夜のフェスタは続いていた。

「おやめ下さい。秋葉さま、志貴さん」
「何か言っていますよ、翡翠が」
「ああ、そうだな、翡翠にして珍しいな、あんなに大きい声は」

 琥珀さんを見下ろして、二人で笑う。
 琥珀さんは息を呑む。
 どんな顔をしているだろう、俺と秋葉は。
 きっと嫌な笑い顔なのだろう。

「でもいい演技だと思わないか、秋葉?」
「ええ。さすがは姉妹ね。まるで琥珀が演じているみたい」
「琥珀さんか。ひどい姉さんだな」
「そうね、私達を唆して、妹にこんな真似をさせるんですから」
「でも、最近秋葉ばかり相手にしてたから、正直翡翠に寂しい思いをさせてい
たかな」
「そうね、琥珀が心配して、翡翠の事、苛めてあげて下さいって言うのもわか
るわね」

 その声に琥珀さんは蒼褪めた。
 足元に脱がされたメイド服が落ち、ほぼ全裸にさせられた琥珀さん。
 身体の自由を奪われている琥珀さん。

 言葉を交わしながら、二人で作業を続ける。
 後ろ手で縛られ、立ったままの琥珀さんに、泡立てた生クリームで、 胸の
先のチェリーを引き立てるように飾り立てていく。
 チョコクリームで細い線を何本も引いていく。
 飾り砂糖に、ココアパウダー、フルーツはちょっと無理かな。
 ペースト状になった苺とキウイをところどころ塗りたてる。

「こんなものかな」
「ええ、それでは頂きましょうか」

 銀のスプーンを渡された。
 ふうん?
 まあ、最初は優雅にいくか。

 二人で、飾り立てた琥珀さんを賞味する。
 うん、美味しい。
 あまり甘くしなかったけど、これくらいがいいな。
 ときどき口直しに、ワインで口を洗いながら、琥珀さんのあちこちにスプー
ンを押し当てる。
 その金属の感触に琥珀さんは身もだえする。
 まあ、脇腹につうーっと線を引いたり、胸の先をつついてみたり、胸の下の
陰をぺたぺたしたりしているから。
 秋葉と競い合うように、琥珀さんに声を上げさせては楽しんだ。

「だいぶ食べてしまいましたね」
「ああ、お行儀の悪い真似をしたら、秋葉は怒るかな?」
「そうですね。でも食べ物を粗末にしないのは奨励されるべき事でしょう?」
「そうだな、無駄なく……」

 言いながら、琥珀さんの胸をぺろりと舐めた。
 残っていてスプーンでは取りきれぬクリームの残骸が舌で拭われる。

「うん、直接舐めるのもいいな。秋葉も手伝ってくれ」
「兄さんがおっしゃるなら」

 秋葉も妖しい笑みを浮かべつつ、参加する。
 さすがに顔が汚れないように、舌を伸ばして琥珀さんの肌に触れる。
 その様は、息を呑むほど淫靡だった。

 胸、鎖骨、お腹……。
 唇をくっつけ、舌を走らせ、綺麗にしていく。

 秋葉も舌を蠢かせたり、指先を琥珀さんの急所に走らせては、口にしている。
 次第に、白や黒の彩りは消え、かわりに俺と秋葉の唾液の痕でコーティング
されていった。
 ところどころに強く吸ったキスマークと、甘噛みの痕もある。
 さっきまで悲鳴と嬌声を上げていた琥珀さんは少しぐったりとしている。
 
「あら、まだ残ってましたね」
「うん、ああ、生クリームか」
「もったいないと思いません?」
「そうだな」

 秋葉の眼がキラキラとしている。
 何か考えついたんだな。
 面白い、乗ってやろう。

「私達だけ美味しいものを食べてるのは、心が痛まないですか、兄さん。ほら、
翡翠なんかあんなに涎を垂らして……」
「ああ」

 さっきまでの執拗な攻撃で、直接的な接触は無いのに、琥珀さんの秘処は濡
れ始めていた。
 太股から下のほうまで垂れている。
 
「残りは、翡翠にご馳走してあげましょう。
 ええとそのままでは……、そうですね、翡翠の体を食卓に」

 秋葉と二人で琥珀さんを持ち上げ食卓に横たわらせる。
 手の拘束は解いてやった。
 
 秋葉が、琥珀さんの膣口にクリームの絞り袋の口を当てる。
 無造作に突っ込む。
 台所なんていう舞台に裸の琥珀さんがいるという違和感も凄いが、こんなお
菓子作りの道具が琥珀さんの秘裂に突き立てられているのは、もはや異次元の
見世物だった。
 でも、なんて無惨で、それでいて淫靡なのだろう。

