天抜き・ホワイトデー篇


 ※04年のホワイトデー用として一挙掲載したものです。
  ……2日遅れで。



 1.「等価交換だけどさ」

 志貴「貰ったんだから、お返しするの当然だけどさ……」
    幾つもの包みと、財布を交互に眺めつつ溜息。



 2.「見事な出来ばえです、パテシィエ」

 凛 「うん、凄く嬉しいけど」
 桜 「自分より巧く出来たお菓子でお返しって……」
 凛 「少し、引っ掛かるわよね」

 セイバー「美味しいです、シロウ」(まったくそんなのなし)



 3.「それぞれに」

 士郎「ほとんど経験なかったけど、やってみると面白いな。
    遠坂のは、とにかく味に気をつけて。
    桜のは、少しカロリー抑え目で。
    セイバーと藤ねえのは、とにかく質より量……、と」



 4.「一月後に省みて」

 葛木「もしや、アレに渡されたものはチョコレートだったのか?
    ふむ、ならば返礼はせねばなるまいな」



 5.「職場の義理チョコとか」

 キャスター「なんで、なんで私がお返しの準備をーーー!」
      (すまぬが頼むと書かれたメモを手にして)



 6.「どうしたのだろうね」

 式 「……ありがとう」
 鮮花「嬉しいです、兄さん」
 橙子「すまないな」
 幹也「先に貰いましたから」
 橙子「しかし、よくこんなの返す元手があったな」
 幹也「はい」(微妙に笑みに影)
 鮮花「触れないでおきましょう」(小声)
 式 「ああ、そうだな」(小声)



 7.「禍々しき」

 士郎 「ちょっと待て、藤ねえ」
 藤ねえ「うん? 何よ、士郎?」
 士郎 「それ、食べるの待ってくれ」
 藤ねえ「何よ、あげないわよ。
     葛木先生からホワイトデーのお返しにもらったんだから」
 士郎 「……キャスターの呪術か。
     まあ、藤ねえなら平気かな」



 8.「本音だけど」

 秋葉「じゃあ、ホワイトデーが先だったら、兄さんは私にはくださ
    らなかったんですか?」(ちょっと意地悪く)
 志貴「今更と思ったりはしたかもしれない。
    でも、やっぱり秋葉の喜ぶ顔が見たくなっただろうなあ」
 秋葉「……そんな、真顔で、もう」
 


 9.「二月十四日はともかく」

 志貴 「シエル先輩からすると、ホワイトデーってどうなの?
     別にキリスト教とも関係ないし」
 シエル「ええと……、郷に従えと」
 


 10.「朝一番に」

 翡翠「……」

   テーブルに小さな包みと、翡翠へと書かれたカード。

 翡翠「志貴さまを起こした方が……。
    でも、こうして用意して下さっているのに、確認するのも変
    に思われるかしら。でも……」
 志貴「(びっくりする顔を見たかっただけなんだけどなあ。
     起きるに起きられない……)」
    
   

 11.「貰ったチョコは?」

 志貴「はい、琥珀さん」
 琥珀「ありがとうございます。
    志貴さんは何も細工していませんよね?」
 志貴「志貴さん“は”?」
   
   

 12.「年上の余裕」

 志貴「イチゴさん、お返しです」
 一子「うん、律儀に返さんでもよかったのに」
 志貴「せっかく頂きましたから」
 一子「ああ、パチンコ屋で何となく取っただけだぞ、あれ」
 志貴「ふうん。そうですか」
 一子「そうだ」
 志貴「最近のパチンコ屋って、あんな高級チョコをきちんと梱包し
    て出してくれるんですか。ふうん」
 一子「いや……、まあな」(動揺)
  
   

 13.「年上の女性」

 朱鷺恵「ありがとう、志貴くん」
 志貴 「いえ。バレンタインデーに貰ったから」
 朱鷺恵「なんだ、義理返しなんだ、残念」
 志貴 「え、ええっ?」
 朱鷺恵「ふふ。冗談……、かな?
     でも、志貴くんも大きくなったわね。最初なんか」
 志貴 「え?」
 朱鷺恵「初めてくれたアレ、まだ取ってあるって言ったら?」
 志貴 「ちょっと、朱鷺恵さん、嘘だよね?」
 朱鷺恵「さあ、どうかしらね」



 14.「中性的だしね」

 凛「彼女作る勝負なら、完全に負けてたなあ」
   お返しリストを手に、走り回る弓道部主将を目で追いつつ。



 15.「感謝も含めてね」

 志貴 「あ、先輩。うん、何それ?」
 シエル「え、これは、そのう……」
 志貴 「ふうん、先輩、いろいろ貰ってるんだね」
 シエル「違います」
 志貴 「だって、それ……」
 シエル「これはお返しなんですよ、女の子への」
 志貴 「……」(引き気味)
 シエル「よく手助けするから、お礼とか込めてですね。
     わたしがノーマルなのは遠野くんが一番よく知っているで
     しょう?」
 志貴 「そ、そうだよね(ノーマルだったのか、あれ)」



