そらのやま「旅行記」Yukito Shimizu

旅行記2『オーストラリアに咲く花は』
12.カンガルー、コアラなど

 オーストラリア・ワンダーランド、ここはあまり大きな動物園ではなさそうだが、オーストラリア特有の動物が集められている。子ども向きかもしれないが、私も見たことのないものがほとんどだった。

 旅にはつきもののショットであるコアラとの写真は、希望者のみの撮影である。まあせっかく来たのだから、と撮ってもらう。夜行性の動物だが、昼慣れ、人慣れしたコアラが写真撮影用に集められていた。

 ウォンバット、カンガルー、ワラビー、ディンゴ、ハリモグラ、カモノハシ、タスマニア・デビル、エミュー、フェアリー・ペンギン、ワライカワセミなどなど。トラもライオンもゾウもいないが、オーストラリアを売り物にしているわけだ。

 このように他の陸地には見られない動物がここには多く棲息している。海を隔て、交流もほとんどなかったのだから、特に陸上の動物はこの大陸で、独特の進化をしてきたのであろう。それだけに貴重な価値がある。アボリジニたちの暮らしも、彼らの生活様式を見る限り、それらの動物たちと共生してきたと言えるのではないか。もし、これら動物の生態系が崩れるとすれば、新しい文明の流入以後であろう。

 事実1880年代、この地で大繁殖をしたウサギはイギリス人が持ちこんだものだったという。

 たばこの喫煙制限に見られるように、環境保護にかなり気を使っていると見られるこの国のことだから、そのような過去の出来事は十分考えに入れて動物保護も進めているに違いない。しかし、どうなのだろう。先に紹介した藤川隆男著「オーストラリア歴史の旅」(カンガルーの大虐殺)によると、現在年間約300万頭のカンガルーが殺されているという。それでも2000万頭と推定されているカンガルーの生存は、将来も心配ないという。
 動物保護とはどうすることなのか。300万頭のカンガルーの死はそれに反するものなのか。私には分からない。

 「ルー・バー」と呼ばれるカンガルー衝突事故防止(運転者にとっての怪我防止)装置が公然と使われることもあったという。ブルーマウンティンやハンターヴァレーに向かう道路にも、ウサギ、キツネ、ウォンバットなどの事故死体を見つけることができた。

 しかし、私たちのバスの走る山道の途中、とある曲がり角に、ちらっと黒い影が動いたのはなんだったのだろう。私たちに何かを訴えかけようとする動物たちの影だったのか。