2 ノー・バイ・ユー、ネックスト・ショッピング???
往路はミラノ経由であった。ミラノはそれなりの見所がたくさんあるらしいが、私たちの観光計画には入っていない。
1時間ばかり時間があり、両替をまだしていなかったので、空港内の店で何か買って釣銭を手にしようかと思い、店を見て回った。イタリアに到着して間がないため特別に買いたい物もなかったが、予想していたよりも寒かったので、帽子とかマフラーを見る。千リラ=百円の計算もまだ慣れないが、換算は簡単だ。値札で見ると2千円くらいのマフラーがあったので、買おうということになった。
さて、どうすればいいか。日本円はある。トラベラーズチェックもある。店の出口と思われるところにカウンターがあって、おじさんがいた。そうか、あの人にお金を払えばいいのだろう。そう思って品物を手にして持っていこうとした。ところが、
「ノー・バイ」(こんな言葉だったような気がするが、はっきりはわからない)
「ノー・バイ・ユー」
と、そのおじさんが怒鳴りだした。いったい何を言っているのかわからない。ともかく、売ることはできないということらしい。言葉が話せないから手を混じえて「だめですか。」と聞くと、うなずいて、
「ネックスト・ショッピング」
ときた。「なんだ、次の店に行け、ということか。」と、ぼやきながら店を出る。けっきょく買い物はできずじまい。両替所も満員で両替のできないままリラなし、マフラーなしでローマに向かった。しかし、どうして売ってもらえなかったのだろうか。未だにわからない。 |