 16.「女の園」

 秋葉「三月十四日、今年は楽でいいわね」
 琥珀「そうですね、秋葉さま」
 志貴「何の事だい?」
 秋葉「今年は貰う側で済みますもの」
 志貴「ふうん?」



 17.「地下活動の如く」

 志貴「はい、見つからないようにね」
 晶 「嬉しいです、志貴さん。
    でも……」
 志貴「どうしたの、アキラちゃん?」
 晶 「なんでこんな悪い事しているみたいにこそこそと……」
 志貴「うん。でも今は。俺だけならともかく、晶ちゃんの安全には
    かえられない」
 晶 「はい……」



 18.「憧憬」

 都古「……来てくれた」(嬉しそうに)



 19.「姉妹」

 志貴「はい、七夜さん」
 七夜「ありがとうございます、志貴さん。
    あ、翡翠ちゃんと同じ」
 翡翠「お揃いだね、姉さん」
 七夜「そうね」(嬉しそう)
 志貴「一緒にしてよかったな」(暖かい笑み)



 20.「ジョリィと僕とで」

 志貴「レンにはケーキだよ。
    全部食べていいからね。
    え、半分くれる。いいんだよ、レン。
    わかった、じゃあ半分こして食べようね」



 21.「女帝」

 凛「傲慢な言い方かもしれないけど、逆でよかったわ。
   先に貰ってお返しなんて、どれだけの数か考えただけで……」



 22.「あね」

 綾子「今回も一つだけど、まあ、しばらくはいいかな。
    と、弟ので凄く満足してるからダメなんだろうなあ」



 23.「たまにはね」

 式 「……」(どこか落ち着かない様子」
 
 橙子「ずいぶんと人が悪いな、幹也」
 幹也「だって……、式があんな期待の目で見てくれてるんですよ。
    すぐに渡すのなんだか惜しくて」
 橙子「逆にヘソを曲げられても知らんぞ。
    ま、私はその方が面白いが」



 24.「後悔の後で」

 秋葉「ああ、馬鹿、馬鹿。私の馬鹿。
    なんでよりによって当日の朝にケンカなんて。
    兄さんがあんな事を言うから……、ううん、馬鹿は私ね」
 志貴「秋葉……」(ドア越しに)
 秋葉「に、兄さん。何です」(慌てて開けてから、冷静を装い)
 志貴「無駄にするのもなんだからな、一応渡すだけ渡しに来た。
    いらなければ、捨ててくれ」
 秋葉「捨てたりなんてしません」(受け取り、無意識に抱き締める)
 志貴「……」
 秋葉「……」
 志貴「……」
 秋葉「……」
 志貴「今朝はごめん…」
 秋葉「兄さん、私、謝り…」
 志貴「……」
 秋葉「……」



 25.「攻めはいいけど」

 桜 「わ、わたしにですか。え、ほ、ほんとに?」
 士郎「もともとは桜からチョコくれたんじゃないか。
    お返しでなんでそんなに吃驚するかなあ」
 桜 「でも、嬉しくて。変ですか?」
 士郎「そんな事は無いけど……、あれ、こっちが逆に動揺してきた」
 桜 「ありがとうございます、先輩」(すっかり落ち着いて)
 士郎「あ、ああ」(ますます動揺)



 26.「タイガー」

 士郎 「藤ねえ、はい」
 藤ねえ「ふんふん、今回も手作り。お姉ちゃん、嬉しいぞ」
 士郎 「開いてみてよ。
     ほら、焼き上がりを黄色っぽくしたのをベースに、チョコ
     で縦縞描いたんだ」
 藤ねえ「……」
 士郎 「あれ、喜ぶと思って工夫したんだけどな。ダメかな」
 藤ねえ「……うーん、嬉しいけど」(複雑な表情)
 


 27.「味付け不要」

 志貴「いや、翡翠の食べ方に口挟むつもりはないけどさあ」



 28.「物差しの問題か」
    
 士郎「困ったな」
 凛 「ふふん、等価交換って言っておいたわよね」
 士郎「わかってる。
    それってさ、遠坂に貰った時と同じくらいの感激を、逆に俺
    から与えなきゃいけないって事だよな。
    無理だよ、そんなの」
 凛 「バカ。 ……とりあえず、試してみなさい」(優しい笑みで)



 29.「疑問」

 士郎  「ねえ、セイバー?」
 セイバー「うん…んぐっ。何ですか、シロウ」
 士郎  「喜んでくれて、こっちも嬉しいんだけどさ。
      甘いお菓子が嬉しかったのかなって、ちょっと疑問が。
      ……。
      いや、邪魔するつもりはないから、食べるの続けてよ。
      ……ふぅ」



 30.「永遠に」

 志貴「嬉しいのはわかったよ。
    でも、永久保存とかは考えないでくれ。記念って言ってもさ。
    秋葉、おまえも変な対抗意識持つなって」



 31.「味わい」

 藤乃「良かった。
    味覚だけは、残っていて……」



 32.「バトルロワイヤル」

 志貴「冗談だったけど、それですまないの忘れてたよ。
    勝った奴1人になんて言うんじゃなかった。
    それはそれとして、とりあえず翡翠とレンのだよ、はい」



