「フエ医科大学学長宛て抗議文」


2002.9.20 小山 道夫 ベトナム事務所長日記より



フエ医科大学学長殿

 いつもベトナムの「子どもの家」を支える会(JASS)と協力・共同の活動をして頂き、感謝しております。 特にJICA障害児支援プロジェクトでは、貴大学を挙げてのご協力を頂き、また多くの先生方にもご協力頂き、プロジェクトは大成功しました。 日本政府・外務省・大使館もこのプロジェクトを高く評価している所です。

 さて、現在JASSとフエ市人民委員会との協力で日本から歌手知念良吉氏を招請し、歌を通して日越文化交流を行うプロジェクトを計画しています。 グエンフエ高校、ハイバーチュン中高校、「子どもの家」、『静岡―フエ青年交流会館』 などでフエの市民や学生などとの歌を通しての文化交流を行う予定です。
 その際、ベトナム側の聴衆の皆様に日本語の歌詞の意味が十分理解して頂けるよう、 パソコンを使い、スクリーンにベトナム語の翻訳歌詞を映すことにしました。 パソコンと連結するプロジェクターが必要となり、DUNG副学長を通して、貴大学にあるプロジェクターを借りることになりました。 9月17日DUNG副学長から使用の了解を頂きましたが、9月17日はプロジェクター担当のPHUONG氏がどこかへ行ってしまい、 プロジェクターとパソコンの連結の調整が出来ませんでした。
 日本人歌手のコンサートは、9月19日午後3時からグエンフエ高校で行われます。9月18日、DUNG副学長と再度連絡を取り、 午後4時半にMINHとLAMがフエ医科大学へ伺い、担当者のPHUONG氏に会いましたが、PHUONG氏は「俺は忙しい」と言って、 プロジェクターの使い方を教えずに帰ってしまいました。 居合せた対外担当の方が「9月19日午前7時に来てください。必ずPHUONG氏が使い方を教えます」と言いました。
 9月19日午前7時にJASSベトナム事務所を代表して、副事務所長のBAO MINHとベトナム事務所員のDINH LAMが貴校を訪問し、 パソコンとプロジェクターの連結調整をしようとしました。 しかし、プロジェクター担当のPHUONG氏はDUNG副学長の指示に従わず、非常に不誠実かつ無礼な態度を取り、 JASS代表の副事務所長などにプロジェクターの使い方を教えず、暴言を吐いて一方的にオートバイでどこかへ行ってしまいました。 結局、貴校プロジェクター担当のPHUONG氏は、最後までプロジェクターの使い方を教えませんでした。 仕方なく、私たちは急遽他の施設から借りて何とかグエンフエ高校でのコンサートを行うことが出来ました。

 私たちは過去6年間以上にわたり、毎年7000ドル以上の奨学金を貴校に支給しています。 既に総額4万ドル以上の奨学金を貴校に寄金しております。 また、JICA障害児支援プロジェクトや奨学金、帝京大学木田教授、中村教授の貴大学での講義、大量の医学書の寄贈、 医療器具の寄贈など様々な活動を通してJASSとフエ医科大学との友好交流を行って来ました。 JASSとしては出来るだけの努力をして来たつもりです。
 しかし、今回のプロジェクター借用に当たっての貴大学の不誠実な態度に驚いている所です。 大学の副学長が公式に了解していることを、担当者が一方的に破棄し、約束を破ったことは、 この6年間作り挙げてきたJASSと貴大学との信頼関係が崩れたことと判断します。
 貴大学の不誠実な態度、特にJASS代表のBAO MINH副事務所長、 DINH LAMベトナム事務所員などに対する貴大学PHUONG氏の無礼な態度に強く抗議し謝罪を求めます。 当面、貴大学へ支給していた9月分からの奨学金の支給を取りやめる措置をとります。
 私たちは貴大学と築き挙げてきた友好交流を更に発展せる気持ちを持っております。 私たちJASSは、ベトナム政府PACCOMからボランティア活動のライセンスをもらっている公的な機関です。 また、トゥアティエンフエ省、フエ市人民委員会からも公的な活動を認められているボランティア団体です。 日本に1400人もの会員を擁する団体です。貴大学から一方的に侮辱される理由はありません。 貴大学から一方的に友好交流関係を破られた以上、貴大学がこの問題を正しく解決しない限り、友好交流を進めることは出来ません。 貴大学の善処を要望致します。なお、回答は文書でお願い致します。
 文末になりましたが、学長先生を始め、フエ医科大学の先生方職員の皆様のご健康と御多幸をお祈り致します。


2002年9月20日
ベトナムの「子どもの家」を支える会
ベトナム事務所長 小山 道夫



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