6 食堂にて・ローマ
ローマでの最初の朝食はホテル・パラティーノの食堂であった。私自身の経験から考えると、ホテルのサービスは特によいとは思えない。部屋には冷蔵庫(ミニバー)はなく、ポットもなく、水もない。緑茶でも飲もうかとわざわざ日本からティーパックを持ってきたのだが、それどころではない。生水は飲めないし、前夜の暖房が効き過ぎていて、のどが渇き肌も乾いた感じで目覚めた。そんなこともあって、渡辺さん(添乗員)から言われていた時刻より少し早く食堂へ行く。他の人たちも同じ気持ちなのか数人が食堂の前で待っていた。日本人観光客が多く、もう食事をしているグループもある。
私たちの席はどこなのか。渡辺さんは来ない。「何をしているんだ。我々より早く来るのが常識だ」などと思う。しかし、見ていたボーイが我々の思いを察したのか、案内してくれたので我々は適当にテーブルについた。「アメリカンブレックファースト」ということで、スパゲティ、パン、サラダなど、朝食だからかそんなにごちそうはない。それぞれにとって食べる。そのうち渡辺さんもやって来た。
「スクランブルエッグがつくはずです。」と渡辺さん。少しでもごちそうがあるようにと気を遣っているのだろう。
ボーイがスクランブルエッグを運びだした。ところが、我々は早く来て適当に席についているためばらばらに座っている。渡辺さんはグループのメンバーを確かめながらボーイに指示するが、ボーイとしてはグループみんなまとまって席をとってほしかったらしく、その面倒さに腹を立ててしまった。それでも指示にしたがって配って歩く。とうとう2皿行き場がなくなった。ボーイはイライラ。ついに食堂横の棚に置いて去ったが、やはり気になるらしくもう一度やってきて、今度はだれも座っていないテーブルに一つずつ置いて行ってしまった。
だれかスクランブルエッグにありつけない人がいたのか、だれがあの皿に手をつけたのか、そこのところはわからない。
ところで、渡辺さんはなぜ遅れたのか。どうもモーニングコールがなかったためらしい。ホテルに頼んでいたモーニングコールは、かかった部屋もあったらしいがかからない部屋もあった。ちなみに、私たちの部屋にモーニングコールはなかった。
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