皆様はこの秋空のもと、いかがお過ごしでしょうか。寒くなってきているので、就寝の際には
ご注意くださいませ。

 今回は、秋の情景を『空の境界』でまとめてみました。若干、他の『TypeMoon』から
のゲストがいるのはお約束的みたいなものですね。
 それにしても『空の境界』は、秋の夕日がよく似合う感じがしますねぇ。絵的に映えますから。

 ではでは、熱い緑茶などのお供にぜひご堪能ください(笑)。お粗末さまでした。







『天抜き』 〜ワセ柿の梅干し〜 (投稿日:2004/10/24)

 1.夕日の記憶

 レン「……、…………」

 志貴「!? レン、どうして泣き出すんだ!? 俺のせい、俺のせいなのか!?」
 琥珀「浮気者ですからねー」
 翡翠「ケダモノだからでしょうか?」
 秋葉「優柔不断でフラフラしているからです」
 シエル「レンちゃんに黙ってケーキを食べたからじゃないでしょうか?」
 アルク「えー、レン以外の猫に構っていたからじゃないかな?」

 レン「……(プイ)」
 志貴「ああっ、レン、怒っちゃイヤ〜!!!」



 2.路地裏同盟

 さっちん「うう、寒くなってきたなぁ。
 ねぇ、シオン。いつまでこうしてなきゃいけないんだろうね?」
 シオン「路地裏同盟だけに、私達は野宿の運命から逃れられない。
 それよりも、さつき。アトラス印のマッチの完成を急がなくては、冬を乗り切れない」

 さっちん「うわ〜ん、マッチ売りなんて今時流行んないよ〜」
 シオン「馬鹿な! アトラス印のマッチは、ただのマッチではない。その性能は……(以下・略)」



 3.収穫の秋

 有彦 「何だって、こんなことしてんだろーな、オレ?」
 ななこ「がんばってください、私のためにっ!」

 一子 「おー、有彦。家庭菜園の人参、豊作じゃないか」
 ななこ「そうなんですよ〜♪ 有彦さんが丹精込めて育てた人参はまた格別です。ぱく、ぽりぱく
     ぱくぽりぽりぱくぽりぽり……」

 有彦「 てめぇ! 抜いてる側から、喰ってんじゃねー!!!」



 4.月見酒

 一子「――こうして十五夜の月を見ながらの一杯はいいものだな」

 志貴「……あはは、一子さん。ボク……酔ったみたいです」
 一子「……うむ。私も今夜は酔っているな」

   ――――魔剣“満月返し”――――

 志貴「ですよね? 月がバラバラに割れていくなんて、酔ってますよね?」
 一子「そうだな、酔っているな。酔っているから、酔いが足らないんだ。……飲め」
 志貴「……ハイ、そうします」

 有彦「いやいや、本当に割れてるって、オイ!」



 5.秋葉、秋を語る

 秋葉「……秋は、少し嫌いです」

 志貴「? どうして?」
 秋葉「兄さんを待っていた秋は肌寒かったんです。もう、どこにも行かないでくださいね」
 志貴「そう思うなら、髪で拘束しないで欲しいと思う」

 秋葉「駄目です♪」



 6.諸行無常の響き

 蒼香「――鐘が鳴るなり、法隆寺か……」

 羽居「うわぁ、蒼香ちゃん。物知りだねー」
 蒼香「……ここでは、おちおち黄昏ることもできんか」
 秋葉「羽居がいるとそれだけで、常春のお昼に変わるから……」
 蒼香「まったくだ」

 羽居「えー、お昼よりおやつの時間がいいなー」



 7.冬眠に備えて

 カオス「……さぁ、狩りの季節だ」



 8.弱肉強食

 カオス「なにっ、虎が戻ってきていないだと?」

 クールート「ワン、ワンワン。ワン、ワンワンクゥーン」
 カオス  「……狩られてしまっただと!? 馬鹿な、私である虎が狩られるなどと……」
 クールート「……クゥーン、クゥーン」(ブルブル)

 カオス  「相手もタイガーだったと言うのか!? それこそ有り得ん。同じ種において私が負ける
       など、一体どんなタイガーだったと言うのだ? む、タイガー???」



