そらのやま「旅行記」Yukito Shimizu

とし子の旅日記 ニュージーランドの旅 N04

 世界遺産ミルフォ−ドサウンドのフィヨルドへ
 旅も第4日めを迎える。南島の西,フィヨルド国立公園に向かう。「北欧をしのぐ壮大なフィヨルド」と歌われており,期待の一つである。昨日今日とだんだん寒さを増してきた。今日は完全武装だ。長袖のシャツ,厚手のセーター,パーカー,さらにショールを準備。冬衣装だ。ニュージーランドは日本と四季が反対で今は晩秋である。ところが,ニュージーランドには1日に四季があるといわれているそうで,1日の気温の差も非常に大きい。だから町を行き交う人は実にさまざまな服装である。ダウンのような冬服の人もあれば,半袖のTシャツの人もある。服装は季節だけでは決められなのだ。

 氷河を味わう
 今日もいい天気。途中,ミラー湖,オリフォード渓谷,巨大なシダの平原の散歩など,飽きの来ないバスの旅だ。ミラー湖とは,水がきれいで水面が波一つなく平らで,「鏡のような池」ということだ。山や木や草が池に映って線対称の景色が楽しめる。木で作られた遊歩道を歩きながら水面の景色を楽しむ。

 西へ進むに従って,だんだんと高い山脈が迫ってくる。山頂は氷で白く光り,青い空をくっきりと縁取る。2日前の雨のため,あちこちに滝ができる。水量の多い滝と,雨の後1時的にできるカスケードという滝がある。岩肌は山のため保水力がなく窪んだところを細く激しく流れ落ちるのだ。「両方を見られるのは運がいいですよ」とガイドが言う。バス休憩のときガイドが紙コップをたくさん持って降り,「氷河の水を味わって見てください」と川の水を勧める。外国旅行では絶対生水を飲まないことにしているが,大自然の中にいれば飲んで見たくなる。コップに川の水を救い飲む。冷たい。うまい。癖のない大自然の味。

 神秘な景観のなかをクルーズ
 ミルホォードサウンドに着く。ここからフィヨルドのクルーズだ。和食弁当を船の中で食べる。和食弁当には苦い思い出がある。マレーシアで国際列車でシンガポールに向かう時,有名ホテルの和食レストランの弁当が持ちこまれた。でも,カチカチでまずくて食べれなかった。今回もおかずはまずまずだけれどご飯が固くてまずい。解凍がうまくできていないという感じ。
 外の景色は素晴らしい。藍色の静かな海からいきなり荒荒しく尖った岩山がそそり立つ。岩の裂け目からは滝の水が激しくしぶきを飛ばしながらまっすぐに落ちてくる。滝と滝の間をカスケードが細くくねりながら流れる。岩山は重なりながらそそり立っているので,先の風景は見えず,一つ山を越えると次の山がそびえる。ずいぶん走って海に出たので相当深いフィヨルドだ。海からはこんなに深い湾ということは分からないらしく,クック船長も見過ごしたのだそうだ。三角に尖った岩山は,氷河が削ってできたものだそうだ。気の遠くなるような年月をかけてこの神秘的な自然美ができたのだ。海の近くの岩の上でアザラシが何頭ものんびりと昼寝をしていた。ゆったりと究極の自然の造形を堪能した。