少し後悔している。
 やっぱり、琥珀さんを追いかければよかったかな。

 一人でとぼとぼ歩いていると、そんな事ばかり考えてしまう。
 どう考えても怪しいと思える選択でも、マシだったように思えてくる。

 何か起こらないかなあ。
 殺したり殺されたりとかの殺伐としたのでなければ、この際何でもいいや。

「なあ、レン」

 無駄と思いつつ、空を仰いで言葉を口にする。

 暑いなあ。
 何だか急に暑くなってきた。
 なんでまた、急に……。

 来たか。
 もしかして、期待した何かが。

 うん、この風に混じる潮の香り。
 続く道の前に見える空とは違う蒼。

 思わず、駆け出した。
 とりあえず、弾んだ気持ちに従って。

 海へと。


                         ……つづく


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