そらのやま「旅行記」Yukito Shimizu

とし子の旅日記 ニュージーランドの旅 N03

 マウントクックは霞んで
 7時にホテルを出発して,12時にマウントクックに到着する。5時間のバス旅行だが,その間,フェアリーの谷・よき羊飼いの教会・テカポ湖・プカキ湖で写真ストップやトイレ休憩など30分〜1時間置きに下車しているのであまり疲れは感じない。とにかく至るところが写真のスポット地点である。湖は見る角度によって,濃いブルーだったり,明るいグリーンだったり,白っぽく輝いていたりとどこから見ても飽きない。よき羊飼いの教会は,湖のそばに立つ5坪ほどのほんとにかわいい教会である。しかも教会の正面は大きな窓で,湖と山並みが広がる。その前に十字架があるだけ。羊飼いは「大自然に祈る」のかと思った。小さくてシンプルな教会である。

 国立公園マウントクックに近づくに従って雨が降ってきた。マウントクックは南島を縦走する山脈・サザンアルプスの中の最高峰で3754メートルということだ。山頂は白く鋭く尖っている。国立公園内のマウントクックハミテールホテルに着いた時には,かなり激しい雨になっていた。ホテルのレストランで食事をしながら,マウントクックの霞んだ姿を見上げた。目の前に尖った山が迫っているが,マウントクックはその後ろでさらに高いのだそうだ。私たちはこの旅行のテーマの第一回目の「高山植物が咲き乱れる中をハイキング」を楽しみにしていたのだが,残念ながら窓越しに南半球最大の氷河を楽しんだ。オークランドのガイドさんは4回行って4回とも雨だったそうで,そのくらい勇姿を見ることは難しいということらしい。

 山岳リゾート地クイーンズタウンへのんびりと
 バスはマウントクックを後にして,さらに南へ南。南島の南,クイーンズタウンへ。またなだらかな山並みと羊のだけの風景。ニュージーランド道事情はおもしろい。高速道路はなく,従って無料。普通道路だが幅は広く高速道路ぐらいのスピードで走る。対向車もなく,信号もない。おもしろいのは橋だ。道は幅もかなり広いのに,橋はその半分,1車線分しかない。橋は片側通行なのである。橋の袂にどちらが優先か標識があり,対向車を待つ。どんなに長い橋も,短い橋も1車線分しかない。橋に高いお金をかけないということだそうだ。広い大自然のなかに居ると,数分を争う考えもなくなるのだろう。納得。

 すぐそこに南十字星
 今日も暗くなってからクイーンズタウンに到着。皇太子様がセーターのお買い物をされたという店で買い物タイム。皇太子様がお買いになったセーターは35,000円。高い。我が夫には,耳あてのついた温かい帽子を買う。値段は内緒。
 中華料理の夕食をすませ,星を見ながらホテルへ。昨夜も感じたけれど,街は暗い。必要以上のネオンや街灯はつけないらしく,とにかく暗い。その分満天の星だ。明るい。近い。多い。運転手のフィルさんが南十字星を教えてくれた。すぐそばにはっきり十字に見えた。4つは明るく輝き,1つは少しひかえめ。これが「南の国で見る南十字星か」と感動した。その後,旅行中何度も南十字星を楽しんだ。星を満喫した旅でもあった。