そらのやま「旅行記」Yukito Shimizu

旅行記1『窓越しのヨーロッパ』
(西欧ハイライトの旅)

13 エッフェル塔のエレベーター

 元旦の午前はパリ市内見学。ヨーロッパでは正月を日本のように大々的に祝う習慣はなくて、多くの観光施設や店はお休み、午後は自由時間となった。グループの多くはモンマルトルに渡辺さん引率で出かけたが、私たちはエッフェル塔まで散歩することにした。

 エッフェル塔はホテルから歩いて15分位のところにある。ここは元旦でも展望台までのエレベーターが動いている。行ってみると百メートルほどの列ができている。日本人も並んでいたので、チケットの買い方や値段(一人42フラン)などを聞く。

 ここのエレベーターは塔の足にそって斜めに上っていく。ここでも持ち物検査。切符を買ったあとはスムーズに乗り込むことができ、2階(日本で言えば3階)まで上がる。360度の展望はよいがとにかく寒い。

 ぐるっと見て回って、さて降りようかとエレベーターを待つ。しかし、なかなかエレベーターは来ず、待合室は下り客でいっぱいになってしまった。ぎゅうぎゅう詰めの状態でみんなが我慢している。こんなところにすりでもいたら、などと考えたりする。なにしろ手も動かせない。

 そんなところにエレベーターがやってきた。みんながどっと乗り込む。私たちも乗れるだろうかと心配しながらもようやく入り口近くまで行ったとき、乗務員が何か叫びだした。降りなさいと言っているようだ。定員オーバーなのか、いや、十分に空間はある。ところが10人位を強引に降ろし、それでもさらにあと1人を降ろして戸を閉めると、下に降りて行ってしまった。どうももう1つ下の展望台から乗る人の分を、空けておかなければならないらしい。

 次のエレベーターに私たちは乗ることができたが、その時にも「5人降りなさい。」と降ろされ待たされる人もあった。下の展望台では1人も乗らなかったので、乗客にも乗務員にも笑いがこぼれた。なんだったのだ、あの騒ぎは。