王都怪談
登場人物紹介
ティア=エルン
王都施療院に勤める神官。神官に与えられた奇跡の力、「法術」に関しては若手随一と称される。先日は茜商会に保護している子供の親探しを依頼し、結果的には成功を収めた。しかしその中で彼女自身は遭遇した凶漢を相手にして立ちすくんでしまい、修行が足りないと痛感している。そこで自らを鍛えるため、神官としての仕事の傍ら、要請があれば無償で人材派遣業、「茜商会」の仕事を手伝うことにしていた。極めて無口。
ストリアス=ハーミス
王国公認の若き魔術師として将来を嘱望されていた青年。しかある事件を起こして資格を無期限で停止され、現在は茜商会に身を置いて、事務の手伝いなどをしている。ティアとはそこで本格的に面識を得ることとなった。本質的に温和な人間で、繊細な感覚を持っているためティアにとっては無口を気にせずにすむ良き理解者でもある。ただ、事件による内心の傷が完全には癒えておらず、破滅的な側面も持っている。
マーシェ=クラブレン
士官学校の学生。女性であるが、武術、学業とも同学年では最高級の水準にある。 親探しの一件ではティアらの護衛を務めた。味方を勝利に導く冷徹な知略と、敵に果敢に立ち向かう熱い勇気を併せ持っている。
タンジェス=ラント
士官学校の学生。不祥事を起こして停学処分を受け、その間茜商会に身を寄せていた。しかしその後功績を挙げて復学を果たし、現在は学業の遅れを取り戻すべく勉学にいそしんでいる。マーシェの友人で、彼女を茜商会に紹介した人物でもある。武官志望にしては落ち着いているが、本質的な所では正義感が強く、時折熱い部分をのぞかせることもある。
ノーマ=サイエンフォート
近衛騎士。かつて最強と恐れられた戦士のただ一人の弟子で、師匠から伝説の魔剣を継承している。自身も若くして既に王都屈指と言われる剣客であり、「黒騎士」の異名を持つ。今回は名目上の依頼人。至って善良な性格と美貌もあって、特に若い女性に非常に人気があるのだが、実は本人は女性が大の苦手。
ファルラス=ミスト
茜商会主。温和でのんびりとした性格として知られている人物だが、それに留まらないとらえどころのない側面も持つ。
サーム=ミスト
ファルラスの一人息子。元気で利発、仕事まで取って来る孝行者。
エレーナ=ラーズブルフ
茜商会の常勤従業員。仕事に厳しく礼儀正しい、有能な女性。事務一切を取り仕切っている他、調査業務にも従事している。
院長
王都施療院の長。強大な法術の力を用い、大陸に平和をもたらした現代の英雄の一人。慈悲深い聖女との風評も間違いではないが、本質的には気さくで話し好きである。
覆面の男
王都有数の剣客に全く引けを取らない技量と、平然と人を殺す人格を併せ持つ危険な人物。先日はティアらを取り囲んだ敵をやすやすと切り払って助けたが、正体を探られそうになったのを機に態度を一変させ、目撃者の口を全て封じるそぶりを見せた。