12 水は天からもらえない
海外に出て、不自由だなあと思うのは水である。日本では大都会ではいざ知らず、水道水を飲んでもまず心配はない。ヨーロッパの水道水は「おなかをこわします」と、注意を受ける。コップ一杯くらいはどうということはないらしいが、やっぱり神経質になってしまう。
日本だって水道の水はただではないが、飲む水にまでお金がかかっているという意識はない。
それにしても今回は水に困った。ローマに到着したのは既に夜。ホテルの部屋にはミニバーもなくポットもない。お茶一杯飲めない。翌日ローマ市内の見学は冷たい雨だった。おかげで乾くことはないがこれはお茶にはならない。いつも水を手に入れることに気をつけていなければならなかった。
ところで、ミネラルウォーターには、炭酸ガス入りとガスなしがある。日本人の感覚ではガスなしというところだろう。それでも慣れると、ガス入りでもそんなに飲めないということはない。
ロンドンは午後ウィンザー城見学。エリザベス女王が週末を過ごすお城。イギリス王室も「ダイアナ事件」以来ちょっと落ち目だが、それでも、いやそれも手伝って観光地としては栄えている。年末のバッキンガム宮殿も、ここウィンザー城も人でいっぱいだ。
現在もに王室の生活に使われ、また、観光場所としても公開されているお城を見て回って、早めに城外のみやげ物屋に寄る。旅行業者指定のみやげ物店は、いろいろな面で安心して買い物ができる点はいいが、高級品が多く、面白みが少ない。イタリアではこれ、イギリスではこれと決まったものしかないわけだ。そんなところから考えればなんでこんなものをということになるのだろうが、小さなみやげ物屋、露店などにけっこう面白いものがある。そんなわけで、その店で少し買い物をしてひょいと見るとミネラルウォーターがある。「あっ、これください。」と日本語ではしゃべれなかったが、手に入れた水で夜はお茶と味噌汁。うまい!
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