 9.聖夜に向けて

 カオス  「む? エトも帰ってきていないだと?」

 クールート「ワン、ワンワンワン」
 カオス  「……エトは、トナカイで忙しい? 一体どういうことなのだ?」



 10.体育祭

 久我峰「ほっほっほっ、今年も良い季節になりましたなぁ」



 11.名探偵

 アルク「し、志貴!? ……どうして、ここにいるのよ!?」
 志貴 「馬鹿。お前が冬眠する前に連れ戻すために決まっている!」
 アルク「……冬眠とは人聞き悪いわね。それより、ここはブリュンスタッド城だよ!? 
     普通の人間じゃ、入るどころか、探しだせっこないのに」

 志貴 「とーっても親切で良い人に探してもらったんだ。……臨時の探偵さんに」



 12.朱い月

 朱い月「……また会いに来るとは、おぬしは何を考えている?」
 志貴 「月見だよ、月見。ススキとお団子、持って来たんだ。いっしょに月見しよう」

 朱い月「……本当におぬしは私を驚かせてくれるな」
 志貴 「おー。空の月も赤いけど、こっちの月も赤くなってる。可愛いなぁ」

 朱い月「!!!」



 13.枝についた葉

 志貴「ゴホッ、ゴホッ。はぁ……、翡翠。俺、もう長くないよ。あの枝の葉が落ちた時には……」
 翡翠「いけません、志貴様。そんな弱気では!」

 志貴「今までありがとうな、翡翠。うぐっ……、はぁはぁ」
 翡翠「志貴様〜!!!」

 琥珀「風邪で、病床プレーですか? お元気ですねー、志貴さん」



 14.その葉、散る時

 アルク「志貴〜、ナース姿で看護してあげるからね!」
 シエル「風邪によく効くカレーを持ってきましたよ!」
 アルク「……もう! 邪魔しないでよ、シエル」
 シエル「……そちらこそ邪魔しないでください!」

    ――――ペキン、ハラハラ〜。

 翡翠・志貴「あ」
 琥珀 「折れちゃいましたねー」



 15.梅干し

 志貴「……この、酸っぱい臭いのするやけに赤味を帯びた干し柿は、何かな?」
 翡翠「志貴様の好みに合わせて、梅干しといっしょにつけてみました」

 志貴「……翡翠、ワセ柿は確かに干すものだけど、梅とはいっしょにしないんだよ」
 翡翠「そ、そんなっ!?」



 16.カレー干し
 
 志貴 「琥珀さん、この赤い干し柿何とかなりませんか?」
 琥珀 「うーん、そうですねぇ。じゃ、飲むと梅の味がカレー味になる薬はいかがですか?」

 志貴 「……シエル先輩に、あげてください」
 シエル「ほ、本当ですか!? ありがとうございます〜」

 翡翠 「……(カチン)」



 17.食欲の秋

 志貴「……翡翠、ゴメン。これ以上は、さすがに食えない……」

 メカ翡翠「ソノ干シ柿ヲ、食ベロ」
 翡翠「干し柿を、みなさんです」

 一同「ヒィィ!」



 〜制作レポート〜

 天抜きでの投稿、ワセ柿の干しモノ第二弾です。

 今回は、秋の情景を『月姫』でまとめてみました。
 皆様に、ほっと一息つけることを願って。

 ではでは、失礼しました。







『天抜き』 〜ワセ柿の竿干し〜  (投稿日:2004/10/24)


 1.語らずとも

 士郎  「秋だな、セイバー」
 セイバー「そうですね、シロウ」

 士郎  「……」
 セイバー「……」



 2.紅葉

 藤ねぇ 「……綺麗、ね」
 士郎  「……そ、そうだな。色とりどりではあることは、認める」

 藤ねぇ 「――まだ、あったんだね。……ミカン」

 セイバー「食べるのですか?」
 藤ねぇ 「た、食べないわよ、さすがに。……な、何よ、すごく安心した顔して!」
 士郎  「いやだって、ほら、藤ねぇだし」



 3.財テク

 遠坂「さ、行くわよ、士郎」
 士郎「行くって、どこにさ?」

 遠坂「決まってるじゃない、松茸採りよ」
 士郎「……そうか。なら、遠坂。行くなら覚悟しろ」
 遠坂「え?」
 士郎「……昨年は、キノコとヤカンが出たんだ」
 遠坂「キノコ? ヤカン?」