「やだ、秋葉さま。おやめください」

 琥珀さんは涙を浮かべている。
 浅く入れてぐりぐりと動かしている秋葉は全然頓着しない。

「いきますよ、兄さん」
「ああ……」

 ぽしゅっという空気の流れる音。
 にゅっという小さな音。
 ほとんど見えないが、袋の中の生クリームの大半が消えた。

「ああ、やだぁ……」

 琥珀さんの嗚咽交じりの声。
 行為もそうだが、普段の琥珀さんの仕事場、ある意味聖域でこんな仕打ちを
受けている事が、俺たちには想像もつかないほど琥珀さんを打ちのめしている
のかもしれない。

「さて、兄さんかき混ぜてください」
「ああ……」

 秋葉が後ろから、琥珀さんの秘裂を指で広げる。
 ぼたぼたと水気を帯びて溶けたクリームがこぼれる。
 容赦なく秋葉は琥珀さんの膣口に指を引っ掛けていて、奥の奥まで見えそう
になっている。
 
「おやめ、下さい……、志貴さん」
「何言っているんだ、そんなに涎を流して」

 あてがってゆっくりと挿入した。
 何とも言いがたい感触。
 そんな抵抗感はないが、満ち溢れた生クリームがまとわりつき、ペニスの圧
力で逆流する様が不思議な感覚を呼び起こす。
 決して不快ではない。
 それどころか、その違和感すら興奮に転化される。

 何度も抽送を繰り返す。
 その度にぐちゅぐちゅと琥珀さんの膣内がかき回され、どろどろの残骸が洩
れこぼれる。
 秋葉はその様をじっと眺めては、時に舌を伸ばす。
 生クリームと琥珀さんの愛液と俺の腺液、そのブレンドを嫌悪する事無く、
の口の中に入れて飲み込んでしまう。
 
「ふふふ、クリーミーですよ、兄さん」
「あーあ、はしたない妹だ。なあ、翡翠?」
「でも、琥珀には負けますわ、いくら私だって」
「そうだな、変態のおまえでも琥珀さんには敵わないな、確かに」

 この期に及んでもあくまで翡翠として扱う。
 それがまた琥珀さんを被虐的に見せる。

「出そうですか、兄さん?」
「ああ」
「じゃあ、最後のデコレーションをお願いします」
「わかった」

 ぐちゅぐちゅと生クリームにまみれながらの動きを早める。
 こんな異常なシチュエーションにすっかり、おかしくなっていた。

 こみあげる。
 くっ……。

 抜いた。
 不恰好に立ち上がり、前へ。
 秋葉がびちょびちょのペニスを押さえて方向を定めた。
 空いている手が限界近くでびくびくと震えるシャフトをしごき上げた。

 びゅく、びゅくん、びゅぴゅッッ。

 盛大に精液が撒き散らされる。
 琥珀さんの髪や、顔、胸に。
 白濁液ですっかり化粧されている。

「うふふ、美味しそう」

 身を離した俺に代わって秋葉が琥珀さんの体に自分の体を重ねた。
 いつの間にか服は脱いでいる。
 ぐちょぐちょの琥珀さんを気にする事無く肌を合わせ、ぐったりとした琥珀
さんの髪をしゃぶり、顔を舐め、精液を陶酔としながら味わっている。
 
 なんとも淫猥な眺め。
 すぐに飛び掛ってどちらでもいい、どの穴でもいい、突っ込みたくなる。
 精液好きの妹に歓喜の声をあげさせるのもいい。
 壊れた人形みたいに反応しない琥珀さんを弄ぶのも悪くない。

 まだ夜は始まったばかりだ。






 ぴちゃ、ぴちゃ……。

 投げ出された混ぜ器を舐める音。
 レン?
 
 こんな場とは不釣合いな事に、レンが琥珀さんの膣穴に挿入した絞り袋と残
りの器を舐めていた。
 お腹すいたのかな。
 
 ……レン?

 マテ。
 アレ、ナンデオレハ、コンナコトヲシテイルンダ。
 コハクサンヲリョウジョクスルヨウナ、ヒドイマネヲ。
 

 あ、思い出した。
 うわ、琥珀さんに何しているんだ、俺は。

 慌てて、駆け寄ろうとした。
 
 レンが舐めるのを止めてじっとこっちを見た。
 少し困った顔。

 ダメだったの?
 そう語っているような顔。


 そして、唐突に、全てが消えた。

 
                         ……つづく 


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