16 窓越しのヨーロッパ
5年前のハンガリー、ドイツ、フランスを中心とした旅行、そして、今回はイタリア、イギリス、そして2度目のフランスと、ずいぶんあちこち見てきたように書いてきた。しかし、考えてみるとどの国もほんの少しずつの滞在で、ゆっくり話を聞くこともなく、まして生活のようすに直接触れることは全くと言っていいほどなかった。多くはバスからの車窓見学だったり、ガイドさんの指さす方を見て説明を聞くだけだった。窓を開けてじっくり見たり、指さす方向と反対を見たりする余裕などとてもなかった。
だから「西欧ハイライトの旅」とは言うが、僅かな点を見てきたに過ぎない。それぞれの国の明るくスポットの当たったところだけをつまみ食いしてきたというところだろう。
言葉も肌の色も歴史も習慣も、あらゆる文化も異なるヨーロッパの国々。でも、ほとんどの人たちは私たちの片言の言葉に一生懸命耳を傾けてくれた。親切に教えてくれた。そこには共通する何かがあった。私たちは、もっともっと知り合わなければならないと思う。でも、その前に、実際に行かなければ、行ってみなければなんにも分からないじゃないか。
さあ、行こう。
行って窓を開けて、同じ空気を吸うと、
同じ地面を歩くと、
知り合えることがいっぱいあるから。 |