 菌糸類? 「森で秘密特訓でちゅよ〜!」
 やかん類?「なぁ、今年の文化祭もまたコレなのか?」



 4.秋の桜

 桜   「……秋の桜は寂しいですね、ガランとしていて」

 セイバー「もぐもぐ。そんなことはない、桜。秋の桜も美味しいです。桜もいかがですか?」
 桜   「桜の落ち葉を、焚き火で焼き芋ですか? ……少し、複雑です」



 5.保護色

 遠坂  「あ。いたの、アーチャー」
 アーチャ「……今度は確認してからガンドは撃ってくれ。死ぬかと思ったぞ」
 遠坂  「何よ、秋山でごそごそしてたら、熊かと思うじゃない! 赤いし」

 アーチャ「このあかいあくまめ!」



 6.喜捨

 アサシン「……何と不憫な。そのマッチ、買おう」

 マッチ売りの少女Sa「うわっ、本当に売れたし」
 マッチ売りの少女Si「――計算どおりです」



 7.バター

 藤ねぇ「ねぇ、士郎。これ、食べられるかな?」
 士郎 「黒いバター? ど、どうしたんだよ、これ?」

 藤ねぇ「トラさんって、ホントにバターになるんだね。知らなかったわ!」
 士郎 「???」



 8.狩りの成果

 セイバー「シロウ、見てください。良い獲物が捕れました」
 士郎  「うわ、凄いなセイバー。見事なシカだな」

 エト  「開放を要求するでちゅ!」

 士郎  「しゃべってるし!」
 セイバー「そうなのです。日本のシカはしゃべるのですね、驚きです」
 士郎  「それは違う。……中にはしゃべるのもいるけどさ」



 9.予約

 エト  「恩に着るでちゅ」

 士郎  「いいのか、離して?」
 セイバー「良い子にしていたら、クツシタ一杯のお菓子をくれると約束してくれました」

 士郎  「……いいのか?」
 セイバー「私、いい子にしています、ええ」



 10.芸術

 鐘  「……芸術は、爆発!!!」

 蒔寺 「うわっ! 鐘のヤツ、コワレやがった」
 由紀香「大丈夫よ、蒔ちゃん。んー、鐘ちゃんは何かイメージ湧いたんだって」
 蒔寺 「そ、そうか? ……どう見ても乱心しているとしか見えないんだけど、本当に大丈夫か?」

 鐘  「ハハハハ、爆発、バクハツゥ!」



 11.静止美

 ライダー「エエト、これは……桜、一瞬の美しさをですね……」
 桜   「へー。ライダーは、芸術家なのね。作品名は、『情事』なのかしら?」
 ライダー「……そ、そんなストレートなタイトルは、いかがなものかと、桜?」
 士郎  「……(ドキドキ)」

 黒桜  「……うっかり眼鏡が外れるくらい夢中で、激しかったんですね?
      うふふ、その恍惚とした顔を粉々に壊してしまいそうです、先輩」

 士郎  「……(!)」
 ライダー「桜、動けない私達に、そ、そのような仕打ちを!? ああ!!!」



 12.憩いのひと時

 遠坂「アンタの場合、“マーボーの秋”とか言いそうね」
 言峰「……ふう。やれやれ、凛。私が年がら年中マーボーのことだけを考えていると思ったら、
    大きな間違いだ。こうして、心静かに読書に耽ることもある」
 遠坂「……い、意外だわ」
 言峰「人は見かけによらん、と言うことだ。その勘違い、改めるのだな」

 遠坂「――って、アンタその本、食べ歩きガイド『中華の美味しいお店』じゃないのよ!」



 13.斬る

 小次郎 「……仲秋の名月、何と見事な。今にも落ちてきそうなぐらいに、大きく……???」
 月の王様「“偽りの月”よ!」

 小次郎 「こんな月夜に、何と無粋な輩よ。
      ――フフフ。だが、しかし、日頃の鍛錬の成果をここに見せよう。いざ、魔剣“満月返し”!」



 14.業物“物干し竿”

 ゼルレッチ「ほう、これが月を斬って捨てた業物か」

 小次郎  「いやはや、お恥ずかしい。お一つ、いかがかな?」
 ゼルレッチ「これは、かたじけない。干し柿とは、また渋いですな」

 小次郎  「――フ。また、つまらぬものを干してしまった」



 〜制作レポート〜

 天抜きでの投稿、ワセ柿の干しモノ第三弾です。

 秋の情景を、『Fate』でまとめてみました。
 私自身の息抜きを兼ねて、軽めさっくりご堪能頂ければ幸いです。
 
 では。



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