 33.「確実に少しずつ」

 凛「いい? 女の子に甘いものってね、遅効性の毒を渡しているよ
   うなものなんだから。
   貰うわよ。いらないなんて一言も言ってないじゃない。
   ありがとう、士郎」



 34−1.「思わぬ伏兵」

 桜   「え、それって、先輩の?」
 ライダー「はい」
 桜   「……」
 ライダー「桜の気に障るのなら、返して来ますが?」
 桜   「ううん、いいわ。返すなんてダメ」
 ライダー「はい」(気のせいか嬉しそうに)


 34−2.「思わぬ伏兵・その後」

 桜「よく考えてみたら、バレンタインデーにあげたから、お返しが
   来たのよね?」



 35.「別腹ですから」

 セイバー「ありがとう、シロウ。
      ところで、この分、今夜の食事はが減らされたりは?
      そうですか、安心しました」



 36.「頭が納得しないと」

 志貴 「いや、由来は知らない。
     バレンタインデーはともかく、キリスト教とも関係なさそ
     うだし。
     とにかく、そういう風習なんだよ」
 シオン「納得がいきません」



 37.「感情吐露」

 志貴「はい、都古ちゃん」
 都古「……」(緊張)
 啓子「喜んでいるのよ?」
 志貴「はい、わかっています」
 都古「……」(ほっとした顔)



 38.「和式かな」

 凛 「そう言えば、柳洞くんって、お返しどうしているのかしら」
 士郎「ちゃんと律儀に返している筈だけど。  
    自分で買いに行ったりしてるのかな。
    うわ、一度考えると気になる」



 39.「愛する人へ捧ぐ」

 志貴「いや、好きな人にプレゼント渡す日で間違いじゃない。
    だけどアルクェイド、おまえ根本的に何か勘違いしている。
    でもまあ、ありがとう。気持ちは嬉しいよ」



 40.「太ってなんていないと思うけどなあ」

 士郎「うん、ケーキにしようかなって。
    ……いや、マシュマロか何かの方がいいかな」

 凛 「桜が先輩に苛められたーって泣いてたわよ。
    あんた、いったい何言ったのよ。
    返答次第ではただじゃおかないから」



 41−1.「ホワイトデーとは?」

 セイバー「知っています。
      男性から、食べ物を貰える日ですよね」
 士郎  「合ってるけど、その言い方が……」


 41−2.「ホワイトデーとは? 2」

 セイバー「知っています。
      シロウから美味しいものを貰える日です」
 士郎  「うん。……それでいいや」



 42.「あなただけの為に」

 志貴 「好きに選んでよしゃ駄目かな?」
 アルク「だーめ。志貴が選ぶの」
 シエル「そうですね。どれがわたしの為のものです?」
 秋葉 「楽しみです、兄さん。さあ?」
 琥珀 「一個だけ違うの買うなんて、志貴さん、自業自得です」
 翡翠 「……」(こくこく)



 43.「羨望」

 式「渡せなかったおまえが悪いんだろ、鮮花。
   そんな顔して恨めしそうな目で見るな」



 44.「木の枝に刺すのが正式」

 志貴「マシュマロ、美味しい?」
 レン「……」(こくこく)
 志貴「そうだ、そのままでもいいけどね。
    こうやって、火で炙るととけかけて……、はい」
 レン「……」(お気に召した様子)
 志貴「自分でやってみる?
    火が怖い? いいよ、やってあげる」



 45.「台所仕事」

 桜「先輩、すぐに手伝いますから。
   今日は休んでいてくれって。別に疲れてませんし。
   どうして……、え、本人に見られたくないって、何を。
   あ、す、すみません。
   何も見なかったですから、はい。
   ……ふふ、楽しみ」



 46.「実利を」
   
 秋葉「これが特別のお小遣いです。
    どこか旅行なら、幾つも予約入れていますから。
    他にも何でも、用意します」
 志貴「これじゃ、俺からのプレゼントじゃないだろう」
 秋葉「いいんです。
    倒れるほど無理させるくらいなら、幾らでも」
 志貴「で、デートには誘えって言うんだな」
 秋葉「当然です」



 47.「選べぬ選択肢」

 橙子「受け取った時点で、ある種の呪を掛けられているに等しい。
    それが嫌ならば、受け取らなければよかったのさ」



 48.「気遣いは嬉しいです」

 シエル「そんなに苦労しなくても、遠野くんがくれたという時点で
     凄く嬉しいんですけどね。
     はい、ありがたく味わって頂きますね。
     カステラクッキー・カレー味」
   


 49.「何をした、おまえ?」

 アルク「キャンディー? わあい。
     ……。
     ねえ、志貴、なんでハッカばかりなの?」
    


 50.「蒼天に」

 志貴「先月のあれは誰がくれたのかな。結局わからなかったけど。
    でも、お返しはしておこう。何となく届く気がするし」
    ブルーの紙の包みを窓辺にそっと。



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